この記事のまとめ
- AIによってなくなる仕事には3つの特徴がある
- AIによってなくなる仕事15例と消えない仕事27例を紹介
- 変化の激しい時代にキャリアを築いていくコツを知ろう
最近「AI(人工知能)によってなくなる仕事がある」という話を聞くようになった人も多いのではないでしょうか。「どんな仕事がなくなるの?」「AIが発達してもなくならない仕事ってある?」と気になる人も多いでしょう。
AIによってすべての仕事がなくなるわけではありませんが、AIには人より得意な分野とそうでない分野があるため、なくなる仕事には共通する特徴があります。
この記事ではAIによってなくなる仕事15例と消えない仕事27例を、キャリアアドバイザーの上原さん、谷所さん、瀧本さんの解説を交えて紹介します。今後のキャリア選択にぜひ活かしてください。
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AIによってなくなる仕事も消えない仕事も100%の予測はできない
AIによってなくなるといわれている仕事もすべてがなくなるとは限らないうえに、なくなるスピードも職業によって差があります。だからといってなくならない仕事も安心とは言い切れず、一部分がAIに代替される可能性は十分にあります。
記事では、まずAIが人の仕事を奪うといわれている理由について説明し、AI導入の現状を解説します。AIがどんな分野を得意とするのか理解しましょう。
そのうえで、AIによってなくなる可能性が高い仕事と低い仕事の具体例を解説します。変化の激しいこの時代に未来を完璧に予測することはできないので、最後に紹介する仕事で生き抜くコツも知って、自分なりのキャリアを築く参考にしてください。
「10年後もなくならない仕事を知りたい!」という人はこちらの記事もぜひ読んでみてください。なくならない仕事に就くための内定術もプロが解説しています。
10年後もなくならない仕事8選を就職のプロが見抜く! 内定術も
AIによって49%の仕事がなくなる? 話題となっている理由
そもそもAIによって仕事がなくなるといわれているのはなぜでしょうか。きっかけは、オックスフォード大学が2013年に「10~20年内に労働人口の47%が機械に代替可能である」という予測を発表したことでした。
それをもとに野村総合研究所が共同研究をおこない、「2030年頃までに日本の労働人口の49%がAIやロボットなどに代替可能」という試算を発表し、日本でも一気に話題となりました。
これらの研究はやや大げさであるとの見方もありますが、その後もAIの発達は続いていて、人との関係が世界で注目を集めています。
私の周囲でも、最近はネットでの問い合わせを自動化しているサイトを多く目にするようになってきました。
従来は電話やメールでの問い合わせを人間が処理していましたが、多くの企業が顧客対応の一部をAIチャットボットにゆだねるようになったのです。
また自動運転車の実験についても報道をよく目にしますね。
未来の話ではない! 仕事へのAI導入の現状
そうはいっても、AIが人の仕事をできるようになるには時間がかかるはずだと考える人もいるかもしれません。しかし実際は、すでにさまざまな業界で業務に取り入れられています。
PWCが2022年に発表したAI予測によると、日本ではAIをすでに導入している企業の割合は53%にも上ります。導入を準備している企業も11%と、合わせるとすでに64%の企業がAI導入に取り掛かっているといえます。アメリカでも同様に55%の企業がAIを導入、18%が導入の準備をしています。
「AIが人の仕事を奪う」というとネガティブな影響のように聞こえますが、AI導入は企業にもたらすメリットが大きいことも事実です。
特に日本では少子高齢化が深刻化していて、これからの社会は人手不足が課題となっています。そのため今まで通りの社会や生活を維持するには、AIが得意なことはAIに任せることで業務の効率化を図り、人の負担を減らすことが必須です。AIの導入はこのように前向きに進められているのです。
たとえば製造業の企業で在庫管理をAIがおこない、在庫の抱え込みが減少して経費を削減でき、業績が回復したという事例を聞いたことがあります。
また不動産業でAIが顧客の希望するエリアや間取りなどを学習して、最適な物件を紹介して業績を伸ばしている企業などもありますね。
なぜAIによって仕事がなくなる? AIが人より得意なこと
AIが人より得意なこと
- データ分析と学習
- 言語・画像・音声の処理と認識
- ミスなく同じ作業を繰り返すこと
AIがすでに日本やアメリカで導入されていることがわかりましたが、AIは実際どのように人の仕事を代替しているのでしょうか。
ここではAIが人よりも得意なことを解説します。これを把握すると、AIによってなくなる仕事の共通点が理解できますよ。
①データ分析と学習
AIは大量のデータを処理して分析することができます。それだけでなく自ら学習し、予測を立てたり、より賢くなっていったりすることができます。
たとえば、囲碁やチェスのAIがプロに勝ったというニュースを聞いたことがある人も多いでしょう。過去のデータをもとに自ら学習、判断、予測などができるのです。
そのためビジネスシーンでは、単純な入力作業やデータの管理、計算などはもちろんのこと、顧客情報の自動入力やデータの自動振り分けなどにも導入されています。
②言語・画像・音声の処理と認識
スマートフォンで音声入力をしたり、Google翻訳を使ったことがある人も多いでしょう。言語や音声の認識、処理はAIが特に得意とする分野です。
また画像を処理して判断することも得意としています。AI認証という言葉があるように、画像を認識して異変を察知したり、人を判別したりすることも、大量のデータ処理によりAIが得意とする作業です。この能力はたとえば工場での不良品の検知などに使われています。
③ミスなく同じ作業を繰り返すこと
AIは人間と違いモチベーションや体調に変化がありません。そのためミスなく同じ作業を繰り返すことも人間よりはるかに得意としています。
掃除ロボットなどをイメージするとわかりやすいでしょう。同じ作業を同じ質で繰り返すことができるため、特に肉体労働のような体力や集中力が必要な作業に向いています。
AIはほかにも交通渋滞を予測して最速のルートを提案したり、病気の早期発見に活用されたりしています。
難しい問題を解決すること、作業を自動化すること、未来の出来事を予測すること、データからすぐに決断を下すことなどが得意です。
AIによってなくなる可能性が高い仕事15選とその実情
AIによってなくなる可能性が高い仕事15選
ここからは実際にAIによってなくなる可能性が高い仕事を15選紹介し、その理由や現状を解説します。
もちろんほとんどの仕事では人による慎重な判断や、経験に基づいた行動が必要な場面があります。ここで紹介する仕事はAIによって完全になくなるというよりも、AIが代替できる部分が多い仕事、というように捉えましょう。
AIでなくなると予想されている仕事はありますが、そのすべてがすぐになくなるわけではありません。
人でなくてもできる部分の仕事が人以外に置き換わる流れは急速に進むと思われますが、そもそも社会全体のインフラが変革しないと導入が難しいものもあるでしょう。
①事務
事務職の基本的な業務であるデータ管理、計算、文書作成などは、特にAIが得意とする分野です。また電話応対も自動音声が担っているのを聞いたことがある人もいるでしょう。
このように事務職はAIによってなくなる可能性が高く、先述した野村総合研究所の研究でも上位にランク付けされています。
一般事務だけでなく、経理や貿易事務などの事務も、同じくAIに代わられる可能性が高いです。特に給与計算などの経理業務は、すでにさまざまな会計ソフトやクラウドサービスが誕生しています。
現状でも事務の求人は減ってきていて、学情がまとめた2023年の有効求人倍率では、0.52と1倍を大きく下回りました。有効求人倍率は1であれば求人数と応募数が同じという意味で、数字が小さいほど応募側の競争が激しいということです。事務職はすでにAIによって募集が少なくなっていると考えられます。
- 事務職に就きたいのですが将来性がないと聞きます。事務職って本当になくなりますか?
完全になくなるとは言い切れないが減ることは確か
事務職の仕事と言ってもさまざまで、すべてがなくなってしまうことはないと思います。
しかしながら事務職に限らずさまざまな仕事の一部分がデジタル技術により自動化・効率化されていく流れは進んでいます。
たとえば銀行では、キャッシュレス化やネット化の流れで業務が大幅に変化しています。
鉄道も昔は駅で切符一枚一枚に人がはさみで切り込みを入れていましたが、今ではその仕事は自動改札機の導入によりほとんどなくなりました。電車の運行では、ワンマン運転や無人運転が実用化されています。
事務職に限らず、自動化できる仕事は技術の進歩により人力が省かれていくことに間違いありません。
事務職の将来性についてはこちらのQ&Aでもキャリアコンサルタントが解説しています。気になる人は併せて確認してみてください。
もし事務職に興味があるなら、こちらの記事で実情を把握しておきましょう。向いている人の特徴や選考対策も解説しています。
事務職の4つの誤解に要注意! 仕事内容・適性・選考対策を徹底解説
経理の仕事に興味がある人は以下の記事をチェックしてください。新卒で経理の仕事に就く方法をまとめています。
新卒で経理職を目指すなら2つの戦略で勝負|必要な資格も解説
貿易事務に興味がある人は以下の記事を参考にしてみてください。志望動機の書き方や仕事内容をまとめています。
例文6選|貿易事務の志望動機でスキルを活かして熱意を伝える方法
②銀行員
楽天証券やSBI証券などのネット証券の名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。リアル店舗を持たない金融機関がどんどん増えており、銀行もAIによってなくなる可能性が高いとされています。
銀行が店舗運営を維持するには家賃や光熱費、人件費など多くの費用がかかります。すでにオンラインでの預金の引き出しや残高確認ができるサービスも増えていて、特に窓口業務がなくなるスピードが早いと予想されています。
実際に3大メガバンクでさえ、ピーク時には合計5,000人以上の新卒採用をおこなっていましたが、近年では合わせて1,000人程度の採用人数となっています。そのためこれまでのように銀行への就職が安泰と呼ばれる時代は長く続かないかもしれませんね。
「銀行員の仕事はなくなる?」という疑問にはこちらのQ&Aでもキャリアコンサルタントが回答しています。迷っている人はぜひ参考にしてください。
銀行で働きたい人はこちらの記事も参考にしましょう。具体的な仕事内容や志望動機のポイントを解説しています。
例文14選|銀行の志望動機がスラスラ書ける簡単6ステップ
安定した印象のある銀行員ですが仕事内容は多岐にわたります。また将来性についても以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
銀行に就職したら勝ち組って本当? 将来性や向いている人の特徴
③ライター
意外かもしれませんが、ライターもAIによってなくなる仕事に当てはまります。専門的なスキルの必要な職業ですが、言語学習・言語出力はどちらもAIが得意とする作業です。
最近では、ChatGPTのように、文章生成の得意なAIも出てきました。ChatGPTは人間のように会話ができるAIチャットサービスで、文章を入力することでさまざまな質問に答えてくれ、文章作成や翻訳も高いクオリティでおこなってくれます。そのためChatGPTによってライターの仕事も取って代わられるのではないかといわれているのです。
また、記事のような文章だけでなく小説すら書けるAIも存在していて、2022年にはAIを利用して書かれた作品が星新一賞を受賞して話題になりました。論理的な文章も物語文も、どちらもAIで書くことが可能なのです。
今はまだ人の手による編集が必要かもしれませんが、完璧な文章が書けるようになったらライターの役割も変わっていくでしょう。AIを活用してリサーチの効率や執筆スピードを向上させ、そのうえでどのように付加価値をつけていくかが課題になりそうです。
④建設作業員
職人のイメージがある建設作業も、AIによってなくなるというのは意外かもしれません。しかし単純な作業の繰り返しや、負担の大きい作業をロボットに任せるのはすでに建設業界で進められています。人間の代わりに危険な仕事を任せられるというメリットもありますよね。
建設業界は職人の人手不足が深刻化していて、学情の職種・地域別の有効求人倍率によると2023年の有効求人倍率はなんと5.16倍でした。過酷な肉体労働による早期離職や若者離れが進んでいることから、今後もAIの導入は進んでいくと予想されています。
このように建設業界は倍率が低いことから、就職先として人気はあります。より詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてください。
建設業界の全貌がわかる! 課題・動向から仕事内容まで徹底解説
⑤工場勤務者
上記の建設作業と同様に、工場での製造や管理、検査の仕事などもAIによってなくなる可能性が高いです。
マニュアルに沿った一定の動きはAIが得意とする分野です。現在でもすでに工場の作業工程にAIが導入されていることが多く、今後しばらくは異常を感知したときだけ人が対応するという形に変わっていきそうです。
また工場にAIを導入するメリットとして特に大きいのが、人と違って休憩や睡眠を取る必要がないことです。AIを導入することで夜間もシステムを動かせるようになります。
工場作業員の人件費を削減できるようにもなるため、今後は製品デザインの改善や作業工程の効率化など、より高度な業務に人が集中していく形になりそうです。
⑥会計監査
会計監査もさまざまな調査で上位にランクインしています。そもそも会計監査とはおもに会計士や監査法人の仕事で、企業の決算書などの財務諸表に間違いがないか、経営状況に問題がないかなどを確認する作業です。
会計士になるには一般的に3,500時間の勉強が必要といわれていて、合格率が約10%の難関資格の一つです。しかしこの仕事はルールに当てはめて考える部分が多いため、AIに知識を覚えさせれば監査業務も可能といわれているのです。
会計士の仕事の中でも、データを分析して不正や異常を検知したり、報告書を作成したりするのはすぐにAIに代替できるかもしれません。会計業務が効率化されていくと、会計士や監査法人の役割も変化していくでしょう。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
⑦通関士
通関士も同じく専門的で複雑な仕事のイメージがありますが、AIに代替される可能性が高いとされています。
通関士の仕事は税関を通るための手続きを代行することで、通関書類の作成や審査をおこなう貿易業界唯一の国家資格です。
この仕事はさまざまな法律や決まりを覚える必要があり、品目ごとの規制や税率などもたびたび変化します。そのため、新しいことをたくさん覚えてルールに沿って行動するというAIの能力がマッチするのです。
ただし通関業務には輸入者、輸出者、税関などさまざまな人がかかわり、部分ごとに切り離すことが難しいのも特徴の一つです。このグローバル社会で貿易自体が減少することも考えにくいため、AIが完全に仕事を奪うのには時間がかかるかもしれません。
会計士や通関士など国家資格が必要な仕事でも、資格を取得すれば安定というわけではありません。
会計士がおこなう不正を見つけることや報告書の作成、通関士がおこなう通関書類の作成や手続きの一部は、AIに代替される可能性があることを認識しておきましょう。
通関士の業務に興味がある人は、まず貿易の仕事の全体像を理解することが大切です。こちらのQ&Aでキャリアコンサルタントが解説しているので併せて参考にしてください。
⑧薬剤師
薬剤師は医師の処方箋に基づいて、診断や処方が適切であるかを判断して患者に薬を販売する仕事です。
専門性が高い薬剤師の業務でも、受付や患者情報の管理などの事務作業はAIに任せられる部分が多いです。また、「登録販売者」という制度ができて薬剤師の独占業務が減ったこともからめて、AIによってなくなる可能性が高いと言われています。
しかし薬剤師はただ処方箋通りに薬を売るだけでなく、患者の状態を見極めるのも大事な仕事です。加えて日本では高齢化が進み、医療人材が足りなくなると予想されていることから、薬剤師の仕事がAIによって完全になくなるとはいえないかもしれません。
とはいえ単純作業はAIに任せて、患者とのコミュニケーションにより時間を割くというように働き方は変化していくのではないでしょうか。
- 薬剤師を目指していますがAIによってなくなると最近聞きました。せっかく勉強しても就職先があるのか不安です。
信頼性が大切な仕事なので人のニーズはなくならない
AIにより調剤業務や処方解析、在庫管理などの業務を代替することは可能ですが、薬の処方は患者とのコミュニケーションや気持ちを汲み取った対応など、AIでは代替できない内容の仕事があります。
患者に寄り添い体調を聞くことや、不安や疑問に対して丁寧に説明することは、AIにはできません。患者との信頼関係が大切な仕事なので、薬剤師の仕事がなくなることはないでしょう。
また高齢化により、患者の自宅へ訪問して薬を提供するというサービスが今後需要が増えることが予想できます。
専門的な知識がありコミュニケーションが取れる薬剤師のニーズは高まっていくでしょう。
⑨スーパー・コンビニ店員
スーパーやコンビニへのAI導入はイメージしやすいでしょう。すでにセルフレジが導入されている店舗も多数あります。
レジ以外の業務は残ると考える人も多いかもしれませんが、在庫の数を正しく管理すること、売り上げデータをもとに天気や時期に合わせた発注数を考えることなども、AIが人より得意とする業務です。そのため人にしかできない業務は少しずつ減っていくと予想されます。
地方など高齢者が多い地域では有人レジが数年でなくなることは考えにくいですが、無人でスピーディに買いものができる店舗と、有人でサービスが手厚い店舗とで住み分けが進んでいくかもしれません。
スーパーへの就職に興味がある人はこちらの記事もおすすめです。詳しい仕事内容や業界のトレンドを解説しています。
例文8選|スーパーの志望動機で周囲と差別化する4つの秘策
⑩ホテルの客室係やフロントスタッフ
ホテルでチェックイン・チェックアウトがセルフ形式のところが増えています。フロントは時間によって利用者がいないタイミングもあるため、特にシステムを導入するのが効果的なのです。
さらにルームキーさえあれば客室までの案内も必ずしも必須ではないため、客室係の仕事も減っていくかもしれません。また必要な場合でも、客室に案内するロボットを導入する企業もあります。
すでに完全無人のホテルも登場していて、日本では福岡県でmizukaという無人ホテルが誕生し、すでに10店舗以上を展開しています。
ホテルという存在自体がなくなることは考えにくいため、当然従業員の仕事もゼロになることはないでしょう。手厚いサービスを売りとする会社であればなおさらです。ただし掃除や受付・清算などの事務作業をするスタッフの仕事はAIによってなくなる可能性が高いといえそうです。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
⑪調理スタッフ
意外かもしれませんが、調理スタッフもAIによってなくなる可能性が高い職業の一つです。
先ほども説明したとおり、指示にしたがって同じ作業を繰り返すのはAIなどの機械が得意とする業務です。最近では温度や形なども読み取る機械が開発されていて、特に衛生管理が重要である調理の場では人よりAIが重宝されるようになってきました。
大手食品メーカーやレストラングループなどの工場では、すでに機械が導入されています。大手寿司チェーンでも機械が寿司を握るのが珍しくなくなってきました。
調理という仕事自体がなくなることはなさそうですが、マニュアルに沿った調理スタッフの仕事はAIが担っていくでしょう。
技術の進化は大量生産を必要とする工場やファミレスなどでの効率を向上させるため、調理スタッフの人員は縮小傾向になると予想されます。
しかし高級レストランなどでは料理の品質とプレゼンテーションが重視されるため、人間の調理スタッフの役割は依然として重要です。
⑫警備員
カメラで不審者や異常を感知したり、人の動きや表情を学習して違和感を認識したら通知したりなど、AIには警備の仕事もできるとされています。
特に人の行動を学習して普段と違うことに気付けるなどは、AIの高い知能を活かせる仕事であり、企業の人件費も削減できます。
夜間警備は特に人の負担が大きいため、AIカメラに監視を任せて異常があったときだけ人が対応するという形になっていくかもしれません。
⑬清掃員
清掃作業は床を拭いたり窓ガラスを磨いたりなど単純作業が多く、AIに任せやすいといえます。場合によっては危険な場所だったり汚れがひどかったりなど、AIに任せたほうが良いものもあるでしょう。
AIが清掃作業をできるようになれば24時間稼働させることもでき、きれいな環境をより保ちやすくなります。すでに企業向けの掃除ロボットも開発されていて、ソフトバンクのWhizという商品などが話題です。
清掃の仕事も完全になくなることはなさそうですが、掃除ロボットを配置してエラーだけに対応するなど、AIを使って掃除を管理する役割に絞られていくかもしれません。
⑭タクシーや鉄道の運転手
アメリカや中国ではすでに無人のタクシーが登場し、実際に街を走っています。自動運転は自動車メーカー各社が取り組んでいて、その精度は年々向上しているため、タクシーの運転手もAIによってなくなる可能性が高いとされています。
AIの運転では居眠りやスピードの出しすぎ、よそ見などヒューマンエラーによる事故を減らせるというメリットもあります。
また鉄道の運転手も同じく、ルートとスピードを設定すればAIにもできる可能性が高いです。特に利用客が少ない地方では鉄道赤字が問題となっていて、解決策として自動運転が今度も進められていきそうです。
すでに神戸市では神戸新交通ポートライナーがその先駆けとして自動運転で走っているので、各地に広がる可能性もあるでしょう。
⑮配達員
アメリカではすでにUber Eatsなどで、商品や荷物を配達する宅配ロボットが利用されています。自動運転の精度や防犯機能が上がれば、さらに多くの地域で配達員に代わるロボットが導入されていくでしょう。
オンラインショッピングが当たり前になった現在では、配達員不足や配達員の業務過多が大きな問題となっていますね。
国土交通省の「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」調査では、配達員の労働時間は全産業の平均より約2割長く、2028年には約27.8万人のドライバー不足となると予測されているのです。
この問題を解決するためにも、配達の自動運転化が今後進められていくでしょう。人にしか運べない貴重品や大きな商品などは人が担当し、簡単な配達はAIが担当するようになっていくかもしれません。
物流業界への就職を考えている人はこちらの記事を参考に対策しましょう。業界を理解して志望動機を工夫することがポイントです。
例文8選|物流業界の志望動機は2つのコツで差別化しよう
ここで挙げられている仕事以外にも、技術の進歩がさまざまな仕事を大きく変えていきそうです。
アメリカではAIによる仕事への影響が原因で、ハリウッド俳優などでつくられている組合がストライキを起こしました。
映画やテレビの出演者がAIに取って代わられ、ゲームの音声もAIで合成されるようになり、脚本の執筆や書き換えもAIが主役になっていく、という未来に反対しているということでした。
アドバイザーコメント
谷所 健一郎
プロフィールを見る自分の仕事がなくなる可能性が高い場合は行動を起こそう
今後多くの仕事がAIで代替されていくことが予想できるので、何も気にせず仕事をおこなっていくべきではありません。現在の仕事がどう変化していくのか予測したうえで、対策を講じることが必要です。
AIは万能ではないので、AIの得意なことや不得意なことを考えてみましょう。AIは大量のデータ処理やルール化された仕事は得意としますが、人の気持ちを汲み取ることや創造性のある仕事は不得意です。
現職の仕事についてAIで何ができるか、AIが不得意な分野は何かを考えてみることが大切です。
人ならではのスキルを磨いたり新たに生まれる仕事を調べたりしよう
どんな仕事でも今後AIが代替していく部分があるので、AIで仕事がなくなると捉えるのではなく、自分の仕事でAIが不得意な分野のスキルを高めていくことを考えると良いですね。
たとえば交渉やクリエイティブな能力が必要な業務がないか、人とかかわらなければできない業務がないかなどを考えてみましょう。
またAIに代替される仕事がある反面、情報セキュリティアナリスト、データアナリストなどAIの普及により新たに生まれる仕事もあります。
現職で将来像を描けない場合は、AIの普及で新しく生まれる仕事へのキャリアチェンジについて考えてみても良いかもしれません。
AIによってなくなる可能性が低い仕事27選
AIによってなくなる可能性が低い仕事27選
AIによってなくなる可能性が高い仕事を紹介しました。その一方で、AIが発達しても人の需要が残ると言われている仕事もあります。
ここではAIによってなくなる可能性が低い仕事27選を紹介するので、仕事選びやキャリアの参考にしてくださいね。
①命を預かる仕事
命を預かる仕事の例
- 医者
- 看護師
- 介護職員
医者や看護師、介護職員など、人の命を預かる仕事はAIが発達してもなくならない可能性が高いでしょう。
現在でもカルテの電子化や介護ロボットの導入などシステム化は進められていますが、人の目による判断や、会話によるケアが必要な仕事です。
患者や利用者側も、AIに自分や家族の体を任せるのは不安だという人がまだ多いでしょう。そのため医療や介護の仕事は人のニーズが残ると考えられます。
看護師を志望している人は、ぜひこちらの記事を参考に志望動機を作成してみてください。志望動機の書き方と注意点を詳しく解説しています。
新卒で看護師になるための志望動機の極意|避けたいNGワードも解説
②人をケアする仕事
人をケアする仕事の例
- カウンセラー
- セラピスト
- ソーシャルワーカー
心を含めた健康を守るケアの仕事も人の力が重要です。具体的にはカウンセラー、セラピストなどの心理職や、ソーシャルワーカーなどの福祉にかかわる仕事です。
これらの仕事は特に顧客との会話が業務の中心であり、相手の気持ちを汲み取ったり適切なアドバイスをしたりなどAIが苦手とする分野です。AIにできるようになったとしても、心に不安や悩みを抱えた人は、機械に相談したいとはなかなか思わないですよね。
特に医療や介護の分野では福祉の知識があるソーシャルワーカーが必要とされていて、すでに人手不足でありその将来性は大きいでしょう。
③説得や交渉をする仕事
説得や交渉をする仕事の例
- 営業職
- コンサルタント
営業職やコンサルタントのように、相手を説得したり交渉したりするのもAIが苦手な部分です。
営業職は単に契約を取るだけではなく会社の顔という側面もあります。顧客との関係を深めて信頼関係を築くのも仕事の一部であり、それをAIが担うのは難しいといえるでしょう。
とはいえ、商談のためのリサーチや資料作りなどはAIに任せて、実際の面談や交渉は人が担当するという分業は進んでいくかもしれませんね。
営業やコンサルの仕事に興味がある人は、以下の記事も合わせて参考にしてください。選考のポイントや向いている人の特徴を解説しています。
営業職
例文18選|営業職の志望動機で採用担当者を惹きつけるコツ
コンサルタント
例文12選|コンサルの志望動機で必須のアピール内容とNG例を解説
営業職には新規営業やルート営業、反響営業などいくつかの種類があります。こちらのQ&Aではルート営業についてキャリアコンサルタントが解説しているので、気になる人はチェックしておきましょう。
④人を育てる仕事
人を育てる仕事の例
- 教師
- 保育士
教師や保育士など、人を育てる仕事も残り続ける可能性が高いです。相手のレベルに合わせて言葉を選んで説明したり、反応を見ながら興味を惹きつける工夫をしたりなど、人に何かを教えるには臨機応変なコミュニケーションが不可欠です。これはまだAIにはなかなかできないとされています。
成長段階にある子どもは周りの人とのかかわりあいの中で、相手の表情を読み取ったり自分の要求を伝えたりなどのコミュニケーションを学んでいきます。そのため人を退けて機械に任せるという動きにはなりにくいでしょう。
加えて保育の現場は子どもの命を預かる側面もあるため、人の力が特に重要です。
教師を目指していても、万が一のために民間企業への就活も進めておきたいという人もいますよね。こちらの記事では教員を視野に入れている人の就活の進め方を解説しています。
教育学部におすすめの就職先17選|民間の就活も成功させる3箇条
教員を目指している人は以下の記事を参考にしてみてください。志望動機の書き方を小中高別の例文にわけて解説しています。
教員の志望動機で自分らしさを出すコツとは? 小中高の例文も紹介
⑤新しい価値を生む仕事
新しい価値を生む仕事の例
- 研究者
- 学者
- 開発職
AIは指示に基づくアウトプットはできますが、自ら疑問を持って調べたり何かに気付いたりなど能動的な取り組みはまだできません。
そのため研究者や学者、開発職など新しい価値を生み出す仕事は、今後もしばらくは人がやることに価値があるでしょう。
学術の世界では新しい発見に意義があり、マニュアルに沿った作業はあまりありません。海外文献の翻訳や文字の書き起こしなどはAIに任せられても、試行錯誤する過程は人が担い続ける可能性が高いです。
研究職への就職は狭き門であり、正しい対策を知っておく必要があります。具体的な仕事内容や内定へのステップをこちらの記事で確認しましょう。
研究職ってどんな仕事? 狭き門を勝ち抜くための志望動機例も紹介!
⑥状況による判断が必要な仕事
状況による判断が必要な仕事の例
- 弁護士
- 裁判官
- 政治家
弁護士や裁判官、政治家など、一つひとつの行動の判断が難しく、決められた正解がない職業も、AIによってすぐになくなることはなさそうです。
政治家は国や自治体の将来を見すえた計画を立てたり、外国との関係や災害など状況に応じた判断をしたりする必要があります。弁護士や裁判官も日々まったく同じ業務はなく、人の話を聞いて情報をもとに慎重に判断する必要があります。
このように状況による判断が必要な仕事はAIの苦手分野であるため、議事録の作成や資料のまとめなどに用いられる程度に留まりそうです。
法律関係の仕事はなかなかイメージしにくいですよね。こちらの記事では法律関係の仕事24選と、必要な資格を解説しています。
法律関係の仕事24選! 仕事内容や必要な資格を徹底解説
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⑦動物を管理する仕事
動物を管理する仕事の例
- 動物園の飼育員
- ペットショップ店員
- ブリーダー
動物は指示に素直に従うわけではなく、思い通りに動かすことはできません。行動を予測することも難しいため、動物を扱う仕事もAIにはできないと考えられています。
そのため動物園の飼育員やペットショップの店員、ブリーダーなど、動物にかかわる仕事はこれからも人が対応する必要があるでしょう。動物によっては繊細で体温やエサなど細かな管理が必要なこともあり、人の手による世話が必要です。
以下の記事では動物とかかわる仕事についてさらに詳しく解説しています。全26選と、未経験からの目指し方も解説しているので参考にしてみてください。
動物とかかわる仕事26選|資格のありなしと未経験からの目指し方
⑧IT技術を操作する仕事
IT技術を操作する仕事の例
- ITエンジニア
- データサイエンティスト
IT技術を動かす側の仕事も、AIによってなくなることはしばらくないと考えられます。たとえばITエンジニアのようにシステムやインフラを構築したり操作したりする仕事です。
またデータサイエンティストのように、単にデータを分析するだけでなく、複合的な知識やスキルをもとにデータを扱い、顧客の課題を解決する仕事もAIには難しいとされています。AIができるのはあくまで大量のデータを処理するところまでだからです。
プログラムのコードを書くなどはAIにできても、状況に応じた意思決定や慎重な操作が必要な仕事は、IT分野であっても人が担っていくでしょう。
IT業界で働くにはその仕事内容や求められる能力を理解することが重要です。IT業界に興味がある人は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
中途向け
未経験からIT業界の転職で役立つ5つの実情|企業選びのコツも紹介
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未経験からIT業界に就職する秘訣とは? 必要なスキルまで徹底解説
IT業界は激務イメージがあり不安だという人もいるかもしれません。こちらのQ&Aでキャリアコンサルタントが実態を解説しているので併せて確認しましょう。
⑨センスが必要な仕事
センスが必要な仕事の例
- 美容師
- スタイリスト
- ネイリスト
AIの苦手分野として、センスを発揮する仕事も挙げられます。芸術分野にはこれといった正解や単純な方法があるわけではなく、長年の経験による細かい調整や、流行の変化への対応なども必要だからです。
美容師やネイリストなどは顧客との会話も重要で、スタイリストはその人自身のカリスマ性なども活躍のためには大切です。したがってセンスが必要な仕事は、まだしばらく人の仕事への需要が残るといえます。
⑩作品をつくる仕事
作品をつくる仕事の例
- 映画監督
- 作詞・作曲家
- 編集者
センスが必要な仕事と近いですが、作品をつくる仕事もAIが取って代わるのは難しいでしょう。たとえば映画監督は、単にカメラで撮影だけをしているわけではなく、何を映してどう編集するかによって個々の作品をつくっています。作詞作曲家や書籍の編集者も同様です。
これらの仕事は人に頼まれた指示に沿ってアウトプットするのではなく、自分なりに質の高い作品を追及して、人が喜ぶもの、求めているものを考えるというプロセスが必要であり、AIには難しいのです。
AIによるアートや小説なども近年では登場してきましたが、作品が愛されるにはつくり手自身の才能や感性にファンがつく必要もあり、完全にAIが台頭するのは難しいでしょう。今後もしばらくは人が生み出したものにニーズがあると考えられます。
編集者の仕事に興味がある人は、こちらの記事で具体的な仕事内容や選考対策を確認しましょう。出版社への就職のコツを解説しています。
出版社への就職を叶える5つの必須準備|トレンドや選考対策も解説
クリエイティブな仕事に興味がある人は、具体的にどのような職種があるのか把握しておきましょう。こちらのQ&Aでキャリアコンサルタントがわかりやすく解説しています。
アドバイザーコメント
瀧本博史
プロフィールを見るAIが発達してもなくなりにくい仕事の特徴を整理しよう
人間の感情やセンス、創造性、直感、倫理的判断が求められる職種はAIによってなくなる可能性が低いです。
たとえば心理カウンセラー、ソーシャルワーカー、看護師、教育者、芸術家、研究者、エンターテイナーなどの職業はこれらの力が不可欠であることが共通しています。
AI技術はデータの分析やパターンの識別に長けていますが、人間の感情を深く理解し、それに適切に反応することはまだまだ未発達です。
さらに倫理的な判断を下すことや新しいアイデアを生み出すことも、現在のAI技術では困難な課題となっています。人間とのコミュニケーションが中心となる仕事においても、AIによる代替は難しいでしょう。
細かなコミュニケーションや創造性は人間ならではの力
人間は言葉だけでなく、顔の表情、声のトーン、ボディランゲージなどからも多くの情報を受け取ります。これらの微妙なニュアンスを理解し、適切に対応することは、現段階のAI技術では困難なのです。
したがって、感情や倫理、創造性や判断力など、人間ならではの力が重視される職種はAIが発達してもなくなりにくいと言えるでしょう。
「将来性のある仕事に就きたい」と考える人は多いですよね。こちらの記事では今後需要が高くなる仕事を13選紹介しています。
将来性のある仕事13選! これから需要が高くなる仕事とは?
AIによってなくなる仕事は避けた方が良いの?
AIでなくなる仕事は避けて、残る可能性が高い仕事に就こうと考える人もいるかもしれませんが、そう単純に判断するのは少し危険です。
記事でも解説したとおり、どの仕事もAIによって一瞬でなくなることは考えにくく、人によるチェックが必要な作業も中にはあります。反対にAIに奪われにくい仕事であっても単純作業がAIに代替される可能性は十分にあり、どんな仕事もAIの影響をまったく受けないとはいえません。
繰り返しになりますが、AIを単純に脅威として捉えるのではなく、人手不足やヒューマンエラーを改善するためにうまく活用していくことが求められているのです。
今後はAIができる部分/人にしかできない部分を考えて、人にしかできない部分の質を高めることが重要です。AIに奪われない仕事なら安心と考えるのではなく、どんな仕事でも自分ならではの力を身に付けていくことが大切だと捉えましょう。
- AIによってなくなる仕事を目指すのは、現実的に考えるとあまり良くない選択でしょうか?
興味や適性と併せて将来性を考えよう
AI技術の進歩により一部の仕事は自動化され、人間の介入が不要となる可能性があります。
そのためこれから就活する学生は、将来的に自動化される可能性が見込まれる仕事を避けて、将来性のある分野に焦点を当てると良いでしょう。
たとえばAI技術やデータサイエンス、ヘルスケア、再生可能エネルギーなどは、将来的に需要が増えると予想される分野となっています。
また自分の興味や適性を考慮し、長期的なキャリアを築くためのスキルを磨くことも重要です。最終的には自分自身の興味と適性、将来の市場の需要を考慮して、最適なキャリアパスを選択しましょう。
仕事を選ぶ際は将来性などの条件だけではなく、自分に合った環境を選ぶことが大切です。自分のやりたいことを見つける方法はこちらの記事で解説しています。
やりたいことがわからない人必見! 隠れた本心を見つける思考・行動
こちらのQ&Aでも、「仕事はどんな基準で選ぶべき?」という疑問にキャリアコンサルタントが回答しています。仕事選びに迷っている人には特におすすめです。
少しの意識で変わる! 変化の激しいAI時代にキャリアを築くコツ
変化の激しいAI時代にキャリアを築くコツ
- 複合的なスキルを身に付ける
- AIについて詳しくなる
- いざとなったら転職できるように経験を積む
これまで解説したとおり、AIによってなくなる可能性が低い仕事だからといって安心ということはありません。
AIだけが原因でなくても、たとえば新型コロナウイルス感染症の流行で旅行業界・外食業界が打撃を受けたように、長い社会人生活ではどんなトラブルが起こるかわかりません。従来のように終身雇用が保証される時代でもなくなってきているため、自分のキャリアを確かなものにする工夫が一人ひとりに求められてきます。
反対に、AIによってなくなる可能性が高い仕事でも、自分なりの付加価値を見つければ働き続けられる可能性はあります。ここでは変化の激しい時代に自分のキャリアを築く3つのコツを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
AIが発達してもなくなりにくい仕事に就きたい人は、医療関係、法律関係、クリエイティブ関係、教育関係など、まずはAIで代替されにくい仕事を把握しましょう。
それぞれの専門知識に加えて、AIが不得意なコミュニケーション能力や交渉力などを高めていく努力もすべきです。
①複合的なスキルを身に付ける
その仕事での基本的なスキルに加えて、プラスアルファの知識やスキルを身に付けてみましょう。具体的には「Excelスキルと英語力」「ライティングスキルとマーケティング知識」「営業トーク力と経済知識」のように、自分の仕事で活かせるスキルを組み合わせてみてください。
成果を出しやすくなるだけでなく、自分にしかできないことが増えて仕事で評価を得やすくなります。
1つの業務しかできないと、その業務にAIが導入されたときに自分にできることがないという状況になってしまいます。言われたことだけを最低限こなすのではなく、自分からできることや知識を増やしていきましょう。
複合的なスキルを身に付けるためには、自己分析をおこない、弱みを克服し、強みをさらに伸ばす努力をしましょう。
また職種によっておすすめの自己研鑽の方法は異なるので、その職種に関連する書籍を読む、オンライン講座で学ぶ、その業界の人から話を聞くなどが効果的です。
強みを見つけるための自己分析方法は、こちらの記事で確認しましょう。就活向けの記事ですが、自己分析の基本からわかりやすく解説しています。
自己分析マニュアル完全版|今すぐできて内定につながる方法を解説
②AIについて詳しくなる
AIがこれだけ発達して実際に導入されていても、周囲にAIについて詳しい人は滅多にいないのではないでしょうか。AIの状況や情報はどんどん変化してして、その実情をつかむのは難しいものです。
AIの必要性が高まっているのは確かなので、AIについて詳しい人材になれれば、自社でどんなふうにAIを活用できるか、どんなことに注意すべきかなど頼られる存在になることができます。
自身のキャリアを守っていくためにも、AIを過剰に恐れるのではなく、むしろAIを自分の仕事にどう使えるかという視点でまずは少しずつ取り入れてみるのがおすすめです。
たとえば営業なら顧客データから傾向や好みを分析することで、将来の需要を予測できます。
また事務作業では、スキャンされた書類から情報を抽出してデータベースに自動的にデータ入力するという活用例があります。
自分の仕事に置き換えて、AIを活用できないか考えてみましょう。
仕事に使えるAIの例
- ChatGPT:科学・技術・工学・数学などの知識をもとに文章作成ができる
- Jasper:50以上の文章テンプレートの使用と文法や盗用のチェックができる
- Tome:プレゼンテーション用のスライド作成ができる
- Fireflies.ai:会議の書き起こしや会話の分析ができる
- Wordtune Read:テキストの要約ができる
実はAIを作っている企業もすでにたくさんあります。いわゆる「AIベンチャー」への就職に興味がある人は、こちらのQ&Aで詳しい特徴を確認しましょう。
③いざとなったら転職できるように経験を積む
どんな仕事でも、就職してから一生雇用され続けるという保障はありません。AIによって仕事がなくなるという場合以外にも、経済状況の変化やケガや病気など、自分ではどうにもできないトラブルはつきものです。
何かあったときのために会社を離れても仕事を見つけられるように、ほかの会社でも評価されるような経験をしっかり積んでおきましょう。
転職の選考では学歴や前の企業の知名度などは関係なく、「どんな実績を出してきたか」「どんな知識があり何ができるのか」という実践力が見られます。
そのためただ言われたことをやるのではなく、ノルマ以上の成果を目指したり、自分から新しい業務や役職に手を上げたりなど、積極的に経験を積んでいくことが大切です。
将来のために転職を視野に入れたいという人は、まずは自分にとって納得のいくキャリアを明確にしましょう。第二新卒の場合はこちらの記事がおすすめです。
第二新卒の転職必勝法|納得のいくキャリアを見つける3つのコツ
転職のタイミングに悩む人もいますよね。適切なタイミングややるべきことはこちらの記事で解説しています。
転職のタイミングはいつが正解? 目的に合わせた最適な時期を解説
アドバイザーコメント
上原 正光
プロフィールを見るAI時代のキャリアでは人間ならではの共感力や想像力が求められる
AIが活用される時代においては、人間がやらなくても良いものはAIに任せて自動化する流れが進んでいきます。しかしながら人の感情など心の内面に触れる部分はなかなか自動化できません。
顧客や職場の同僚などの心の声に耳を傾け、気持ちを察知し、相手に寄り添い接する。こうした豊かな感受性や非言語コミュニケーションは人間ならではの力ではないでしょか。
相手の立場に立って物事を考え、感じ、共感する力は、AIにはなかなか代替できません。人に寄り添う力や豊かな感受性で人の気持ちに接する力がますます求められるのだと思います。
変化に対応しつつも自分のありたい姿を考えることが大切
これからのAI時代では、人間独自の能力や資質が重要視されることになります。その基礎となるコミュニケーション能力や感受性は重要です。
デジタル技術の進化によって世の中が大きく変化し、業界や職種が急速に変わる可能性もあります。柔軟な考え方や適応力を持ち、新たな状況や課題に対応できる能力を身につけることも求められます。
変化に対する恐れではなく、チャンスと捉えることのできる力も重要でしょう。
自分自身の強みを理解し、変化に適応しながら自分自身を活かすキャリアを築くために、自分のありたい姿をときどき考えてみることが大切です。
AIによってなくなる仕事を知って将来を見据えた選択をしよう
AIによってなくなる仕事の特徴やその実例を解説しました。AIは日々進化していて、AIによってなくなる仕事・なくならない仕事を完全に予想することはできません。どんな仕事であれ、自分なりのキャリアを築く意識と行動が求められています。
AIによってなくなると予想されている仕事を過剰に避けたり、AIを恐れたりするのではなく、AIをどう活用できるかという視点で仕事や生活に取り組んでいきましょう。
アドバイザーコメント
瀧本博史
プロフィールを見るAI技術をうまく活用すればキャリアに活かすこともできる
AI技術が進化しても、人間にしかできない仕事はたくさんあります。具体的にはクリエイティブな仕事や人間関係を重視する仕事、専門知識が必要な仕事などがあります。
またAI技術を活用することで、より効率的に仕事を進められる場合もあります。たとえばデータ分析やプログラミングなどの技術的なスキルを持っていれば、AI技術を使いこなすことができ、将来的にも安定したキャリアを築けるでしょう。
あくまでも自分に合うキャリアを選択することが大切
重要なのは、自分の興味や強みを知り、それを活かせる仕事を選ぶことです。
自分自身を知ることは、就活だけでなく将来的にも大切なスキルです。自己分析をおこない、自分の強みや興味を知ったうえで、それに合った仕事を選びましょう。
また志望動機やエントリーシートの作成、面接対策など、就活にはさまざまなステップがあります。仕事の将来性を探るだけでなく、それぞれのステップで実用的なアドバイスを取り入れることで、より効果的な就活ができます。
就活は自分自身を知り、将来のキャリアを考える大切な時間です。不安や疑問があることは当然ですが、それを乗り越えて、自分にとって最適なキャリアを築いていってください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Masamitsu Uehara〇会社員時代は人事部として3000人以上の学生と面談を実施。大学でも多くの学生のキャリア支援をおこなう。独立後は、就活生からシニア層までさまざまなキャリア相談に携わる
プロフィール詳細キャリア・デベロップメント・アドバイザー/キャリアドメイン代表
Kenichiro Yadokoro〇大学でキャリアデザイン講座を担当した経験を持つ。現在は転職希望者や大学生向けの個別支援、転職者向けのセミナー、採用担当者向けのセミナーのほか、書籍の執筆をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士
Hiroshi Takimoto〇年間約2000件以上の就活相談を受け、これまでの相談実績は40000件超。25年以上の実務経験をもとに、就活本を複数出版し、NHK総合の就活番組の監修もおこなう
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