30秒で読める!AI要点まとめ
就業前に確認したい3つのポイントと雇用の選択肢
- 主治医から無理のない業務量で就労許可が出ているか確認する。
- 合理的配慮を受けるオープンか求人の広いクローズかを選択。
- 正社員や時短勤務など自身の特性に合う勤務形態を理解する。
自分に合う職場を見つける4つのステップと特性理解
- 集中できる強みやミスが起きやすい苦手作業を客観的に整理する。
- リマインダー活用や疲れのサイン把握でセルフケアを用意する。
- 指示のテキスト共有や席配置など必要な合理的配慮を整理する。
ADHDの特性を強みとして活かせる主な仕事一覧
- 正確性と集中力が活きるデータ入力や検品などのルーティン業務。
- 法則性やロジックを追求できるプログラマーやITエンジニア。
- 厳格なルール遵守や観察力が強みになる校正や経理・会計事務。
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※AIの特性上、間違いが含まれている場合があります。記事本文と併せてご確認ください。
この記事を訪問した理由は?
ADHDの特性から、学校生活やアルバイトでミスの多さやスケジュール管理の難しさなどを自覚していて、就職に不安を感じている人もいるでしょう。
これは、ADHDの特性そのものが原因なのではなく、特性と業務内容が噛み合っていないことが、困りごとを生み出しているケースが多くあります。
大切なのは、興味のある分野への高い集中力や、アイデアを次々に生み出す発想力、スピード感を持って物事を進める行動力といった強みが活きる環境と仕事内容を選ぶことです。
この記事では、1人の精神科医と障がい領域に知見を持つキャリアコンサルタントと一緒に、ADHDの特性がある人が安定して働くための就職活動の進め方を解説します。
焦って内定を取りに行くのではなく、まずは自分の特性を正しく理解することから始めていきましょう。
本記事では、ADHDの特性に合わせた就職活動の進め方を解説しています。
心身の不調や症状が続く場合は、無理に就活を続けず、主治医や地域の専門機関・相談窓口に早めにご相談ください。
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【精神科医の見解】ADHDの特性に合った就職はできる?
国が提供するポータルサイト「発達障害ナビポータル」では、ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意や落ち着きのなさが継続的に見られ、日常生活や社会生活に困難を示す神経発達症とされています。
ADHDの特性がある人は、複数の業務を同時に抱えたり、細かい確認作業が続いたりする環境では、ケアレスミスやスケジュールの遅れが起こりやすくなります。
一方で、興味のある業務への高い集中力や、スピード感を持って物事を進める力を発揮しやすい環境を選べば、特性が強みとして働くのです。
そのため、特性への理解を深めたうえで、自身と相性の良い環境や仕事内容を選ぶことで長期的に働きやすくなります。
ここでは、発達障がい領域に知見を持つ精神科医に、ADHDの特性と就職の関係について聞きました。
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就職活動を始める前に確認しておきたい3つのこと
ADHD特性がある人は就職活動を始める前に、いくつか確認すべきポイントがあります。
なぜなら、準備が整わないまま就職活動を進めると、選考中や入社後に想定外の負担が生じ、体調を崩してしまうリスクがあるからです。
ここでは、就職活動を始める前に確認しておきたいことを解説します。
①主治医からの就労許可がでているか
就職活動を本格的に始める前に、主治医から就労許可がでているかを確認しましょう。
ADHDの特性がある人は、慣れない環境や刺激の多い状況が続くと、ケアレスミスが増えたり、服薬のタイミングを忘れやすくなったりと、体調の波が普段以上に大きくなることがあります。
こうした状態のまま就職活動や就労を始めると、心身への負担が大きくなり、早期離職につながるリスクがあります。
具体的には、就労時の勤務時間や業務量について、どこまで無理なくこなせるかを主治医と相談しておくと安心です。
これは、体調の波や服薬の効き方を日常的に把握している主治医だからこそ、自分では気付きにくい負荷の目安を客観的に判断してもらえるからです。
少しでも不安があるなら無理に活動を進めず、主治医に相談してみましょう。
②ADHDの特性を企業に共有するかどうか
次に、ADHDの特性を企業に共有するかどうかを考えておきましょう。
自身の特性を開示して働く「オープン就労」と、開示せずに働く「クローズ就労」のどちらを選ぶかによって、就職活動の進め方や職場で受けられる配慮の内容が異なります。
オープン就労では、障害者手帳の所持を前提に、障害者雇用促進法に基づき、企業側には過重な負担がない範囲で合理的配慮を提供する義務が生じます。
「締め切りの前にリマインドをもらう」「刺激の少ない席を用意してもらう」といった配慮を受けられるのがメリットです。
一方で、クローズ就労では、特性による困りごとへの対処を自分自身でおこなう必要があります。
リマインダーアプリで締め切りを管理する、タスクを細かく区切って進めるなど、自分に合った工夫を用意しておくことが重要になりますが、応募できる求人の幅が広がるというメリットもあります。
これは、どちらが正解というわけではないため、自分の特性の程度や希望する働き方に応じて判断しましょう。
あなたが受けないほうがいい職業を診断しましょう

就活を進めていると、自分に合う職業がわからず悩んでしまうことも多いでしょう。
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自分の適職や適さない職業を理解して、自信を持って就活を進めましょう。
③自分に合う勤務形態を理解しているか
最後に、自分に合う勤務形態を理解しておきましょう。正社員や契約社員・時短勤務など、勤務形態で求められる業務量や責任の範囲は異なります。
たとえば、特に長時間の拘束で苦労した経験がある人が、拘束時間の長い正社員になってしまうと、体調を崩す原因になりかねません。
フルタイム勤務に不安がある場合は、医師と相談しながら時短勤務や在宅勤務などの選択肢も検討し、無理なく力を発揮できる働き方を選ぶことが大切です。
業務量や勤務時間を自分の特性に合わせて調整できる働き方のほうが、安定して業務をこなすことができるため、結果的に長く働きやすくなります。
就職の流れ|自分に合う職場を見つける4ステップ

ADHDの特性は、任される業務内容や指示の出され方によって、強みにも困りごとにもなります。
そのため、自身の特性を正しく把握したうえで就職先を選ぶことが、長く働き続けるための土台となります。
具体的には、以下の4つのステップを順に試すことで自分に合う職場を見つけやすくなります。ぜひ読みながら進めていきましょう。
【関連記事】自分に合った仕事・適職の見つけ方(タップで開閉)
自身に合う仕事を見つけるには、特性に合う職場環境や仕事内容を理解することが大切です。自分に合った仕事の見つけ方や適職の探し方をより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。
自分に合った仕事の見つけ方
自分に合った仕事を簡単4ステップで発見! 後悔しない方法を解説
向いてる仕事がわからない時の対処法
向いてる仕事がわからない……図解で読み解く適職の見つけ方
何がしたいかわからない時の仕事探し
何の仕事がしたいかわからない人へ|自分に合う仕事の見つけ方を解説
ステップ1:特性の理解
チェック項目
ADHDの特性による得意・苦手を正確に理解することは、自分に合う職場を見つける第一歩となります。
ADHDの特性は「集中力がない」「だらしない」といった一括りの言葉では表せません。
得意な作業と苦手な作業の差が大きく出やすいため、自身が明確に理解して周囲に正しく伝える必要があるのです。
ここでは、作業内容・環境・人間関係の3つの観点から、自分の特性を整理していきましょう。
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就活を成功させるためには、自分に合う職業・合わない職業を早めに知ることが不可欠です。しかし、それがわからずに悩む人も多いでしょう。
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力を発揮しやすい「得意な作業・強み」
自分の得意な作業や強みを理解するには、過去に「時間を忘れるほど集中できた」「褒められた」経験を振り返り、具体的に書き出してみましょう。
心身医学「注意欠如・多動症(ADHD)特性の理解」によると、ADHD特性のある人は興味のある物事に対して高い集中力を発揮しやすいため、この特性を活かせる場面で強みとして働く可能性があります。
得意な作業・強みの例
- スピード感を持って物事を進める作業
- アイデアを次々と生み出す発想力
なお、集中しすぎて疲労が続く、体調に不安があるといった場合は、無理をせず心療内科などの専門機関に相談してください。
【関連記事集】「自分の強み」の見つけ方・伝え方(タップで開閉)
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パニックやミスが起きやすい「苦手な作業」
自分が苦手な作業を理解するには、「集中できなかった」「混乱した」などの経験を振り返って具体的に書き出してみましょう。
心身医学「注意欠如・多動症(ADHD)特性の理解」によると、ADHD特性のある人は、細部への不注意によるケアレスミスや忘れ物、時間管理の困難さ、締め切りを守れないといった特徴が現れやすいとされています。
また、衝動性により相手の話を最後まで聞かずに発言してしまう、感情的になりやすいといった傾向も報告されています。
苦手な作業の例
- 複数の作業を同時にこなすマルチタスク
- 細かい確認作業を要する事務処理
- 長時間じっと座っておこなう単調な作業
なお、こうした特性の現れ方には個人差があります。ミスやパニックが業務や生活に大きな支障を及ぼしている場合は、無理をせず心療内科などの専門機関に相談してください。
【関連記事集】「苦手なこと」の伝え方・探し方(タップで開閉)
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物事に集中できる「安心な環境」
集中できる環境を理解するには、「普段よりミスが少なかった」「気付いたら1時間以上集中していた」など、作業の速さ・量・質、集中できた時間の長さに焦点を当てて、これまでを振り返ってみましょう。
前述のとおり、心身医学「注意欠如・多動症(ADHD)特性の理解」では、ADHD特性のある人は長時間じっとしていることや、精神的努力の持続を要する課題を避ける傾向があるとされています。
この特徴を踏まえると、短時間で区切れるタスク設計や、こまめに休憩を挟める環境が合う可能性があります。
ただし、実際に合う環境には個人差があるため、自分自身の経験を振り返りながら確認してみることをおすすめします。
なお、環境を調整しても集中の困難さが続き、生活や就活に支障が出ている場合は、無理をせず心療内科などの専門機関に相談しましょう。
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疲弊や注意散漫を引き起こす「苦手な環境」
苦手な環境を理解するには、これまで「集中が途切れやすかった」「落ち着かなかった」と感じた場面を振り返り、具体的に書き出してみましょう。
心身医学「注意欠如・多動症(ADHD)特性の理解」によると、ADHD特性のある人は外的な刺激によってすぐ気が散ってしまう傾向や、長時間じっとしていることを求められる場を苦痛に感じやすい傾向があるとされています。
苦手な作業の例
- 周囲の音や人の出入りが多い環境
- 長時間の会議やじっと座り続ける講義
- 静かに黙々と取り組むことを求められる環境
なお、環境要因によって疲弊が慢性的に続いている場合は、無理をせず心療内科などの専門機関に相談してください。
安心して頼れる・相談しやすい「相性の良いタイプ」
仕事で相性の良いタイプを探すには、褒め方・叱り方・指示の出し方・相談への応じ方といった観点から、これまで自分が安心して頼れた相手の共通点を振り返り、書き出してみましょう。
相性の良いタイプの例
- 進捗をこまめに確認し、遅れそうなときも一緒に対策を考えてくれる先輩
- ミスを頭ごなしに否定せず、次にどうすればよいかを一緒に整理してくれる人
質的心理学研究「成人ADHD者のレジリエンスを促進する環境の検討」によると、できないことの原因や対策を一緒に考えてくれる上司とのかかわりが、当事者にとって前向きに働いた例が報告されています。
また、特性について頭ごなしに否定せず、自然に受け止めてもらえる関係性が、安心感や自己理解を支える要因になり得るとされています。
緊張やプレッシャーを感じやすい「苦手なタイプ」
苦手なタイプを理解するには、指示の出し方・やり方への柔軟さ・質問への応じ方」といった観点から、過去に自分が違和感を感じた相手にどんな共通点があったかを振り返り、書き出してみましょう。
苦手なタイプの例
- 曖昧な指示しか出さない上司
- 決められたやり方から少しでも外れると、強く指摘してくる先輩
質的心理学研究「成人ADHD者のレジリエンスを促進する環境の検討」では、曖昧な指示しか出されず「自分で考えて」とだけ言われる状況や、決められたやり方への固執を強く求められる状況が、当事者にとって苦痛や不適応につながった例が報告されています。
抽象的な指示が多い人、細部への厳格さを強く求める人などに対しては、緊張やプレッシャーを感じやすい可能性があります。
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受けない方がいい職業を診断しよう
就活で大切なのは、自分の職務適性を知ることです。「適職診断」では、あなたの性格や価値観を踏まえて、適性が高い職業・低い職業を診断します。
就職後のミスマッチを避けたい人は、適職診断で自分に合う職種・合わない職業を見つけましょう。
- 自分に合う職業がわからない人
- 入社後のミスマッチを避けたい人
- 自分の強みを活かせる職業を知りたい人
ステップ2:自分に合うセルフケアの用意
チェック項目
自分の特性や、集中しやすい環境・緊張しやすい場面が理解できたら、自分に合うセルフケアの準備をしましょう。
心身医学「注意欠如・多動症(ADHD)特性の理解」によると、ADHD特性のある人は、疲労が本人の自覚しにくい形で蓄積したり、二次的に気分の落ち込みや不安が生じやすかったりする傾向が指摘されています。
就活という慣れない環境や連続する選考はで負荷がかかりやすいため、自分に合ったセルフケアの方法を日常に取り入れることが大切です。
ここでは、就活を乗り切るために普段から意識しておきたいセルフケアの工夫を紹介します。
①抜け漏れを防ぐための対策を作る
心身医学「注意欠如・多動症(ADHD)特性の理解」によると、ADHDの特性により時間経過の感覚がつかみにくいとされています。
そのため、アラームやリマインド機能付きのツールを使ったり、付箋にタスクを書いて目に入る場所に貼ったりする対策があらかじめ有効です。
就活でも、エントリーシート(ES)の締め切りや面接日程をスマホのリマインダーに登録したり、持ち物リストを作成したりして、抜け漏れを防ぐ仕組みを作っておきましょう。
②頭の疲れをリセットする時間を確保する
就活では、面接や説明会が立て続けに入り、休憩を取らないまま次の予定に向かってしまうこともあるでしょう。
質的心理学研究「成人ADHD者のレジリエンスを促進する環境の検討」によると、自分の能力や体力を超えた作業を続けると、無自覚のうちに心身の不調につながることが報告されています。
一方で、作業量やペースを自分の状態に合わせて調整できる柔軟性のある環境は、当事者の適応を助ける要因になります。
そのため、スケジュールを詰め込みすぎず、合間に何も予定を入れない時間を意識的に確保しておくことで、次の選考に落ち着いて臨みやすくなることを覚えておきましょう。
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簡単な入力でプロが使うような回答例が出せるため、悩まずに就活準備を進められます。生成AIを活用して効率良く就活準備を進めたい人におすすめです。
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③限界が来る前の疲れのサインを把握する
人によって疲れが出やすいサインは異なります。
「寝つきが悪くなる」「食欲が落ちる」「小さなミスが増える」など、疲労のサインをあらかじめ把握しておくと、休息を取る判断がしやすくなります。
質的心理学研究「成人ADHD者のレジリエンスを促進する環境の検討」では、ADHD特性のある人が自分の不調に気付けないまま無理を重ねた結果、体調を崩してから初めて限界に気付いたというケースが報告されています。
あらかじめ自分なりの疲労のサインを把握しておくことは、「気付いたときには限界を超えていた」という事態を避けるための一つの手がかりです。
過去に体調を崩した経験がある場合は、そのときの前兆を振り返っておくと良いでしょう。
④気分転換のバリエーションを持っておく
就活中はやることが一つのパターンに偏りがちですが、気分転換の方法をいくつか用意しておくと、状況に応じて使い分けやすくなります。
質的心理学研究「成人ADHD者のレジリエンスを促進する環境の検討」では、同じ環境や同じやり方が続くと飽きやモチベーション低下につながりやすく、新しい刺激や変化を取り入れることが活動を続けるうえで重要という点が報告されています。
気分転換の方法は1つに固定せず、いくつか選択肢を持っておくのがおすすめです。
ストレッチ・散歩など短時間でできるものと、動画鑑賞・友人との会話のように時間をかけるものを用意しておくと、状況に合わせて活用できます。
⑤体調のベースを整えるルールを作る
就活が忙しくなると、睡眠や食事のリズムが崩れる可能性があります。
生活リズムが崩れると、日中の集中力が続かなくなったり、ミスをしやすくなったりと、就活の際に支障が出やすくなるかもしれません。
たとえば、就寝時間の目安を決めたり、朝食は必ず摂ったりするなど、自分のルールを決めておくと、生活リズムの乱れを立て直しやすくなります。
総じて、心身の健康状態を常に優先して、無理のない範囲で就職活動を進めることが重要です。
生活リズムを整える工夫をしても改善が見られない、心身のつらさが続くといった場合は、無理をせず心療内科などの専門機関に相談してください。
⑥集中を妨げない作業環境を整える
総合病院精神医学「大人の注意欠如多動症の認知行動療法」によると、ADHD特性のある人への対処法として、抑制する力そのものを鍛えるよりも、誘惑となる刺激を減らす環境調整が有効とされています。
具体的には、部屋や机の配置を整えたり、電話やメール、テレビ、インターネットなど集中を妨げるものを物理的に遠ざけたりする工夫ができます。
たとえば、ES作成や面接対策など、集中して取り組みたい作業の際は、スマートフォンを別の部屋に置く、静かな環境を選ぶといった工夫を事前にして、作業に取り組みやすくしましょう。
ステップ3:職場に申請したい配慮の整理
チェック項目
自分のADHD特性やそれに合う環境が見えてきたら、次は実際の職場でどう活かすかを考えましょう。
質的心理学研究「成人ADHD者のレジリエンスを促進する環境の検討」によると、作業量や進め方を自分の状態に合わせて調整できる柔軟性のある環境が、当事者の適応をうながす重要な要素として報告されています。
そのため、就職活動中や内定後の面談で自分に必要な配慮を具体的に伝えることで、入社後のミスマッチを減らすことが長期的に安定して働くために大切です。
ここでは、職場に申請しておくと安心な配慮を解説します。自身が申請すべき点を事前に整理しておきましょう。
①指示の工夫|メールやチャットなどテキストでの共有
口頭での指示だけでは内容を覚えておくことや、指示された作業に集中し続けることが難しいと感じる人には、この工夫が助けになります。
総合病院精神医学「大人の注意欠如多動症の認知行動療法」によると、ADHD特性のある人は締め切りまでの時間経過を把握する感覚にずれが生じやすいため、リマインダーの設定や実行を忘れてしまったりする傾向が指摘されています。
たとえば、口頭のみで指示を受けると聞き漏らしや失念につながりやすいため、指示を後から見返せる形で残してもらうのがおすすめです。
ただし、チャットと口頭での説明は、企業によっては対応が難しい恐れもあります。
「指示はできるだけチャットでほしいが、口頭で説明を受けた際も、テキストでのすり合わせの機会をもらいたい」と提案すると、提案も通りやすくなる可能性が大会です。
②環境の工夫|雑音や視線が気になりにくい席への配置
周囲の音や人の動きが気になり、目の前の作業に集中し続けることが難しいと感じる人には、この工夫が助けになります。
総合病院精神医学「大人の注意欠如多動症の認知行動療法」によると、外的な刺激によってすぐ気が散ってしまうことの対処法として、抑制する力そのものを鍛えるよりも、誘惑となる刺激を減らす環境調整が有効とされています。
たとえば、気が散りにくい机の配置にしたり、集中を妨げるものを物理的に遠ざけたりするのがおすすめです。
オープン就労の場合は選考時に必要な配慮と理由をセットで伝えておきつつ、内定後に具体的な調整等していきましょう
③業務の工夫|優先順位や提出期限の事前すり合わせ
複数の業務で何から手をつければ良いかわからなくなる人や、締め切りまでの作業計画を立てることが苦手な人には、業務上の工夫が助けになります。
総合病院精神医学「大人の注意欠如多動症の認知行動療法」によると、この症状は時間処理障害と呼ばれるもので、課題を遂行するための所要時間の見積もりが不正確になり、計画に無理が生じやすいことが指摘されています。
たとえば、業務の優先順位や期限があらかじめ明確になっていないと、対応が後手に回りやすいため、事前にすり合わせておくのがおすすめです。
そのため、業務を依頼される際に、「複数のタスクがある場合は、優先順位を教えていただけると助かります」と伝えてみましょう。
あわせて、「提出期限は、余裕を持って早めに共有していただけますか」といった形で事前のすり合わせを依頼しておくと、計画を立てやすくなります。
④確認の工夫|進捗チェックや定期面談の設定
作業の抜け漏れやミスに気付きにくい人、一人で抱え込んでしまいがちな人は、確認の工夫をすることが業務を安定して続けていく助けになります。
総合病院精神医学「大人の注意欠如多動症の認知行動療法」によると、ADHD特性のある人は、目の前の課題以外に気をとられてミスをしたり、課題に着手しても途中で他のことに気が逸れて完遂できなかったりすることが指摘されています。
一人で作業を進めていると、こうしたミスや抜け漏れに自分では気付きにくいため、定期的に他者の目で確認してもらう機会を設けておくのがおすすめです。
そのため、業務を任されるタイミングで、「途中経過を確認していただく機会をいただけると安心です」と伝えてみましょう。
さらに、「週に一度など、短い時間でよいので定期的にすり合わせの時間をいただけますか」といった形で、相手にとって負担の少ない頻度を提案しておくと、対応してもらいやすくなります。
⑤体調の工夫|突発的な体調変化への対応方法を共有
疲労や不調のサインに自分で気付きにくい人、無理を重ねてから体調を崩しやすい人は、突発的な体調変化への対応方法を職場内で共有しましょう。
質的心理学研究「成人ADHD者のレジリエンスを促進する環境の検討」によると、ADHD特性のある人へのインタビュー調査では、体調を崩してから初めて限界に気付いたケースが言及されています。
たとえば、突発的に体調を崩した場合の対応方法があらかじめ共有されていないと、無理をして働き続けてしまったり、連絡や相談のタイミングに迷ってしまったりすることが考えられます。
そのため、配属後の早い段階で、「体調が優れないときは、チャットで早めに連絡します」と、自分なりの対応方法を伝えておきましょう。
あわせて、「急な休みが必要になった場合の連絡先や手順を教えていただけますか」といった形で、職場側のルールも確認しておくと、いざというときに慌てず対応できます。
- 会社側に「配慮があると働ける」と納得してもらうには、どのような伝え方やアプローチをすれば良いでしょうか?
できないこと+改善策をセットで伝えよう
職場に配慮を相談するときは、「できないこと」を並べるよりも、「こうしてもらえると、より力を発揮できます」と伝えるのがおすすめです。
たとえば、「口頭だけだと抜けてしまうことがあるので、チャットでも共有してもらえると、確認しながら確実に進められます」と具体的に伝えると、企業側も対応をイメージしやすくなります。
自分が困りやすい場面と、あると助かる工夫をセットで伝えることで、お互いに無理のない働き方を考えやすくなります。
ステップ4:就職時・入社後のフォロー体制の確立
自分の特性を理解し、必要な配慮を整理できたら、次はそれを一人で抱え込まず、周囲のサポートを得ながら就職活動や実際の働き方を進めていく段階です。
就職活動や入社後は、環境の変化が続き、一人で対応しきれない場面も出てくる可能性があります。
ここでは、就職活動中から入社後にかけて頼れる相談先や、継続的なフォロー体制の作り方を紹介します。万が一に備えて、頼れる相手や場をあらかじめ確保しておきましょう。
①就労支援機関に「自己分析や企業交渉」を頼む
就活を一人で進めることに不安がある人、配慮事項をどう伝えれば良いかわからない人は、就労支援機関に自己分析や企業交渉を頼みましょう。
質的心理学研究「成人ADHD者のレジリエンスを促進する環境の検討」によると、ADHD特性のある人へのインタビュー調査で「周囲から特性への理解が得られる協力的な関係を築けていたことが、当事者の安定した適応を支える要因の一つ」として報告されています。
つまり、就職活動を一人だけで進めようとすると、自分の特性に合った伝え方や配慮の依頼の仕方に悩み、負担が大きくなりやすいと考えられます。
就職活動を始める段階で、地域の障害者就業・生活支援センターや、発達障がい者を対象とした就労移行支援事業所に相談してみましょう。
自己分析のサポートだけではなく、企業への配慮事項の伝え方や、条件交渉に同席してもらえる場合もあるため、早めに窓口を調べておくと安心です。
就労先の選択肢の一つとして、就労継続支援A型を検討している人もいるのではないでしょうか。A型に応募する際は一般企業とは異なる評価基準があるため、以下のQ&Aで志望動機の書き方を事前に押さえておきましょう。
②主治医に「服薬や就労の可否」を相談する
服薬治療を受けている人、就労のタイミングや働き方について医学的な判断を仰ぎたい人は、主治医に相談しましょう。
服薬の調整や就労の可否といった医学的な判断は、その人の状態を継続的に把握している主治医にしかおこなえません。
自己判断で服薬を中断したり、就労時期を決めたりすると、体調管理の面でリスクが生じる可能性があります。
就職活動を始める前や内定後の働き方を検討する段階で、主治医に現在の状況を伝え、「服薬の調整が必要か」「どのような働き方が自分に合っているか」を相談しておきましょう。
③職場と「困りごとを話す定期面談」を作る
困りごとを一人で溜め込んでしまいがちな人、状況の変化に応じて配慮内容を見直したい人には、定期面談の機会を作ってもらうことが大切です。
質的心理学研究「成人ADHD者のレジリエンスを促進する環境の検討」によると、当事者が選択・構築してきた環境の特徴として、作業内容や量を自分の状態に合わせて調整できる柔軟性が、適応を支える要因として報告されています。
つまり、入社時に一度申請した配慮も、実際に働き始めてから業務内容や状況が変わることで、当初の想定と合わなくなる場合があるのです。
そのため、「月に一度など、困りごとを共有する時間をいただけますか」と、定期的な面談の場をあらかじめ依頼しておきましょう。
配慮が実際の業務に合っているかを定期的に見直せる体制を作っておくと、状況が変化したときにも相談しやすくなります。
- ADHDがある社員に対して、企業はどう向き合っているのですか?
「無理なく長く働いてもらいたい」が企業の想い
企業側も「どのようにサポートすることが効果的か」は、当事者一人ひとりによって異なることもあり、一概に言えないと考えています。
支援機関や主治医などの専門家を交えて調整することによって、長期的に無理なく働いていって欲しいと考えているのです。
一人で無理をして抱え込んでしまった結果、体調を崩して長期欠席をしたり、急な退職を余儀なくされたりしてしまうことのほうが、本人にとっても職場にとっても影響が大きくなってしまいます。
長く働くためのマインドセット
ここまで、自分の特性理解から、職場への配慮の伝え方、フォロー体制の作り方まで整理してきました。
最後に、実際に働き始めてから長く続けていくために、心の持ち方として意識しておきたいポイントを解説します。
制度や工夫を整えても日々働くなかで自身をどうとらえるかによって、働きやすさは変わってくるため、自分に合ったマインドセットを見つけて、無理なく長く働ける状態を目指しましょう。
①できないことを自分の努力不足と責めない
ミスや苦手なことがあるたびに、落ち込みやすい人は、できないことを自分の努力不足と責めない考え方が必要です。
心身医学「注意欠如・多動症(ADHD)特性の理解」によると、青年期以降のADHD特性のある人は、ケアレスミスを犯しやすい自分に違和感を抱き、自尊心を低下させていくケースが多くなると報告されています。
つまり、特性による困りごとを、性格や努力の問題として自分を責め続けてしまうと、二次的に気分の落ち込みにつながりやすいと考えられます。
そのため、ミスをしたときは「自分の努力不足」ではなく「特性による困りごと」として捉え直し、次にどう対策するかに意識を向けるようにしましょう。
たとえば、ミスが続いたときは自分を責める前に、「どのような工夫ができるか」を考える習慣をつけておくのがおすすめです。
②一人で抱え込まず周囲の力を頼る
困りごとを自分だけで解決しようとしてしまう人は、なるべく一人で抱え込まず周囲の力を頼ることが必要です。
たとえば、業務上の困りごとは上司や同僚、服薬や体調面の不安は主治医に相談するなど、話す相手を分けると、適切なサポートを受けやすくなります。
質的心理学研究「成人ADHD者のレジリエンスを促進する環境の検討」では、ADHD特性のある人へのインタビュー調査で、特性への理解が得られる協力的な関係を職場や家庭、主治医との間に築けていたことが、当事者の安定した適応を支える要因として報告されています。
そのため、困りごとが生じたときは、一人で抱え込まず早めに周囲へ共有することを意識しましょう。
たとえば、定期面談の場を使って「最近こういう場面で困っている」と伝えておくと、大きな問題になる前に対応しやすくなります。
③完璧を目指さず60〜70点を意識する
自分の能力を高く見積もってしまいがちな人、一つの作業を完璧にこなそうとして崩れてしまいがちな人は、完璧を目指さず60〜70点を意識しましょう。
ここでの60〜70点とは、「まずは形にしたものを上司や先輩に見せ、確認をしてもらいながら完成度を上げていく」という進め方を指します。
最初から一人でミスのない状態まで仕上げようとすると、時間がかかりすぎたり、途中で行き詰まってしまったりすることがあるため、注意が必要です。
質的心理学研究「成人ADHD者のレジリエンスを促進する環境の検討」によると、ADHD特性のある人へのインタビュー調査で、自己評価と実際の能力との間にずれが生じ、能力に見合わない仕事量を引き受けてしまった結果、心身の不調につながった例が報告されています。
たとえば、タスクに着手する前に「今回はどこまでできれば十分か」を先に決めておくと、無理に仕事量を抱え込みすぎてしまうことを避けやすくなります。
④配慮に感謝しつつ対等な関係を目指す
配慮を受けることに引け目を感じやすい人、周囲に気を遣いすぎてしまう人には、配慮に感謝しつつ対等な関係を目指すという考えを持ちましょう。
障害者雇用促進法により、企業には過重な負担がかからない範囲で合理的配慮を提供する義務があります。
双方で実現可能な方法を丁寧に話し合い、調整していく姿勢が大切です。
そのうえで、職場での配慮は一方的に受け取るだけのものではなく、自分ができる形で還元していく姿勢を持つことで、周囲との関係を長く良好に保ちやすくなります。
配慮してもらった分、「自分の得意なことで貢献できる場面を探してみる」「感謝の気持ちを言葉で伝える」といった小さな積み重ねが、対等な関係づくりにつながります。
ADHDは就職のハンデではない! 配慮が必要な場面を言語化することが重要
ADHD特性があることは、就職において不利になるものではありません。
「どんな作業でミスが増えやすいか」「どんな環境なら集中力を保てるか」など、自分がどんな場面で困りやすく、どんな工夫があれば力を発揮できるのかを自分の言葉で説明できるようにすることで、無理なく働き続けやすくなります。
曖昧なまま就活や仕事に臨むのではなく、必要な配慮を具体的に伝えられれば、周囲との関係も築けられます。自分らしく働ける環境を、自分の手で見つけていきましょう。
アドバイザーからあなたにエール誰にでも得意・不得意があることを理解しよう
ADHDの特性がある方のなかには、そのことを「できれば周囲に知られたくない」と考える方もいます。その気持ちを私は否定しません。
ただ、長く働くことを考えると、自分は何が得意でどのような場面で困りやすく、どんな工夫や配慮があれば力を発揮できるのかを言語化しておくことは、大切だと考えています。
これはADHDの方に限ったことではありません。誰にでも得意・不得意があり、企業も「自分自身をどれだけ理解できているか」を見ています。
必要な環境や配慮を具体的に伝えられることは、自分に合った職場を選び、入社後に周囲と協力しながら強みを活かすための大きな武器になります。
まずは自分の「できること」に目を向けよう
苦手なことがあるからといって、働くことに自信をなくす必要はありません。
まずは「自分は何ができるだろう」と、自分の得意なこと(ポジティブ面)に目を向けてみてください。自分を知ることから、自分らしいキャリアへの一歩を進めていきましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi





アドバイザーのリアル・アドバイス!ADHDは努力不足ではなく「環境との相性」で困りごとが変わる
精神科医/産業医
日浦 悠斗
プロフィールを見るADHDは、本人の努力不足ではなく、注意のコントロールや、物事の優先順位をつけて進める「実行機能」などに特徴がある状態です。
そのため、同じ人でも職場の環境や仕事の進め方によって、困りごとの現れ方は大きく変わります。
たとえば、指示が明確で予定を見通しやすい環境や、集中を妨げる刺激が少ない環境では、本来の力を発揮しやすくなります。
強みを活かせる環境を選ぶことが長く働き続けるカギ
また、興味のある分野への集中力や発想力、行動力が強みになる方もいます。就職先を選ぶ際は、仕事内容だけではなく、指示の出され方や職場の雰囲気、自分が安心して相談できる環境かどうかにも目を向けてみてください。
自分に合った環境を知ることが、長く力を発揮して働くための大切な第一歩です。