この記事のまとめ
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教育学部の皆さんの中には、就職活動がうまくいくのか不安に思う人も多いですよね。「教育学部は民間企業への就職が不利になるって聞いたけど本当?」「実習もあるしどのように就活を進めたら良いのかわからない……」と不安になると思います。
結論から言うと、教育学部の人も、一般企業に就職することが可能です。もちろん教師など、公務員になることもできるので、視野を広く持って就活を進めていきましょう。
この記事では、キャリアアドバイザーの渡部さん、隈本さん、鈴木さんと、教育学部が就職活動を進めるコツを解説するので、ぜひ参考にしてください。
教育学部の就職実態は? 一般企業を目指すなら志望動機の深掘りが大切
一般企業を狙う教育学部の学生に多いのは、「教師が向いていないと感じ、なんとなく一般企業にシフトチェンジした」というものです。しかし、その理由で一般企業の就活を進めてもうまくいかないことが多く、選考を受ける際は「なぜその企業に入りたいのか」「なぜ教師にならないのか」と志望動機を深掘りすることが大切です。
記事では、まず教育学部の就活状況を解説します。教育学部に多い就職先をチェックしましょう。そのうえで、教育学部が就活を進めるうえで心得るべき3箇条を紹介します。これを心掛けることで、就活がスムーズに進みやすくなります。
さらに、教育学部で学んだことを活かしやすい、教育学部におすすめの就職先を紹介します。まだ受けたい企業が決まっていない人は、ぜひ参考にしてみてください。
ただ、教育学部は回答に留意しなければ不利になることもあります。そこで、教育学部が聞かれやすい質問と回答例も紹介するので、チェックして選考に臨んでください。
教育学部の就活状況
教育学部の進路はどのようになっているのでしょうか。ほとんど教師になり、一般企業に就職するのはごく一部なのか、それとも反対に、教師になる人はあまりおらず、一般企業を目指す人が多いのか。
ここからは、教育学部の就活状況を、各大学のデータを用いて解説していきます。教育学部の就職状況を捉え、自身の進路を考えていきましょう。
教育学部生が受けない方がいい職業がわかります!
・受けない方がいい職業がわかる
・自分の強み・弱みがわかる
教育学部の就職先は大学によって大きく異なる
教育学部の就職先は、大学によって大きく異なり、ほとんどが教職に就くところもあれば、反対に教師になる割合は数%しかないところもあります。
大学によっては、教師になることが前提となったカリキュラムが組まれているところもあれば、教育関係以外も幅広く学べるシラバスがある大学もあり、大学の特色により教育学部の就職先は大きく異なっています。
大学別就職状況
実際に大学別の就職状況を見てみましょう。上のグラフは、2023年度の東北大学、関西学院大学の教育学部の就職先です。
東北大学の教育学部の進学先を見ると、教員になった学生の割合は14%なのに対して、関西学院大学の教育学部は、約54.8%の学生が教員になっています。
このように、教育学部といえど、大学により進学先は大きく異なるため、自身の大学のホームページ(HP)もチェックしておきましょう。
一般企業への就職は不利にはならない
「教育学部の就職は不利」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。教師になることを目指して教育学部に入る人が多かったり、カリキュラム上教師になることが前提になっているケースでは、一般企業への就職率が低くそう思えることがあるかもしれません。
就活でも、「教育学部=教師になる」というイメージから、「なぜ教師にならないのか」と質問されることも多いですが、かといって不利になることはありません。
教育学部であっても、しっかりと対策をおこなって臨めば、不利にはならないのです。
- それでも、一般企業に就職している人の割合が少ない教育学部の大学では、やはり一般企業の就職は不利になるのでしょうか。
教育学部が一般企業の就職に不利になることは決してない
まったくそんなことはないと思いますよ。まず教育学部の場合、どの業界に対しても親和性がある(「人を教える」ということはすべての業界で必要なこと)、大学名でそこまで先入観を持たれる大学が少ない、というのが現状と認識しています。
歴史的経緯などの理由で一部の大学は「公務員・教員養成大学」などと揶揄されることもありますが、企業視点で見ると「そういう大学には堅実で優秀な学生がいる、しかしなかなかわが社には来てくれない」という評価をしていることが多いです。
そのため、一般企業への就職率が低い大学からの応募者は、志望意欲が高いならむしろ歓迎されるのではないでしょうか。
教育学部であることが、メリットにはなってもデメリットにはならないかと思うので、自信を持ってくださいね。
教育学部が就職活動を進める重要な3箇条
教育学部が就職活動を進める重要な3箇条
- 企業選択の視野を広く持つ
- 企業への志望動機を深掘りする
- 教師以外を目指すなら教師にならない理由を深掘りする
教育学部の就活が不利にならないとは言っても、教育学部が陥りやすい失敗というのはあり、それに気を付けなければ就活が上手くいかないことも大いにあります。
ここからは、教育学部が就活を進めるうえで重要な3箇条を解説します。これを踏まえれば就活をスムーズに進められるようになるため、具体的な対策に入るまえに、まず3箇条をしっかりと心得ましょう。
①企業選択の視野を広く持つ
教育学部の皆さんは、「教育学部だから教育関係の仕事に就こうかな」と考える人も多いのではないでしょうか。もちろんそれでも問題ありませんが、教育学部だからといって教育関係の仕事に限定する必要はなく、さまざまな業界に就職することが可能です。
「教育学部なのに教育とは全然関係ない業界を受けても選考に通りにくいのでは……」と不安に思う人もいるかもしれませんが、たとえばアルバイトやサークルなど、大学で学んだ内容以外のことで、その企業にマッチする内容をアピールすれば問題ありません。
教育学部だからといって教育関係の仕事に就く必要は一切ありません。大学で専攻したことは、社会の中でいかようにも活かすことができます。自分の可能性が広くあることを認識してくださいね。
企業選択の視野を広く持つとはいっても、「そもそもどこを受けたら良いのかわからない……」という人もいると思います。こちらの記事では、文系におすすめの職業を紹介しているので、参考にして企業を選んでみましょう。
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②企業への志望動機を深掘りする
教育学部の学生で、特に教師を第一志望で併願している人は、一般企業の志望動機が曖昧になりやすく、企業への熱意が伝わらないケースもあります。
教育学部の就活は、特に志望動機を深掘りすることが重要です。たとえば以下のように深掘りすると良いです。
企業への志望動機を深掘りする例(電力業界を目指す場合)
電力業界に憧れを感じたから
→なぜ電力業界なのか:生活の基盤として社会貢献性が強いから
→なぜ社会貢献性が強いと良いのか:多くの人から感謝されるため、やりがいを感じそうだと思ったから
志望動機の考え方はこちらの記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてくださいね。
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③教師以外を目指すなら教師にならない理由を深掘りする
企業の志望動機と併せて聞かれやすいのが、「なぜ教師にならないのか」という質問です。教育学部は、教師になること前提にカリキュラムが組まれているところも多いため、企業側はあえて教師にならない理由に関心を持ちます。
そのため、教師以外を目指す場合、教師にならない理由も深掘りし、整理することが大切です。たとえば以下の通り深掘りしましょう。
教師にならない理由を深掘りする例
人に教えることに関心が薄くなったから
→なぜ関心が薄くなったのか:自分が知っていることを教えるため自身の成長につながりにくいと感じたから
→なぜ自身の成長につながらなければならないのか:成長を実感できることが一番のやりがいにつながるから
アドバイザーコメント
隈本 稔
プロフィールを見る教育学部も早めに準備をすれば幅広く就職することが可能
企業側は、教育学部だからという理由で不採用にすることは稀です。教育学部でも、経験が必要な医療系や理系の専門職以外の職業であれば、広く採用の可能性はあると思いますよ。
ただし、教師から民間企業などに就職するという意識の変化が遅いほど、仕事探しには苦労しやすいでしょう。
ほかの文系学生に出遅れないように、早めの就職活動を始めることを忘れないでください。教育系の企業に限定する必要はありませんが、就職先を決めるときの「自分軸」が決まっていないと、ほかの学部生以上に応募先が決まらないことも珍しくありません。
仕事への価値観はもちろんですが、興味のある業界や業種については早めのリサーチを心掛けてください。
教育学部によくある質問への準備は徹底しておこう
書類審査を通過して面接まで進んだ場合、志望動機など一通りの自己アピールをした後には、教師にならない理由を問われます。
その際には、「なぜ、教育学部を選んだのか?」という質問をされることもあります。教育学部を選んだ理由は正直に答えたうえで、在学中に考えが変わった理由は、エピソードを添えるなどして答えられるように準備しておきましょう。
教育学部におすすめの就職先①公務員
教育学部におすすめの就職先①公務員
- 地方公務員
- 国家公務員
教育学部の就活は視野を広げることが大切だと解説しました。ここからは、視野を広げられるよう、どのような就職先があるのか解説していきます。
まずは公務員です。
ここでは教員免許や教育学部で学んだことを活かせる就職先を紹介しますが、教育学部で学んだことに捉われるのではなく、ここで紹介する以外にも関心があるものがあれば調べてみましょう。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
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強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
地方公務員
教育学部におすすめの地方公務員
- 幼稚園教諭
- 小学校教諭
- 中学校教諭
- 高等学校教諭
- 特別支援学校教諭
教育学部におすすめなのは地方公務員です。中でも公立の学校の教師は、教員免許があれば活かすことができます。
公務員はボーナスが支給されたり、雇用が安定していたりなどのメリットがあります。特に教育現場は人手不足で、過酷な労働環境にあるとも言われていますが、最近では部活動における教師の負担を減らす動きがあるなど、改善も見込まれます。
- とはいえ公立教師は忙しい、ブラックと聞きますが、キャリアアドバイザーの目線からは、ずばり教師になることはおすすめですか?
現状は報われない点が多く個人的にはおすすめできない
正直言って、個人的には今はおすすめしていません。字数の関係で詳細には説明できないですが、教員の仕事はいくつかの法律の影響で、労働基準法から外れた特殊ルールになっていて、それぞれの法律の解釈に整合が取れておらず裁判にもなっています。
さらに少子化などがあって、将来性も疑問であり、社会不安やSNSの影響を背景に、保護者や一般市民からの教員に対する要求がエスカレートしてしまっている印象を受けます。
多くの教員は志を持って頑張っていると思いますが、客観的に見てなかなか報われることが少ないのが公務員、教員の仕事になっている気がします。今後の改善には期待していますが、現状では私個人の意見としては責任を持っておすすめはできません。
幼稚園教諭
幼稚園教諭になるまでの流れ
- 大卒予定であれば幼稚園教諭一種免許状、大学院卒予定であれば幼稚園教諭専修免許状を取得
- 教員採用試験を受ける
- 採用候補者に登録される
- 各幼稚園の採用試験を受ける
教員免許を活かせる一つの職種として、幼稚園教諭があります。幼稚園教諭養成課程で必要科目を履修することで、卒業と同時に幼稚園教諭免許状を取得することが可能です。
大学卒業後幼稚園教諭になるのであれば、幼稚園教諭一種免許状が必要であり、大学院を卒業後幼稚園教諭になる場合は、幼稚園教諭専修免許状を取得する必要があります。
その後、公立の幼稚園教諭を目指す場合は、都道府県が実施する教員採用試験を受けます。国立または私立幼稚園への就職を希望するのであれば、それぞれの幼稚園でおこなわれる採用試験を受けることになります。
幼稚園教諭は体力的にハードな仕事であり、それに耐えうる「子どもが好き」という思いが強い人が向いています。また、日々子どもに関するさまざまな問題が起こるため、子どもや保護者と丁寧にコミュニケーションを重ね、問題を解決していくことも求められます。
小学校教諭
小学校教諭になるまでの流れ
- 大卒予定であれば小学校教諭一種免許状、大学院卒予定であれば小学校教諭専修免許状を取得
- 教員採用試験を受ける
- 採用候補者に登録される
- 各小学校の採用試験を受ける
教員免許を活かせる仕事として、小学校教諭もあります。小学校教諭免許は普通免許状、特別免許状、臨時免許状に分かれており、普通免許状の中でさらに、卒業区分ごとに専修免許状、一種免許状、二種免許状と分かれています。
多くの人は普通免許状を取得します。普通免許状を取得すると、担当クラスを持ち、児童に全教科教えることが可能です。
免許状を取得した後、教員採用試験を受け、合格すれば小学校教諭になることができます。
小学校教諭は、国語、算数、理科、社会、図工、体育、音楽といったあらゆる教科を1~6年生分教える必要があるため、さまざまなスキルを身に付けなければなりません。また、勉強を教えるだけでなく、「人としてやってはいけないこと」などを教育する必要もあり、小学生の立場に立ちつつ丁寧なコミュニケーションをすることが必要です。
中学校教諭
中学校教諭になるまでの流れ
- 大卒予定であれば中学校教諭一種免許状、大学院卒予定であれば中学校教諭専修免許状を取得
- 教員採用試験を受ける
- 採用候補者に登録される
- 各中学校の採用試験を受ける
教員免許を活かせる職業として、中学校教諭もあります。中学校教諭になる場合、中学校教諭一種、二種、専修免許状のいずれかを取得します。教員免許を取得後、各都道府県や政令指定都市の教員採用試験に合格する必要があります。
採用試験に合格すると、教員採用候補者名簿に載ることができます。さらに面接を経て配属が決まることになります。私立の場合は学校独自に教員採用試験をおこなっており、その前に私学教員適性検査などを受ける必要があります。
中学校教諭は担当する科目が分かれるため、教える分野の知識はしっかりと身に付けましょう。また、中学生は自立心や反抗心が芽生える時期であり、さまざまな問題に立ち向かう熱意や、親身に寄り添うコミュニケーション力が大切です。
高等学校教諭
高等学校教諭になるまでの流れ
- 大卒予定であれば高等学校教諭一種免許状、大学院卒予定であれば高等学校教諭専修免許状を取得
- 教員採用試験を受ける
- 採用候補者に登録される
- 各高等学校の採用試験を受ける
教員免許を活かせる職業の中に、高等学校教諭もあります。高等学校教諭になるには、高等学校教諭一種免許状、専修免許状のいずれかを取得します。中学校教諭と同様、免許を取得後、自治体がおこなう教員採用試験に合格し、教員採用候補者名簿に登録された後、面接を経て教員になることができます。
当然ですが、中学校教諭よりも専門的かつレベルの高い教育をおこなうことになります。科目は国語、数学、地歴、公民、理科、外国語などの普通教科や、工業、商業などの専門教科から選びます。
勉強を教えることに加え、大学受験や就職のための進路相談に乗ったり、部活動や文化祭、体育祭などの学校行事をサポートしたりする必要があり、部活動強豪校では、教師は部活動のサポートに多くの時間を割くことになります。
特別支援学校教諭
特別支援学校教諭になるまでの流れ
- 大卒予定であれば高等学校教諭一種免許状、大学院卒予定であれば高等学校教諭専修免許状を取得
- 特別支援学校教諭免許状を取得
- 教員採用試験を受ける
- 採用候補者に登録される
- 各特別支援学校の採用試験を受ける
特別支援学校とは、障がいを持つ子どもたちへの教育をおこなう学校です。具体的には、ろう学校や盲学校で教員として指導します。
特別支援学校教諭になるには、幼稚園、小学校、中学校、高校のいずれかの教員普通免許状に加えて、特別支援学校教諭の免許状を取得することが原則です。
特別支援学校教諭の免許状を得るには、大学在学中に普通免許を取得後、教員養成系大学に入学し特別支援教育特別専攻科などを修了する、実務経験を積んで大学などで単位を修得する、都道府県教育委員会がおこなう講習を受けるなどの方法があります。
仕事内容としては、心理相談員、栄養士などと連携しながら、一人ひとりにふさわしい学習指導、生活指導をおこないます。特別支援学校教諭になるには、教育に関する専門知識と思いやり、たとえ長い時間がかかっても子どもを理解する熱意や根気強さが大切です。
アドバイザーコメント
隈本 稔
プロフィールを見る教諭になるなら各種類ごとに適性を見極めよう
幼稚園教諭は、幼児に優しく接することができるのはもちろん、想定外の行動を起こしたときに備えられる危機管理ができる人が向いています。両親の対応も含めてストレスが溜まりやすいというデメリットはあります。
小学校教諭は、全教科を教えるのと同時に、生徒に道徳心を学ばせるために自らが模範となれる人に向いています。中学校教諭からは教える科目が限定されます。中学生は精神的に不安定な年齢なので、寄り添いつつも間違いを指摘できる強さがある人が向いています。
高等学校教諭は、科目の専門性はもちろん就職や大学進学などの進路指導も必要になるため、生徒の自主性を尊重しつつサポートできる人が向いているでしょう。1つの教科について専門的な知識が必要になるので、高等学校教諭になるのであれば早めに決断しておきましょう。
小中高の教諭は、公立学校なら地方公務員扱いなので、安定した職業である点はメリットです。ただし、就職時に公務員としての制限事項があり、部活関係で残業が多い場合がある点はデメリットでしょう。
特別支援学校教諭免許など、一般企業で重宝される教員免許もある
特別支援学校教諭は、障がい者についての理解を深めて、相手を否定せずに受け止められる人が向いています。
特別支援学校教諭の免許を持っていると、企業では、障がい者や社員の心理面でのサポートが求められる人事職や総務職などで重宝されるでしょう。
安定した職業に就きたい人は以下の記事も参考にしてみてください。安定した職業と実情をまとめています。
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11の職業|安定した職業の知っておくべき実情と就職する3つのコツ
「安定した職業に就きたい」「将来性のある仕事がしたい」という人に向けて、記事ではキャリアコンサルタントとともに安定した職業11選を紹介します。就職を決める前に知っておくべき情報も解説しているので、ぜひ仕事探しの参考にしてくださいね。
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まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
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まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
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国家公務員
教員になるために必要な教員採用試験は、国家公務員の試験と似ている部分があります。そのため、教育学部で教員を目指している人には、大変な道のりですが、国家公務員との併願もおすすめです。
国家公務員には、文部科学省や教育委員会などがあり、教育業界を根本から支えたい、変えたいと考える人に合っているといえます。
国家公務員には「総合職」と「一般職」としての採用があり、総合職は「キャリア」とも呼ばれ、政策立案や国会質問の準備など、国政にかかわります。
一般職は、総合職が定めた政策を実際に執りおこなう職種です。たとえば地方の機関や管区内の本局、事務局にて、政策の執行役を担います。住民の生活サポート対応、電話応対などをおこなうこともあります。
- 国家公務員になりたいと考えていますが、教員採用試験と両立できるか不安です。
国家公務員と教員採用試験対策は重複する部分が多い
両方とも個別に見ると大変なイメージがあると思いますが、試験対策は重複する点も多いので、イメージよりは両立しやすいと思います。
また、最終的に公務員と教員のどちらになったとしてもムダな準備にはならないでしょう。なぜなら、一般企業との併願に比べ、面接対策や適性検査など、筆記試験以外の対策ポイントも近い内容のものになるので、応用の利く対策ができるからです。
それなりに時間はかかると思いますが、計画的に進めてみてください。
民間企業と公務員を併願することもあるかもしれません。その場合はこちらの記事でうまく進めるやり方を解説しているので、チェックしてくださいね。
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公務員と民間企業の併願で共倒れ? 状況別で両立のコツを解説
公務員と民間企業の併願は可能です。まずは併願するメリットデメリットを理解しましょう。この記事では公務員と民間企業を併願するためのコツをキャリアコンサルタントが解説します。
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教育学部におすすめの就職先②一般企業
教育学部は教師などの公務員だけでなく、一般企業に就職することももちろん可能です。
ここからは、教育学部におすすめの就職先として、教育学部で学んだことを活かせる業界を中心に紹介します。
ですが、ここで紹介する以外にも、幅広く業界を受けることが可能なので、参考にしつつ視野を広く持って企業を選びましょう。
業界①出版業界
出版業界とは
本や雑誌、漫画などの出版物を企画、制作する業界
教育学部で培った知識を活かせる業界の1つに、出版業界があります。出版業界に就職すれば、たとえば以下の出版物を通して、教育に携わることができます。
教育に携われる出版物の例
- 教科書
- 図鑑
- 受験対策本
- 資格対策本
- 教師や親向けの教育ガイド
たとえば編集職になると、教育に関するコンテンツの企画を考え、ライターやデザイナーを手配し、出版物を作ることが可能です。
教育そのものをおこなうわけではありませんが、「人々が学習しやすい教材はどのようなものだろう」と考え、形にしていく過程にやりがいを感じられる仕事といえます。
教育学部が出版業界に就職するメリットは、学んできたことを専門的に活かす機会が多いという点です。
ただ、デメリットとして、専門的な仕事になるため、キャリアチェンジを考えた時に、少し苦労が多くなることが挙げられます。
出版業界に就職したい人は、こちらの記事で就職活動の進め方を解説しているので、参考にしてくださいね。
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業界②コンサルティング業界
コンサルティング業界とは
企業が抱えるさまざまな問題を解決する業界であり、特定の事業に特化した事業会社とは区別される
コンサルティング業界は、顧客となる企業に対し、課題解決のための提案をおこない、より良い企業形態や環境を作っていくものです。
顧客の問題を発見し、解決して成長させるため、言い換えればコンサルティングは顧客の教育です。そのため、教育学部で培った教育に関する知識を活かすことができるといえます。
また、公立、私立、教育員会などを対象にコンサルティングをおこなう、教育業界向けのコンサルティング企業もあります。そこでは、教育理念の見直しや、カリキュラムの提案などをおこないます。教育環境をより良くしたいと考える人におすすめです。
コンサルティング業界を目指す場合、教育実習などで人の話や表情から考えを読み取る経験があれば、選考で伝えると良いです。
コンサル対象の顧客は何らかの悩みや問題を抱えているため、人々からそれらを聞き出した経験があると重宝されます。
コンサルティング業界を志望する場合は、こちらの記事を参考に志望動機を作成しましょう。
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業界③人材業界
人材業界とは
人材を求める企業と、就職先を求める求職者をつなぐ業界。求職者側には企業の紹介をおこなったり、就職のためのサポートをする。企業側には応募者を集めるための施策提案などをおこなう
人材業界とは、求職者と企業をつなぐ仕事であり、特に求職者側に施すサービスは教育と通じるところがあります。
たとえば、仕事内容の1つに、求職者が企業から内定をもらえるよう、自己分析の方法や、面接でのアピール方法などを教えることがあり、人材業界は「求職者を教育する」面があるといえます。
また、人材業界は、就活や転職など、人生の転機に携わります。教育も、子どもたちがより良い人生を歩めるようサポートをすることであり、「人生を支える」という点で、教育業界と人材業界は通じるところがあると考えられますね。
人の成長をサポートする意味で、教育と人材業界のサービスは目的が同じです。答えのある学校教育と答えのないキャリア教育との違いはありますが、やりがいは近いものになります。
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業界④メーカー業界
メーカー業界とは
製造業とも呼ばれ、飲食物、自動車、電化製品など、身の回りの「モノ」を制作し、販売する業界
メーカー業界は、身の回りの「モノ」を制作する業界です。一見教育学部と関係がないように思えるかもしれませんが、おもちゃを作るメーカーは教育学部におすすめです。
特に知育玩具メーカーは、教育学部で培った「子どもの成長をサポートする」知識が重宝されます。子どもが持つ視点や、成長につながる機能などを盛り込み、ビジネスに貢献することが可能です。
教育学部で食育について学んだ学生は、飲食メーカーもおすすめです。人の成長をサポートするために効果的な飲食物の開発に携わるなどの活躍ができます。
メーカーでのモノづくりと教育は通じるところがあります。モノをつくる過程、販売する過程、消費者が使用する過程では、教育学部ならではの「育成」の観点を活かして活躍することができますよ。
業界⑤金融業界
金融業界とは
融資やリスク補填などで、お金を通じて価値提供をおこなうかかわるさまざまな企業を言い、銀行、保険、証券、カード会社などがある
雇用の安定に魅力を感じ教員を志望している人などは、金融業界もおすすめです。金融業界は業界シェアの大きさや、新規参入の難しさから、経営が安定している傾向にあり、雇用の不安定さは少ないといえます。
また、転勤がないことを理由に教員を志望していた人は、地方銀行であれば、転勤もないためおすすめです。
金融業界の企業や職種など、こちらの記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてくださいね。
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業界⑥通信業界
通信業界とは
通信に必要な回線サービスを開発、管理したり、ソフトウェア・ハードウェアを提供する
通信業界と教育のつながりはイメージしづらいかもしれませんが、通信業界は教育関係の事業に挑戦している企業が多くあります。
たとえばソフトバンクは、Pepperをプログラミング教育の教材として提供する事業をおこない、全国の国公立校、私立校合わせて1000以上の学校に導入されています。
IT技術は今後生きていくうえで欠かせないものであり、IT教育に携わりたいと考えるならば、通信業界で教材制作に携わるのもおすすめです。
通信業界を志望する人は、こちらの記事で志望動機の書き方を解説しています。志望する職種別に評価される例文も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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業界⑦教育業界
教育業界とは
塾、予備校、英会話教室など、勉強を教えるスクールや、通信教育を提供する企業をいう
教育学部の知識を活かせる業界として、いわずもがな教育業界もおすすめです。教育業界とは、教鞭を執ったり、通信教育の企画、開発、制作をおこなったりする業界です。
塾などは、現場で指導した後、数年後は本社で企画をおこなったり、営業として働くことも可能なので、さまざまな形で教育に携われる魅力があります。
塾や予備校の講師は学校の先生と異なり教員免許は不要です。「先生より簡単になれるのでは」と思う人もいるかもしれませんが、生徒が集まらない場合は安定した収入は得られないなど厳しい面があることには注意してください。
また、通信教育を提供するBenesseや学研グループでは、教材の企画や制作などを通して「教える」ことに携わることができます。加えて、オンラインなので多くの子どもたちにアプローチすることができるため、その影響力の大きさにやりがいを感じる人は多いのではないでしょうか。
教育業界は教育学部とマッチ度が高い業界なので採用はされやすいでしょう。ただ、教育業界は職種によってはキャリア形成がかなり偏ります。10年後のキャリアも考えたうえで、極力経験できる業務の幅が広い企業選びを心掛けることがおすすめです。
選考通過率がグッと上がる!
就活対策で悩んだらプロンプト集がおすすめ!
✓チャットでできる!模擬面接プロンプト
✓自己PRで使える強み診断プロンプト
職種①人事職
ここからは教育業界におすすめの職種を紹介します。「総合職は嫌だな」「何かのスキルを極めたい」などの理由から、部門別採用を受けようと考えている人は、ぜひチェックしてください。
人事とは
人材の採用や、研修、配属の決定をしたり、福利厚生や給与の管理をおこなう
人事は採用活動をおこなっているイメージを持つ人が多いかもしれませんが、それ以外にも研修の企画や手配をおこなっています。
企業内の人材を教育し、企業で活躍できる人材に育てるための仕事をおこなう人事は、教育学部で学ぶ知識を活かせます。「人をどう動かし、どう成長させるか」といった知識や考え方を活かして活躍することができるのです。
職種②研究職
研究職とは
商品やサービスの開発、管理のため、研究をおこなう職種
研究職は理系のイメージが強いかもしれませんが、教育学系の研究職もあります。たとえば教育委員会には教育研究員がいて、「これからの社会を主体的・創造的に生き抜いていく子どもの育成」のテーマに基づき、各教科の内容や指導方法を研究しています。
教育そのものを深く知りたい、根本から携わり良いものを作り出したいという人は、研究職につくことがおすすめです。
教育学部におすすめのほかの研究職として、新卒求人は非常に少ないと思いますが、行政や民間のシンクタンクで教育研修や社会動態などにかかわるものもあります。
統計や分析の知識は必須になりますが、分野によってはマッチするところがあるかもしれません。
研究職についての詳細な解説や、選考を突破する方法はこちらの記事で解説していますよ。
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研究職ってどんな仕事? 狭き門を勝ち抜くための志望動機例も紹介!
研究職を志望する場合は、仕事内容や適性の理解が必須です。また研究職のメリットデメリットも押さえておきましょう。この記事では研究職に向いている人の特徴や研究職に就くコツをキャリアコンサルタントが解説します。志望動機例文も紹介するので参考にしてください。
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職種③教師
塾講師やスクールなどで教師として教えたり、また企業内講師として、マナー研修、パソコン研修を担当したり、新入社員研修で指導したりする職種もあります。
教育業界で培った教育ノウハウに加えて、専門知識をつければ、教師、講師として活躍できます。
ただ、企業内講師に関しては、入社後すぐに任されることはないため、まず企業で数年就業した後に、人事部などに異動願を出して活躍することになります。
アドバイザーコメント
隈本 稔
プロフィールを見る教育学部と特に関連性の高い業界は「教育」「人材」「出版・広告」
教育学部でのカリキュラムと関連性の深い分野という視点では、以下の3業界がおすすめです。
①教育関連業界
塾や予備校、通信教育、企業研修など、学生から社会人まで幅広い層の教育にかかわる業界はマッチ度が高いでしょう。
生徒にわかりやすく、かつ効率的に学べるためのカリキュラムを構築して実際に教える教師としてはもちろん、通信教育の教材を作成・監修して販売するといった働き方もあります。
②人材サービス業界
就職や転職のサポートはもちろん、人材派遣などの人材サービス業界も教育学部との相性が高いです。就職先や転職先に悩む求職者の悩みに寄り添って、仕事の紹介や応募書類の添削、模擬面接など、内定を得るまで相談者をサポートします。
サポートの過程では、相手に寄り添いながらも時に方針を決めて指導することも必要であり、その際には教育学部で学んだ経験が活用できます。
③出版・広告
出版関係の中でも、特に教科書や参考書などのような教材を作っている会社はマッチ度が高いでしょう。
また、広告業でも教育関連業界の学習商材の販促などでは、購入者のニーズを汲み取った提案ができますね。
回答によっては不利になることも! 教育学部が受けやすい質問
教育学部が受けやすい質問と回答例
教育学部が就活を進めるうえで、避けては通れない質問が多くあります。これに明確な根拠を持って回答しなければ、「人柄がよくわからないな」などとマイナスな印象を残し、不利になることもあります。
ここからは、教育学部が受けやすい質問を回答例とともに解説するので、参考にして面接に臨んでくださいね。
なぜ教育学部を志望したのか
あなたの人柄を知るための質問として、そもそもなぜ教育学部を志望したのかを聞かれることがあります。
法学部や経済学部は「ビジネスに活きる知識をつけられる」など、学ぶ目的のイメージがつきやすいですが、特殊性がある教育学部は、「学んだことを将来どのように活かしたいと思ったのだろう」などと関心を持たれることが多いです。
この質問の回答で、人柄や考え方をアピールできると良いです。回答は以下の例を参考にしてください。
「なぜ教育学部を志望したのか」を聞くことで、企業側は、あなたが教育学という学問に関心を持ったきっかけや、意思決定の仕方を知ろうとしています。
回答例
「なぜ教育学部を志望したのか」の質問に対する回答例
私が教育学部を志望した理由は、教育は、今後の人生で切っても切り離せない重要なものになると感じたためです。
学校教育はもちろんのこと、社会人になってからも、業務や資格取得のための教育を受けたり、自身が教育をおこなうことがあります。教育を通して、人間関係が構築されたり、スキルを身に付けたりと、人や組織が成長するためには欠かせないものです。
今後の人生で切っても切り離せない教育を学べば、どんなフィールドでも活躍できるのではないかと考え、教育学部を志望しました。
上の例文は、自分が教育学部を選んだ理由がわかりやすく語られているので良いですね。
面接官によっては、教育学部では「学校教育」を学ぶと考えていると思うので、「社会人教育」との紐付けに違和感を感じるかもしれません。ここの整合性は説明できるようにしておきましょう。
なぜ教員にならなかったのか
教育学部の学生が受ける最も多い質問が、「なぜ教員にならなかったのか」というものです。「教育学部=教員」のイメージが強いことから、教員にならずに企業に就職しようとしていることに疑問を持たれることがあります。
教員にならなかった理由を回答する際は、「やりたいことがあり、教員では実現できず、企業では達成できると考えた」など前向きな回答をすると良いです。
反対に「教育実習がつらかった」などの後ろ向きな理由を回答してしまうと、「自社は消去法で受けているのかな」とネガティブなイメージを持たれることがあるので注意しましょう。
教育学部は教育実習など、教育の現場に直接かかわりますよね。その経験を経てから企業に就職することを選択している場合、自社に就職したい特別な目的があるのではないかと考えて「なぜ教員にならなかったのか」と聞くことが多いです。
教員にならなかった理由として前向きに回答するには、「今後やりたいこととミスマッチだから」と伝えるのが効果的です。入社後やりたいことの見つけ方や伝え方はこちらの記事で解説しています。
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例文10選|入社後にやりたいことの回答で押さえるべきコツは?
企業が入社後にやりたいことを質問するのは、就活生の希望を知りたい意向が強いためです。入社後にやりたいことを見つけるための方法やどうしても見つからなかったときの対処法をキャリアコンサルタントが解説します。
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回答例
「なぜ教員にならなかったのか」の質問に対する回答例
教員にならない理由としては、教鞭を執りたいというよりも、教育業界を根本から良くしたいという思いが強いためです。
教師は決められたカリキュラム通り指導をすることとなり、教育の抜本的な改革はできないと考えています。
私は高校時代、経済格差により塾に通える人とそうでない人に偏差値の差が生まれていた状況に疑問を持っていました。そこで、そもそも学校教育で必要なことすべてを学べるようにすべきなのではないかと感じ、そのような教育業界の改革に携われる仕事がしたいと考え、教員にはなりませんでした。
上の例文は、「教育」という言葉は同じでも、教員の仕事と教育業界の仕事の違いを端的に述べていて好印象です。「抜本的な改革」という言葉がやや大きい話にはなりますが、志望先の事業に合うのであれば良いアピールになると思います。
教育学部で学んだことは何か
何に目的意識を持ち、どのような学びを得たのかを知るため「教育学部で学んだことは何か」と聞かれることもあります。
教育学部で学べる内容は「教員になるための学問」以外にイメージしにくく、どんな知識を持つ人なのか、具体的に知るために質問をするケースが多いです。
教育学部で学んだことを聞かれた際は、企業に活かせる内容を伝えることを意識しましょう。たとえば教育心理学を学んだ人で、受ける企業の求める人物像が「相手の立場に立ったコミュニケーションをおこなえる人」であれば、「人に教育する時に、伝え方によってどのような心理的変化が生まれるのかを学んだ」などと伝えると良いですね。
- 教育学部で、企業でまったく活かせない内容を学んだ場合、どのように伝えれば良いのでしょうか?
必ず活かせる部分はあるため、教育学部で得たことをかみ砕いてみよう
まず、まったく活かせないことはないので、応募先の企業の業種で必要なスキルなどを調べたうえで、関連づけていくことを意識しましょう。
たとえば営業職では、相手の考えを読み取って、悩みや課題に合った商品・サービスを説明し、契約を取るというのが一般的な業務の流れです。
このことから、営業には「傾聴力」「プレゼン力」「コミュニケーション力」「論理的思考力」などが求められると考えられますね。
それに対して、生徒に寄り添うかかわり方の経験や、わかりやすく説明するために工夫したことなど、教育学部のカリキュラムで直接学んだことや経験によって学んだことを、アピールとして説明できますよ。
回答例
「教育学部で学んだことは何か」の質問に対する回答例
私が教育学部で学んだことは、教育と心理の関係性です。性格のパターン別に、合っている教育方法を分析し、実際にその教育をおこなったときの心理的変化を勉強しました。
そもそもそれを学ぼうと思ったきっかけは、高校時代の野球部の経験にあります。コーチから厳しい指導を受けていましたが、自分を含め、部員はどんな厳しいことを言われてもくじけずに練習し、結果的に都大会で8位を獲得することができました。
引退してから振り返ると、厳しさの中にモチベーションを上げる教育方法があったのではないかと興味深く思い、教育学部で学ぼうと考えました。
学習した結果、性格のパターンはあまり関係なく、指導者と指導を受ける側の信頼関係が大きく影響をしていることがわかりました。普段から誠心誠意指導していることが伝われば、指導を受ける側は指導内容を信じ成長できると理解しました。
この経験から、自分が指導者になる際は特に、誠心誠意相手に向き合うことを心掛けようと感じました。
教育を志す動機も、得られた知見も体験的で具体的な内容なので、実体験からしっかり学ぶことができる人という印象を受けます。
それは仕事上でも重要なスキルであり、再現性の高い行動なので、将来活躍できる可能性を感じさせる内容になっていて良いですね。
学んだことをどう当社で活かすのか
企業が採用したいのは、入社後活躍できる人材です。そこで、「学んだことを当社で活かせるのか」という質問をされることもよくあります。
特に教育学部は、法学部や経済学部などと比べると、学んだことを企業で活かしているイメージを持ちにくいです。なるべく具体的に、学んだことをどう活かして貢献するかを伝えることで、活躍しているイメージを残すようにしましょう。
回答例
「学んだことをどう当社で活かすのか」の質問に対する回答例
教育学部で学んだことを活かし、自身が指導する立場になった際に、相手と信頼関係を構築しつつスピーディーに成長させられる指導ができるのではないかと考えています。
教育学部では、指導する際には信頼関係が重要だと学びました。それを学習後、たとえばサークル活動で後輩に教えるときは、「約束の時間に遅刻しない」「相手の目を見て話す」「不明瞭なことは言わない」など基本的なことを徹底し、信頼を積み重ねました。
後輩からは「〇〇さんが一番信用できる」と言われたこともあり、この、信頼関係を構築して教育をする力を活かし、活躍できるのではないかと考えています。
御社には「家族制度」と、社員が家族のように団結し、指導をしあう制度があると伺いました。そのように人材成長を重視されている御社に、学んだことを活かして貢献できるのではないかと考えます。
学んだことと、それを活かすことを具体的に伝えているので良いですね。
ただ、教育学部で学んだことをいかしつつ、という回答でスタートしているのですが、何を学んだのかということを冒頭で説明しておくことで、後の展開がもっとわかりやすくなります。冒頭での結論を工夫すると良いです。
教育学部が就職活動を進める注意点
教育学部が就職活動を進める注意点
- 教員を目指さない理由としてネガティブな内容を伝えない
- 授業や実習との重複に気を付ける
- 教員採用試験との重複に気を付ける
教育学部が就職活動を進めるうえでついやりがちな失敗があります。これに気を付けなければ、周りの他学部の学生と比べて就活がスムーズに進まないかもしれません。
ここからは、教育学部が就職活動を進めるうえでの注意点を解説するので、「最低限これだけは気を付ける」というつもりで進めましょう。
教員を目指さない理由としてネガティブな内容を伝えない
教育学部の学生が聞かれることの多い「なぜ教員にならないのですか」という質問で、以下のようなネガティブな内容を回答してしまう人がいますが、「忍耐力がない」などのマイナスイメージにつながりやすいため、避けましょう。
教員を目指さない理由として伝えない方が良い内容の例
・教育実習が大変だったから
・教育実習に行きたくないと思ったから
・子どもや保護者の対応が難しそうだと思ったから
「ほかに実現したいことがある」など、前向きな内容を伝えるようにしましょう。
ネガティブな理由を伝えると、入社してからも自分に合わないと感じたら退職するのではないかと判断されかねません。決断した理由はネガティブでも、面接官には将来的な視点を入れたポジティブな理由を伝えましょう。
授業や実習との重複に気を付ける
教育実習のあるカリキュラムの学生は、授業や実習と、就活の重複に気を付けることが大切です。基本的に教育実習は就活を理由に欠席することは難しく、教育実習に重ならないよう就活の予定を組む必要があります。
教育実習は、一般的に卒業年度の5~6月におこなわれる傾向にあります。教育実習と選考の日程が重複する可能性がある場合は、あらかじめ企業に連絡し、理由を説明しつつ日程の調整が可能か聞いてみましょう。
企業の選考日程は企業HPに掲載されているため、確認してくださいね。
教員採用試験との重複に気を付ける
教員免許を取る場合、教員採用試験を受けることになりますが、その準備と就活の重複にも注意が必要です。
各都道府県によって教員採用試験の日程は異なります。東京都であれば以下の日程になっています。詳しくは各都道府県の教育委員会HPをチェックしてみましょう。
東京都の教員採用試験の日程
- 4~5月上旬 出願
- 7月上旬 一次試験
- 8月下旬~9月上旬 二次試験
多くの場合一次試験で筆記試験、二次試験で人物試験、いわゆる面接がおこなわれますが、一次、二次どちらでも筆記試験、人物試験をおこなう場合もあるなど、自治体や学校によって試験内容は異なります。また、音楽の教師などを目指す場合は実技試験も受ける必要があります。
民間企業の就活は3月に情報解禁があり、順次エントリーし、6月から選考開始です。ただ、選考は早期化している傾向にあり、さらに早い準備が必要になることもあります。
勉強と選考対策の両立は大変ですが、真に行きたい企業を見極めて受けるなど、工夫して両立しましょう。
公務員試験と民間企業の試験の両立方法は、こちらの記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてくださいね。
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ピークの時期はずれている
教員採用試験と一般企業の選考の両立は特に難しいポイントですが、教員採用試験のピークは7月以降、一般企業の選考のピークは6月以降とずれています。
教員採用試験の筆記試験の勉強にかかる時間は約600~700時間程度と言われており、筆記試験は約1年かけてコンスタントに勉強しましょう。
そのうえで、人物試験の対策については7月以降からおこなうと割り切り、6月までは一般企業の面接対策に集中するなど、ピークの時期のずれを活かして対策を進めることが大切です。
一般企業は夏採用・秋採用・冬採用もある
民間企業の選考のピークは、6月中旬頃に一度終わりますが、その後夏採用、秋採用、冬採用と選考は続きます。
夏採用・秋採用・冬採用
それぞれ6月末~8月末、9月〜11月末、12月~3月末の期間におこなわれる採用活動
「夏採用以降は良い企業が残っていないんじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、夏採用以降を実施する優良企業は多くあります。
教員採用試験は年1回です。そのため、たとえ6月までの民間企業の選考がうまくいかなかったとしても、いったん教員採用試験に集中し、その後に民間企業の選考を進めれば、きっと後悔なく就活を終えられます。
一般企業の就活で重要な時期に、教育実習が重なることが多くあります。企業側も理解しているので、志望度の高い企業であれば、むしろ先方に早めに相談しながら調整をお願いした方が良いです。有望な学生と見れば相談に乗ってくれます。
教育学部の就職活動は視野を広く持ちつつ就活の軸を明確にして選考を突破しよう
教育学部の就職先は、教員以外にも多くあります。ぜひ視野を広く持ち、さまざまな企業に挑戦してみてください。
ただ注意したいのは、「教育学部=教員になりたい人」というイメージを持たれやすいこと。そのため、選考の際は、「教員になりたくないから仕方なく受けているのでは」などと思われないよう、「その企業でなければならない」という熱意を伝えましょう。
就活の軸を明確に持ち、それを根拠に志望動機や教員にならない理由を伝え、強い思いをアピールして選考を突破しましょう。
アドバイザーコメント
鈴木 洵市
プロフィールを見る教育学部の学生は視野を広く持って就活することが大切
教育学部の学生で、就活を始めようとしている皆さんは、教育学という学問の枠に囚われず、自分の将来の可能性を広げることができる選択をすることをおすすめします。
私の友人で、「教育学部に入学したのだから教育関係の仕事に就かなければいけない」と親に決めつけられて、教育関係の就職先ばかりを志望企業として就職活動をしていた人のことを思い出しました。
この「〇〇なのだから、〇〇しなければならない。」という考え方は自分の可能性の幅を狭めてしまいます。働くということについて、学んだ学問を活かすことができることは良いことですが、それがすべてではありません。
まずは可能性を広く信じ、そこから自分に合った働き方を選択していこう
自分の可能性をどれだけ広くとらえるか、自分に合った働き方ができるかが大切です。これをしっかり考えることで、あなたの人生に良い影響を与えることになります。
自身の自己分析と業界・企業分析をしっかりと実施し、就職活動に臨む準備をおこなえば、おのずと自分のやりたいこと、向いている仕事を選択することができます。学部の枠にとらわれずに、良い就職活動をができるよう応援しています。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/合同会社渡部俊和事務所代表
Toshikazu Watanabe〇会社員時代は人事部。独立後は大学で就職支援を実施する他、企業アドバイザーも経験。採用・媒体・応募者の全ての立場で就職に携わり、3万人以上のコンサルティングの実績
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/性格応用心理士1級
Minoru Kumamoto〇就職・転職サイト「職りんく」運営者。これまで300名以上のキャリア相談を受けた実績。応募書類や採用面接の対策支援をする他、自己分析の考え方セミナーを実施
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/ブルーバード合同会社代表取締役
Junichi Suzuki〇1982年宮城県⽣まれ。⼤学卒業後、上場企業の営業・管理部⾨を経験し、家業を継ぐ。2017年にブルーバードを設⽴し、企業の経営支援などを展開する
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