この記事のまとめ
- 企業側が希望職種を聞く目的を押さえて適切な回答を準備しよう
- マイナス評価を回避するためにも希望職種の書き方・ルールは把握必須
- 例文を参考にして好印象を持たれる希望職種の書き方をマスターしよう
就活の履歴書には、希望職種を書くスペースが設けられているケースがあります。この欄は、文字どおり希望する職種を書くスペースではあるものの、書き方やルール、注意点を押さえなければ採用担当者にマイナスのイメージを持たれてしまいかねません。
しかし、具体的にどのような書き方やルール、注意点があるのか詳しく知らない人もいると思います。
この記事ではキャリアコンサルタントの遠藤さん、杉原さん、古田さんと一緒に履歴書の希望職種の書き方や注意点などを例文付きで解説します。希望職種は履歴書を構成する一部でしかありませんが、評価に影響する可能性もあるため、細部にわたって丁寧に書けるようにしましょう。
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希望職種の正しい書き方を理解し自分の意思を明確に伝えよう
履歴書の「希望職種」欄は、自分がどの職種を希望するのか意思を伝える場ですが、適切な書き方を理解していなければ意向が正確に伝わらないこともあるのです。
希望は100%かなうものではありませんが、適切な書き方やルール、注意点を把握しておくことで、希望がかなう可能性を高められます。
そこでこの記事では、前半で企業側が希望職種を聞く理由や書き方のルールなど、希望職種を書くうえで必要な情報を解説します。まずは前提を押さえて、基本の形を覚えましょう。
そして記事後半では、希望職種を伝える際の例文や注意点を解説します。さらに、就活のプロであるキャリアコンサルタントが「要望をどこまで正直に書いても良いのか」という疑問も解説しているので、最後まで読んで採用担当者に希望職種を適切に伝えられるようにしましょう。
就活ではエントリーシートを提出することが多いですが、履歴書の提出を求められることもあります。
履歴書では、エントリーシートにない「希望職種」欄が志望動機欄と別に設けられているため、自分の希望を適切に伝えるためにも、何をどのように書けば良いのか理解しておきましょう。
履歴書の書き方や提出方法など、基本的なことがまだ曖昧な人もいると思います。履歴書の書き方に自信がない人は、以下の記事を参考にして基本を押さえておきましょう。
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履歴書を書く時間がない時は、「履歴書完全マニュアル」を活用しよう!
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アピールの場ではない? 履歴書における「希望職種」の意味
前提として、履歴書における「希望職種」とは、文字どおり希望する職種を書くスペースを指します。自己PRや志望動機を書く欄は自分を企業にアピールする場所ですが、希望職種欄は自分の希望を企業とすり合わせる役割なので、この違いをしっかり把握しておきましょう。
そして、この「希望職種」には職種だけでなく、勤務地や働き方など、雇用契約を結ぶうえでの条件を記載することも可能です。
すべての希望が通るとは限りませんが、職種以外にも希望があれば「希望職種」の欄に記載しましょう。
上記のように、履歴書には自己PRや志望動機を書く欄が設けられています。希望職種の書き方と併せて、それぞれの書き方についてもおさらいしておきましょう。
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企業側が学生の希望職種を聞く理由・目的
企業側は理由や目的を持って学生の希望職種を聞きます。適切な回答をするためには聞き手の意図を把握するのが近道なので、自分の希望をより伝わりやすくするためにも、まずは企業側の視点を理解しましょう。
ここでは企業側が希望職種を聞く理由を2つ紹介します。回答内容を考える前にチェックしておきましょう。
学生の希望職種を把握して配属先の参考とするため
最終的な配属先は企業側が決定しますが、一般的に配属先を決める際は学生の希望を考慮しています。その人にとって得意なことや好きなことに取り組んだほうが、成果が出る可能性が高いからです。
このように、学生の特性を活かせる仕事に取り組んでもらうためにも、履歴書で希望職種を確認しているのです。
なお、面接でも希望職種を聞かれることがありますが、面接は履歴書の情報をもとに進められるため、事前に把握しておきたいという意図もあります。
配属先は本人の希望を前提に、習得知識や保有スキル、適性検査の結果、人員の配置バランス、望ましいキャリアパスなどから決まります。希望しない部署だとしても、何かしら期待されていると考えましょう。
志望度の高さを確認するため
希望職種が明確であることは、その企業に就職してやりたいことが明確になっていることでもあり、志望度が高い状態ともいえます。企業側は志望度が高い学生を採用したいと考えるため、希望職種は採用する際の判断材料にもなるのです。
なお、希望職種が具体的、かつその企業の実際の働き方に近い内容であるほど、入念な企業研究をしていることをアピールできるので、志望度が高いと判断される可能性も高まるでしょう。
希望職種は自己PRや志望動機を伝える場ではありませんが、工夫次第で志望度の高さをアピールすることもできるのです。
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この4つは押さえよう! 履歴書の希望職種の書き方・ルール
この4つは押さえよう! 履歴書の希望職種の書き方・ルール
- 各企業が定める正式名称で職種を記載する
- なぜその職種を希望するのか簡潔に理由を添える
- 職種以外にも希望条件があれば記載する
- 希望職種欄がない場合は「本人希望記入欄」に記入する
希望職種欄では1〜2文の短い文章で自分の職務希望を表現することになりますが、その書き方にはルールが存在します。このルールを知らずに履歴書を作成すると、希望が伝わりづらくなったり、最悪の場合「履歴書の書き方を事前に調べる時間がなかったのかな」とマイナスな印象になってしまったりすることも考えられるのです。
ここからは履歴書の希望職種の4つの書き方・ルールを解説します。希望が最大限に反映されるよう、書き方やルールはしっかり理解しておきましょう。
①各企業が定める正式名称で職種を記載する
希望職種を記載する際、それがその企業が定める正式名称であるか必ず確認しましょう。万が一職種の名称を誤っていた場合、「企業研究が足りていない」や「注意力が散漫」などのマイナスのイメージを与えてしまうかもしれません。
なお、職種の正式名称は企業によって異なります。企業のホームページ(HP)や採用ページをチェックのうえ、その名称を正しく履歴書に記載しましょう。
職種名は企業側が意味を持って付けたものなので、失礼のないよう必ず正式名称を記載してください。
- HPや採用ページに職種名の記載がない場合でも、正式名称を間違えたら印象が悪くなるのでしょうか?
職種名の記載がない場合は書かなくてもOK
HPや就活サイトの採用ページの募集要項に職種名の記載がない場合、たとえばコース別や職種別採用をしていない企業では、新卒社員は全員総合職かもしれません。その中で、適性に応じて経理や営業などの部署に配属されます。
その場合、自分で適当に考えた職種名を書くのではなく、「貴社規定に従います」と書くのが望ましいです。どのような仕事をしたいかは、志望動機に記載しましょう。
②なぜその職種を希望するのか簡潔に理由を添える
履歴書に希望職種を記載する際は、「なぜその職種を希望するのか」という理由も添えるのがおすすめです。その職種でなければいけない理由や熱意をアピールすることができるからです。
とはいえ、あくまでも希望職種を伝えるスペースであるため、長々と書く必要はありません。以下のように一文ほどで簡潔に記載するようにしましょう。
理由を添えた希望職種の書き方の例文
私は営業職を希望いたします。幼少期から人と話すことが好きで、自身のコミュニケーション能力を活かした仕事をしたいと考えているためです。
このように、簡潔さを意識したうえでその職種を希望する理由も記載するとより熱意が伝わりますよ。
なお、選考では熱意を伝えられる場面が多々あります。特に伝えられるのが面接の逆質問です。効果的な逆質問は以下の記事から把握しておきましょう。
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面接での逆質問72例を紹介。さらに逆質問で意識するべきポイント、NGな質問例などをキャリアコンサルタントとともに解説。「質問は特にありません」から脱却して、逆質問を有意義な機会にしましょう。
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③職種以外にも希望条件があれば記載する
前述のとおり、希望職種の欄には職種以外にも、働くうえでの希望する条件を記載することができます。
たとえば、「家族の介護のために転勤は避けたい」など、職種以外でも希望がある人もいると思います。
ただし、自分の都合の良い働き方をするために嘘を記載するのは良くありません。いずれバレる可能性が高いため、必ず事実を記載するようにしましょう。
履歴書に嘘を記載した場合のリスクは以下の記事で解説しています。絶対におこなってはいけない行為ですが、万が一嘘を書いてしまった場合のリスクも把握しておきましょう。
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記載する際の注意点として、入社1年目の配属先希望は理解できますが、5年後、10年後の希望配属先まで書かれていると少々不安になります。
将来のビジョンを持つのは良いことですが、貪欲とも受け取れる希望を出しすぎるのは要注意です。
こちらのQ&Aでは転勤のない仕事をキャリアコンサルタントが回答しているので併せて参考にしてみてください。
④希望職種欄がない場合は「本人希望記入欄」に記入する
履歴書によっては希望職種欄がないことがあります。希望職種欄がない場合は「本人希望記入欄」に希望する職種や働き方、勤務地などを記載しましょう。「本人希望記入欄」も「希望職種」と同じような役割を持ったスペースです。
なお、書き方やルールについても「希望職種」と同様です。正式名称で職種を記載し、簡単な理由も添えましょう。
希望職種がない場合でも「特になし」のみの記載は避けたほうが無難!
志望先の社風やビジョンに惹かれているなど、「希望する職種や条件が特にない」という人もいると思います。そのような場合は「特になし」と書いたり、空欄のまま提出したりすることがありますが、これらの対応は避けるのが無難です。その企業で働くことに意欲がないように見えてしまったり、記入漏れと判断されてしまったりする可能性があるためです。
希望職種がない場合は「貴社の規定に従います」と記載しましょう。このような記載をすることで、「働く意欲があるが特別希望することはない」という意思を伝えることができます。
- 「貴社の規定に従います」と書くのは投げやりな気がして抵抗があります……。
「貴社の規定に従います」と書いてマイナスになることはない
「貴社の規定に従います」と書いてあっても、私はあまり違和感はないです。希望があるならきちんと主張するでしょうし、希望がないならどういった配属になっても不満に思わないのだろうと判断するからです。逆に細かく書かれると、「面倒だな」と個人的には思ってしまいます。
希望はきちんと出したほうが良いと思いますが、希望が多いと会社に何を期待しているのだろうかと逆に訝しく感じるケースもあります。
「貴社の規定に従います」とは、私は会社が決めた方針に従いますということなので、一種の忠誠心の表われでもあります。会社の決定事項に従うと言っているので、企業側からしたらありがたい文言ではないでしょうか。
以下では、履歴書の本人希望欄に「なし」と記載して良いかどうかについて、就活のプロであるキャリアコンサルタントから適切な行動を回答しています。特に希望することがない人はどのように記載するべきか参考にしましょう。
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状況別! 希望職種を伝える際の例文
状況別! 希望職種を伝える際の例文
ここまでの解説から「希望職種の書き方やルールはわかったけど、具体的にどう書けば良いのかわからない」と疑問を持つ人もいると思います。
ここからは、希望職種を伝える際の例文を状況別で紹介します。自分の状況に似た例文を参考にして、自分なら履歴書にどう記載するかを考えてみましょう。
また、履歴書に記載する場合と面接で話す場合の2つに分けて紹介するので、必要な部分を読み進めてください。
履歴書の場合の例文3選
履歴書の場合の例文3選
履歴書の希望職種欄の具体的な書き方がわからない人は、ほかの人がどのように記載しているか参考にするのがおすすめです。完全に真似をするのは良くないですが、書き方や構成は参考にして問題ありません。
最初に履歴書に記載する場合の例文を3つの状況に分けて紹介します。自分が何を希望するのかを明確にしたうえで、その状況に合った例文を確認していきましょう。
例文①希望職種だけを記入する場合
希望職種だけを記入する場合の例文①
私はマーケティング職を希望いたします。大学でもマーケティングを専門分野として学び、貴社の即戦力となれる自負があるからです。
希望職種だけを記入する場合の例文②
私は営業職を希望いたします。インターンで営業をした経験があり、営業成績で会社に貢献できたという自負があるからです。
例文②希望する条件や勤務地がある場合
希望する条件や勤務地がある場合の例文①
母が要介護者であり、朝と夜は介護をしなければいけないため、勤務地は東京・神奈川のどちらかのみとさせていただければと思います。
希望する条件や勤務地がある場合の例文②
私の両親は他界しており、二人の弟の世話をしなければいけないため、午後6時までの勤務とさせていただければと思います。
希望をどの程度考慮するかは企業によって異なります。自分がその職種以外では働きたくないとか、どうしても譲れない条件があるときでも、職種や条件を「〇〇職を希望します」などと簡潔に記載したうえで、希望が通るかどうか面接で確認しましょう。
例文③健康上の都合がある場合
健康上の都合がある場合の例文①
足に病気を抱えており、長距離の移動が難しいため、貴社のバックオフィス業務への配属を希望いたします。
健康上の都合がある場合の例文②
私自身、心臓に病気を抱えており、実家からの勤務となるため、勤務地は実家から通える愛知県内への勤務、かつオフィスでの業務とさせていただければと思います。
- 健康上の都合を伝えると「この人はバリバリ働けないのではないか」とマイナスの印象を持たれそうで心配です……。
健康上の都合をどう捉えるかは企業によって異なる
人材不足の企業では、業務に差し支えのない範囲であれば採用してくれることもあります。しかし、その基準は企業によるため、どの程度ならOKといった線引きは明言できません。
面接時に、自分がどこまでならできるのか、できる範囲を示したうえで、配属可能なポジションがあるのかを採用担当者と相談していくしかないでしょう。
応募書類に記載する際は、どの程度の症状で完治するものなのか、通院の頻度や定期的な休みが必要かどうかなど、詳細を嘘偽りなく伝えることが大切です。
面接の場合の例文
履歴書で記載した内容をもとに、面接でも口頭で希望職種を聞かれる場合があります。
口頭で伝える際は、履歴書で書いた内容より「なぜその職種を希望するのか」という理由の部分を長めに伝えても問題ありません。履歴書で書き切れなかった職種への思いを面接官に伝えましょう。
面接の場合の例文
私は営業職を希望します。
学生時代にインターンで営業職を経験したのですが、その会社の上司に「いくら魅力的な商品を作っても、作っただけでは意味がない。営業職がその魅力を届けなければいけない」と言われ、非常に感銘を受けました。
そのなかで、御社の商品は非常に魅力的で私も幼少期から使用しています。この魅力をより多くの人に届けたいと思い、営業職を希望いたしました。
御社に入社後は、ただ魅力を伝えるだけでなく、提案先の企業に合った商品を提案して導入していただけるよう努めたいです。
面接で希望職種を伝える際は、志望動機を伝える構成を意識すると正しく相手に伝わるようになります。以下の記事で志望動機の伝え方をおさらいしておきましょう。
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面接の志望動機の答え方を10例文で解説! 書類と同じ対策はNG
面接の志望動機は、書類よりも深掘りをした内容にすることが重要です。面接で志望動機を答えるための3つの構成を理解し、4ステップで面接の志望動機を考えましょう。回答例文や伝え方のコツを踏まえてキャリアコンサルタントが解説します。
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就活のプロが解説! 希望職種はどこまで要望を書いてもOK?
ここまでの解説で、希望職種欄には職種以外にも働き方や勤務地についても書いて良いということは理解できたかと思います。しかし、「希望」と言えど、どこまでの希望なら書いて良いのかわからないと疑問を持つ人もいるでしょう。
そこで、就活のプロであるキャリアコンサルタントの遠藤さんに、希望職種ではどこまで要望を書いて良いのか聞いてみました。希望職種に書いても良い範囲に疑問を持っている人は参考にしてください。
アドバイザーコメント
遠藤 美穂子
プロフィールを見る希望職種欄の役割から考えて書く内容を精査しよう
一般的な履歴書の本人希望記入欄には、「特に給料・職種・勤務時間・勤務地・その他についての希望などがあれば記入」と但し書きがついていることが多いです。
基本的にこの欄はアピールや意欲を伝える場所ではなく、健康面で必要な配慮や、中途採用で専門的な職種に応募していることや希望待遇を伝えたりするものです。そのため、大学制定の履歴書には「本人希望記入欄」の代わりに、「自由記述欄」や「備考(本人希望等)」という欄があります。
要望を書きすぎず会社への思いは志望動機や面接で伝えよう
新卒の就活生としては、コース別採用や職種別採用が明確な場合は自身の応募するコースや職種を記載しますが、特にない場合は定型の言い回しとして「貴社の規定に従います」と書いておけば十分です。
たとえば総合職として入社し、企画の仕事に就きたいのであれば、志望動機欄で「将来的に企画の業務に携わりたい」というように希望を伝えます。
気を付けたいのが、勤務地の希望です。全国転勤が前提の採用条件であれば、たとえ希望の地域があったとしても履歴書に明記しないほうが良いでしょう。
特定の地域や本社勤務にこだわりがあるならば、地域限定職の募集や地方支店のない企業を選ぶと良いです。
細部までこだわろう! 履歴書で希望職種を書く際の注意点
細部までこだわろう! 履歴書で希望職種を書く際の注意点
- 募集要項とは異なる給与や待遇などの希望は避ける
- 謙虚さがない文章にならないようにする
- 複数の職種を希望する場合はそれぞれの理由を明確にする
前述のとおり、希望職種は履歴書における一部でしかありませんが、ここを蔑ろにすると場合によってはマイナスイメージを持たれる可能性があります。細部までこだわって丁寧に書くことが大切です。
ここからは、履歴書で希望職種を書く際の注意点を解説します。不本意に悪いイメージを持たれないよう注意点はしっかり把握しておきましょう。
募集要項とは異なる給与や待遇などの希望は避ける
「これくらい給料をもらいたい」など、給与や待遇について希望がある人は多くいるでしょう。しかし給与や待遇は募集要項に記載があり、応募する人はそれに同意したとみなされるため、募集要項とは異なる希望を書くことは避けましょう。
そもそも、給与や待遇については希望職種欄には書かないのが無難です。理由や根拠がなければ、ただのわがままととらえられてしまうリスクがあるからです。
給与や待遇に関する交渉は面接でおこなえるケースがあるため、伝えておきたい希望がある人はその際に話し合うのが適切です。
上記のような給与や待遇面の条件のすり合わせには、オファー面談を活用しましょう。以下の記事では、オファー面談で聞いておきたい質問集を紹介しています。
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謙虚さがない文章にならないようにする
履歴書に希望職種を書くにあたって、謙虚さを忘れてはいけません。企業側は職種や働き方、勤務地に関する情報を提示したうえで募集しています。そのうえで自分の希望を伝えるため、謙虚でなくてはなりません。
そもそも、社会人として働く際、謙虚さがなければ失礼になる場面が多々あります。謙虚さがない文章は「社会人としての能力が足りない」と判断されてマイナスのイメージを持たれる可能性があるため注意が必要です。
「自分の希望を聞いてもらえる」という謙虚な気持ちを持って、希望職種の文章を作成しましょう。
就活において、マイナスのイメージを持たれないためにもマナーを守ることは必須です。以下の記事も併せて確認しておきましょう。
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複数の職種を希望する場合はそれぞれの理由を明確にする
複数の職種を希望していて、履歴書を書く段階ではどれかに絞ることができないという人もいると思います。履歴書を書く段階では複数の職種を希望する際は、それぞれ「なぜ希望するのか」という理由を明確に記載しましょう。
理由なく複数の職種を希望している場合、自分の就活に関する軸が明確でないと判断され、「自己分析が足りない」や「企業研究をしていない」などのマイナスのイメージを持たれる可能性があります。自己分析や企業研究をしたうえで複数の職種を希望することをアピールするためにも、それぞれの理由は明確にしましょう。
複数の職種を希望する人に対しては、まだ働くイメージができていない、あるいは仕事理解が十分ではないように感じます。
しかし、気にするほどのネガティブな印象にはならないでしょう。やってみたいことがいろいろあるのは、若者らしいと思いますね。
自己分析の具体的な方法がわからない人もいると思います。以下の記事では効果的な自己分析の方法を解説しているので、基本のやり方がわからないという人は参考にしてください。
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また、企業研究にも正しいやり方があります。具体的な方法がわからない人はこちらの記事を読んでおきましょう。
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企業分析には自分に合った企業が見つかるなどのメリットが多くあります。また集めた企業情報をうまく活用することで、就活を効率的に進めることができますよ。この記事では、企業分析の正しいやり方から効率化のコツまでキャリアコンサルタントとともに徹底解説します。
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そもそも複数の職種を希望して良いか事前に確認するのがおすすめ
そもそも複数の職種を希望することができるかどうかは、企業によって異なります。「選考を進めるなかであなたに合う職種を見つけていく」というスタンスの企業もあれば、「履歴書を提出する段階で希望職種は絞ってほしい」という考えの企業もあります。
複数の職種を希望する人は、履歴書を作成する前に事前に志望先に確認しておきましょう。
なお、事前に相談することでマイナスの評価を付けられることはほとんどないため安心してください。仕事をするうえで事前に双方の認識を擦り合わせておくことは重要であり、事前の相談は社会人にも必要な能力だからです。
希望職種に限らず履歴書を書く際に不明点があり、調べても解決できないものであれば事前に聞いておきましょう。
志望先の担当者に確認する以外にも、その会社のOB・OGに確認するという方法もあります。OB・OG訪問のやり方がわからない人は、以下の記事を参考にしてみてください。
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転職者はここも確認! 在職中の場合は連絡可能な時間帯も記載しよう
この記事を読んでいる人の中には、転職の履歴書を作成しようとしている人もいると思います。
会社に在籍しながら転職活動をする場合は特に、自分の勤務時間と志望先の営業時間が被っていることも考えられます。勤務中は必ずしも電話に出られるとは限らないため、より確実に連絡が取れるよう、希望欄に連絡可能な時間帯も記載しておきましょう。
記載しないことでマイナスな印象になるわけではないですが、双方がよりスムーズにやり取りができるように配慮することも重要です。
転職の場合は、すでに社会経験がある程度はあるので、「◯◯の経験があるのため、△△を希望します」や、「◯◯に新しく挑戦したいため、△△を希望します」といったように、一言理由を添えて書くと希望が伝わりやすくなりますよ。
転職活動について、全体像がまだ把握できてないという人は以下の記事もおすすめです。転職活動の流れやコツを参考にして、理想のキャリアに近付きましょう。
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希望職種でも好印象になる書き方を理解して書類選考を突破しよう
希望職種の欄には希望することを何でも書いて良いというわけではありません。書いて良いことや書き方など、社会人として守らなければいけないルールがあります。不本意にマイナスの評価を付けられないよう、書き方やルールはしっかり把握しておいてくださいね。
そして、この記事を参考に好印象を残せる書き方をマスターして、書類選考突破を目指しましょう。
アドバイザーコメント
杉原 美佐子
プロフィールを見る希望職種を伝える際の注意点を理解して希望を正しく伝えよう
希望職種を迷わず書ける人は、やりたいことがはっきりしている人か、よくわからないけどとりあえずこれでいいやと仕事にこだわりがない人ではないでしょうか。それぞれ注意点をしっかり理解して伝えることが大切です。
意思決定している場合、あまりにも強くメッセージを伝えてしまうことで、希望が通らないときにやりたい仕事と違うと言って離職するのではといった懸念を与えないように気を付けましょう。
仕事にこだわりがない人は、むしろ度胸があって良いと思います。やってみないとわからないことは多いので、一定の割り切りが必要です。その挑戦心を伝えましょう。
職種をなかなか決められない人は、自分のやりたいことがぼんやりしていて、仕事理解も今一つピンときていないのではないでしょうか。悩むのは当然ですが、悩みすぎは禁物です。実際の仕事は正解がないことが多く、どこかで決断するようにしないと仕事が進まなくなってしまうためです。
希望職種は肩の力を抜いて柔軟に考えよう
職種は仕事上の役割の一つです。ともかく入社したら何らかの役割を担う必要があります。希望外だったとしても一生同じ仕事が続くとは限りません。2〜3年経験してみようと考えて、肩の力を抜きましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Mihoko Endo〇メガバンクで法人営業や新人研修講師、採用面接に携わる。現在は「その人らしさを引き出すカウンセリング」をモットーに、大学での就活支援、社会人向けキャリア開発研修をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士
Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/上級心理カウンセラー
Fumiko Furuta〇キャリアに関する記事の執筆・監修や、転職フェアの講演、キャリア相談、企業や学校でのセミナー講師など幅広く活動。キャリア教育に関心があり、学童クラブの支援員も務める
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