この記事のまとめ
- 傾聴力の自己PRはオリジナリティを持たせて他の学生と差別化しよう
- 傾聴力と相性の良い+αの強みを見つけてアピールするのがおすすめ
- 傾聴力で自己PRを作成するときは3ステップでわかりやすく伝えよう
- ChatGPT 自己PR作成ツール
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この記事を読んでいる人に
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就活対策をするうえで、自己PRは最重要事項と言っても過言ではありません。エントリーシート(ES)や履歴書に記入するのはもちろん、面接でもほぼ確実にもとめられます。
「自己分析をしてみたら、自分の強みは傾聴力のようだけど、どうアピールしたら良いんだろう」と自己PR作成に悩む学生は多くいます。傾聴力は普段から意識することがあまりない強みなので、イメージがしづらいですよね。
この記事では、キャリアアドバイザーの渡部さん、平井さん、田邉さんのアドバイスを交えつつ、数ある自己PRテーマの中から「傾聴力」を選んだ人に有効なアピール方法を例文付きで解説しています。
「傾聴力をアピールするコツは?」「どんなことに気を付けるべき?」「具体的にどう書いたら良い?」という悩みをここで解消し、自分にしか作れない傾聴力の自己PRで他の学生と差を付けましょう。
ESや履歴書、インターン選考の自己PRを魅力的にするポイントはこちらの記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてみてくださいね。
【ES】
例文15選|エントリーシートの自己PRで人事を惹き込むコツを解説
【履歴書】
新卒用履歴書の自己PRを書く極意|例文28選を強み・職種別で紹介
【インターン選考】
例文18選|インターンシップ選考を勝ち抜く自己PRは5ステップで完成!
傾聴力の自己PRはオリジナリティがカギ! 一工夫で印象付けよう
実は「傾聴力」は、多くの学生が自己PRとして使用する人気のテーマです。一方で、このスキルはどんな職種でももとめられるので、実際に仕事をするうえで重宝されるおすすめのアピールポイントでもあります。
だからこそ、傾聴力で自己PRを作成する際には他の就活生と差別化するためのオリジナリティが必須。ありきたりな内容になってしまうと、印象を強く残すことができません。
逆に言うと、ここで自分だけの強みを混ぜ込んだ傾聴力の自己PRを作成することができれば、企業の目に留まり他の学生と大きく差を付けられるわけです。
そのためには、まず自分の持っている「傾聴力」という能力について深掘りして把握し、いかにして志望企業のニーズに応えられるかをアピールすることが重要です。
そのうえで実体験を踏まえ、オリジナリティを持たせることができれば、他の学生と似通った内容にならず魅力的な傾聴力の自己PRを作ることができますよ。
「傾聴」という言葉は、カウンセリングなどでは専門用語として使われますが、一般的にもよく使われる言葉で、自己PRなどにもよく用いられます。
自分の考える「傾聴力」がきちんと意味付けられていて、なおかつ強みとして言えるだけの根拠が必要になると覚えておきましょう。
長所と自己PRの違いをこちらの記事でも詳しく解説しているので、差別化が難しいという人は併せて参考にしてみてくださいね。
例文12選|自己PRと長所の違いを理解してアピールに活かそう
自己PR作成前に再確認! 傾聴力とは何か
「傾聴力」とは、相手の気持ちに共感しながら熱心に話を聞くスキルです。
これだけを聞くと「ただ聞き上手なだけでは?」と感じてしまうかもしれませんが、傾聴力を身につけた人の強みは他にもたくさんあります。
人は自分の話に興味を持って熱心に聞いてくれる相手に対し、好感を抱きやすくなります。どんな話であっても、自分の気持ちとリンクするリアクションやあいづちを交えて聞いてくれると、嬉しくなりますよね。
他にも、ちゃんと話を聞いてくれる人に対して「もっと話したい」と思ったことがあるのではないでしょうか。傾聴力には、話し手の気持ちを開放的にさせる効果もあります。
相手との距離を縮め、良好な関係を築くために大いに力を発揮するのが「傾聴力」なのです。
自分に当てはめてチェック! 傾聴力がある人の特徴
傾聴力がある人の特徴
- 共感性が高い
- あいづちが得意
- 相手の本音を引き出すのが得意
- 相談されることが多い
傾聴力を自己PRの題材にしたいと考えているものの、本当に自分に傾聴力が備わっているのか、自分のどんなところが傾聴力の高さを表しているのか、具体的には理解できていない人も中にはいるでしょう。
そこでここからは、傾聴力が高い人に共通して見られる特徴を4つ解説します。自分に当てはまるものがあるか、ぜひチェックしてみてくださいね。
文章を作るのが苦手な人でも『傾聴力』の自己PRができます!
自己PRはESや面接でよく聞かれる質問の一つ。
しかし、「自己PRが全然思いつかない......」「自己PRを考える時間がない......」対策が思うように進んでいない人も多いのではないでしょうか?
そこで活用してほしいのが、「Chat GPT 自己PR作成ツール」です。簡単な質問に答えるだけで、Chat GPTが選考で活用できる自己PRを自動で作成します。
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①共感性が高い
傾聴力のある人の特徴としては、「共感性が高い」というものがまず挙げられます。人の話であっても自分のことのように共感することができ、話し手と気持ちを共有することが自然にできたりもします。
自分が体験したわけではないことであってもその場にいたかのように共感することができたり、人と会話しているときに相手がどんなことを感じているのか読み取れる人は、こうした特徴が当てはまる「傾聴力のある人」といえるでしょう。
②あいづちが得意
傾聴力のある人は、他にも「あいづちが得意」という特徴も挙げられます。相手の話を遮らず、感情に寄り添った適切な表情や声色で反応することが得意です。
楽しい話や嬉しい話を聞いているときは高めの声で大袈裟なリアクションをしたり、笑顔で話を聞いて相手への共感を示します。反対に、悲しい話を聞いているときは相槌を少なめにし眉を下げるなど、話し手と同じ感情の表現を自然とできます。
誰かの話を聞いた時、自然と相手と同じ表情ができていたり、遮らずに話を聞くことができている人は、この特徴が当てはまる「傾聴力のある人」と言えます。
③相手の本音を引き出すのが得意
相手の本音を引き出すことが得意なのも傾聴力のある人の特徴です。
聞き手に「話を熱心に聞いている」「知りたいと思っている」という姿勢が見られると、話し手は「もっと話したい」という開放的な気持ちになり、深い話をしてくれるようになります。
誰かと話していて、自然と深い話になっていることが多かったり、「何でも話したくなる」と言われた経験がある人は、この特徴に当てはまる「傾聴力のある人」です。
④相談されることが多い
頻繁に相談をされるという人も、傾聴力が高い傾向にあります。
誰かに相談をするとしたら、「信頼できる」「しっかりと話に耳を傾けてくれる」「親身になってくれる」という人を選びたくなるのではないでしょうか。傾聴力が高い人は、共感性の高さやあいづちの適切さから話し手にこれらの印象を残すことが多いため、相談相手として選ばれやすくなります。
単に「よく相談をされるだけ」と感じている人も、この「傾聴力」を自然と身につけている可能性があるのです。
アドバイザーコメント
平井 厚子
プロフィールを見る人への興味や関心も「傾聴力のある人」の特徴の一つ
傾聴力が高い人は、相手に関心を持っている人が多い傾向にあります。そのため、会話している相手について「この人はどんな人だろう」と興味のわく人は、傾聴力が高いと言えるでしょう。
話し手への興味がより深い理解につながる
相手に関心を持つと、相手を理解しようとしますよね。そういう人は途中で話
を遮ることがありませんし、話をとったりもしません。
よくあるのが、相手が話したことを受けて「そうそう、私も同じことがあって……」と、自分の話題にもっていくパターンです。これは一見相手の話を聞いて発展させているように見えますが、結局は自分のことを話し、相手の話を聞いていないケースが多いです。
また、相手を理解しようとする人は、わからないところは臆せず質問して、理解しようとします。だからこそ傾聴力の高い人は一度で理解できなかったことはそのままにせず質問し、相手の話を自分なりに理解して会話を終了する傾向にあります。
傾聴力が自分の強みな人は以下の記事を参考にしてみてください。人の話を聞く仕事を詳しく解説しています。
人の話を聞く仕事20選|話の深さ別4タイプから適職を見つけよう
作る前に知っておこう! 自己PRにおける「傾聴力」の事前知識
ここまでで傾聴力とは何かを解説しましたが、実際に自己PRのテーマとしてはどのような立ち位置にあるのでしょうか。
これを理解しておくと、どの角度で傾聴力をアピールするべきか、「傾聴力」で自己PRを作成するにあたってのポイントが見えてくるので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
どの職種でも好印象を残しやすいのでおすすめ
傾聴力は人間関係を良好にするうえで大きな力を発揮してくれるスキルです。最近は在宅ワークを導入する企業が増えていますが、人と接することがまったくない職種はほとんどありません。
そのため、対人コミュニケーションにおいて効果的に働く傾聴力については、どの職種でアピールしても好印象を抱いてもらえる場合が多いです。
また、聞く力がある人は「理解力がある」「聞き洩らしがなく、ミスが少ない」というイメージを抱いてもらえることもあります。
これらの素質があると、顧客やクライアントの話によく耳を傾けることができ、ビジネスシーンでは頼もしい人材になり得るので、企業から歓迎される可能性が高く、自己PRを作成するうえではとてもおすすめのテーマです。
企業は、傾聴力をアピールする学生に対して「人間関係の構築が得意であること」を期待しています。
仕事をするうえで、社内外での信頼関係はとても重要なので、傾聴力を魅力的に自己PRできれば高評価が狙えるでしょう。
人気テーマのため差別化が必須!
自己PRで「傾聴力」をテーマにする場合は、差別化が必須です。どの職種でアピールをしてもマイナスと捉えられることが少ないため、自己PRの題材に選ばれやすく、独自性に欠ける内容では採用担当者の印象に残りづらくなってしまいます。
そのため、自分の実体験をもとに過去に傾聴力を発揮したエピソードや傾聴力を身につけたエピソードを盛り込んで、オリジナリティを持たせることが重要です。
アドバイザーコメント
渡部 俊和
プロフィールを見るあらゆる企業で「人の話に耳を傾ける」スキルは必要とされている
人はどちらかと言えば自分のことを話したがるものであり、その根底には「承認欲求」というものがあります。この欲求は視点を変えれば欠乏欲求でもあるので、誰もが自分の話に耳を傾けて聴いてもらえるということに飢えていると言えます。
相手の話にしっかりと耳を傾けることができるスキルは稀少なうえに、お金や物を使わなくとも相手を喜ばせることができるので、社内においては同僚や先輩方と、社外に対しては顧客や取引先と、リスクなしに良い関係性を築ける可能性が高いということです。
それはあらゆる仕事において有効な強みなので、業種や職種を問わず好印象を感じられる要素になっています。
「聞く」と「聴く」の違いを意識して傾聴力をアピールしよう
そうしたことを踏まえて、傾聴に使われている「聴く」という文字の意味が、単に「音や声が耳に入ってくる」という意味の「聞く」と違い、「相手の言葉を理解しようと意識的に耳を傾ける」という意味であることをよく理解して自己PRを作ってください。
この区別が感じられないような浅い内容だと「傾聴力」とは見なされないことがあります。
本当に人の話を「聴く」ことができる人材であれば知識の吸収も早いでしょうし、階層に関係なく円滑なコミュニケーションの接点として期待がかかります。
傾聴力は差別化が必須! 相性の良い+αの強みを見つけよう!
「傾聴力」と相性の良い+αの強み
- 課題解決能力
- 課題発見力
- 行動力
- 決断力
- 企画力
傾聴力の自己PRは差別化をすることが大切であると解説しましたが、「実際にどうやって差別化すれば良いの?」と疑問を持つ人もいますよね。
他の就活生に一歩差をつける差別化のコツとしては、志望企業のニーズとマッチした、傾聴力と相性の良い+αの強みを付け足すのがおすすめです。
ここからは実際に傾聴力と相性の良い強みにはどんなものがあるのかを解説していくので、魅力的な傾聴力の自己PRを作成するためにもここでしっかりチェックしておきましょう。
課題解決能力
傾聴力と相性の良い強みの一つに、「課題解決能力」があります。これは課題に対して適切な分析と原因の究明をおこない、対応策を提示して解決に導く力です。
課題分析と原因究明には話し手から深掘りした情報を得る必要があり、「深い話を引き出すのが得意」という傾聴力と相性が良いと言えます。
たとえば「問題が発生したため、それにかかわった従業員からのヒアリングを実施して原因を深掘りし、解決策を提示して実行したところ、同じミスが激減した」など、傾聴力を活かしたうえで課題を解決した形で自己PRをまとめることで、効果的に強みをアピールできます。
課題発見力
傾聴力と相性の良い強みとしては「課題発見力」も挙げられます。課題発見力とは「課題となりそうなことを先回りして見つける力」です。課題は他者へのヒアリングや会話の中から見つかる場合があり、「人の話を上手に聞くことができる」という傾聴力とは組み合わせやすい強みといえます。
たとえば、「アルバイト先の飲食店では積極的に他のメンバーの話を聞くようにしていて、その際にオペレーションに課題があることに気が付き、先回りして対策をした」とただ話を聞くだけに留まらない形で自己PRをまとめられると、より魅力的に自身の強みをアピールできますよ。
アルバイトに関する自己PRのエピソードについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてみてくださいね。
例文10選|アルバイト経験の自己PR必勝法を企業目線で解説
行動力
他にも傾聴力と相性が良い強みに「行動力」があります。行動力とは目的に対し、自分がイメージしたことを積極的におこなうことができる能力を指します。
行動力に関しては、今までの要素と少し視点を変え、「自ら行動した結果、傾聴力が身についた」というように傾聴力が身につくまでの努力の過程を示すうえでも相性が良い強みです。
「ゼミの研究のために実地調査をおこなった際、初対面の人にも心を開いて会話をしてもらうため、リアクションやあいづちを意識した」など、行動力を発揮した結果傾聴力が身につき、志望企業で活かせるスキルとなったという風にまとめることができると、魅力的な自己PRになりますよ。
決断力
傾聴力と組み合わせてアピールしやすい強みには、「決断力」も挙げられます。これは自分自身で判断し、責任を持って決定する能力です。
判断力と混同しやすいですが、客観的なデータを根拠に決定するのが「判断力」、客観的なデータに加えて主観的な要素も入ってくるのが「決断力」と考えればわかりやすいかもしれません。
決断に必要となる意見を聞くため「聞く力があり、より深掘りした情報を引き出すことができる」という点で傾聴力と相性が良くなります。
たとえば「1つの大きな課題に対し、保守的な意見と革新的な意見があり、双方の主張を吟味したうえで保守派の意見を尊重する決定をした」と聞く力と決断力を発揮したエピソードでまとめられると、単に聞き上手で終わらない、主体性もアピールできる効果的な自己PRを作成することができます。
企画力
最後に、「企画力」です。これは、現状の課題を適切に把握したうえで、それを解決するアイディアを考え出す能力のことを言います。不満や不安の声に寄り添い「共感性」を発揮した結果、新しいアイディアを生み出すもとになるという点で傾聴力と相性が良いと言えます。
たとえば「『同じサークルの人と仲良くなるきっかけが見つからない』という新入生の悩みに寄り添い、多くのメンバーと交流してもらうためにレクリエーションを企画した」というようにまとめると傾聴力と企画力を同時にアピールでき、魅力的な自己PRにすることができます。
- 自分に当てはまるような傾聴力以外の強みがいくつかあるのですが、どれか1つを選ぶ場合は何を基準に選べば良いですか?
+αの強みはエピソードを基準に選ぼう
強みを伝えるエピソードを基準に選ぶのが良いでしょう。インパクトのあるエピソードである必要はありません。企業が自己PRで見たいのは、プロセスや熱意、考え方です。
どの強みを発揮したときのエピソードが、自分としてもっとも手ごたえがあったかを考えて選んでみてください。
失敗事例でも構いません。その場合は、一度は失敗したが反省から傾聴力の必要性を学び、再トライすることで目標を達成した、というストーリーとしてまとめると効果的です。
アドバイザーコメント
田邉 健
プロフィールを見る傾聴力とあわせて「提案力」をアピールすることもおすすめ
傾聴力が強みの学生は、友人から悩み相談をされた経験も多いのではないでしょうか。このときに、話を聞くだけでなく「◯◯をしたらどうかな」などと提案をした経験がある学生は、提案力もあわせてアピールすることもおすすめです。
些細なことでも「自ら考え提案した」という行動がアピールにつながる
提案力というと「独自性がある意見」や「クリエイティブな内容」がなければアピールできないと感じることもあるかもしれませんが、大切なのは自ら考え提案できるという行動面です。
仮に自己PRに取り上げるのが「友達に相談された際に何気なく一言伝えただけのエピソード」であったとしても、企業としては「聞く力だけでなく伝える力もあるのだな」と評価するので、提案力は傾聴力と合わせて十分アピールできる強みといえます。
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企業に好印象な傾聴力の自己PRを考える3ステップ
企業に好印象な傾聴力の自己PRを考える3ステップ
- 自己分析シートを活用して傾聴力という強みを掘り下げる
- 企業研究を進めて志望企業のもとめる人物像を見極める
- ①と②の要素から重なる部分をアピールポイントとして押し出す
ここまでの内容を踏まえ実際に傾聴力についての自己PRを作成しようとしても、事前準備なしにいきなり考え始めることは難しいですよね。それに、やみくもに考えていてもうまくまとめられない可能性があります。
まずは伝えたいことを整理するため、入れ込むべき情報を順序立てながら考えていきましょう。ここからは傾聴力を軸とした自己PRを考えるために必須な準備を3ステップで解説するので、ぜひチェックしてくださいね。
①自己分析シートを活用して「傾聴力」という強みを掘り下げる
「傾聴力」をアピールするなら、自分のどこがそれに該当するのか、どんなときに発揮されたか、どのように活かすことができるか、ということまで明らかにするため、「過去・現在・未来」で自分の傾聴力を分析する必要があります。
この作業を頭の中だけでおこなうのは難しいので、実際に書き出してみるなど、整理しながら掘り下げていくと効率が良くなります。
そこで役に立つのが「自己分析シート」。これを使うと、自分の強みを整理しながら掘り下げていくことができるので、より自分自身の客観的な魅力を発見することができます。
詳しい自己分析シートの作成方法はこちらの記事で解説しているので、併せて参考にしてみてくださいね。
簡単15分! 自己分析シートのフォーマット6選
②企業研究を進めて志望企業のもとめる人物像を見極める
自分の強みである「傾聴力」についての掘り下げができたら、次はその強みが志望企業のニーズに合致するか調べる必要があります。この作業を欠いてしまうとニーズの外れた自己PRにまとまってしまい、好印象が狙えなくなってしまう可能性があるのです。
まずは企業研究をおこない、志望企業がどんな人材を欲しているのかを見極めましょう。調べる際にはその企業の業態、企業規模、ターゲットなどをあらゆる視点から深掘りしたり、同業他社と比較してみるのも有効です。
顧客と接点の多いサービス業や人材系の企業にとっては、傾聴力は適合性の高いスキルになります。職種では営業系全般も同様です。
意外なところでは公務員やエンジニアなども、相手の要望を的確に受け止めなければならない点で該当するといえるでしょう。
応募する職種が決まっている場合は、業務内容についても調べておくと再現性を具体的に伝えられます。「この職種のこんなところで傾聴力が活かせます」と説明するのです。職種については、厚生労働省のjobtagで調べられます。
職種の種類はこちらの記事でも解説しているので、併せて参考にしてみてください。
職種の種類一覧を徹底解説! 業種・業界・職業との違いも押さえよう
自己分析だけでなく、企業研究もツールを使うことで効率的に進めることができます。詳しい方法はこちらの記事で解説しているので、併せて参考にしてみてください。
作り方例4選|企業研究ノートのまとめ方をイラスト付きで解説!
③①と②の要素から重なる部分をアピールポイントとして押し出す
自己分析と企業研究が終わったら、いよいよ自己PRを作成していきます。自己分析の結果見えてきた自分の強みと、志望企業のもとめる人材の共通する部分を見つけ、そこを洗い出していきましょう。
たとえば、「お客様の声に寄り添う」という社風を掲げている企業が必要としているのは「相手の気持ちを理解する力」ですよね。一方傾聴力は「相手に共感し、同じ気持ちを共有する能力」なので、志望企業のニーズと結びつけた自己PRができます。
このように、その企業にしかアピールできない強みを押し出すことで志望度の高さも伝わりやすくなるので、アピールポイントを選ぶときは柔軟な視点で考えてみましょう。
傾聴力の自己PRを作成する際の注意点
傾聴力の自己PRを作成する際の注意点
- 志望企業のニーズと食い違っていないか
- 聞き上手なだけのアピールになっていないか
- ありきたりな内容になっていないか
- 「自主性がない」という印象になっていないか
傾聴力の自己PRを考えるうえでは、避けておきたい注意点もあります。たとえば聞き上手なだけのアピールになってしまっていたりすると、企業としては仕事に活かしてくれるような具体的な強みがわからず、採用することのメリットを見出すことが難しいと感じるかもしれません。
自己PRは、自分の魅力を志望企業にアピールするために重要な項目です。採用担当者も確実に目を通す部分なので、ここでマイナスなイメージになってしまうのはもったいないですよね。
4つの注意点を意識するだけでリスクを回避できるので、気を抜かずに対策をしましょう。
自己PRの書き出しについてはこちらの記事で解説しているので、併せて参考にしてみてくださいね。
自己PRは書き出しで命運が決まる!人事を惹き込むコツを大解剖
志望企業のニーズと食い違っていないか
傾聴力の自己PRを作成するうえで、志望企業のニーズと合致しているかどうかはもっとも留意すべき点です。どんなに魅力的な自己PRを作成しても、企業が欲している人物像にマッチしていなければ魅力は激減してしまいます。
たとえば、1人で黙々と作業をこなすことが多い企業に対し、「私の強みは傾聴力です。相手の声に耳を傾け、適切な提案をすることができます」とアピールするのはニーズにマッチしているとは言いづらいですよね。
志望企業のニーズをしっかりと把握して欲している人物像を掘り下げ、そこに合った自己PRを作成すると好印象を狙えますよ。
- 自己PRで傾聴力をアピールしたいのですが、志望する企業が1人で黙々と作業することが多い職種の場合は、どのようにアピールすれば良いですか?
個人的な作業が多い仕事は「信頼関係を構築する能力」をアピールしよう
就職するということは、少なからず人とのかかわりが生まれますよね。仕事自体は1人であっても、上司や同僚とのコミュニケーションも発生します。このときに、良い関係性が築けていると雰囲気が良くなり、チーム全体の士気向上につながります。
そのため、「傾聴力を活かして社内での信頼関係構築に役立てる」というアピールは企業にとって魅力的な強みになります。必ずしも直接的な仕事だけでなく、仕事のプロセスや組織風土に貢献できないかどうかも考えてみましょう。
聞き上手なだけのアピールになっていないか
「傾聴力」の自己PRがただ聞き上手なだけの内容になっている、というのはありがちな落とし穴です。
たとえば「私は人の話を聞くことが得意です。適切な相槌やリアクションを取ることができます」だけで終わってしまえば、単に聞き上手なことをアピールしただけに留まってしまい、「それをどう仕事で活かしてくれるのか」と企業は疑問に感じたまま終わってしまいます。
重要なのは傾聴力を活かしてどんなことができるのかという点です。自分の魅力を十分に採用担当者に伝えるには、いかに活躍できるのかという「採用するメリット」まで盛り込むのが効果的です。
ありきたりな内容になっていないか
前述のとおり、「傾聴力」は人気の高い自己PRテーマです。差別化がしっかりできていなければ平凡なイメージとなってしまい、目に留まりにくくなる可能性があります。
傾聴力の自己PRはいかに採用担当者の印象に残るかがカギなので、過去の経験を踏まえたエピソードや自分だけの強みを押し出した自己PRを作成することで、他の学生と差を付けられますよ。
- 傾聴力を発揮したエピソードはいくつかあるのですが、大きな成果を上げていたり、インパクトのある派手なエピソードではありません。日常的な話題でも問題はないでしょうか?
派手なエピソードがなくても入社後に活かせることをアピールできれば良い
傾聴力での自己PRのエピソードは「相手の話に深く耳を傾けられるかどうか」が伝わる内容であるかがカギなので、日常的かつ個人的な内容でも問題ありません。
誰か1人との関係性が大きく変わったなど、実際に変化が起きていることがあればそれを伝えましょう。
これまでは印象に残るような成果を上げられる環境ではなかったかもしれませんが、実際に仕事の場面でも場に応じた傾聴力が自然に発揮できるとしたら、今度はそれは成果になって残ることになるわけです。
相手や環境が変わっても再現できる傾聴力が伝えられれば良いと考えましょう。
「自主性がない」という印象になっていないか
傾聴力は人の話を聞き、同じ気持ちを共有して相手に寄り添うことができるスキルです。しかしそれだけを強みとしてアピールしては、「自主性がない」とマイナスな印象になってしまう可能性があります。
「傾聴力を活かしこんな活躍をした」「自分からこうした行動をとったから、傾聴力が身についた」という点を同時にアピールすることができると、受け身な印象にならず効果的な自己PRになりますよ。
「話す」と比べると「聞く」は受け身の行動と思われがちです。傾聴力=受け身・自主性がない、との印象を持たれないためには、「なんのために傾聴力を発揮したのか」「傾聴力を発揮した結果何が変わったか」を盛り込むようにしましょう。
アドバイザーコメント
渡部 俊和
プロフィールを見る目に見えづらい長所だからこそエピソードの掘り下げが大切
客観的に傾聴力を説明するのはそもそも難しいです。「傾聴」という行為だけを見れば、きちんと聴けているかどうかは定量化もできませんし、話し手がどう感じているのかも明確には検証ができないからです。
内面的な要素に説得力を持たせるだけの材料がどうしても必要になりますが、それは変化や行動にどうつながったか、という目に見える部分をエピソードで書き出すことで形になります。個人的体験はその人固有のものなので、それを具体的に掘り下げていけば、必ず他の人との差別化になります。
誰かのためにリスクを負った経験があるかどうかを考えてみよう
また、傾聴力が身についている人は相手が感じていることを自分のことのように感じて(共感)、当事者感覚で対処しようとする傾向があります。
具体的な行動がなかなか思いつかなければ、相手のために行動した経験がないか、その際にどのような犠牲を払ったか、リスクを負ったか、というように自問自答してみてください。
傾聴力の自己PRは3段構成で差を付ける!
魅力的な自己PRを作成するための要素が揃ったところで、ここからは実際にどのような構成で組み立てるかを解説します。
ただ要素を並べるだけでは、どんなに内容が充実していても相手に伝わらない可能性があります。せっかく見つけ出した自分の魅力が、伝え方だけで印象が薄くなってしまってはもったいないですよね。
また、情報をわかりやすく整理して相手に伝える能力はどの職種においても重宝されます。ここで理路整然と自分の強みを伝えることができれば、採用担当者に好印象を残すことができますよ。
①自分の強みが傾聴力であることを簡潔に伝える
まず始めに、傾聴力が強みであるという点を伝えましょう。
相手にわかりやすく物事を説明するテクニックとして、「PREP法」があります。結論・理由・具体例・結論の順に伝える構成で、この手順で説明をすることで相手は話の主旨を理解し、整理しながらストレスなく情報を受け取ることができます。
自己PRは採用担当者に興味を持ってもらうきっかけになるので、ストレスなく受け取ってもらえるよう初めに結論を伝えましょう。
②傾聴力を発揮したエピソードを盛り込む
次に、具体的なエピソードを添えます。傾聴力を発揮したときや、身につけるために努力したときのことを挙げましょう。
エピソードを盛り込むことでその場面を具体的にイメージすることができ、説得力が増します。また、実体験を基にした自分にしか語ることのできないストーリーがあると、オリジナリティを持たせることができ採用担当者の印象に残りやすくなります。
ここで前述した「自己分析シート」があると、自分の過去の経験が可視化できてかなり楽になるので、ぜひ活用してみてください。根拠となる経験を深掘りし納得感のある伝え方ができるよう、丁寧な準備をおこなっていきましょう。
自己PRのエピソードについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてみてくださいね。
例文12選|面接必勝の自己PRはエピソードが最重要!
③傾聴力を入社後にどう活かせるかでまとめる
最後に、傾聴力を志望企業でどのように活かすことができるかを伝えましょう。
「私には傾聴力があり、こんなときに発揮することができました」で終わってしまうと、ただ自分の強みを述べただけになってしまいます。
志望企業のニーズに合わせて「この能力を活かし、こんな風に会社に貢献することができます」と締めくくることで、実際に自分がその企業で働き活躍するイメージを持ってもらえるような構成になりますよ。
企業は成長性があり会社に貢献してくれる人材をもとめているので、最後まで気を抜かずにこの点もしっかりアピールしましょう。
入社後に傾聴力をどのように活かすかイメージできない学生は、志望企業の詳しい業務内容をリサーチしましょう。仕事の流れを具体的に把握すると、傾聴力の活かし方が見つかります。OB・OG訪問で話が聞けるとよりイメージが湧きやすくなりますよ。
OB・OG訪問に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてみてくださいね。
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅
自己PRに時間制限や文字数の指定があるという人は、ポイントをこちらの記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてみてくださいね。
【面接での時間制限】
例文12選|1分の自己PRで魅力を伝え切る必勝法
【文字数制限】
例文20選|400字の自己PRで人事の心を掴む戦略
強み&職種別! 効果的に魅力を伝える傾聴力の自己PR例文11選
ここまで、「傾聴力」の自己PR作成の手順と、他の学生と差別化をする方法を解説してきました。
ここからは、実際に前述のポイントを押さえて作成した例文を紹介します。強み別、志望職種別に具体的な内容を盛り込んでいるので、どのように自分ならではのエピソードを組み込むか、自分の+αの強みをどこに活かせるかを考えながら確認してみてください。
例文①傾聴力+課題発見力
例文①傾聴力+課題発見力
私の強みは、周囲の意見を吸い上げて問題が起こる前に課題を見つけ、対処法を考える力です。
私は1年生の頃から書店でアルバイトをしているのですが、売れ行きが良くない書籍や雑誌をよく売れている別店舗へ送る業務が月に数回ありました。
その際には他店舗に送る書籍のリストデータが全店舗に発信されるのですが、文字が細かいうえにすべての店舗の情報が同じ場所に羅列されているため見づらいという意見が常々ありました。
そこで、店舗検索欄に店舗名を入力するとその店舗に該当する情報のみがピックアップされ、他店舗の情報は表示されなくなるフォーマットを作りました。
全店へ向けて発信したところ非常に使いやすく業務負担が減ったという声が上がり、今ではそのフォーマットを使用してのリスト発信がおこなわれています。
今後も現状から先回りして課題を見つける力を活かし、働きやすい職場環境を整え無駄なコスト削減や業務の効率アップにつなげられるよう尽力してまいります。
課題を解決したエピソードとして良い構成です。補足として、自分が行動を起こして意見を聞き、集約して解決した過程がわかるような書き方ができると、より良い自己PRになります。
例文②傾聴力+課題解決能力
例文②傾聴力+課題解決能力
私の強みは、問題の原因を徹底的に分析し解決につなげる力です。
私は1年生の頃からアパレルショップでアルバイトをしているのですが、ときどき顧客アンケートで「スタッフの雰囲気が暗い」「店に入りづらい」などの声が届くことに問題を感じていました。
そこで、ミーティングをおこないスタッフが暗く見える原因についてどんなことが考えられるかを話し合いました。その結果、「作業に没頭して下を向いてしまう」「お客様と接しているとき以外は真顔になってしまう」の2つが挙げられました。
これを解決するために「ポジショニングを確認する声出しと笑顔の徹底」という施策を立てました。その場にいる全員に向けて「ホール入ります」「お会計入ります」などの声出しをおこない、それに対して「お願いします」「ありがとうございます」と返答をすることをルールにしました。
すると、自然とお互いが目を合わせるために顔を上げてコミュニケーションを取るようになり、笑顔を意識する習慣が付きました。その結果、店舗自体に活気が出てスタッフの雰囲気が明るくなり、アンケートで指摘されることがなくなりました。
御社に入社後も、積極的な意見の吸い上げと柔軟な落とし込みをおこない課題解決に努めてまいります。
アンケート結果を引用することで、傾聴力を活かす前と後の変化のイメージが湧きやすくまとまっている良い例文です。また、傾聴力を活かして意見を引き出したことにも触れられており、入社後にもスキルを発揮できることが伝わる自己PRですね。
例文③傾聴力+行動力
例文③傾聴力+行動力
私の強みは、話し手の気持ちに寄り添い共感することで、本音を引き出すことのできる傾聴力です。
私はゼミの研究テーマとして県民性に着目しており、あらゆる地域の特性とそこで生活する人々の性格的特徴の関連を研究していました。
しかし座学で情報を集めるだけでは不十分だと実感し現地の人とコミュニケーションを取るため、大学3年生のときの4カ月間、日本各地へ赴いてさまざまな人と交流をしてきました。
もっとも苦戦したのは、初対面の人から話を聞く時、ざっくばらんに話してくれるような環境づくりをするためにはどうしたら良いかということでした。
始めは距離感を掴むのは難しかったですが、一つひとつのリアクションを大きくしたり、話し手と同じ温度感であいづちを打つことを心掛けると、自然とお互いの気持ちがほぐれてより深い話を聞くことができました。
この経験を活かし、御社に入社後は顧客の気持ちに寄り添ってニーズを引き出し、最高の提案ができる接客スタッフを目指します。
相手に合わせてリアクションを変える、というのは簡単なようでなかなかできないことです。基本的なことながら傾聴力がよく伝わる行動です。面接場面で面接官に対しても同じように行動することでより説得力を高められます。
例文④傾聴力+決断力
例文④傾聴力+決断力
私の強みは、異なる意見を融合させてより良い環境を作る力です。
私は吹奏楽部の部長として、3年生のときから引退するまで部を牽引してきました。私の大学の吹奏楽部は非常に歴史が長く、習慣となっている取り組みが多くあります。その中の1つが、土曜日の朝10時から30分間おこなわれるパートリーダーミーティングです。
しかし毎週ミーティングをしても共有することはそれほど多くなく、時間を持て余して気が緩みがちになることを問題視する声が上がりました。そこで、長く続いてきた週1回のパートリーダーミーティングを廃止し、この時間を全員で部室に集まり基礎練習の時間にする決断をしました。
伝統を変えるということにプレッシャーを感じ、部に良い影響をもたらすことができるか不安があったのですが、結果として朝から顔を合わせることで一体感が増し、基礎練習終了後の時間に互いにコミュニケーションを取る機会ができたことで活気が出るようになりました。
御社に入社後も、周囲の意見を柔軟に取り入れ、より良い職場環境を作ることができるよう精進してまいります。
決断力を発揮したエピソードとして良いですね。補足として、パートリーダーミーティングを廃止するにあたって、みんなの意見を聞いたプロセスや進め方がわかるように書き方を工夫してみると、より良い自己PRになりますよ。
例文⑤傾聴力+企画力
例文⑤傾聴力+企画力
私の強みは、周囲の声に耳を傾け新たな企画を立てる力です。
私は1年生のときからウィンタースポーツサークルに所属しています。当時は新しくできたサークルだったためサークルメンバーは8人しかおらず、まったくの未経験という人はいませんでした。
しかし進級していくうちに部員が増え、3年生の時点で42人が所属するサークルになりました。
ただ、もともと主な活動時期が冬のみということもあり、人数が増えるとなかなか同じサークルのメンバーの顔と名前が覚えられないという声をよく聞くようになりました。
そこで、6月と10月に合宿を企画しました。多くのメンバーが参加してくれ、学年の垣根を超えた交流ができ、上級者が未経験者のゲレンデデビューをしっかりとサポートをする体制ができました。
それからは合宿以外にもオフシーズンを利用した活動が増え、みんなでトレーニングをしたり、季節に合わせた行事をおこなったり、よりサークル活動に活気が出ました。
御社に入社後も、積極的に顧客の声を吸い上げて多くの方のニーズに応えられる企画をし、売り上げに貢献いたします。
意見を聞き入れて新しい企画を考案し、成功体験が得られたことがイメージしやすい自己PRですね。また、当初の課題を解決しただけでなく「活動が増えた」という良い結果ももたらしており、企画力の高さもアピールできています。
例文⑥サービス職
例文⑥サービス職
私の強みは、顧客が抱えている悩みやこだわりを深掘りし、商品知識を活かして本当に必要とされているものを提案する力です。
私はメガネショップでアルバイトをしているのですが、多くの方が共通してメガネ選びに対して感じているのは、「そもそも何を基準に、どう選んだら良いのかわからない」ということでした。
そこで、まずは「メガネに何をもとめているのか」「どんなシーンで使うものか」「重視するのはおしゃれさか機能性か」「メガネをかけたときにどんな雰囲気だと嬉しいか」など、ニーズの深掘りをするようにしていました。
すると、少しずつ顧客自身が気づいていなかった「欲しいメガネ」がわかるようになり、実際にそれを提案すると「似合わないんじゃないか?」という不安を抱えながら試着される方も、かけた感触や見た目に対して「思っていたよりも良い」と喜んでくださいました。
御社に入社後は、この能力を活かし、多くの顧客に対しその人だけのおすすめを提示できる店舗スタッフを目指します。
この例は店舗スタッフ志望ですが、顧客やクライアントが何に困っているのかを考えて選択基準を整理し、少しずつ提示していたというところは、営業職で言う「ソリューション営業」の考え方に近いです。あらゆる職種で応用できる行動です。
例文⑦営業職
例文⑦営業職
私の強みは、相手が話しやすい環境を作り、心を開いて悩みを打ち明けてもらう傾聴力です。
私は大学の取り組みの一環で、悩みを抱える新入生の話を聞いて不安を解消したり、サポートをする活動に参加しています。
毎年多くの新入生が話をしに来てくれるのですが、そうして悩みを聞いていくうちに学んだことが、「相手の目を見て話を聞くこと、話を遮らないこと、あいづちは少し大袈裟にすること、まず肯定すること」の重要性です。
そうすると、話し手は「ちゃんと聞いてもらえている」「共感してくれている」という安心感を持って話してくれるので、より深い悩みを打ち明けてくれるようになるということを体験を通じて理解することができました。
また、この学びを普段の何気ない会話でも意識してみると、周りの人からは「聞き上手だね」「相談しやすい」と言ってもらえることがとても多くなり、それから自身の強みは傾聴力であると自覚するようになりました。
この活動を通して培った傾聴力を活かし、御社に入社後はクライアントの悩みを引き出して的確な解決方法を提案し、営業職として売り上げに貢献いたします。
傾聴力をどのように習得したか、具体的にどのように実践しているか、結果としてどんな変化が起きたかがわかる良い自己PRですね。営業職での活かし方も成果につなげられることがイメージできます。
例文⑧事務職
例文⑧事務職
私の強みは、常に現状をアップデートしていく力です。
私は大学の図書館でアルバイトをしており、利用者のサポートや事務作業を担っています。基本的には同じような作業が多く、単調な仕事をミスなく確実におこなうことがもとめられるのですが、それと同時に何かもっと改善できる部分はないかを観察するようにしています。
私の大学の図書館は学生の他に地域の方の利用者も多く、年配の方との世間話の延長で「この図書館は園芸書のコーナーが遠い」という声を聞きました。学生のためにある図書館なので、年配の方向けの本は入り口付近にあまり置いていなかったのです。
この言葉を受け、管理者に地域の方向けの本をもう少し入り口付近に置きたいと提案をしたところ、試験的に提案が採用されることになりました。それからは地域の方がより利用しやすい配置になり、「本が探しやすくなった」という声をいただく機会も増えました。
この経験を活かし、事務職として現場の声に耳を傾けながら、従業員がより働きやすくなるようにサポートをしてまいります。
傾聴力がアピールしづらい事務職ですが、「営業職など他の職種と協働する」という特徴をきちんと押さえられている好印象な自己PRです。仕事内容だけでなく仕事の仕方をリサーチすることの重要性がわかる良い例ですね。
例文⑨企画職
例文⑨企画職
私の強みは、寄せられる悩みの共通項を見つけ、多くの人の課題を解決する力です。
私は大学の学生課で学生をサポートする活動をおこなっています。
地方から上京した新入生の大半が口にするのが「家具への出費が痛い」という悩みでした。一方で、就職に際して引越しをする4年生は「捨てるのはもったいないけど、引越し費用がかさむから手放したい」「お金を出してゴミを捨てるのはばかばかしい」という悩みを口にしていました。
そこで、双方の悩みを解決するために学生課のサイト内に学生同士が不要なものを譲り合うことができる窓口を立ち上げました。
サイトを利用してくれる学生は徐々に増え、今では活発にやり取りがおこなわれています。「無駄な出費をしなくて済んだ」「無料で使いやすい家具が手に入って嬉しい」などの声も寄せられ、サイトを作って良かったと感じています。
御社に入社後はこの能力を活かし、より多くの人の意見を自分の中に落とし込んで解決に導くような商品企画をしてまいります。
それぞれの悩みに当事者感覚で向き合い、実社会にもあるようなサービスを学内向けに提供する過程で、サイトを立ち上げるという労力とリスク(犠牲)も払っています。行動につながっている実践的なエピソードなので説得力があります。
例文⑩エンジニア
例文⑩エンジニア
私の強みは、課題となりそうなことを見逃さず先回りして対処する力です。
私はこれまで大学の軽音楽サークルで活動していました。特に私が所属していたバンドは音楽に対する熱量が高く、経験者だけで組んだバンドで、可能な限り全員で集まって練習をするというやり方が基本になっていました。
しかし、あるときからメンバーのうちの1人の演奏に一体感がなくなってきていることに気が付きました。顔色も良くなく、何かあったのだろうと思い2人で話す機会を設けました。
話を聞くと、「金銭的に余裕がなくバイトを増やしたので、睡眠時間を削って練習に参加している」とのことでした。
このままでは体調を崩してしまう可能性もあると感じ、月に3回は全員で集まる日を設けそれ以外の日は参加が可能なメンバーだけが集まったり個人練習ができる日にした方が技術を高められるのでは、と提案をしました。
みんな快く提案を受け入れてくれ、それからはメンバーの時間が確保しやすくなり、それぞれのスキルも、チームの雰囲気にも良い影響を出す結果となりました。
この経験を活かし、プログラムの穴を見逃さないことはもちろん、周りのメンバーのフォローも率先してできるエンジニアとして、業務に貢献してまいります。
わかりやすいです。マンツーマンで話をして、本当の悩みが聞き出せた経験ですね。何かあったのかと気づく観察力も、素晴らしいです。せっかくの経験なので、メンバーフォローだけでなく、顧客やクライアントへのヒアリングにも使えることに触れても良いでしょう。
例文⑪クリエイティブ職
例文⑪クリエイティブ職
私の強みは、1つの要望を深掘りして考え、顧客の潜在的なニーズを察する能力です。
私は現在花屋でアルバイトをしており、少し前からフラワーアレンジメントについて教えてもらえるようになりました。ギフト用ブーケの作成依頼がきた時、私もその要望を教えてもらい先輩と一緒に試作としてブーケを作っています。
お客様の要望は抽象的な表現が多く、「可愛い感じに」「男の子でも喜んでもらえるように」「黄色いお花を使ってお誕生日用に」などの大まかな注文が大半です。
そこから自分なりのフラワーアレンジを考えお客様に喜んでもらうには、端的な要望をいかに深掘りして考えられるかが重要です。お花を贈る相手の好きな色もわからないときがあるので、ご本人の写真を見せていただいたり、どんな人かを聞いたり、ご来店いただいた送り主様の雰囲気から考えることもあります。
始めは深掘りの方法がわからずうまくいかなかったのですが、コツを掴むと要望を聞いた時点でぼんやりとお花のイメージができるようになりました。まだお客様の手に渡るブーケは作ったことがありませんが、先輩には「個性が出ていて素敵なブーケを作れるようになってきている」と褒めていただきました。
この経験を活かし、御社に入社後はクライアントの要望を自分の中に落とし込み、要望以上のデザインを提案できるデザイナーとして活躍いたします。
デザイナーの仕事とアルバイトの共通点をきちんと理解し、強みとしてアピールできている好印象な自己PRです。傾聴力だけでなく、仕事に前向きに取り組む姿勢も伝わるため、入社後の活躍が期待できることも好印象ですね。
これだけは避けたい! 傾聴力の自己PRのNG例文
次に、NG例文の紹介です。注意点として挙げたポイントが意識されていない内容になっているので、具体的にどんな自己PRがマイナスな印象になってしまう可能性があるのかをイメージし、自分の自己PRが同じようなものになっていないかを確認してみてください。
NG例文:志望企業のニーズと食い違っている
NG例文:志望企業のニーズと食い違っている
私の強みは、もとめるものを察して柔軟に課題を解決するため、相手の視点に立ち密なコミュニケーションを取る能力です。
私は大学のボランティアサークルに所属しています。月に2回ほど地域の保育園に赴き、子どもたちと遊んだり話をして交流を深める活動をおこなっています。
そこに、いつも遊びに誘っても応じてくれず、1人でいる子がいました。なんと声をかけても輪に入ろうとしないその子のことがずっと気になっていました。
何度目かにその保育園に行った時、その子が虫の図鑑を読んでいることがありました。「虫が好きなの?」と声をかけてみたのですが、あまり反応がありませんでした。そこで、自分も同じように虫が好きなつもりになり、興味を持っていろいろと聞いてみました。
すると、次第にその子が活き活きと虫について話してくれるようになり、明るい面を見せてくれるようになりました。
距離が縮まったので、どうして他の子と遊ばないのかと聞いてみると、外で遊ぶより静かに本を読んでいるのが好きなのだと教えてくれました。
それからは無理に誘うことはせず、同じように室内で静かに遊んでいる子と引き合わせたり、本や図鑑についての話をしたりしていると、次第にその子の方から私に話しかけてくれるようになったのです。
この経験から、まず相手と同じ視点に立ち、密なコミュニケーションを取ることで課題を解決する能力が身につきました。先日御社の説明会では募集されているシステムエンジニア職では他者と頻繁にコミュニケーションを取ることは少ないとお聞きしていますが、自分の良さを活かして頑張ります。
エピソードそのものは悪くないのですが、会社が説明会で話していることとの整合性が取れていないようです。何らかのコミュニケーション能力自体は必ずもとめられているはずなので、最後の部分は方向性を合わせた表現にしましょう。
NG例文:聞き上手なだけのアピールになっている
NG例文:聞き上手なだけのアピールになっている
私の強みは、傾聴力です。
私には大学生になってから知り合い、仲良くなった友人がいます。今ではいつも一緒にいて、何でも打ち明けることのできる仲ですが、始めは「あまり気が合わないかも」と感じていました。友人は派手な見た目をしているので、近寄りにくく感じていたのです。
しかし、ゼミのグループ研究で同じ班になり、コミュニケーションを取る必要が出てきました。力を合わせて研究をするのだから仲良くなりたいと思い、ランチに誘ったことがあります。
友人は話すのが大好きで、ランチの間はずっと楽しそうに話してくれました。私はそれに合わせて相手と同じ気持ちであいづちを打ち、共感を示しました。すると「すごく話しやすくて楽しかった」と言ってくれて、それからはよく一緒にランチをしたり遊びに行く仲になりました。
この傾聴力を活かし、御社に入社後は多くの人の声に耳を傾けて会社に貢献してまいります。
傾聴力の発揮の仕方はよくわかります。しかしこれでは「聞き上手」ということのアピールにとどまってしまっているので、仲良くなった結果、本来の目的であるゼミのグループ研究の成果にどんな影響があったかまでを書きましょう。
そうすることで、傾聴力を発揮した結果、成果を出すことにつながったというアピールになります。
NG例文:自主性がない印象になっている
NG例文:「自主性がない」という印象になっている
私の強みは、相手の本音を引き出し課題に対する多くの声を収集する力です。
私はファミリーレストランでアルバイトをしており、以前からホールスタッフの動線について課題を感じていました。スペースが狭いということもあり、スムーズに行き来することができず、ときにはぶつかって料理を落としてしまうということもありました。
繁忙時にこういったことがあるとかなりのタイムロスになってしまうので、効率を上げるため誰がどこまでのテーブルを対応するかなどのポジショニングを明確にしたり、オーダーをとったあとのフローやキッチンから料理を受け取ったあとの対応をマニュアル化しようと考えました。
まずは一人ひとりと面談の時間を設け、どのようになったら動きやすいかのヒアリングを実施しました。すると建設的な意見がとても多く、どれも採用したい気持ちがありうまくまとめることができませんでした。
結果としてマニュアルを作ることはできませんでしたが、この経験から自分には相手の本音を引き出す力があると感じ、御社に入社後も積極的に対話の機会を作り、クライアントとより良い関係を築いていけるよう尽力してまいります。
この例文では、周囲の意見に流されて自分の業務を遂行できなかったという印象を受けます。また、「面談時間を設けた」「ヒアリングを実施した」としか書かれていないため、傾聴力の高さが残念ながら伝わりにくくなってしまっています。
どのようなことを意識してヒアリングをしたかを具体化すると、傾聴力があることをアピールできますよ。
傾聴力の自己PRは独自性を押し出して差を付けよう!
自己PRは、ESでも面接でも必ずと言って良いほどもとめられます。志望企業に自分の魅力を知ってもらい、興味を持ってもらうためになくてはならない項目なので、ここを活かして最大限にアピールすることが重要です。
わかりやすい構成でしっかりと強みを伝えるために、順序立てた説明をしましょう。
また、傾聴力は自己PRのテーマに選ばれることが多いので、他の学生に埋もれずに採用担当者の興味を惹くため、+αの強みを押し出し実体験に基づいたオリジナリティ溢れる自己PRを作成しましょう。
印象的な自己PRで他の学生と差を付け、選考を突破してくださいね。
アドバイザーコメント
平井 厚子
プロフィールを見る傾聴力を発揮したあとの「結果」を伝えることが大切
ビジネスにおいて、傾聴力は手段であって、目的ではないことを押さえましょう。ビジネスでは、人の話を聞いて終わり、ということはありません。必ず聞く目的があります。
たとえば、
・顧客の悩みや要望、困りごとを把握して、新製品開発に反映するために聞く
・問題解決のために、今起きていること、困っていることを聞く
・チームのコミュニケーションを円滑にして、活性化するために相互に聞き合う
などです。
「傾聴力」の自己PRは目的意識を明確にして作成しよう
傾聴には目的があるということを押さえて自己PRを作る、つまり、傾聴力を発揮したプロセスややり方だけでなく、その結果達成した目的を伝えるのがおすすめです。
そうすれば、入社後も傾聴力を発揮してどんな風に貢献できるのかを採用担当者にわかりやすく伝えられるので、好印象を残すことができます。
「傾聴力」の自己PRは目的を意識したうえで作成し、その能力を入社後に活かせることをアピールして選考を通過しましょう。応援しています!
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/合同会社渡部俊和事務所代表
Toshikazu Watanabe〇会社員時代は人事部。独立後は大学で就職支援を実施する他、企業アドバイザーも経験。採用・媒体・応募者の全ての立場で就職に携わり、3万人以上のコンサルティングの実績
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Atsuko Hirai〇ITメーカーで25年間人材育成に携わり、述べ1,000人と面談を実施。退職後は職業訓練校、就労支援施設などの勤務を経て、現在はフリーで就職・キャリア相談、研修講師などを務める
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/なべけんブログ運営者
Ken Tanabe〇新卒で大手人材会社へ入社し、人材コーディネーターや採用、育成などを担当。その後独立し、現在はカウンセリングや個人メディアによる情報発信など幅広くキャリア支援に携わる
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