この記事のまとめ
- 薬剤師の志望動機は「資格」以外で差別化しよう
- 6つの勤務先の違いを意識して志望動機を作成することが重要
- 薬剤師になりたい理由は4つの角度から掘り下げよう
- 志望動機作成ツール
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人の命を薬学の力で救う薬剤師に、憧れを持っている学生は多いかもしれません。資格を有する専門職である薬剤師の就職活動では、単にスキルをアピールするだけでなく、熱意や医療現場で求められる新しいスキルをどのように伝えるかが重要になります。
また、デジタルヘルスケアの普及や個別化医療への対応など、薬剤師に求められる役割は進化し続けています。そのためこれらの新しいトレンドや技術に対する理解と対応能力も、志望動機を差別化する重要な要素となるのです。
この記事では、キャリアアドバイザーの平井さん、杉原さん、柴田さんのアドバイスを交じえ、薬剤師の志望動機に新しい時代のニーズを反映させる書き方を解説します。薬剤師に求められるスキルや視点を理解したうえで、自分のキャリアビジョンをどのように取り入れるかを考えながら、志望動機を作成しましょう。
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薬剤師の志望動機を書くならまずは勤務先とのマッチ度を意識しよう!
薬剤師の役割や仕事内容は、共通しているようで勤務先によって大きく異なります。そのため、薬剤師の志望動機を書くなら、勤務先の特徴を具体的に把握したうえでマッチ度を示すことがポイントです。
この記事では、薬剤師の志望動機で企業が評価する要素を経験豊富なキャリアコンサルタントの視点から紐解いています。薬剤師として活躍できる勤務先とそれぞれの業務内容についても触れているので、職場に合わせた志望動機を作るためのガイドとして役立つでしょう。
そして薬剤師の志望動機を作るには、4つの準備が必要です。準備のパートでそろえた内容をもとに、志望動機を王道の構成に従って組み立てていきましょう。記事を読み進めると、効果的な志望動機の書き方を段階的に理解できるので、初めて志望動機を書く人でも安心です。
さらに、薬剤師志望の学生が陥りがちな一般的なミスについても触れ、それらを避けるためのヒントを提供します。最後には具体的な例文とともに、印象深い志望動機を練り上げるためのアドバイスを載せているので、手元の志望動機と見比べながら読んでみてくださいね。
そもそもの志望動機の書き方がわからない……という人は、こちらの記事も併せてチェックしてくださいね。志望動機の書き方を基本から解説しています。
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薬剤師になるには? 必要な条件をおさらいしよう
薬剤師になるためには、国家資格の取得が必須です。大学の薬学部で6年間の教育課程を終え、2月または3月におこなわれる国家試験に合格しなければなりません。
試験の内容は「物理・化学・生物」「衛生」「薬理」「薬剤」「病態・薬物治療」、そして「法規・倫理」を含む多岐にわたる分野から出題されます。つまり薬剤師を目指すのであれば、薬学全般の知識だけでなく、幅広い知識が必要になるのです。
さらに、薬剤師として職場に就くためには、国家試験の合格に加えて、希望する職場の選考試験にも合格しなければなりません。このように薬剤師になるには、就職活動のタイミング以前から絶え間ない努力が求められます。
病院だけじゃない! 薬剤師の6つの勤務先とは
薬剤師の就職先といえば、真っ先に病院や薬局をイメージする人も多いかもしれません。しかし、薬剤師の働き方は近年特に多様化していて、現在はおもに6つの勤務先があります。
勤務先によって志望動機の内容も大きく変わるので、まずは薬剤師の主要な勤務先を把握しましょう。
①薬局
厚生労働省の令和2年医師・歯科医師・薬剤師統計によると、最も多くの薬剤師が就業するのが調剤薬局で、全体の58.7%です。調剤薬局の薬剤師は、処方箋に基づく薬の調剤、患者への服薬指導、薬歴管理、医薬品の販売などの業務をおこないます。
あくまで一般的にですが、病院勤務に比べて残業や休日出勤が少なく、長期間安定して働きやすい環境といわれています。
処方箋が特定医療機関に集中している場合はスキルアップしにくい側面もありますが、患者と深くかかわることができるため、職務のやりがいを感じる機会も多いかもしれません。
薬剤師として調剤薬局で働く魅力には、なんといっても薬を服用する患者との継続的なかかわりにあります。
昨今では「服薬アドヒアランス」の重要性も指摘されているため、患者が正しく薬を服用しているかどうか、積極的にかかわることが求められてます。
服薬アドヒアランス
医師の指示に従って、積極的に薬を用いた治療を受けることを指す言葉
②病院・クリニック・診療所
病院勤務は、医療現場で直接患者の治療に貢献することができるため、仕事のやりがいを強く感じることができます。医療への貢献度を肌で感じたい人や、最初の職場で高い専門性を身に付けたい人には適しています。
ただし病院の規模や体制によっては、残業や夜勤が多く、肉体的に厳しい職場環境となる可能性もゼロではありません。公立病院に採用されればと公務員としての待遇を受けられるためワークライフバランスも期待できますが、選考の難易度が高いことは覚悟しておきましょう。
病院・クリニック・診療所は病院全体の薬を管理する仕事があるので、俯瞰的に物事を判断する力が必要だと思います。
特に今は、ワクチンをはじめとする医薬品の供給不足問題があるので、そうしたことにも素早く対処できる能力が求められるでしょう。
病院の志望動機の書き方は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
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③ドラッグストア
ドラッグストアの薬剤師は、一般用医薬品(OTC医薬品)やサプリメント、健康食品などの幅広い商品群を取り扱います。そのため、医薬品だけでなく、健康に関する商品への深い知識も必要とされます。ただし一部の仕事には、レジ業務や商品陳列など、薬剤師としての業務以外の作業も含まれる点は注意が必要です。
とはいえ、調剤薬局機能を備えた店舗も増加傾向にあり、調剤専門で働く機会もあります。健康に関する幅広い知識を習得し、多岐にわたる分野で活躍できる薬剤師へと成長したい人には適しているでしょう。
病院や調剤薬局では基本的に身体のどこかに不調がある人とかかわることになりますが、ドラッグストアはさまざまな人が来訪します。
そのため職場には活気があり、医薬品以外にも取り扱う商品が多いので、にぎやかな環境で働きたい人にはおすすめです。
ドラッグストアの志望動機の作り方・伝え方は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてください。
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④製薬会社
ほかの就職先と比較して、製薬会社は薬剤師の多様なキャリアパスが用意されています。キャリアの選択肢が多いことから、薬剤師としてこれからの展望に幅を持たせたい学生におすすめです。
製薬会社で薬剤師が活躍できるポジション
- 研究職:新薬開発や治療メカニズムの解明に従事するポジションで、製薬業界における魅力的な役割の一つ。博士号取得者が好まれ、高度な専門知識が求められる
- 開発職:新薬の安全性や効果を検証し、臨床試験を実施する。こちらも専門性が高く、研究職と並ぶ重要な役割を担う
- MR(医療情報担当者):医師や薬剤師に対して自社製品の情報を提供し、その安全性や有効性を伝える仕事
- DI(医薬品情報管理業務):医薬品に関する情報や臨床試験データを収集・整理し、必要とする医療従事者に提供する仕事
製薬会社では患者から直接感謝される機会はなかなかないですが、その代わりさまざまな人とかかわりながら仕事ができます。
製薬業界のどこに自分の関心があるかによって、製薬会社でどんな仕事をしたいかが決まってくるでしょう。
製薬会社への就職難易度が気になる人は、以下のQ&Aでキャリアコンサルタントが実態を解説しているので、併せて確認しましょう。
研究職の仕事内容は以下の記事で詳しく解説しています。研究職を志望する人はチェックしてみてください。
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研究職を志望する場合は、仕事内容や適性の理解が必須です。また研究職のメリットデメリットも押さえておきましょう。この記事では研究職に向いている人の特徴や研究職に就くコツをキャリアコンサルタントが解説します。志望動機例文も紹介するので参考にしてください。
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MRについても詳しく知りたい人は、以下のQ&Aコンテンツでキャリアコンサルタントが仕事内容と就活対策を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
⑤行政機関
公務員薬剤師とは、国や地方自治体で働く薬剤師を指し、その業務内容は一般的な薬剤師の職務とは異なります。
一般的な薬剤師が調剤や服薬指導、市販薬の販売をおこなうのに対し、公務員薬剤師の業務範囲はより広い傾向にあります。たとえば、薬事行政、医薬品や食品の検査、薬物犯罪の取り締まり、住民への啓蒙活動などです。
そのため公務員薬剤師としてのキャリアを考える際は、どのような業務をおこなう職種が存在するかを事前に把握し、ある程度キャリアパスまで描いておく必要があるので注意しましょう。
行政機関で働く薬剤師は、法律が持つ役割を理解して国全体の利益を考えられる人が良いですね。
もちろん国と地方自治体で職務は異なりますが、いずれもスペシャリストとしての公務員です。薬剤師としてより、公務員として働く姿勢が必要です。
以下の記事では公務員と民間企業の就職活動を並行させるコツを解説しているので、民間の薬剤師も公務員薬剤師にも興味がある人は併せてチェックしてください。
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⑥学校
薬剤師には、学校で働く「学校薬剤師」という職種もあります。日本では学校保健安全法によって、全国の幼稚園から高等学校まで、大学を除く教育機関に少なくとも1名の薬剤師を配置することが決められているのです。
学校薬剤師は学校保健委員会の一員として、教室の空気質やプールの水質、水道水、給食施設の衛生管理など、学校の衛生環境保持に貢献します。
check! 7つ目の就職先?
薬学部および大学院を卒業し、博士号を取得した薬剤師には、大学に残り研究を続けるという選択肢もあります。
これらの薬剤師は、将来的には教授職を目指すことが一般的で、博士課程修了後はポスドク(博士研究員)として研究活動をおこないます。
学校薬剤師であれば、さまざまな形で子どもたちの成長にかかわれます。
また大学で研究を続けることも、先進医療に貢献したり次世代の薬剤師を育成したりするなど、大変社会的意義がある仕事だといえます。
仕事理解も必須! 薬剤師のおもな仕事内容を確認しよう
薬剤師の仕事は薬の処方だけではありません。患者とのコミュニケーションも含め、医薬品にまつわる仕事以外の部分でも薬剤師が活躍しています。
仕事の範囲が広い薬剤師ですが、おもな仕事内容は5つに分けられます。志望動機で「どうしてその仕事をしたいのか」を具体的に伝えるためにも、ここで仕事理解を深めましょう。
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調剤・監査
調剤とは、医師によって出された処方箋に基づき、必要な薬を準備する業務を指します。この業務は医療ミスの防止はもちろん、患者に対して最も適した薬の提供を目指すことが目的で、医師と薬剤師がそれぞれの立場から処方箋が適切かどうかを確認します。
さらに調剤された薬に関しては、異なる薬剤師が監査をおこない、薬が正確に調合されているか再確認します。このような複数回にわたる確認作業により、薬剤師は薬の安全性と正確性を保証し、患者の健康と安全を守っています。
服薬指導
服薬指導は、患者が処方された薬を正しく理解し、適切に服用できるようにサポートする業務です。薬剤師は、患者の病歴や現在服用中の薬、処方された薬の特性(効果、用法・用量、副作用など)を確認し、これらの情報をもとにして指導をおこないます。
具体的には、薬をいつ、どのように服用するか、必要な水分量、薬の飲み忘れを防ぐための方法など、患者が日常生活の中で薬を安全かつ効果的に使用できるよう具体的なアドバイスを提供します。このような服薬指導を通じて、薬剤師は患者の健康管理と病気の治療に貢献しているのです。
服薬指導を担当する際、何らかの理由で服薬できていない人を責めるようになってはいけません。
相手の状況を丁寧に聞いて何が障害になっているかを把握し、医師の指示どおりに服薬できるように指導するには、傾聴力と解決方法を提案して一緒に取り組むスキルが必要です。
薬歴管理
薬歴管理は、患者に処方された薬に関する全情報を記録し、安全かつ効果的な薬の使用をサポートするための業務です。
薬歴には、患者が過去に服用した薬、現在処方されている薬、服用量、副作用などが詳細に記録されます。これを通じて、薬剤師は患者の健康状態の変化や薬の副作用がないかを確認します。特に複数の医療機関から薬が処方されている場合、薬の相互作用や重複投与のリスクを管理するために、薬歴管理は不可欠です。
疑義照会
疑義照会は、処方箋の内容に疑問がある場合に医師に確認を求める作業です。これには、処方箋に記載された薬の名前が複数存在する場合、どの薬を優先して調剤すべきか不明な場合、または薬名の綴りが間違っている場合などが含まれます。
このような状況では、薬剤師が医師に連絡を取り、正しい薬を調剤するための情報を確認します。疑義照会は薬の処方ミスを発見し、医療事故を未然に防ぐための作業ともいえるのです。
疑義照会を担当する際に必要なスキルは、患者と密なコミュニケーションを取れることです。
処方の変化は履歴と手元の処方箋を見比べればわかりますが、医師に疑義照会をすべきかどうかは、医師との会話や患者からの聞き取りなどで判断するからです。
医薬品の販売・管理
薬剤師は、医薬品の販売と管理も担当します。医療用医薬品の販売は、国家資格を有する薬剤師のみがおこなえる業務です。
また、薬局やドラッグストアで購入可能な一般用医薬品の中にも、要指導医薬品や第1類医薬品などの薬剤師の専門知識が求められるカテゴリーが存在します。
要指導医薬品
もともと医療用として使用されていたものが市販薬として提供されるようになった薬品。薬剤師による適切な説明と指導を必要とするため、対面販売のみが許可されている
第1類医薬品
安全性に特に注意を要する薬品。副作用やほかの薬品との相互作用の可能性について患者に対して十分な情報を伝える必要がある
薬は用法を一歩間違えれば命の危機にもつながります。薬剤師は医薬品に関する専門家として、薬品の種類、効果、使用上の注意点、副作用などに関して、患者に対して正確かつ詳細な説明をおこなわなければなりません。
- 新卒に任されやすい仕事ってありますか? 逆に新卒でできない仕事もあるのでしょうか?
新人は薬剤の在庫管理が比較的任されやすい
薬剤の在庫管理は、医療機関や調剤薬局などにおいて在庫をチェックしながら、追加の発注や受け取り、保管、また期限の過ぎたものの廃棄などを担当します。
このような業務が任されやすいとはいえ、比較的保管が難しい薬剤やそれらの情報提供を製薬会社の担当から受けるのは、経験豊かな薬剤師が担当するケースが多いです。
また、患者に対する服薬指導も複雑なものは経験者がおこなう場合が多いでしょう。
薬剤師の志望動機を作る前の4つの準備
せっかく時間をかけて志望動機を書くなら、ハイクオリティなものに仕上げたいと思う人も多いでしょう。しかし、思うがままに薬剤師になりたい理由を書き連ねても、志望動機としては完成度の低いものになってしまう可能性があります。
薬剤師の志望動機を作る前には、4つの準備をすることで書くべき内容を整理できます。やみくもに考えるのではなく、ここから解説する内容を参考に志望動機を作り上げていきましょう。
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(IT業界の場合)
①薬剤師として働きたい職場をイメージする
そもそも目指す勤務先が違うと、志望動機そのものの内容は大きく変わります。そのため、志望動機の具体的な内容を練る前に、環境や業務内容を念入りに検討し、自分にとって最適な職場を見極めることが非常に大切です。
イメージするべきは業務内容だけではありません。職場の雰囲気や薬・医療との理想の携わり方など、事前に考えておくべきポイントは多岐にわたります。万が一職場選びに迷ったときには、自身の性格や特徴がその職場環境にマッチするかを考えてみましょう。
②企業で求められる人物像を知る
企業にはそれぞれ求められる人物像がありますが、それは薬剤師も同じです。ドラッグストアや製薬会社などの一般企業に分類されない病院やクリニックの場合でも、「施設方針」のページなどでどんな人と一緒に働きたいかを明確にしています。
企業で求められる人物像は、採用担当者に刺さる志望動機を書くための重要なヒントでもあります。目指す企業のホームページ(HP)や採用サイトの求人情報などから、自分の志望先がどんな学生を求めているのかを把握し、どのように貢献できるのかをイメージすると志望動機を考えやすくなります。
- 薬剤師ではどんな人物像が求められるケースが多いですか?
「薬に関する正しい知識がある人」と「適切なコミュニケーションを取れる人」が求められる
ここまでの記事で説明されているように薬剤師が活躍できる職場は多様ですが、薬に対する正しい知識とコミュニケーション力はどんな職場でも求められます。そのうえで働く場所によって、この2つのスキルをどう発揮するのかが変わってきます。
たとえば調剤薬局では、薬の飲み合わせをチェックするのは薬剤師の大事な仕事です。しかし患者の中には薬剤師にあれこれ指導されることを嫌がる人もいます。
そんなときも必要なことを確認して適切な指導をおこなうためには、かなり高度なコミュニケーションスキルが必要だといえますね。
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③薬剤師になりたい理由を掘り下げる
薬剤師の志望動機を作成する際には、自分自身の価値観を深く掘り下げ、薬剤師という職業にどのようにつながるのかを明確にしましょう。そうすることで、根底の部分で自身がマッチしていることをアピールできます。
掘り下げ方がわからない人は、次の2つの視点から薬剤師になりたい理由を見つめ直しましょう。
観点①薬剤師を目指したきっかけは何か
まずは、薬剤師という職業に最初に興味を持った瞬間や出来事に焦点を当てましょう。
たとえば、家族や友人の健康を守りたいという動機や化学や医学への興味が高じたなどが考えられます。また、社会貢献をしたいという強い意志からこの道を選んだ人もいるでしょう。
あなたの薬剤師への道のスタートを形作った具体的なエピソードや経験を思い出し、それが現在の目標にどのように影響しているかを考えてみてください。
たまに「医療関係者にあこがれていたものの医師は難しいから薬剤師にした」というきっかけを聞きます。
しかし、その仕事をしている人たちに対して失礼にあたることに加えて、薬剤師という仕事を軽く考えているととらえられてしまうため、このような理由は避けましょう。
過去の経験を振り返る方法として、自己分析が挙げられます。次の記事では、自己分析のメリットや具体的な方法、うまくできないときの対処法について解説しています。
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観点②薬学部の授業中に興味を持った分野は何か
薬学部での学びの中で特に興味を持った分野にも、志望動機につながるヒントがあります。
薬学部の授業には薬理学、製薬化学、臨床薬学など幅広い分野がありますが、どの分野に興味を持ち、また将来その知識をどのように活かしたいのかなどをあなたならではの視点で掘り下げてみてください。
志望動機の中で学問への深い興味や専門性を追求する姿勢を示すことができれば、内容の説得力が増すメリットもありますよ。
薬学部で学んだことや興味を整理する方法は、以下の記事でも紹介しています。
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④薬剤師としての長期的なキャリアパスを考える
薬剤師の仕事は近年になって専門性が広がり、仕事のスタイルにも多様性が見られるようになりました。そのため理想の薬剤師となるためには、より具体的なキャリア形成が必要とされています。
キャリアアップの選択肢には、管理薬剤師や薬局長、マネージャーなどの管理職への進路があります。
さらに、ある特定の専門領域に焦点を当てた薬剤師への道も存在します。薬物療法の領域は日々新たな進歩を遂げ、より高度になってきているので、専門知識を深めることで、研修の講師や学術会議での講演など、多岐にわたる分野で活躍するチャンスを手に入れることも可能です。
将来的にどのような薬剤師として活躍したいのか、なりたい姿から逆算してキャリアを考えてみましょう。
キャリアビジョンの考え方・伝え方は以下の記事で解説しています。「あなたの薬剤師としてのキャリアビジョンは何ですか?」と直接的に聞かれることもあるので、以下の記事を見て対策しておきましょう。
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薬剤師のキャリアを考える際は、自分が薬剤師のサービスの受け手になったときのことを掘り下げてみてはいかがでしょうか。
あれこれとよそゆきの言葉を作るよりも、実際に薬剤師とのやりとりやほかの患者に対する薬剤師の対応のどんな点に心が動いたのかなど、いくつか思い出してみましょう。
志望動機のヒントに! 薬剤師のやりがいについても把握しよう
志望動機のヒントに! 薬剤師の3つのやりがい
- 患者と信頼関係を築ける
- スキルアップし続けられる
- 医薬品の進歩や改善に貢献できる
薬剤師の魅力を知っておくと、薬剤師としての今後の展望を作りやすくなったり、薬剤師を目指す理由を論理的に伝えやすくなります。
薬剤師にはさまざまなやりがいがありますが、ここではおもな3つの魅力を紹介します。志望動機を書く前に薬剤師のやりがいについても把握して、エピソードに盛り込んでみましょう。
患者と信頼関係を築ける
薬剤師は、ただ薬を渡すだけではなく、患者との間で直接コミュニケーションを取って信頼関係を築くことが求められます。
時には患者の話を丁寧に聞き、適切な服用方法をアドバイスし、健康のためのサポートをおこなうのも薬剤師の仕事です。自身の知識と経験を活かして患者に寄り添うことで、患者の健康維持に大きく貢献できることは、大きなやりがいにつながるでしょう。
調剤薬局の現場に立たない限り、薬剤師が患者と接する機会は少ないと思います。
しかし、薬剤師は患者だけでなく薬の専門家として医師をサポートしています。医薬分業なので医師・病院との相互理解も大切です。
スキルアップし続けられる
薬剤師としてのキャリアは、医療や薬に関する深い専門知識を習得するのに絶好の機会です。
仕事を通じて、患者が直面するさまざまな疾患についての理解を深めたり、薬剤の具体的な効能や副作用を学ぶことができます。
こうした知識は、患者のケアだけでなく、個人や家族の健康管理にも大いに役立つでしょう。薬剤師としての経験は、日々の生活にも直結する貴重なスキルを身に付けられる機会でもあるのです。
- 薬剤師として医薬品の知識以外だとどんなスキルが身に付きますか?
法律文書を読み解くスキルも身に付く
もちろん医薬品や医療についての知識は存分に身に付きますが、意外なところでは法律文書を読み解くスキルというものがあります。薬剤師の役割や義務については薬剤師法によって明文化されているため、薬局での業務では必須の知識です。
また製薬業界などに勤務する場合も、開発や製造は薬事法・薬機法に沿っておこないます。したがって、法律は薬剤師にとって常に身近であるといえます。
医薬品の進歩や改善に貢献できる
近年薬剤師の役割はますます広がっていて、たとえば臨床研究やセルフメディケーション支援、バイタルサインの測定、緊急避妊薬の対応など、「薬」にまつわる範囲を超えて医療に携わるケースも珍しくありません。
加えて、入退院時や在宅訪問時の情報共有、がん治療など特定分野での薬学管理をおこなう専門医療機関との連携など、医薬品の進化や改善に直接貢献できる可能性も拡大しています。
薬剤師の仕事は、こうした専門的な役割を通じて医学の進歩に貢献できるやりがいを感じる機会の多い仕事です。
3ステップで簡単! 薬剤師の志望動機の王道構成
3ステップで簡単! 薬剤師の志望動機の王道構成
- なぜ薬剤師を志望するのか
- なぜその企業や病院を志望するのか
- 薬剤師としてどのように企業に貢献できるか
薬剤師のやりがいを理解して、より書きたいことが浮かんだ人も多いかもしれませんが、伝えたい内容をやみくもに盛り込んでも、良い志望動機にはなりません。
志望動機は論理性が命です。そのため志望動機を書く際は、なぜ薬剤師を志望するのか、なぜその医療機関や薬局を志望するのかを段階を踏んで明確にしましょう。
志望動機の構成に悩んでいる学生は、次の3つのポイントを参考にしてみてください。
志望動機作成にあたり、書き出しと締めくくりは内容全体の印象を左右します。次の記事では、それぞれ志望動機の書き出しと締めくくりについて例文を交えて解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
志望動機の書き出し
例文8選|本気度が伝わる志望動機の書き出しで差別化する方法
志望動機の締めくくり
志望動機の締めくくり例文13選! そのまま使えるテンプレも紹介
①なぜ薬剤師が良いのか
まずは、多様な職種の中でなぜ薬剤師に就きたいのか説明しましょう。医療に携われる仕事は数多くあるので、その中であなたがなぜ薬剤師を選んだのかというポイントに企業は興味があるのです。
たとえば「薬学の知識で人の健康を守りたい」「薬の研究開発の分野から〇〇(病気名)患者の治療にかかわりたい」などの理由が挙げられます。
志望動機では、最終的に薬剤師としての今後の目標や目指すキャリアについて説明することが求められます。そのため、締めの部分につながる入口となるような薬剤師になりたい理由が理想的です。
「かっこいい」などのような大きなことから述べると、ありきたりな志望動機になってしまいます。
そのため、書き出しは「接点」、つまりその仕事に心が動いた出来事を伝えてください。あなたの体験から薬剤師の仕事を意識したきっかけを紹介するのが良いと思います。
②なぜ医療機関や企業が良いのか
薬剤師はさまざまな医療機関や薬局で働くことができます。そのため、医療機関や薬局が提供しているサービス、その組織の規模、経営理念などを把握し、どこに興味を持ったのか、惹かれたのかなどを明確に述べる必要があります。
また、その医療機関や薬局ならではの特徴や施設の規模なども交えられると、企業研究の成果を志望動機の中でアピールできますよ。
- 公務員として薬剤師を目指す場合、「その職場ならでは」の要素は何を軸に差別化すれば良いでしょうか?
「自分の守りたいもの」と「その職場が力を入れていること」を照らし合わせてみよう
公務員として薬剤師を目指すということは、その知識で人々の生活を守るということです。そのため「何を守りたいのか」「譲れないことは何か」という軸がないと、公務員としての薬剤師は難しいと思います。
その職場が力を入れているのは、食の安全や献血活動なのか、今問題になっている若者のオーバードーズなどの薬物問題なのか、それとも何万人に一人という難病の薬の開発なのか、どれも人の生死にかかわることです。
自分の守りたいものとその職場ならではの要素を照らし合わせて考えてみると、差別化につながるはずです。
自分が守りたいものがなかなか見つからない人は、こうした社会問題に目を向けてください。逆を言えば、こうした社会問題の解決には薬剤師の資格と知識が必要とされているので、興味がある人は公務員を目指してみましょう。
③ 薬剤師としてどのように企業に貢献できるか
薬剤師は資格を有する仕事のため、新卒の場合もできる限りすぐに業務に対応できそうな即戦力人材は重宝されます。
そのため志望動機のまとめでは、薬剤師としてどのように企業に貢献できるかを伝えましょう。たとえば志望先の求める医薬品に関する深い知識があることや、コミュニケーション能力が高いことなどはアピールポイントになり得るかもしれません。
また、最新の医療情報や薬学に関する情報を常に学ぶ意識があることや、医療機器やコンピューターシステムの操作に抵抗がないことなども、企業で活躍できるイメージにつながります。自分の強みから、志望先の働き方に合うスキルを選んでアピールするようにしてみてくださいね。
志望動機は志望度や意欲を測るために面接で聞かれます。次の記事では、ESや履歴書などの書類よりも一歩踏み込んだ面接ならではの対策を解説しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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面接の志望動機の答え方を10例文で解説! 書類と同じ対策はNG
面接の志望動機は、書類よりも深掘りをした内容にすることが重要です。面接で志望動機を答えるための3つの構成を理解し、4ステップで面接の志望動機を考えましょう。回答例文や伝え方のコツを踏まえてキャリアコンサルタントが解説します。
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トレンドも考慮しよう! 薬剤師の志望動機で差別化する方法
薬剤師の志望動機で差別化する方法
- 高齢化問題についての見解を述べる
- DX化にともなう薬剤師の役割について絡める
志望動機で差別化する方法については、多くの学生が頭を悩ませているでしょう。特に薬剤師の場合は前提としてすべての学生が資格を取得している分、スキルを盛り込む形での差別化は難しいかもしれません。
そこで、今回は薬剤師の志望動機でトレンドを活用して差別化する方法を紹介します。
時事問題についての答え方は、以下の記事で詳しく解説しているので併せて確認してみましょう。
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高齢化問題についての見解を述べる
志望動機の中で、これからの目標ややってみたいことを述べる際に、高齢化問題についての見解を述べるのも一つの手です。社会の高齢化が進む中で、薬剤師として高齢者の健康支援にどのように貢献できるかを考えることは、志望動機の差別化の要素となります。
高齢者特有の薬物療法管理や、多くの薬を服用することにより副作用や飲み間違いなどの問題につながる状態である多剤服用の問題への対応策を考えてみるのも良いかもしれません。
高齢化問題についてのおすすめのテーマ例
- 高齢者向けの服薬指導や健康相談サービスの提案
- 在宅医療や訪問薬剤管理サービスの改善点
「かかりつけ薬剤師」は押さえておきましょう。
日本薬剤師会によると、かかりつけ薬剤師とは、薬による治療のこと、健康や介護に関することなどに豊富な知識と経験を持ち、患者や生活者のニーズに沿った相談に応じることができる薬剤師のことです。
なぜこのような存在が求められるのか、社会背景を自分で調べて語れるようにしてみてくださいね。
DX化にともなう薬剤師の役割について絡める
現在、さまざまな業界のDX化が進んでいますが、薬局も同様にDX化の波が来ています。
DXとは
IT・デジタル技術の活用によって企業のビジネスモデルを変革し、自社の競争力を高めていくこと
たとえば電子版お薬手帳の導入など、情報技術を活用した患者サポートが可能になっていることは、薬剤師を目指すうえで知っておいて損はないはずです。このような技術を用いて、薬剤師がどのように患者の健康管理に貢献できるかを考え、志望動機に盛り込むことで差別化につながります。
志望動機を書く前に次のようなトピックについて調べたうえで、自分の意見を盛り込んでみましょう。
DX化について勉強しておくと良いトピック
- 電子版お薬手帳を利用した患者の服薬履歴管理
- デジタルツールを活用した患者教育プログラム
- オンラインでの健康相談や服薬指導サービス
薬剤師にも最低限のITに関する知識は必要でしょう。カルテは電子化、健康保険証はマイナンバーになり、支払いはキャッシュレスの時代です。
それらが使えるだけでなく仕組み自体を理解しないと時代に取り残されてしまいます。ITと医療はさらに融合していくと予想されるので、最低限理解しておきましょう。
勤務先別で解説! 薬剤師の志望動機の例文10選
勤務先別で解説! 薬剤師の志望動機の例文10選
ここまで薬剤師の志望動機の書き方を説明してきましたが、実際に書くとなると難しく感じてしまう学生もいるかもしれません。そんなときは、実際の例文を参考にしてみましょう。
例文と自分の志望動機を見比べることで、ブラッシュアップするべきポイントが見えてきます。ここからは薬剤師の志望動機の例文10選を紹介します。
例文①病院・クリニック・診療所
病院・クリニック・診療所を志望する薬剤師の志望動機例文
薬剤師を志望する理由は、専門知識を活かし、患者さんの生活の質を直接向上させることができる職業であるからです。大学での病院実習を通じ、患者一人ひとりに合わせた薬物療法の提供がいかに重要かを深く理解しました。
中でも貴院を志望する理由は、患者中心の医療を重視し、質の高い薬剤師の育成に力を入れているからです。その教育体制とチーム医療への取り組みに深く共感し、私もその一員として貢献できることに大きな魅力を感じました。
貴院で働くことにより、最新の薬学知識を活用して患者さんに最適な薬物療法を提供したいと思っています。チーム医療における薬剤師の役割を果たすことで、患者さんの健康と安全に貢献したいと強く願っています。
就職支援のプロからの例文の評価とアドバイス
ほかの病院でも共通している特徴がありそうなので、面接官によっては「他院でも通用するのでは?」という印象を持たれる可能性もあります。
その病院を志望する理由として薬剤師の育成について述べるのであれば、育成方法や求める薬剤師像など、その病院独自の内容について具体的に触れておいた方が良いでしょう。
例文②病院・クリニック・診療所
病院・クリニック・診療所を志望する薬剤師の志望動機例文
薬剤師を志望する理由は、薬学の知識を活かして地域社会の健康に貢献できることに大きな魅力を感じるからです。学生時代に参加した地域薬局での実習を通じ、薬剤師が地域の患者さんの生活に寄り添い、日常的な健康管理や疾患予防に貢献できることを実感しました。
貴クリニックを志望するのは、健康教育や予防医療の取り組みを通じて地域社会への深い貢献と、患者さん一人ひとりに寄り添った丁寧な医療サービスを提供している点に共感しているからです。こうした環境で働くことで、私の専門知識と情熱を地域社会のために活かすことができると確信しています。
将来的には、予防医療や健康増進のためのプログラムの企画・実施にも積極的にかかわり、地域社会の健康維持に貢献したいと考えています。貴クリニックで薬剤師として働くことで、地域社会に根差した健康サポートを実現し、患者さんの生活の質の向上に貢献したいです。
アドバイザーが解説! 薬剤師の志望動機で重視される点は?
採用側が重視するのは「なぜウチなのか」という点です。この例文では薬剤師との接点・応募先への共感・採用後の貢献で一貫して地域医療について述べています。
応募先が実際に地域医療への貢献を掲げているのなら、説得力があると思います。
例文③ドラッグストア
ドラッグストアを志望する薬剤師の志望動機例文
薬剤師を志す理由は、広く社会に貢献し、日々の生活における健康支援ができる職業だからです。
大学での薬学研究と地域薬局での実習を通じ、薬剤師が持つ幅広い知識とスキルが人々の健康維持と疾病予防にいかに貢献できるかを深く理解しました。特に、日常生活におけるアクセスポイントとしてのドラッグストアの役割に魅力を感じ、この分野でのキャリアを強く望むようになりました。
貴社を志望するのは、幅広い商品知識と高い顧客サービスを提供し、地域社会の健康増進に貢献している点に大きな共感を覚えたからです。また、貴社が提供する研修プログラムやキャリアアップの機会も、専門性を高めるうえで非常に魅力的に感じました。
貴社における薬剤師として、最新の薬学知識と豊富な商品情報を駆使し、顧客一人ひとりに最適な健康サポートを提供したいと考えています。また、健康相談や服薬指導を通じて、顧客の生活の質の向上に貢献することが私の薬剤師としての目標です。
アドバイザーが解説! ドラッグストアへの志望動機のポイント
ドラッグストアには、薬だけでなく日用品や化粧品、生鮮食品も扱うものもありますね。
なぜ薬以外のものを扱っているのかというと、その答えは経営方針にあります。ドラッグストアの薬剤師を目指すなら、志望先の営業利益も考えてみましょう。
例文④ドラッグストア
ドラッグストアを志望する薬剤師の志望動機例文
薬剤師を志望する理由は、専門的な知識を活かし、より身近な場所で人々の健康支援をおこなえることに魅力を感じるからです。大学で学んだ薬学の知識を日常生活に直接応用し、人々の生活の質を向上させることができるドラッグストアでの勤務に大きな意義を感じます。
貴社を特に志望する理由は、地域に根ざした健康支援サービスを積極的に展開している点にあります。貴社の顧客へのきめ細やかなアプローチや、健康増進に資する多様なプログラムに共感し、私もその一翼を担いたいと強く思っています。
貴社において、私は薬学知識とコミュニケーション能力を活かし、顧客一人ひとりに合わせた丁寧な健康相談や服薬指導をおこない、地域社会の健康維持と向上に貢献したいと考えています。また、常に最新の薬学情報を学び続け、顧客にとって信頼できる健康のパートナーとなることを目指します。
就職支援のプロからの例文の評価とアドバイス
薬剤師として人々の日常生活に最も近い存在となれるのがドラッグストアの勤務であると、ドラッグストアの意義を示したうえで実現したいことを詳細に述べられていて良いですね。
コミュニケーション能力についてはどこでどのように培ったのかを示すと、さらに説得力がアップしますよ。
例文⑤製薬会社
製薬会社を志望する薬剤師の志望動機例文
薬剤師として貴社を志望する理由は、新たな薬剤開発に貢献し、より多くの患者さんに希望を提供したいという強い願望があるからです。
大学での薬学研究と複数の研究所でのインターンシップを通じて、医薬品の開発が人々の健康と生活の質に与える影響の大きさを実感しました。
また、家族が〇〇に罹患した経験をしたことがある背景から、〇〇治療の可能性を広げる製薬業界で働きたいと強く感じるようになったことも、薬剤師を目指す理由に結びついています。苦しむ多くの患者を救いたい思いから、日々勉強に励んできました。
貴社を特に志望する理由は、患者中心の製品開発に注力している点にあります。貴社の取り組む△△の薬剤開発プロジェクトや、〇〇治療における新たなアプローチに深い興味を持っています。これまでに培ってきた研究の知識と持ち前の向上心を活かし、〇〇治療の医薬品開発に貢献したいと考えています。
アドバイザーが解説! 製薬会社への志望動機のポイント
製薬会社の開発職はかなりの狭き門です。薬剤師としてだけでなく、開発職としての志望理由が必要です。
絶対に外せないのは、「大学での研究内容をどう活かせるのか」であるため、その点を意識して作成してみましょう。
例文⑥製薬会社
製薬会社を志望する薬剤師の志望動機例文
私が薬剤師を志す理由は、最新の薬学知識を応用し、未来の医療に貢献できる機会に魅力を感じるからです。
大学での専門教育と研究活動を経て、医薬品の研究開発がいかに社会に不可欠かを深く理解しました。特に新しい治療法や医薬品の開発にかかわることで、疾患に苦しむ人々への新たな希望を提供できる点に大きなやりがいを感じます。
貴社に強く惹かれるのは、革新的な医薬品を世に送り出すための独自の技術と、持続可能な医療の発展に向けた取り組みです。研究の中で貴社の△△(薬品名)の治療の功績を見て、これまで不可能だった治療を可能にする薬の存在に感銘を受けました。
貴社の研究開発部門で働くことで、私の薬学の専門知識を活かし、研究チームの一員として新薬開発の最前線で貢献できると信じています。また、継続的な学習と専門性の向上を通じて、医薬品開発に貢献したいと考えています。
アドバイザーが解説! 製薬会社の薬剤師を目指す場合の必須準備
製薬会社は、各社とも得意とする分野や守備範囲が違い、それによって利益を追求し社会貢献をしようとしています。
そのため製薬会社の薬剤師の志望動機を書くには、まずはその会社の専門分野や主力製品を把握し、それらに興味を持ちかかわりたいと思えるかどうかを確認しましょう。
例文⑦行政機関
行政機関を志望する薬剤師の志望動機例文
私が○○市の薬剤師を目指す理由は、幅広い社会の人々の健康と安全を守るという使命に深く共感しているからです。
大学で薬学を学び、さまざまなボランティア活動に参加する中で、公衆衛生の向上が私のキャリアで追求したい最も重要な価値であることを強く実感しました。
特に地域社会の健康支援活動に携わった経験から、自治体の影響力を活用して、より広い範囲での公衆衛生の向上に貢献したいという強い願いを持つようになりました。
○○市の薬剤師として、将来的には今ある公衆衛生プログラムの改善、新しい企画・実施に積極的にかかわりたいと考えています。これらは国民の健康を守り、医療の質を向上させるために不可欠な活動です。
また最近のパンデミックを通じて、公衆衛生の危機管理という面でも薬剤師の役割がいかに重要かを痛感しています。公務員として薬剤師のキャリアを積むことで、緊急時の医薬品供給や感染症対策に関する政策立案にも貢献できるよう、専門性を深めていきたいと思います。
就職支援のプロからの例文の評価とアドバイス
公衆衛生の向上について、業務を通して具体的にどのようなことを成し遂げたいのか、詳細に述べることができています。
行政機関の薬剤師の仕事理解ができていることも示せていて、大変意欲が高いことをアピールできているため良い例文です。
例文⑧行政機関
行政機関を志望する薬剤師の志望動機例文
公務員薬剤師として勤務することを強く希望する理由は、公共の健康を守り、社会全体の福祉に貢献したいという思いからです。大学で薬学を専攻している間、薬剤師が持つ社会的責任と公衆衛生への影響力について深く学びました。
特に公共政策における薬剤師の役割に関する講義は、私の興味を強く引きました。また、学外で参加した地域医療の支援活動を通じて、薬剤師が地域社会の健康維持と向上に果たす役割の大きさを実感し、これを職業として追求したいと考えるようになりました。
行政機関で働く薬剤師として、私は特に医薬品政策の策定や公衆衛生プロジェクトの管理にかかわりたいと考えています。また、最新の医薬品に関する研究と情報を公共の利益のために活用し、薬剤師としての専門知識を行政の意思決定プロセスに反映させることも将来的な目標です。
私はこれまで学んできたスキルを活かし、公務員としてのキャリアを通じて、持続可能な医療システムの構築に貢献したいと考えています。
アドバイザーが解説! 公務員薬剤師の志望動機でアピールすべきこと
公務員薬剤師の志望動機では、応募先が住民の健康についてどんなビジョンや計画を持っているかを確認し、その方向に沿って貢献できることを伝えましょう。
例文もよく書けていますが、具体的に応募先に言及する部分があるともっと良くなりますよ。
例文⑨学校
学校を志望する薬剤師の志望動機例文
私が学校で薬剤師として働きたいと考える理由は、教育環境において子どもたちの健康と安全を守り、支援することに深い関心を持っているからです。大学で薬学を学ぶ中で、医薬品の適切な使用や健康教育の重要性について深く理解する機会がありました。
特に子どもたちの健康を守るためには、日常生活の中で正しい医薬品の知識を身に付けさせることが非常に重要であると感じています。
学校薬剤師として、私は医薬品の管理だけでなく、生徒や教員への健康教育プログラムを提供することにも積極的にかかわりたいと考えています。生徒たちが自身の健康を自ら管理できるようになるための教育活動は、将来的に彼らが健康な生活を送るための基盤を築くことにつながります。
このような役割を担うことで、私は薬剤師としての専門知識を活かし、より広い社会に貢献できると信じています。
アドバイザーが解説! 学校の薬剤師の志望動機で意識すべきポイント
学校は教育機関であり、その学校の教育理念に沿って教育がおこなわれています。薬剤師だからといって、好き勝手に教育はできません。
そのため学校の薬剤師の志望動機では、学校の教育理念を前提にして、人を教え育むことを大切に思っていることをアピールしましょう。
例文⑩学校
学校を志望する薬剤師の志望動機例文
教育機関で薬剤師として貢献したいと思ったのは、学生の健康管理という面で薬剤師の役割を果たしたいと思ったからです。
薬学部での学びや、学生支援センターでのインターンシップ経験を通じて、特に若年層の健康課題への理解を深めました。学校薬剤師は、生徒や学生が直面する健康問題に対応し、正確な医薬品情報を提供することで、安心して学校生活を送ることができるようサポートする重要なポジションだと感じています。
また、アレルギーや慢性疾患を持つ生徒が増えている現在、学校での医薬品管理の重要性はさらに高まっています。このような環境下で、私は薬剤師としての専門性を活かし、生徒一人ひとりの健康状態に合わせたきめ細やかなサポートを提供したいと考えています。
教育現場で薬剤師が担う役割の拡大を通じて、学校全体の健康管理体制の向上に貢献することが、私の目標です。
就職支援のプロからの例文の評価とアドバイス
学生の健康管理に興味を持ったきっかけを、経験を通して具体的に述べることができていますね。
また、学校という現場が現在どのような状況であるかを把握し、そのために自分が薬剤師として成すべきことも目標として伝えられている点に好感が持てます。
薬剤師の就活は働くイメージから志望動機を作成して内定に近づこう
薬剤師としてのキャリアは、その専門性を活かせる多様な職場が存在するため、広い視野でのキャリア設計が可能です。病院や薬局はもちろんのこと、学校、行政機関、製薬会社、研究機関など、薬剤師として活躍できる場は幅広く存在します。
その多様性は、一見すると就職活動の対策を複雑に感じさせるかもしれませんが、実はあなたの将来の可能性を広げる絶好の機会でもあります。
志望動機を考えることは、ただ職場を選ぶというだけではなく、自分が薬剤師としてどのような価値を提供できるか、どのようなキャリアを築きたいかを示す大切な機会です。自身の専門知識やスキル、キャリアビジョンを明確にし、それを志望動機に反映させることで、あなたの熱意や適性がより鮮明に伝わります。
あなたの「薬剤師になりたい」という強い意志を持った志望動機で、内定への道を切り開きましょう。
アドバイザーコメント
杉原 美佐子
プロフィールを見る自分が薬剤師として働く姿を想像して志望動機に落とし込もう
同じ薬剤師といっても働く場所によって働き方が違ってきます。
製薬会社の場合
製薬会社は自社での研究開発だけでなく海外の企業との取引もあり、グローバルな活躍が期待できます。また大学などの研究機関との連携もあり、チームで目標達成に向かうためのコーディネート能力も必要です。
病院・クリニックの場合
病院・クリニックでは、臨床になるので医師や看護師、医療事務員との連携作業が必要で、医療チームの一員として薬剤師の役割を担っていきます。学校や行政でも同じことがいえますね。
薬局の場合
薬局は、調剤薬局とドラッグストア系の薬局に分かれていますが、どちらも仕事の半分は接客です。薬の準備、効能の説明、会計など何かと忙しいですが、一人でも多くの患者が利用してくれるように心掛けないと店舗の売り上げは立たないため、接客はとても大切です。
また、薬局は店舗運営もあるので経営の知識も必要です。特にドラッグストア系は群雄割拠なので、業界の再編成でビジネスの醍醐味を味わえるかもしれません。
このように、どこも就職先ごとのやりがいがありそうですね。どこで働きたいのかを定めるためにも、しっかりと自己分析をおこなって自分に合う職場に対して志望動機を作成していきましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Atsuko Hirai〇ITメーカーで25年間人材育成に携わり、述べ1,000人と面談を実施。退職後は職業訓練校、就労支援施設などの勤務を経て、現在はフリーで就職・キャリア相談、研修講師などを務める
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士
Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Takako Shibata〇製造業を中心とした大手~中小企業において、従業員のキャリア形成や職場の課題改善を支援。若者自立支援センター埼玉や、公共職業訓練校での就職支援もおこなう
プロフィール詳細