履歴書の一番最後にある特記事項(本人希望記入欄)。「履歴書の特記事項は何を書けばいいんだろう……」「空白で提出してもいいのかな」と疑問を感じる人は多いです。
履歴書の特記事項欄を空白で提出すると、それだけで意図せずマイナスな印象を与え、書類選考に落ちてしまう可能性があります。特記事項で伝えるべき内容や正しい書き方を知っておけば、むしろ書類選考の通過率をアップさせることも可能です。
この記事では、キャリアアドバイザーの鈴木さん、柴田さん、杉原さんによる企業サイドからのアドバイスを交えつつ、履歴書の特記事項で押さえておくべきポイントや注意点を解説します。履歴書の特記事項をスムーズに完成させ、内定率をアップさせたい人はぜひチェックしておいてくださいね。
本選考前に必ず使ってほしい厳選資料ランキング
履歴書の特記事項で空欄や「特になし」はNG! 書き方のポイントをマスターしよう
履歴書の末尾にある特記事項は、ガクチカや志望動機のようにテーマが決まっているわけではありません。何を書けば良いのかわからず、空欄や「特になし」と記載すれば良いと考える人もいます。
しかし、履歴書の特記事項を空欄や「特になし」で済ませると、書類選考の通過率を下げてしまう可能性があります。
この記事ではまず、履歴書の特記事項で押さえておくべき企業の目的や意図を説明。企業側の視点を把握しておけば、どのように特記事項欄を書けば良いかコツをつかみやすくなります。
次に、特記事項欄の基本の書き方と状況別の例文9パターンを紹介。今回紹介する状況に当てはまる場合は、履歴書の特記事項に必ず記載しておきましょう。特筆すべき点がない場合も、正しい書き方をすることでプラスの印象につながる可能性があります。
記事の後半では、特記事項欄でのNG例や注意点も紹介するので、質の高い履歴書を完成させ書類選考通過率を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
そもそも履歴書の正しい書き方がわからない人は以下の記事を参考にしてみてください。提出時の注意点も併せて解説しています。
失敗しない履歴書の書き方をプロが解説! 提出時の注意点も
次の記事で、履歴書の空欄がNGな理由をより詳しく紹介しています。履歴書の書き方のコツも項目別で解説しているので、ぜひ併せて読んでみてくださいね。
履歴書の空欄はNG? 採用担当が印象や合否への影響を徹底解説
新卒が履歴書を書くうえで押さえておくべき全体的なポイントは以下の記事で解説しているので、併せてチェックしてみてくださいね。
新卒用履歴書の書き方完全版|よくある失敗や受け渡しのマナーも解説
履歴書で志望動機を伝えるコツについては、以下の記事で詳しく説明しているので、併せてチェックしてみてください。
例文10選|新卒用履歴書の志望動機の基本と盛り込むべき6要素
また、大学生が履歴書で学歴を書く際のチェックポイントは、以下の記事から確認してみてくださいね。
大学生・院生必見! 履歴書の学歴欄の正しい書き方とは?
履歴書の特記事項とは
特記事項は履歴書の末尾に配置されていて、自身の特別な事情や要望を企業に事前に伝えるための項目です。履歴書の書式によっては「通信欄」や「本人希望欄」という名称で書かれていますが、特記事項と同じ意味であると理解しておけば問題ありません。
採用担当者にあらかじめ知っておいてほしい内容を特記事項欄に記載することで、企業側はあなたの事情を把握し、入社後に滞りなく業務を進められるかどうかを事前に検討できます。
企業側と学生側の双方が納得しスムーズに選考を進めるためにも、特別な事情がある場合は特記事項への記載が大切であると理解しておきましょう。
履歴書の特記事項で押さえておくべき企業の目的・意図
履歴書の特記事項で押さえておくべき企業の目的・意図
- 入社後のトラブルをなくしたい
- 特別な事情を把握したい
- できるだけ多くのアピールポイントを知りたい
企業がどのような視点で履歴書の特記事項欄を見ているのかを理解することで、企業が重視する情報を明確に示すことができ、書類選考の成功率が上がります。
以降では、特記事項欄を記入する際に押さえておくべき企業の目的や意図を説明します。
入社後のトラブルをなくしたい
企業は採用活動の段階で学生の特別な事情を把握しておかないと、入社後にトラブルが生じ、企業にとって損失となります。
たとえば、持病により体力仕事が難しいことが入社後に発覚した場合は、退職せざるを得ない可能性があります。学生を採用するためには多くのコストがかかるため、社員の退職は大きな損失です。
ミスマッチを防ぎ入社後のトラブル回避に努めることは、企業側と学生側の双方にとって重要なポイントです。社員には長期的に働いてほしいと考えているからこそ、業務を円滑に進めるうえで想定されるリスクをあらかじめ把握したい意図があります。
特別な事情を把握したい
企業にとっては、社員が滞りなく業務を進められる環境を整えることも、重要な取り組みの一つです。企業側は、特記事項欄で学生の特別な事情をあらかじめ把握し、可能な限り社員が働きやすくなるように配慮したいと考えています。
社員が働きやすいと感じる環境が整えば社員のモチベーション向上につながり、企業の生産性が向上します。結果として企業が利益を上げればより働きやすい職場環境づくりや給与アップにつながり、社員の定着率も上がるのです。
このように、履歴書の特記事項に特別な事情を記載しておくことは、学生側と企業側の双方にとって大きなメリットとなります。
特記事項として書くべき内容や記載例9パターンは、記事の中盤で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
学生が特記事項欄で特別な事情を伝えないと、企業は学生の適切な評価ができないというデメリットを被る可能性があります。たとえば健康面での配慮ができないといったことです。
また学生も、企業から意図せず誤解をされてしまうかもしれません。
できるだけ多くのアピールポイントを知りたい
履歴書の定型的な項目のみからでは、学生の情報を正確に把握し切れないことが多いです。そこで、ほかの欄で書けないことを補足として特記事項欄に記載すれば、企業はあなたのアピールポイントをより多く知ることができます。
たとえば、履歴書には「免許・資格欄」がありますが、取得に向けて勉強中の資格を記載することはできません。
一方で、特記事項欄の場合は書き方のルールが明確に決まっているわけではないため、「◯◯資格 取得予定」のように勉強中の資格に関する記載も可能です。
このように、一般的な履歴書の記入項目からは把握が難しい学生のアピールポイントを特記事項欄で知りたいという企業の意図があります。
- 履歴書の特記事項欄でアピールポイントが記載されていると好印象ですか?
ほかの欄も考慮しながら記載するかしないかを選んだ方が良い
一概には言えませんが、たとえば厚生労働省フォーマットやJIS規格に基づいた履歴書の本人希望記入欄には、「給料、職種、勤務時間、勤務地、そのほかについての希望などがあれば記入」とあります。
また、アピールポイントについてはその欄の上にある志望動機などを書くスペースに記述するようになっているので、そちらを利用した方が良いでしょう。
採用担当者によっては、求められた書式に正しく記載ができているかをチェックしている人もいます。書くべきところではない箇所に記述があると、「注意力がないのでは」という印象を残してしまう場合もあるので気を付けましょう。
履歴書の資格欄の正しい書き方については以下の記事で詳しく解説しているので、アピールしたい資格がある人はチェックしておいてくださいね。
履歴書の資格欄で好印象を残すには? 書き方から疑問点まで完全網羅
TOEICやそのほかの英語資格を履歴書でアピールしたい人のために、以下の記事で正しい書き方や例文を解説しています。
履歴書に書けるTOEICの最低点は? 書き方がわかる例文付き
自己PRが思いつかない人は
ChatGPTを活用して自己PRを完成させよう
自己PRはESや面接でよく聞かれる質問の一つ。
しかし、「自己PRが全然思いつかない......」「自己PRを考える時間がない......」対策が思うように進んでいない人も多いのではないでしょうか?
そこで活用してほしいのが、「Chat GPT 自己PR作成ツール」です。簡単な質問に答えるだけで、Chat GPTが選考で活用できる自己PRを自動で作成します。
自己PRが思いつかない人や、忙しくて自己PRを考える時間がない人は、まずはツールを使ってみることをおすすめします!
履歴書の特記事項の基本の書き方
特記事項欄は重要な項目ではあるものの、あくまで履歴書の補足的な役割のため、できるかぎりシンプルに書くのが基本です。
企業は多くの学生の履歴書に目を通すため、すみずみまで読んでくれるとは限りません。内容にもよりますが、可能であれば箇条書きで表現するよう意識しましょう。
履歴書の特記事項欄における箇条書きの記載例
- プログラミングスキル学習中:Python、Java
- ボランティア活動を継続中(地元の環境清掃活動に参加)
- 貴社規定に従います
特記事項で自分をアピールしたい場合は、業務の内容に直結する内容を記載し、自己紹介の一部として有効に活用してください。
特別に書く内容がなければ、「貴社規定に従います」と一言だけ記載しましょう。
アドバイザーコメント
杉原 美佐子
プロフィールを見る枠内にバランス良く書いて見栄えを整えよう
基本的なことですが、履歴書の見栄えは非常に重要です。相手は何百という履歴書を見るので、読みやすい、読みたくなる履歴書を作成しなければなりません。一目見てきれいと思える履歴書が良いですね。まずは読んでもらえる履歴書を作成しましょう。
パソコンで作成しようと手書きで作成しようと、どちらであっても美しく仕上げるコツは同じです。書き出し位置をそろえ、文字の大きさやフォントを統一するようにしてください。
特に特記事項は記入する欄に比較的スペースがあるので、「貴社規定に従います」の1文であっても枠内にバランスよく書きましょう。細部まで手を抜かないことで、神経を使って履歴書を作成していることが伝わります。
枠内に小さい文字で多く書くのは悪い印象になる
特記事項にはいろいろ書けるので、小さな字で枠内いっぱいにあれこれと書いてしまいがちです。しかし、これはおすすめしません。読みにくいだけでなく、だらだらと長い文章は話の要点を整理できないタイプと判断されます。
枠の上下左右の空白、行間を空けるようにして、相手にとって読みやすい履歴書を作成しましょう。
また、履歴書を提出する際は誤字がないかしっかりチェックしておくことが大切です。誤字を発見した際の対処法については以下の記事で解説しています。
履歴書の誤字を見つけても焦らないで! 挽回できる方法を解説
ミスなく質の高い履歴書を作成するには、下書きの活用がポイントです。効率良く履歴書を完成させるためにも、以下の記事をぜひ参考にしてください。
履歴書の下書きはメリット大! ミスを防ぐ書き方5ステップを解説
履歴書の文字の大きさも、読みやすさに影響するため注意が必要です。以下の記事でポイントを解説しているので、ぜひ確認しておきましょう。
履歴書のベストな文字の大きさは? パソコンと手書き別に解説
履歴書に書く日付に迷う人もいるでしょう。以下の記事では正しい日付の書き方を説明しているので、併せてチェックしてみてください。
履歴書の日付は提出方法によって異なる! 正しい書き方を解説
履歴書の特記事項の状況別例文9選!
履歴書の特記事項の状況別例文9選
特記事項欄で何をどのように書くべきかは、あなたの状況や目指す職種、企業によって異なるため、具体的な例文を通じて理解を深めることが大切です。
以下では、履歴書の特記事項欄にどのように書くべきかを9つの例文で解説します。
持病や勤務地にかかわる内容などさまざまな状況に対応した記載例を具体的に説明するので、自身に当てはまるか確認しながら読み進めてください。
持病がある場合
持病がある場合には、その病気の種類と、考えられる業務上の制限を明確に伝えることが重要です。企業は社員が健康的に働けるように、人員配置や環境整備に努めます。入社後にストレスなく働き続けるためにも、持病は隠さず伝えましょう。
持病がある場合の記載例は以下の通りです。
持病がある場合の記載例
- 喘息持ちのため、負荷の高い動きは長時間継続できません
- 糖尿病に罹患しており、毎月1回以上の通院が必要です
- 聴力に問題があり、補聴器を必要とする難聴です
持病があるにもかかわらず、特記事項で記載せず入社後に発覚すると、大きなトラブルの原因となり、場合によっては退職を迫られる可能性もあります。
ネガティブな内容は伏せておきたいと感じる人も多いかも知れませんが、罪悪感なく入社後に気持ちよく働くためにも、持病がある場合はしっかり伝えておきましょう。
- 持病を素直に伝えると選考が不利になりそうです。どんな内容でも正直に書いたほうが良いのでしょうか?
持病を伝えることでリスクの軽減につながる
持病については、素直に伝えることをおすすめします。なぜなら、持病が原因で入社後に割り振られた仕事ができないといったリスクを防ぐためです。
また、企業にとっても、入社後の配属を決める際に役立つ情報になります。このことから、履歴書の特記事項欄を活用し、企業に自分の状況を伝えるようにしましょう。
うつ病にかかっているものの、面接で伝えると落ちてしまうのではないか……と懸念がある人は、以下のQ&Aでキャリアコンサルタントがその悩みに回答しているので、併せてチェックしてくださいね。
連絡を取れる時間帯が限られる場合
企業との連絡は面接のセッティングや入社後の調整といった際に必要となります。スムーズなコミュニケーションをとるためにも、連絡を取れる時間帯が限られる場合は時間帯を明確に伝えることが大切です。
ただし新卒の学生の場合、あえて記載する必要はないケースがほとんどです。家庭の事情やイレギュラーなライフスタイルなどにより連絡を取れない時間帯がある場合は、以下のように記載しましょう。
連絡を取れる時間帯が限られる場合の記載例
- 在宅介護をおこなっているため、午前中は連絡が難しい状況です
- 夜間の学校に通っており、平日の18:00以降は連絡が取れません
自身の事情を適切に伝えて情報を共有することで、企業も連絡を取るための適切な時間帯を設定することができ、結果的に企業との良好な関係を保つことにつながります。
連絡がつかない相手に何度も電話やメールをするのは面倒ですよね。企業も同じです。連絡が取れる時間帯を事前に伝え、相手に余計な手間をかけさせないようにしましょう。仕事には効率だけでなく、相手のことを考える思いやりが必要ですよ。
希望職種が明確な場合
企業は、個々の能力をできるだけ考慮して人員配置をするために、学生の希望や本音を把握したいと思っています。特定の職種などに強い希望がある場合は、その旨を明確に伝えましょう。
希望職種が明確な場合の記載例
- 独学でプログラミングを学んでおり、貴社のエンジニアとして活躍することを希望します
- 人とかかわることが好きなので、顧客と近い距離で働ける仕事ができたらと思っています
自身の希望職種を伝えることは大切ですが、「アプリを開発する仕事がしたいです」といった限定的すぎる希望は避けましょう。将来のキャリアを積むためには、ある程度広い視野が必要です。
柔軟に学びや経験を得て活躍につなげるためにも、希望職種を示す際は「エンジニア」「技術職」といった比較的広い領域で希望を指定するよう意識してみてください。
また、1つの企業が複数の職種で求人を出していて、特に職種にこだわりがない場合は「いずれの職種も可能です」と書くのも有効です。
どういった職種の仕事があるのかイメージがわかない人は、以下の記事で職種一覧を解説しているので、併せて参考にしてください。
職種の種類一覧を徹底解説! 業種・業界・職業との違いも押さえよう
- 総合職でも、履歴書の特記事項に希望職種を書いておけば、企業側はその職種での採用を検討してくれますか?
希望職種を書いてその理由を面接で伝えられるように準備しておこう
希望する職種が明確で、入社後すぐにその職種に就きたいのであれば、書いておきましょう。希望職種を記入する欄がないのにあえて書いたのであれば、ほとんどの採用担当者はその理由を尋ねるはずです。
希望職種を書くなら、その職種への熱意や適性などを十分アピールできるように準備しておいてくださいね。仕事内容をしっかりと把握したうえで志望した理由を述べれば、好印象にもなりますよ。
引越しの予定がある場合
入社後の居住地は、仕事への通勤時間や生活環境などに大きく影響します。
家庭の事情などにより引越し予定があり居住地に制限がかかる場合は、特記事項欄で伝えておきましょう。場合によっては、業務開始日を可能な限り考慮してもらえます。
引越しの予定がある場合の記載例
- 家庭の事情により5月まで引越しできないため、それまで遠隔での仕事を希望します。引越し後はオフィスでの勤務も可能です
- 家族の都合で近くの地方に引っ越す予定があり、現地での勤務や遠隔勤務に関心があります
引越しの予定を正直に伝えることで、各種事務手続きや新入社員研修といった入社後の流れを企業が進めやすくなります。引越し予定があり、業務に影響を与えると考えられる場合は、忘れずに記載しましょう。
転勤の可否を伝える場合
企業は社員を柔軟に配置したいと思っているため、転勤の可否について明確に伝えることが重要となります。特に、家族の事情などで転勤が難しい場合はしっかり伝えておきましょう。
また転勤に対する抵抗がなく、勤務地に合わせて柔軟に転居できる場合は、その旨を書きましょう。環境の変化に抵抗がなくチャレンジ精神があるといった、プラスアルファのアピールにつながります。
特に、全国各地に支店があるなどの理由で異動が多い企業の場合は、転勤に抵抗がない人は重宝されます。
転勤の可否を伝える場合の記載例
- 家族の都合により現在の居住地から離れることは難しいため、申し訳ございませんが転勤は困難です
- 将来的に海外での生活に興味があり、転勤にも積極的に対応します
- さまざまな経験を通して成長し貴社に貢献したいと考えており、国内外問わず転勤には積極的です
自分の転勤の可否を企業に正直に伝えることで、企業はあなたの就労環境を最適に計画できます。
- 転勤したくないことを書くと印象が下がりませんか?
理由によって企業の印象は変わる
転勤したくないことを書く場合には、理由が重要になります。内容によっては、企業からの印象が上がる場合も下がる場合もあるからです。
企業は就労環境と家庭環境、そして社員の意思を考えて転勤を命ずることが多いです。その中で、正式に受け入れられる理由がある場合は、転勤ができなくても社員のキャリアアップを考えてくれます。
そもそも勤務地の希望を考えていなかった人は、以下のQ&Aでキャリアコンサルタントが勤務地の重要性や選び方を解説しているので、参考にしてください。
自己PRで悩んでいる人は、ChatGPTを活用して自己PRを完成させよう
ChatGPTを使った自己PR作成ツールはもう試しましたでしょうか?
簡単な質問に答えていくだけでChatGPTが自動で魅力的な自己PRを作成します。
作った自己PRは選考で活用できるものになっているので、ぜひ活用して採用される自己PRを完成させましょう。
簡単な質問に答えるだけで、強みが伝わる自己PRが作れます。
作成スタート(無料)
(リーダーシップが強みの場合)
資格の取得予定がある場合
すでに資格を取得している場合は「免許・資格欄」に書けば問題ありません。
しかし「免許・資格欄」には取得済みの資格しか書くことができないため、取得に向けて勉強中の資格がある場合は特記事項欄で伝えるのがおすすめです。
資格の取得予定がある場合の記載例
- 現在、プロジェクトマネージャーの資格を取得するための学習を進めており、次の6カ月での取得を目指しています
- 大学卒業までにTOEICスコア900点獲得を目指しており、グローバルに活躍できる人材として貴社に貢献します
- 現在Ciscoのネットワークエンジニア認定(CCNA)を目指して学習中であり、企業のITインフラの最適化に貢献したいと考えています
上記のように資格の取得予定と将来的なビジョンをリンクさせることで、企業はあなたの能力やポテンシャルを把握しやすくなります。
- 取得中の資格の難易度が高く、実際に取得できるかわからない場合も特記事項として記載して良いのでしょうか?
実際の受験日を示して記載しよう
もちろんです。合否も大事ですが、それに向かって努力しているとアピールできるのでぜひ記載しましょう。企業は努力できる人が好きですからね。
記載する場合、「○○検定に向けて勉強中」と書くより、「○○検定を○月に受検予定」と具体的な受検日を書くと良いです。
合格という目標をいつ達成するのか(期限)を明記することで、なんとなく勉強しているのではなく、具体的な目標として真剣に取り組んでいると伝わります。
資格取得という目標を達成するために期限を決めて努力するというプロセスは仕事でも活かすことができます。資格の難易度が高い場合は、チャレンジ精神をアピールすることにもつながり、企業から評価されます。
就活に有利な資格は以下の記事で解説しているので、併せて参考にしてください。
就職に有利な資格33選|業界・状況別であなたに合った資格を解説
やむを得ず留年・中退した場合
一般的に留年や中退は悪いイメージとして受け取られます。そこで留年や中退をした人は、その理由・事情やその後努力したエピソードを特記事項欄で伝えましょう。
納得しやすい形で留年や中退の理由を説明できれば、ネガティブなイメージからの挽回につながります。
やむを得ず留年・中退した場合の記載例
- 健康上の理由で大学を1年間休学しましたが、その期間を利用して独学でコーディングを学び、ウェブ開発の基本的なスキルを身に付けました
- 家庭の事情により働く時間を増やさなくてはならず中退しましたが、独学で英語を学んでおり、入社までにTOEIC800点獲得を目指しています
留年・中退というデメリットを上回るメリットを伝えられれば、むしろアピールポイントを強調できます。
留年や中退の理由が病気によるものであれば、現時点では十分回復しており、業務遂行に支障がないと書き添えておきましょう。
一方で、入社後も何らかの配慮や通院が必要な場合はそれらについても併せて書いてください。病気が理由で早期退職してしまうという不安を残さないようにしておくことが大切です。
留年をして就職活動に不安を感じている人は以下の記事を参考にしてみてください。成功のコツを解説しています。
留年すると就職できない? 企業側の捉え方と内定を得るための方法
地毛が明るい場合
多くの企業では髪の色に関する規定があり、面接時には髪の色が明るいことで不利な印象を与えてしまう可能性があります。
誤解を避けるためにも、地毛が明るい場合には履歴書の特記事項欄で伝えておきましょう。
地毛が明るい場合の記載例
- 髪の色が明るいですが、これは自然の地毛です。あらかじめご理解いただけると幸いです
上記のように、自身の特性を正直に伝えることで企業側もあなたを理解しやすくなり、入社後に余計なトラブルが起きないよう配慮してもらえます。必要な情報を適切に伝えるコミュニケーション能力があるというアピールにもつながるため、しっかり記載しておきましょう。
地毛が茶色で就活への影響が気になる人は、以下のQ&Aでキャリアコンサルタントがその悩みに回答しているので、併せてチェックしてくださいね。
何も書くことがない場合
特記事項欄は自身をより詳細に伝える良い機会です。何も書くことがないと感じても、空白や「特になし」で提出するのは良い印象を与えません。
以下は、特記事項で書くべき内容がない場合の記載例です。
何も書くことがない場合の記載例
- 貴社規定に従います
- 貴社規定に準じます
特記事項欄を空欄や「特になし」とすると、意図せず採用担当者に冷たい印象を与える可能性があります。何も書くことがない場合は、上記のように適切な表現を使いましょう。
履歴書の特記事項の注意点
履歴書の特記事項の注意点
- 空欄や「特になし」は避ける
- 一方的な希望は書かない
- 給与・待遇には触れない
- 勤務地の希望は避ける
- バイト経験や自己PRは書かない
特記事項欄は履歴書のメインとなる項目ではありませんが、適切な書き方を心得ていないと意図せずマイナスの印象を与える可能性があります。
以下では、履歴書の特記事項欄の正しい書き方や注意すべき点を詳しく解説します。
空欄や「特になし」は避ける
空欄や「特になし」が見られると、仕事の質に対するあなたの姿勢が不十分だと見られる恐れがあります。
空欄の場合は書き忘れと勘違いされ、仕事能力が低いと評価されてしまいます。また、「特になし」の場合は手を抜いていると思われ、入社への意欲がないと判断されることもあるのです。
履歴書の質を高めるためにも空欄や「特になし」は避け、「貴社規定に従います」といった適切な書き方を心掛けましょう。
空白や「特になし」と書かれた履歴書を見た採用担当者は、学生の入社意欲が低いと感じたり、自主的に物事を考えられない人材なのではないかと思ったりします。つまり、あまり良い印象を受けません。
一方的な希望は書かない
履歴書の特記事項で一方的な希望を書くと、自分勝手で図々しい人物だという印象を残す可能性があります。
1人で完結する仕事は存在しないため、多くの企業は協調性のある学生を求めています。以下のような内容を特記事項欄に記載していないか、確認しておきましょう。
履歴書の特記事項におけるNG例
毎週金曜日は早退を希望します
週に1日、在宅勤務を希望します
年齢の近い上司と働きたいです
やむを得ない事情によって一般的な働き方が物理的に難しい場合にのみ、特記事項に希望を書くようにしましょう。伝えたい内容が複数ある場合は、可能な限り1つに絞ることが重要です。
特記事項欄で個人的な要求を主張しすぎていないか、注意してみてください。
給与・待遇には触れない
年収や年間休日、有給休暇といった待遇面にフォーカスした希望を履歴書に書くと、真面目に働く意欲がないと思われてしまう可能性があります。もちろん待遇面は就活で重視すべき大切なポイントですが、履歴書で学生側が要求すべき内容ではありません。
たとえば「初任給は◯◯円以上を希望します」「有給休暇は100%消化したいです」といった内容は、自己中心的な印象を与えるため、控えてください。
なお、待遇面にこだわりがある場合は履歴書に書くのではなく、自身で募集要項を徹底的にリサーチしましょう。意図せずマイナスな評価を受けないためにも、履歴書で給与・待遇面の要求をしていないかチェックしておいてください。
- 給与や待遇をどうしても重視したい場合は書いても良いですか?
おすすめしないが書くとしたら重視する根拠を書こう
あまりおすすめしません。どうしても書きたいなら、その給与や待遇を希望する根拠、それに値する能力が自分にあるのかよく考えてからにしてください。
「御社に貢献します」とよく言いますが、それは売り上げの何%に該当しますか。実績のある中途社員ならいざ知らず、新卒の場合はポテンシャル採用なので、給与・待遇はあくまでも期待値です。対価を求めるなら、それ相応の実績が必要です。
新卒は売り手市場ですが、労働市場という大きな枠で自分の価値を捉えてみてください。履歴書の段階で給与・待遇の希望を出すなら、始めから自分の条件に合う会社に応募しましょう。
数年後に希望の給与・待遇が認められるよう成長できると良いですね。
給料が高い仕事の一覧は以下の記事にまとめました。給与面を重視して就活を進めたい人は参考にしてくださいね。
給料が高い仕事TOP100|特徴から就活のコツまで徹底解説
勤務地の希望は避ける
勤務地にこだわりがある人は多いでしょう。しかし、「東京オフィスでの勤務を希望します」などと書いてしまうと融通の利かない人と思われ、採用の機会を逃す可能性があります。
企業は滞りなく経営をするために、随時社員を最適な場所に配置したいと考えているためです。
家庭の事情といった正当な理由があればむしろ伝えるべきですが、基本的には勤務地の話題に触れないよう注意してください。
バイト経験や自己PRは書かない
特記事項欄にバイト経験や自己PRを書いてしまう人がいますが、この書き方は適切ではありません。特記事項欄は基本的に、企業にあらかじめ知っておいてもらいたい事情や要望を伝えるためのスペースです。
たとえば、「バイト先のチームリーダーとして活躍した」「コミュニケーション能力に自信がある」といった内容は、履歴書ではなくエントリーシート(ES)のガクチカや自己PR欄に書くべき内容です。
特記事項欄にバイト経験や自己PRを書いてしまうと、問いに対する適切な回答ができない人という評価につながる恐れがあります。特記事項を書く際は、ガクチカや志望動機、自己PRと混同していないか注意しましょう。
アドバイザーコメント
柴田 登子
プロフィールを見る履歴書は自分自身の客観的な事実を正確に書こう
履歴書は文字通り応募者のこれまでの「履歴」、つまりどの学校や会社をいつどのように出入りしたかを示すもので、客観的な事実を記載する書類です。
企業は採用活動だけでなく、入社後の手続きにもそれらの情報を使います。
このような履歴書の特性をしっかり把握し、事実を正確に伝えることを重視してください。特に、企業から独自フォーマットの履歴書の使用を求められた時は、内容から逸脱したことを書かない方が無難といえます。
特記事項が複数の場合は重要度の高いものから書くことが大切
応募先企業に伝えるべき特記事項が複数に渡る場合は、重要度の高いものから順に書きましょう。職種や希望勤務地などの記入を指定されている場合は、それらから書いてくださいね。そのうえで、入社後に必要な合理的配慮などを記載します。
また、特記事項欄は長文を避けましょう。それぞれの項目で読み手に伝わりやすい単語や表現を用い、箇条書きやできるだけ簡潔な文章にまとめてみましょう。
自己PRでアルバイト経験を伝える極意は以下の記事で説明しています。10個の例文とともに解説しているので、アルバイト経験のある人は確認しておきましょう。
例文10選|アルバイト経験の自己PR必勝法を企業目線で解説
履歴書で自己PRを記載する際のポイントについては、以下の記事を参考にしてみてください。
新卒用履歴書の自己PRを書く極意|例文28選を強み・職種別で紹介
履歴書でアピールポイントを端的に伝えるコツは、以下の記事で詳しく説明しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
厳選例文30選! 履歴書が映えるアピールポイントの書き方のコツ
ESと履歴書の違いがピンと来ない人もいるでしょう。以下の記事では両者の違いを解説しています。
エントリーシートと履歴書の違いがわかる! おすすめのアピール方法も
履歴書の特記事項のポイントを理解して書類選考通過のチャンスをつかもう
履歴書の特記事項は、内定・入社後にトラブルが生じないよう個々の事情をあらかじめ伝えるための項目です。持病や家庭の都合などによって業務に支障をきたすことが想定される場合は、隠さずしっかり記載しましょう。
特別に伝えておくことがない場合は、「貴社規定に従います」と適切な表現を用いてください。
特記事項は履歴書のメインとなる項目ではないものの、履歴書全体の質を決定づける重要な内容の一つです。今回説明したポイントをしっかり理解して履歴書のクオリティを高め、書類選考通過のチャンスをつかんでください。
アドバイザーコメント
鈴木 洵市
プロフィールを見る履歴書の特記事項の欄が設けられた意味を捉えよう
履歴書の特記事項欄を書くにあたって、なぜこの欄が設けられているかをもう一度押さえておいてください。この意味を知らないままだと、ほとんどの人が空欄のまま企業に提出してしまいます。
この記事を読んでいる皆さんは、就活の一歩目である履歴書の作成に取り組む段階のはずです。履歴書は、自分の人生を紹介するような位置づけの資料です。自己紹介が上手くいけば、内定という到達したい目標に近づくことができるようになります。
企業に伝えておいた方が良いことを特記事項に盛り込もう
特にこの記事では、その中でも見落としてしまいがちな、特記事項欄に「記載するべき内容」や、「何もなくとも記載できる文例」を取り上げています。
この特記事項欄の設けられている意味を自分の中で確認することで、自分自身が企業に伝えたいこと、伝えておいた方が良いことを明確にすることができます。今回の学びを就活の糧としてもらえれば、非常にうれしいです。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Takako Shibata〇製造業を中心とした大手~中小企業において、従業員のキャリア形成や職場の課題改善を支援。若者自立支援センター埼玉や、公共職業訓練校での就職支援もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士
Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/ブルーバード合同会社代表取締役
Junichi Suzuki〇1982年宮城県⽣まれ。⼤学卒業後、上場企業の営業・管理部⾨を経験し、家業を継ぐ。2017年にブルーバードを設⽴し、企業の経営支援などを展開する
プロフィール詳細