この記事のまとめ
- 住宅業界は将来性が危惧される一方で事業領域拡大を続けている業界
- 住宅業界には業務内容や注力する事業が異なる9つの業種が存在する
- 適性を見極めたうえで志望動機を作成して住宅業界の選考に臨もう
住宅業界とは、おもに分譲住宅や注文住宅の設計・建設・販売を担う業界です。
ただ近年、住宅業界は「未来がない」と言われることもあり、実際に志望すべきか迷う人も多くいると思います。「住宅業界に興味があるけど、将来苦労しないだろうか」と不安に思っている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、住宅業界の課題や今後の展望、住宅業界の8つの業種などについて、就活のプロであるキャリアコンサルタントの桑田さん、谷猪さん、若林さんとともに解説します。
なかでも、年間3,000人以上の就職相談をおこなっている桑田さんによる住宅業界の動向に関する見解は、住宅業界への就職を視野に入れる人には必見です。
ほかにも、住宅業界が「厳しい」と言われる理由や、住宅業界の新たな事業展開についても解説するので、住宅業界に興味を持っている人は、ぜひチェックして自身のキャリアの判断材料にしてみてください。
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住宅業界は設計・建設・販売などあらゆる事業を展開する業界
将来性が危惧される住宅業界ですが、SDGsの考えに沿った持続可能な住宅造りを推進するなど、これまでにない可能性を模索しています。
ただ、SDGsの推進や海外展開などで市場が拡大している一方で、少子高齢化による人員不足や資材の高騰による業績の低迷などの課題を解決できていないのが現状です。
このような住宅業界について、本当に就職を目指すべきか迷う人もいるのではないでしょうか。
記事の前半では、住宅業界の動向や魅力に加えて、業種ごとのおもな企業を紹介します。業界を多面的にチェックすることで、住宅業界に就職すべきかを判断するのに役立つ情報を解説します。
記事の後半では、住宅業界で働くメリット・デメリットや、住宅業界に向いている人・向いていない人を具体的に説明します。ぜひ最後までチェックして、住宅業界が自分に合っているか確かめてみてください。
向いていると判断した人は記事の最後にある志望動機作成のコツを参考に、住宅業界で評価される志望動機を作成しましょう。
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前提をチェック! 住宅業界の基本情報
住宅業界の詳細の解説に入る前に、まずは住宅業界の定義やおもな事業内容などの基本情報をチェックしましょう。住宅業界の概要を知ってから詳細をチェックすることで、業界が抱える課題や将来的な事業展開の見通しをより深く理解できます。
同じ住宅業界内でも、その業種や職業ごとに役割や事業内容はそれぞれです。そのため深く住宅業界を理解するには、業界全体の事業展開の把握が欠かせません。
ここからは、住宅業界のおもな事業内容やビジネスモデルに分けて一つずつ解説していきます。
住宅業界とは
住宅業界とは、おもに分譲住宅や注文住宅の設計・建築・販売をおこなっている業界です。
建物を建築して土地ごと販売する分譲住宅や、顧客の要望に応じて建築する注文住宅を扱うほか、自治体から委託された公共施設の建築など多岐にわたる業務を担います。
住宅業界は1軒あたりの売上額が高額なため、市場規模も大きめです。また、海外進出や他業種とのM&A(合併・買収)により、事業の領域は拡大しています。
なお、住宅業界と似た業界に不動産業界がありますが、おもな違いは住宅業界は家づくりを専門に、不動産業界は住宅の販売・賃貸をメインに事業を展開している点です。
ただ、住宅業界の企業は住宅だけでなく土地も取り扱うため、不動産業界は住宅業界の一部といえます。
このような住宅業界には、全国的に事業を展開する大手ハウスメーカー・ゼネコンから、地域密着型の柔軟な対応が得意な工務店、土地や街を開拓するディベロッパーまで、同じ業界内でもさまざまな企業があります。
不動産業界に興味がある人は、以下の記事も併せてチェックしてみてください。向いている人の特徴だけでなく、内定を引き寄せるための具体的なコツも解説しています。
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住宅業界は、市場における景気に左右されやすく、高い専門性を求められ、顧客との信頼関係が重要な一方で、最新の技術や持続可能性への対応も求められます。
これらの要素を理解し、キャリアを築いていくことが成功の鍵となるのです。
住宅業界のビジネスモデル
住宅業界のビジネスモデル
- 公共事業
- 集合住宅の建設事業
- 文住宅の販売事業
住宅業界のビジネスモデルは、おもに公共事業と民間事業の2つに区分されます。
住宅業界における公共事業は、国や自治体主導で整備する社会基盤や公共施設の建築・改修などです。一方で、民間事業では、民間の顧客向けに住宅の設計・建築・販売をおこないます。
それぞれのおもな事業内容は以下の通りです。
公共事業 | 民間事業 |
---|---|
・病院の建築 ・学校の建築 ・図書館の建築 ・道路の建設 | ・注文住宅の建築 ・分譲住宅の建築 ・集合住宅の建築 ・リフォーム事業 |
一般的に住宅業界のメイン事業となるのは民間事業ですが、なかには公共事業を請け負うことで地域の発展に貢献している企業もあります。公共事業を担う事業者は、大手のゼネコン・ハウスメーカーから地域の工務店までさまざまです。
このように、住宅業界といっても、事業内容や手がけるビジネスモデルは各企業により異なります。住宅業界の各企業への理解を深めるために、まずは住宅業界全体の事業内容を一つずつチェックしていきましょう。
公共事業
公共事業とは、国・都道府県・市町村といった公共団体から依頼を受けておこなわれる、公共施設の建設や修繕などです。公共施設のほかにも道路・橋建築や修繕なども公共事業に含まれます。
公共事業で建設する公共施設の例
- 公営住宅
- 病院
- 学校
- 図書館
- 道路・橋
公共事業を担当する業者は、公平性を保つために競争入札で決まることが多く、入札価格などの条件が最も有利な企業が落札します。そのため、公共事業は大手のハウスメーカー・ゼネコンだけでなく、地域の中小企業が請け負う場合もあるのです。
生活に欠かせない社会インフラや公共施設を整備する公共事業は、住宅業界のビジネスモデルのなかでも特に、社会への貢献度が高い事業です。
なお、以下で紹介する建設・販売事業は、公共事業と対比して「民間事業」と呼ばれます。
集合住宅の建設事業
住宅業界のおける民間事業の一つに、集合住宅の建設事業があります。
集合住宅の建設事業では、建設した集合住宅を土地とセットで販売する分譲マンションや、不動産仲介業者を通して賃貸するアパートなどを建設します。
集合住宅の建設は、土地や建築材をまとめて仕入れることでコスト削減できることに加えて、既存の設計を活かし住宅を建築することで人件費も抑えられるため、企業にとって収益になりやすい事業です。
集合住宅の建設事業のうち、大規模な案件はおもにゼネコンが、地域に根差したものはおもにハウスメーカーや工務店が請け負っています。
集合住宅の建設事業例は以下の通りです。
大規模な集合住宅(高層マンションなど) | 地域の集合住宅 |
---|---|
・虎ノ門タワーズレジデンス(鹿島建設) ・プラウドタワー東雲キャナルコート(大林組) | ・D-ROOMブランド(大和ハウス工業) ・デュラカーサ(木下工務店) |
また、近年はハウスメーカーが注文住宅を主軸に受注する一方で、集合住宅の建設事業は、規格化された間取りで住宅を低価で販売するパワービルダーが多く請け負っている傾向にあります。
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注文住宅の販売事業
民間事業には、顧客が希望した土地に要望に応じた住宅を設計・建築する、注文住宅の販売事業も含まれます。
注文住宅は、建売住宅とは異なり、顧客の好みに合わせて自由に住宅を設計できるのが特徴です。間取りや設備、壁紙の材質まで細かくオーダーできるため、企業の腕が試される事業ともいえます。
注文住宅には、間取りや設備を一から自由に決めていく自由設計住宅と、複数のパターンから選択し組み合わせる規格型住宅があります。
自由設計型 | 規格住宅型 | |
---|---|---|
メリット | ・設計の自由度が高い ・世界に一つだけの家を造れる | ・低価で購入できる ・打ち合わせの時間を短縮できる |
デメリット | ・コストがかかる ・打ち合わせの頻度が高い | ・設計の自由度が低い ・間取りや設備の選択肢が限られる |
このように、自由設計住宅と規格型住宅にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、顧客のニーズを捉え、各顧客に最適なものを提案するのも住宅業界に属する企業の役割です。
大林・鹿島・大成・清水・竹中などの公共事業に強いゼネコン、マンションブランドを持っている住友 · 三井 · 野村 · 三菱 · 大京 · 東急 · 大和など、企業によって特徴があります。
割合は社会情勢によって変わりますが、公共は超大手、マンションは老舗、注文は地域密着の中堅が多いイメージです。
「厳しい」と言われる理由は? 住宅業界が抱える5つの課題
「厳しい」と言われる理由は? 住宅業界が抱える5つの課題
ここからは、住宅業界が「先行き不透明」「厳しい」と言われている理由を解説します。住宅業界が抱える課題を知り、住宅業界で働くリスクについて正確に把握したうえで冷静に目指すべきか判断しましょう。
具体的には、少子高齢化や景気後退による取引規模の縮小など社会情勢によって引き起こされる問題を含め、大きく5つの課題について解説します。一つひとつチェックして、「住宅業界が厳しい」と言われる理由を正確に理解しましょう。
①人口減少にともなう国内市場規模の縮小
住む人が減少すれば必然的に住宅の需要も減るため、住宅業界の市場規模が縮小していくのです。
総務省統計局が公表している人口推計の結果の概要によると、2014年から2024年までの10年間で、約329万人の人口減少が起こっています。
2014年から2024年の人口統計
2014年10月時点 | 2024年10月時点 | 増減 | |
---|---|---|---|
人口統計 | 約1億2708万人 | 約1億2379万人 | 約329万人減 |
住宅業界の市場規模を図る指標となる新設住宅着工戸数について、国土交通省が公表する令和6年度 住宅経済関連データによると、ほぼ同じ期間である2012年から2022年までの推計を見てみると、10年間で約32万戸減少しています。
2012年時点 | 2022年時点 | 増減 | |
---|---|---|---|
新設住宅着工戸数 | 89.3万戸 | 86.1万戸 | 約3.2万戸減 |
住宅業界の要ともいえる住宅そのものの需要が減少しているため、住宅業界の見通しは暗いと言われているのです。
②新築志向やマイホーム志向の減退
三世代が同居するスタイルが主流だった時代と比較して、現在は夫婦のみ世帯・一人親世帯といった核家族世帯や、一人暮らしの単独世帯が増加しています。そのため、大人数が一緒に暮らしていた頃よりも、戸建て住宅を希望する人が減っているのです。
また、住まいの選択の幅が広がっていることにより、新築を求める人も減少傾向にあります。
最近では中古の戸建てやマンションの選択肢が多くなりました。このような背景にはリフォーム技術の発達があり、築年数が経過していても内装がきれいな物件も多いため、高いお金を払ってまで新築に住むメリットが薄れてきているのです。
また、未婚率の増加・出生率の減少などの社会的背景と建築技術の進歩により、住宅業界のメイン事業である戸建て住宅の需要が減っていることも、住宅業界の先行きが危ぶまれる理由の一つです。
③少子高齢化と定着率の悪さによる人手不足
住宅業界の厳しい営業ノルマや長時間労働による離職率の高さも、人手不足に拍車をかけています。
若者の労働者の獲得が難しくなる一方、高齢の労働者は増え続けています。国土交通省が公表する建設業を巡る現状と課題によると、住宅業界を含めた建設業就業者の年齢別の割合は、熟年層の就業者が若年層の就業者を大幅に上回っているのが現状です。
29歳以下 | 55歳以上 | |
---|---|---|
建設業就業者の年齢別割合 | 約1割 | 約3割 |
そして、今後も少子高齢化の進行が予想されていて、人材不足の深刻化は避けられません。
このように、人手不足にともない、建築業界の専門技術を継承する人材の確保も難しくなっていることも、住宅業界が抱える深刻な問題です。
人手不足の業界については以下の記事でまとめています。人手不足が原因で就職しやすくなっている企業も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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- 今後少子高齢化がさらに進行すると予想されているということは、住宅業界の市場規模縮小は避けられないのでしょうか?
新たなニーズの発見・拡大によって企業は成長し続けられる
少子高齢化が進行するなかで、住宅業界の市場規模縮小が避けられないという見方もありますが、単純に市場規模が縮小するわけではありません。
高齢化社会では、既存住宅のリフォームやバリアフリー化、介護施設の増加が求められるため、リフォーム市場や福祉向け住宅の需要は拡大すると予想されます。
また、人口減少に伴う都市の再開発や、空き家問題への対応が重要な課題となり、これに特化したサービスやビジネスチャンスも広がるでしょう。
市場全体は変化しますが、新たなニーズに対応することで、企業は成長を続けられる可能性があると考えられます。
④「長時間労働」「過酷」といったマイナスイメージ
住宅業界が「厳しい」と言われる理由には、「住宅業界=過酷」という悪いイメージもわっています。
実際、住宅業界では以下のような業務が発生するため、ワークライフバランスを保ちづらい側面もあります。
住宅業界の休日対応・残業例
- 顧客の都合に合わせた夜間・土日の打ち合わせ
- 勤務時間外の電話対応
- 工期に間に合わせるための残業
また、営業職の場合は、月や年間ごとに販売数のノルマが決められている場合もあります。常に結果を求められる環境に対して、強いストレスを感じる人もいるでしょう。
このような長時間労働・厳しいノルマといった過酷な職場環境が、実際に若者の定着率の悪さとして明確に表れています。
住宅業界への就職している人は入社後に後悔しないよう、住宅業界ならではの難しさを把握しておく必要があります。
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就活を成功させるためには、自分に合う職業・合わない職業を早めに知ることが不可欠です。しかし、それがわからずに悩む人も多いでしょう。
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⑤原材料費や人件費の高騰による成長抑圧
住宅業界の需要減少には、アメリカでの住宅建築の急増による世界的な木材不足や、国内での物価上昇による建築資材の価格高騰も影響しています。
社会的問題と物理的問題の両面からネガティブな影響を受けているため、住宅業界は厳しいと言われているのです。
また、インフレによって原材料費だけでなく人件費も高騰しています。かかる費用が大きくなる分、結果として住宅の販売価格が値上がりしているのです。
このような物価上昇と、景気の低迷による所得の停滞が家計を圧迫することで、前述した住宅需要の減少に拍車がかかっているともいえます。
また、近年増加傾向にあるリフォーム事業にも、原材料費の高騰が影響しています。この傾向は今後も続くと予想されていることも、住宅業界の将来にネガティブな意見が寄せられる一因です。
今は各種経費が上がり、マンション価格も上がってきています。それに伴い海外からの不動産投資も増え、インフレ傾向が市場規模に影響していきます。
今後は少子高齢化によりインフラが整った都心への集中化と共に、インバウンドの増加でリゾート地の開発が増えるというように地域制が強く現れるでしょう。
新たな動きによって可能性が見られる! 住宅業界の今後の展望
新たな動きによって可能性が見られる! 住宅業界の今後の展望
人手不足や住宅需要の低迷などのさまざまな課題を抱える住宅業界では、「厳しい」と言われる状況を打開するために、海外進出やデジタル技術の活用などの新たな事業を拡大しています。
住宅業界が開拓している新規事業をチェックすれば、住宅業界がさまざまな工夫によって暗い未来を切り開こうとしていることがわかるかもしれません。
ここからは、住宅業界が取り組んでいる最新の事業展開を、5つに分けて詳しく解説します。一つずつチェックして住宅業界の今後のビジョンを把握したうえで、志望するかどうかを判断する際の参考にしましょう。
①積極的な海外事業の展開
国内の人口減少により市場規模が縮小している住宅業界では、住宅需要が上昇している外国への事業を拡大して収益アップを図る企業が増えています。
アメリカや東南アジアの国々の人口は増加傾向にあり、増えた人の分だけ住宅という受け皿が必要になります。つまり、国外の市場が拡大している地域に事業を展開して、利益を増やしているのです。
特に経済成長過程にある発展途上国では、所得水準の上昇により、住宅を購入できる層が広がることが予想されていて、そこが住宅業界の市場拡大の鍵になると予想されています。
住宅業界のなかでも、大手のハウスメーカーにおいて海外進出の傾向が顕著です。
このように住宅業界の企業は、より住宅需要の高い国・地域にフィールドを広げることで、住宅業界の活路を見出しているのです。
②SDGsの目標に即した持続可能な住宅技術の進歩
住宅業界では、国際的な持続可能な開発目標であるSDGsの考えが普及したことで、エネルギーの消費量を抑える設備を施した環境に優しい省エネ住宅の建設も進んでいます。
エネルギー効率の良い住宅とは、自然環境への負担を軽減できるのはもちろん、光熱費の節約や健康問題の防止など、顧客へのメリットも大きいです。
消費者のなかでもSDGsやエコへの関心が高まっている人も見受けられ、技術の進歩によりその需要を適切にキャッチすれば市場の縮小を抑えられると考えられています。
このようにSDGsの目標に即して建築されているおもな省エネ住宅は、以下の通りです。
おもな省エネ住宅
- ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
- スマートハウス
ここからは、このなかでも特に住宅業界で注目されている2つの省エネ住宅について詳しく解説します。
ZEH
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
断熱性を高めるなどの工夫で消費エネルギーを抑えつつ、太陽光発電などにより創り出したエネルギーで電力消費量を補填する住宅。
ZEHは、家庭内のエネルギーを自ら賄うことで実質的にエネルギー消費量をゼロに抑えられる、エコな住宅です。温室効果ガスの排出を抑えられるだけでなく、光熱費の節約にもつながるなど、顧客にもメリットの多い住宅です。
経済産業省が2021年10月22日に発表した第6次エネルギー基本計画には、「2030年度以降に新築される住宅のZEH基準の省エネルギー性能の確保」を推進することが明記されていて、国を挙げて取り組む重要な事業の一つとなっています。
ニーズが急増しているZEHは、ハウスメーカーや工務店など幅広い業種の企業が請け負っているのが特徴です。
ZEHを手がけているおもな企業
「家庭で消費するエネルギーは住宅で創る」という省エネ住宅の神髄ともいえるZEHの建築は、SDGsの考えが普及しつつある時代のニーズに合わせた方法で、住宅業界の事業拡大の可能性を見出しているのです。
スマートハウス
スマートハウス
ITシステムを駆使して家庭内のエネルギーを管理する住宅。空調設備や照明などの電気使用量をデータ化することで、無駄な消費を防げる。エネルギーを効率的に活用できることから、エコ志向の昨今では需要が増加している。
スマートハウスは、エネルギー使用量の可視化により節電意識を高め、エコなうえに光熱費熱の節約にもつながります。
家電の遠隔操作ができることや、自家発電・蓄電の機能があるため災害時に強いことなど、省エネ以外の利便性に優れていることも、スマートハウスの人気が高い理由の一つです。
スマートハウスは、スマートフォンと連携できるスマート家電を取り扱うことから、大手電機メーカーのグループに属するハウスメーカーなどでも請け負っています。
スマートハウスを手がけているおもな企業
住宅業界では、IT化が進み効率化や利便性が好まれる社会のニーズに合わせた住宅開発を進めることで、業界内の利益拡大を図っているのです。
ZEHやスマートハウスは、環境に優しいだけでなく、エネルギー効率が高いため、電気代などのランニングコストを抑えることができます。
この点が消費者にとって大きな魅力となり、特に長期的にコスト削減を望む層に支持され、市場の拡大につながることも予測されます。
③リフォーム市場などの新たな需要の拡大
住宅業界では、新築の注文住宅・建売住宅のニーズが減少する一方で、現在住んでいる住宅や空き家を改修するリフォーム事業が拡大しています。
なぜなら、高額な費用がかかる新築住宅を購入するよりも、「中古住宅をリフォームする方が低予算で住み良い環境を実現できる」と考える人が増えているためです。
また、高齢化の進行にともない、高齢者の転倒予防や介護者の負担軽減のためのリフォームも増えています。
加えて、建築費用がかさむ省エネ住宅を建てる代わりに、外壁・床の断熱工事や太陽光発電設備の設置など、リフォームによる省エネ対策が浸透してきたことも、リフォーム事業が堅調に伸びている理由の一つです。
住宅業界では、需要が増加しているリフォーム事業を拡大することで、縮小傾向にある市場規模の回復に努めています。
④周辺業種との提携やM&Aによる事業拡大
住宅業界では、同じ業界内の他業種との業務提携や、業界を超えるM&Aにより事業範囲の拡大を図っています。
業務提携やM&Aは、経営資源の共有による人手不足の解消や他業種の専門的なノウハウを取り入れられるなどメリットが多いです。このような事業領域の拡大で、住宅業界の市場縮小防止に寄与できると考えられています。
たとえば、ハウスメーカーとゼネコンによる業界内の業務提携、ハウスメーカーと老人ホームを運営する介護業界の企業のM&Aなど、業界を超えた事業の拡大も実現しています。
住宅業界に属する企業がおこなった業務提携・M&Aの例
住宅メーカー | 提携先・合併&買収先 |
---|---|
大和ハウス工業 | 株式会社フジタ(住宅業界・ゼネコン) |
住友林業 | 神鋼ケアライフ株式会社(介護業界) |
このように、 業界にとらわれず企業間での人員や知識の共有が、住宅業界に新たな事業の可能性をもたらしているのです。
⑤DX推進による業務負担の軽減意識の高まり
長時間労働の常態化が課題となっている住宅業界では、デジタル技術の活用によりビジネスの革新を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入も進んでいます。DXで業務を効率化することで、労働環境は改善されつつあるのです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)
デジタル技術の活用によりビジネスモデルの革新を図ること。業務プロセスを改善することで業務を効率化できる。少子高齢化による人手不足が深刻化するなか、さまざまな業界の企業で推進されている。
DXを活用することで、これまでは現場に出向く必要があった以下のような業務の一部は、企業のWebサイトや遠隔システムでの代用も可能になりました。
DX推進により効率化できる業務の例
- 住宅展示場での販売促進
- 現地での施工管理
- 現場監督作業
また、WebサイトやSNSを有効利用することで、住宅の情報をパソコンやスマホから気軽に見られるなど、顧客側にも大きなメリットがあります。
DXの推進は業務効率化により過重労働を軽減できるだけでなく、顧客満足度をアップすることで住宅業界の市場縮小に歯止めをかけているのです。
- 実際、DX化によって、住宅業界で働く人の負担は軽減されるのでしょうか?
業務の効率化、ミスの軽減などから従業員の負担は軽減される
DXの推進により業務の効率化が進み、申請書類などにおいて、デジタル化が進むことによりミスの減少につながります。
デジタル化によって大量のデータを効率的に収集・分析することが可能になります。このデータを活用することで市場のトレンドを把握し、顧客のニーズに応じた提案ができるため、営業活動の効率も向上します。
今後の展望としてはAI(人工知能)による需要予測や、バーチャルリアリティ(VR)を利用した物件の内覧体験などが普及すれば、従業員の業務負担はさらに軽減されるでしょう。
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ここまで、住宅業界の概要・課題・新たな事業展開などについて解説しました。住宅業界の全貌をつかむことで、住宅業界を志望すべきか判断するのに必要な知識の基礎ができたと思います。
ただ、前述の通り、住宅業界は人口減少やSDGsの概念の浸透など、社会の変化により事業内容が変動しやすい業界です。
そこでこの章では、キャリアコンサルタントの桑田さんに住宅業界の今後の見通しを考えてもらいました。キャリアのプロによる考察も踏まえて、住宅業界を志望するかどうかをより多角的な観点から検討しましょう。
プロのアドバイザーはこう分析!少人数・高機能なマンション需要が増える可能性が高い
桒田 里絵
プロフィールを見る今後も少子高齢化は進んでいきますが、2030年頃まで世帯数は増えていきます。しかし、住宅着工数や家を建てる人は減っていて、25年前の半数と言われています。戸建ての業界は縮小傾向といえるのです。
一方、マンション需要は増えています。しかし、その中身は以前と様変わりしていて、ファミリー向けより1~2人用、女性の一人暮らし、ペット可能、高齢者向けサービス付きなどと多様化しています。この傾向は今後さらに進むでしょう。
また、現在投資向けの需要が多く、都心のマンション価格は高騰しています。購入者の多くは外国人であり、投資目的の転売需要も増えています。
この傾向はどこまで続くかわかりません。日本が投資先として魅力が無くなれば投資を引き上げることになります。その後、マンションがダブつきマンション建築数は減るかもしれません。
需要への対応次第で十分業績をアップさせることができる
このように、住宅需要は少しずつ縮小気味ではあるものの、多様な需要が出てきていて、社会情勢の変化に応じて常に新しい動きもあります。そこにどう対応するかで会社の業績も大きく変わります。
住宅需要がなくなることはないため、対応策次第というやりがいのある業界であることに間違いないでしょう。
住宅業界に属する9つの業種と代表的な企業
ここまで解説してきたように、住宅業界に属する企業が手がける事業やその規模は多岐にわたります。そのため同じ住宅業界でも、業種や企業ごとの特徴、役割はさまざまです。
ここからは、住宅業界に属する9つの業種について一つずつ解説します。住宅業界の業種と企業について知り、具体的にどのような企業に就職する選択肢があるのかチェックしましょう。
各業種のおもな企業とその取り組みについても例示するので、その業界に就職した際のイメージを広げる参考にしてみてください。
あなたが受けない方がいい職業を確認しよう!
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
①ハウスメーカー
おもな大手ハウスメーカー
- 大和ハウス工業
- 住友林業
- 積水ハウス
ハウスメーカーとは、住宅の設計・建設・販売をおこなう、住宅業界の象徴的な業種です。全国規模で事業展開している大手ハウスメーカーが多く、テレビCMなどでも目にする機会も多いのではないでしょうか。顧客の知名度が高く、住宅業界を代表する業種といえます。
ハウスメーカーは、建築資材や設計の基準が統一されているため、品質に一定のクオリティを担保しつつ短期間で住宅を完成させられるのが特徴です。
なかには、建築基準・間取り・デザインなどを統一した独自ブランドを手がけることで、
コスト削減や他企業との差別化を実現しているハウスメーカーもあります。
このようなハウスメーカーに就職することで、個人向けの戸建て住宅の建築や販売をメインに、大規模マンションや大型商業施設の建設など幅広い事業に携われます。
資材力も技術力も豊富な大企業では、土地の手配からアフターフォローまで幅広く顧客のニーズに応えられるのも強みです。
以下で代表的な2つのハウスメーカーを紹介します。
大和ハウス工業
大和ハウス工業は戸建て住宅をはじめ、集合住宅や大型商業施設などを手がける住宅業界有数のハウスメーカーです。
大和ハウス工業では、住宅事業に加えて以下のような事業を展開しています。
大和ハウス工業のおもな事業
- 住宅事業
- マンション事業
- 環境エネルギー事業
- 高齢者住宅事業
- 海外事業
たとえば、エネルギーを賢く使うZEHや、高齢化にともない整備数が増えているサービス付き高齢者向け住宅など、幅広いジャンルでさまざまな規模の建設を請け負っています。
また、大和ハウス工業では国内・海外の売上高がほぼ同額となっていて、アメリカ・オーストラリアを中心に積極的な海外展開を進めていることも特徴的です。入社すれば、海外で勤務できる可能性もあります。
大手ハウスメーカーならではの幅広い領域にまたがるノウハウを活かし、大規模マンションや商業施設の建設など、広範囲の業務を経験できる企業といえます。
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住友林業
住友林業は、木材建材の生産・木造建築・バイオマス発電など木を主軸にした特色ある事業を展開する大手ハウスメーカーです。
二酸化炭素を吸収する木を増やすことで脱炭素化を目指す「WOOD CYCLE」の考えの下、林業経営の知見を活かし、森林経営から木造住宅建築まで多様な事業を手がけています。
住友林業のおもな事業
- 住宅事業
- 木材建材事業
- 資源環境事業
- 生活サービス事業
- 海外住宅建築・不動産事業
住友林業はアメリカやアジア諸国など海外への事業展開が活発で、2024年時点では売上総額のうち約8割が海外事業による収益となっています。
林業が得意な専門性を活かした環境に優しい省エネ住宅づくりに興味がある人、海外勤務を志望する学生はぜひチェックしておきたい企業です。
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②ゼネコン
ゼネコン
ゼネラル・コントラクターの略称で総合建築企業のことを指す。大規模な公共事業や都市開発において、建築や土木作業全体を総括する役割を担う。
ゼネコンは大規模な建築・開発事業に携わる場合が多い業種です。戸建て住宅の建築が多いハウスメーカーや工務店とは異なり、大型の商業施設・公共施設や社会インフラの整備をメインに建築しています。
建築事業 | 土木事業 |
---|---|
・高層オフィスビル ・総合病院 ・スタジアム | ・高速道路 ・鉄道 ・空港 |
ゼネコンは、大手ハウスメーカーや土地・不動産開発をおこなうディベロッパーなどと連携し、ノウハウを共有することで事業を拡大しています。たとえば、耐久性の高い建材やバイオ技術などの最新技術の研究開発もゼネコンが担う業務の一部です。
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- 未経験でもスーパーゼネコンと呼ばれる企業に入社できますか?
難易度は高いがスキルや経験次第で入社することが可能
スーパーゼネコンへの転職は競争が激しく、採用枠も限られているため、とてもハードルが高いといえます。
多くの場合、即戦力としての能力が求められ、企業特有の文化などに適応できるか、年齢制限などがある会社もあるため、応募自体を見送る人も多いようです。
ただし、職種によっては未経験でも採用されたケースや、これまでのスキル・経験を評価されて採用されることもありえます。徹底した準備と、強みを活かしたアピールが重要だと考えます。
鹿島建設
鹿島建設は、ゼネコンのなかでもゼネコン大手五社に数えられる業界屈指の企業です。
ゼネコン大手五社
鹿島建設・大林組・大成建設・清水建設・竹中工務店の5つ。スーパーゼネコンとも呼ばれる、おもに従業員数1万人・年間売上高1兆円を超える日本を代表する総合建築企業。
鹿島建設は高層ビル・都市インフラ・総合病院など、国内外の大規模施設の建設をおもに請け負っています。
街中で一度は目にしたことのある有名な大型商業施設や全国の鉄道も建設していて、生活に欠かせない建築を多く手がけている住宅業界の一大組織です。
鹿島建設のおもな施工実績
- 東京駅丸の内駅舎保存・復元
- 相鉄新横浜線・東急新横浜線「新横浜駅」
- 虎ノ門タワーズオフィス
- 横濱ゲートタワー
- 埼玉医科大学国際医療センター
鹿島建設では、最新の建築技術はもちろん、先端ICT(情報通信技術)やバイオ技術などの研究開発も事業の一環です。住宅業界のなかでも、建築・企画・開発など海外を含めた広範囲の事業を経験できる企業といえます。
大林組
大林組は、鹿島建設と同じくスーパーゼネコンと言われるゼネコン業界の大手企業です。
「”地球に優しい” リーディングカンパニー」を基本理念に掲げてSDGsに貢献しながら、国内外の鉄道やトンネルといったインフラ整備を中心に手がけています。
大林組のおもな施工実績
- 高輪ゲートウェイ駅
- 青函トンネル(他企業と共同施工)
- 東京スカイツリー
- 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー
- 東京医科大学病院
大林組は、総合建築企業ならではの高度な技術・膨大なノウハウをデジタル技術と掛け合わせて、サービスの質の向上や業務改善に取り組んでいるのも特徴です。就職すれば、住宅業界のなかでも先駆的な最新事業に携われる可能性があります。
また、海外展開や環境に配慮した都市開発など、スケールの大きい事業を経験できる企業といえます。
③工務店
工務店は、限られた営業エリア内で住宅の設計・建設・販売をおこなう地域密着型の住宅企業です。戸建て住宅の建築をメインに、マンションの建設や道路工事などのインフラ整備も手がけています。
工務店では、営業拠点周辺のエリアに限定して事業を請け負うことが多いです。そのため、気候や交通事情などその土地特有の実態を踏まえ、以下のように細部まで工夫を凝らせるのが強みといえます。
工務店の地域に根差した建設の例
- トリプルガラス・樹脂サッシなど断熱性の高い窓ガラスを使う(寒い地域)
- 屋根に勾配をつけて自然に落雪する落雪式の屋」を付ける(豪雪地域)
- 風が入る箇所と抜ける箇所を設置し通気性を高める(暑い地域)
一方で、工務店ながら全国に拠点を構えている企業もあります。工務店に就職すれば、さまざまな規模の案件があるなかでも、限られたエリアの地域事情に詳しくなることで、顧客のニーズに寄り添った住宅建築にかかわれます。
ここからは代表的な2つの工務店を紹介します。
一条工務店
一条工務店は、全国に約500ヶ所ある営業拠点を中心に、おもに木造の新築戸建住宅の建設を手がける大手工務店です。
一条工務店では、おもに耐震・断熱・気密などの性能の高い戸建て住宅を建築しています。売りである性能を顧客が実際に確かめてから購入できるよう、住宅展示場を積極的に展開しています。モデルハウスの建設数は業界No.1です。
住宅業界では効率化のために、WebサイトやSNSでの集客が増えている一方、一条工務店では、住宅展示場にこだわっています。伝統である住宅展示場を利用することにより、顧客と直接会話しながら希望を細かく反映できる住宅建築を実現し続けているのです。
一条工務店のおもな事業
- 戸建住宅事業
- マンション事業
- アフターサポート事業
- 住宅ローン事業
- 海外事業
工務店のなかでも事業規模の大きい一条工務店に就職すれば、戸建て住宅の建築に加えて、以上のような広範囲の事業を経験できます。
木下工務店
木下工務店は、関東地方を中心に注文住宅の設計・建設・販売をおこなう工務店です。既存の設計・間取りにとらわれず、各顧客の予算・好み・土地の特性などに合わせて一から設計する完全自由設計の戸建て注文住宅を建築をメイン事業に据えています。
大手ハウスメーカーでは効率性の観点から決められた間取り・デザインから選択する住宅設計が進むなか、細部まで希望を反映した世界に一つだけの住宅を建築できるのは地域密着型の木下工務店の大きな魅力です。
このような木下工務店では、注文住宅の販売だけでなく、分譲住宅の販売や個人・企業向けの土地活用事業も展開しています。
木下工務店のおもな事業
- 注文住宅事業
- 土地分譲事業
- 土地活用事業
間取りからデザインまで顧客のニーズに合わせて柔軟に決められる事業を展開する木下工務店では、住宅業界の神髄ともいえる戸建て注文住宅に特化して経験を深められるでしょう。
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受けない方がいい職業を診断しよう
就活で大切なのは、自分の職務適性を知ることです。「適職診断」では、あなたの性格や価値観を踏まえて、適性が高い職業・低い職業を診断します。
就職後のミスマッチを避けたい人は、適職診断で自分に合う職種・合わない職業を見つけましょう。
- 自分に合う職業がわからない人
- 入社後のミスマッチを避けたい人
- 自分の強みを活かせる職業を知りたい人
④設計事務所
設計事務所は、設計士・建築士などの専門職が在籍する、住宅設計や監理をメインにおこなう業種です。施工は担当せず、設計後は、工務店などへ依頼して設計した住宅を建築します。
設計事務所では以下のような設計業務のみに集中できるのが魅力です。
設計事務所のおもな業務内容
- 意匠設計:建物全体の組み立て・デザイン設計や施工監理
- 構造設計:顧客希望の間取りや耐震性など安全面を確保した土台・骨組みの設計
- 設備設計:ガス・水道・電気などのインフラ設備の設計
専門性が高いうえに顧客との綿密な打ち合わせが可能なため、細かな要望に応えながら顧客の理想の建物を作り上げられます。
設計事務所の種類は、設計士・建築士が自ら代表を務める個人事務所や多くの専門職が所属する組織系の事務所など、多岐にわたります。
自身で設計事務所の規模を選ぶことで、個人向け住宅から大規模な商業・公共施設までさまざまな建築設計に携われるのが魅力です。
以下では、設計事務所を代表する事業規模の大きな企業を紹介します。
日企設計
日企設計は、超高層建築やインテリジェントビルの設計、再開発事業などを手がける全国規模の設計事務所です。
インテリジェントビル
電気・空調・セキュリティなどの最先端設備やIT(情報通信技術)を備えた高付加価値オフィスビル。快適なインフラや情報通信ネットワークを備えることで、省エネやコスト削減が期待できる。
設計事務所の売上高では、日企設計は住宅業界トップクラスの売上高を誇ります。以下のような超高層建築を請け負う日本でも数少ない企業として知られていて、建築物のサイズも事業規模も大きな設計事務所です。
日企設計のおもな建築例
- 大型タワーマンション
- 大型商業施設
- ホテル
- リゾート施設
- 病院
また、日企設計では、大規模建築物の設計や工事監理に加えて、土地利用やインフラ整備などの市街地開発事業も展開しています。建築物の設計だけでなく道路・都市公園など生活に欠かせない設備も手がけるなど、地域への貢献度も高い事業に携われる可能性があります。
日建設計
日建設計は、全国でランドマーク・大型商業施設・有名ホテル・交通インフラなどの設計を請け負う大手設計事務所です。
大手総合商社である住友商事から派生して創業した関係から、新宿住友ビル・住友ビルディングなど住友系のオフィスビルも多く手がけています。
日建設計のおもな設計実績
- 東京スカイツリー
- 東京ミッドタウン
- グランフロント大阪
- ザ・リッツ・カールトン京都
- 成田国際空港第1旅客ターミナル 南ウイング
日建設計では、以上のような名の知れた大規模施設の設計だけでなく、東京・大阪をはじめとする大都市での開発事業も担当しています。なかには中国・シンガポールなど国外での事業もあるため、日経設計に就職すれば海外で設計事業に携われるかもしれません。
未経験でも設計事務所に入社する可能性があるのは、デザインセンスがあり、学ぶ意欲が高い人です。また、関連するスキルや資格を持ち、コミュニケーション能力やチームワークを大切にできる人が望まれます。
⑤リフォーム・リノベーション会社
リフォーム・リノベーション会社は、住宅や商業施設など既存建築の改修・改装をメインにおこなう業種です。リフォーム・リノベーション会社では、おもに以下のような工事を手がけています。
リフォーム・リノベーション会社のおもな事業内容
リフォーム事業 | リノベーション事業 | |
---|---|---|
概要 | 老朽化した設備を修繕・改修して、新築時の性能に近づける。 | 古くなった建物を全面的に改装し、機能性・デザイン性をアップする。 |
おもな施工例 | ・壁紙の張り替え ・外壁の塗り替え ・キッチン設備の交換 ・手すりの設置 など | ・断熱材の入れ替え ・独立型キッチンから対面式キッチンへの取り換え ・間取りの変更(壁の移動) など |
住宅業界では、少子化による世帯人数の減少や景気減退による家計の圧迫により、新築離れが進んでいます。一方で、低コストできれいな住宅を実現できるリフォーム・リノベーション会社は需要が増加している業種なのです。
リフォーム・リノベーション会社には、改修・改装工事の設計・施工・アフターフォローに加えて、新築住宅の建築まで幅広い事業を担っている企業もあります。以下では、代表的なリフォーム・リノベーション会社を紹介します。
積水ハウス
積水ハウスは、戸建て住宅・集合住宅・店舗などさまざまな建築のリフォーム・リノベーションを手広く請け負う企業です。また、積水ハウスはハウスメーカーの大手でもあり、新築住宅の建築や販売も手がけています。
積水ハウスでは、水回りや外壁など古くなった設備の軽微な改修から、間取りの変更を伴う大規模なリノベーションまで手広く対応できるのが特徴です。
積水ハウスのおもなリフォーム・リノベーション例
- 水回り設備の交換
- 屋根や外壁の修繕
- 太陽光発電システムの設置
- 高齢化対応リフォーム
- 全面的な空間リノベーション
- 古民家の再生リノベーション
壁や窓の断熱工事や太陽光発電設備の設置などによって、家庭の電力消費削減を実現するリフォーム・リノベーション事業も展開しています。
大手ハウスメーカーでもある積水ハウスに入社すれば、新築住宅の建設から改修工事、大規模なリノベーションまで幅広い業務内容を経験できます。
リノベる。
リノベる。は、戸建て住宅・集合住宅・店舗やオフィスのリノベーションに特化したリノベーション会社です。なかでも中古住宅を活用するワンストップリノベーションを得意としています。
ワンストップリノベーション
物件探し・ローンの手続き・設計・施工まで、リノベーションの一連の手続きを一つの企業で完結できるサービス。物件購入とリノベーションの総費用や工期を、まとめて管理できるなどのメリットがある。
リノベる。のおもなリフォーム・リノベーション例
リノベーション前 | リノベーション後 | |
---|---|---|
事例① | ・2LDK(中古マンション) ・収納は寝室、廊下などに点在 | ・1LDK+ワークススペース ・収納はウォークインクローゼットに集約 |
事例② | ・3LDK(中古マンション) ・壁付けキッチン(I型) | ・2LDK+ワークスペース+パントリー ・対面キッチン |
リノベる。では、リノベーションに特化した専門性の高さを活かし、施工管理ツールを独自開発するなど、工事の効率化・高品質化に取り組んでいるのも特徴です。
ワンストップリノベーションには、内装に合わせたインテリアの選定も含まれるため、インテリアコーディネートなどクリエイティブな事業にも携われます。
⑥総合ディベロッパー
総合ディベロッパーは、おもにオフィスビル・商業施設・マンションなどの企画・開発をおこなう業種です。開発した建築物を販売したり、貸し出すことで収益を得ています。総合ディベロッパーのおもな事業内容は以下の通りです。
総合ディベロッパーのおもな事業内容
- 用地取得
- 建築物の企画・設計
- 営業販売
- 建築物の管理
総合ディベロッパーは建物だけでなく、マンション・オフィス・商業施設の建設を通じてまちづくりを手がけています。建設事業を通じて街の新たな産業創出や文化の保全・発信などを目指しているのです。
総合ディベロッパーでは、都市開発のために担当地域の歴史や人口動態といった地域事情の分析など、建築以外の幅広い事業に携われます。
以下では、総合デベロッパーを代表する企業や具体的な事業実績を紹介します。
- ディベロッパーの就職難易度はどの程度なのでしょうか?
きちんと準備すれば就職難易度は決して高くない
ディベロッパーは多角的な事業を展開するため、様々な人材を求めています。
しかし、取り組んでいる事業は、街をどう魅力的に創っていくかを考えて実行することです。加えて事業規模が大きいため、チームで取り組む必要があります。
大きく考えれば未来の日本をどうしていくか、このエリアをどう変え、どんな魅力を創出するかについて自分の考えを持っている人材が求められます。
学生の頃から街について考え、街の成り立ちについて考え、街の将来について考え、そのことを言語化できるようにしておきましょう。
自分なりの街の将来設計が語れるようになれば就職にかなり近づいたといえるでしょう。
三井不動産
三井不動産は、オフィスビル・複合商業施設などの企画・開発をおこなう総合デベロッパーです。総合ディベロッパーとしてだけでなく、住宅業界全体でも最大手の企業の一つです。
三井不動産は、誰もが一度は聞いたことのあるような大規模な商業施設や、東京都内にある日本有数の繁華街の都市開発などをおこなっています。三井不動産のおもな事業実績は以下の通りです。
三井不動産が手がけた建物
- 日本橋三井タワー
- 霞が関ビルディング
- 三井アウトレットパーク
- 東京ミッドタウン
- 日本橋(日本橋再生計画)
三井不動産は、欧米やアジアの首都都市でも高層ビル・大規模マンション・複合商業施設などを手がけているのが特徴です。業界最大手の三井不動産に就職すれば、特に高度なテクノロジーや先駆的な技術を使用しながら、スケールの大きい事業に携われます。
住友不動産
住友不動産は、おもに大規模マンションや高層オフィスビルを企画・開発する大手総合デベロッパーです。企業向けのオフィスビルや商業施設だけでなく、分譲マンション・戸建て注文住宅といった個人向けの住宅建築も請け負っていてるのが特徴です。
三井不動産が手がけた建物
- 泉ガーデンタワー
- グランドヒルズ恵比寿
- 有明ガーデン
- J・アーバン練馬中村(建築条件付宅地区画)
- 西新宿六丁目西第6地区再開発事業
住友不動産では、発光効率の良いLED照明や断熱性の高い素材の壁を採用することでエネルギー消費を抑えるなど、SDGsの考えに即した取り組みも強化しています。
住友不動産では、分譲住宅や商業施設の開発・賃貸・管理・仲介など住宅業界の幅広い業務内容に加えて、このような省エネ対策など、地球環境に密接に関わる事業も経験できるのが強みです。
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⑦パワービルダー
パワービルダーとは、大人4人程度が住むのに適した広さである床面積30坪程度の戸建住宅を、土地と合わせて数千万円程度の低価格で販売する業種です。
規格化された間取りで建築することで、マニュアル化された工程による人件費の削減や、大量仕入れにより建材の原価を下げることによる低価での住宅販売を可能にしています。
リーズナブルな新築住宅を販売するパワービルダーは、養育費・教育費の負担が大きい子育て世代など、費用を抑えたい若年層を中心に人気を集めているのが特徴です。
パワービルダーのおもな事業内容
- 土地情報の仕入れ
- 土地の購入
- 戸建て住宅の建築
- 営業販売
土地に住宅を建築した状態で販売するパワービルダーに就職すれば、土地の仕入れから建築、販売まで住宅建築の一連の業務を経験できます。以下では代表的なパワービルダーを2社紹介します。
一建設
一建設は、関東地方や全国の主要都市を中心に、おもに分譲戸建住宅を販売する大手パワービルダーです。
一建設の分譲戸建住宅では、デザインを統一することで大量の建材を一括で仕入れています。これにより仕入れコストを削減し、低価格での販売が実現しているのです。
また、販売・建築・入居後のアフターサービスまで一貫して請け負うことで、さらなる低価格化を追求しています。土地・建物を別で購入する際にかかる各企業の利益上乗せ分を省ける分、価格を抑えられるのです。
一建設では、分譲戸建住宅建築のほかにも以下の事業を手がけています。
一建設のおもな事業内容
- 分譲マンション事業
- 注文住宅事業
- リフォーム・リノベーション事業
- アセットソリューション事業(投資用物件)
一建設はパワービルダーのなかでも事業領域が幅広く、就職すればさまざまな事業に携われます。
飯田産業
飯田産業は、新築の戸建住宅・マンションの建設をメイン事業とし、首都圏を中心に東北から沖縄まで全国的に事業を展開する大手パワービルダーです。飯田建設では、以下のようなさまざまな事業をおこなっています。
飯田産業のおもな事業内容
- 新築一戸建て事業
- 新築マンション事業
- リフォーム事業
- リゾート事業
- 海外事業
新築戸建住宅は、土地の広さに応じて規格化された間取りプランをもとに建築しています。建材を大量仕入れや自社工場による調達で資材費の原価・仲介料を削減し、顧客に低価格で提供しているのです。
また、耐久性・耐震性を高める独自技術により地震に強い建物を実現するとともに、徹底した工程管理による工期短縮も飯田産業の強みです。
飯田産業は、デザインの自由度が限られる分譲住宅においても壁紙や照明などをカスタムできるオプションメニューを用意するなど、顧客のニーズに合わせた対応しているパワービルダーといえます。
⑧不動産仲介会社
不動産仲介会社は、不動産の分譲・賃貸において、売主・買主や貸主・借主が円滑に取引できるよう仲介する業種です。
不動産仲介会社の事業内容は、おもに不動産の売買・賃貸に分けられます。それぞれの事業内容は以下の通りです。
不動産仲介会社のおもな事業内容
不動産売買事業 | 不動産賃貸事業 |
---|---|
・土地、建物の価格査定 ・物件の紹介、案内 ・売買条件の交渉 | ・家賃や敷金、礼金の金額査定 ・物件の紹介 ・案内・家賃などの価格交渉 |
なかでも、不動産仲介の契約時におこなう重要事項説明や契約書への記名押印は、不動産仲介の専門職である宅地建物取引士のみに認められている業務です。
不動産仲介会社に就職するにあたって、宅地建物取引士の資格は必須ではありませんが、取得していれば企業により大きく貢献できることを示せます。
不動産仲介では、金融・法律など幅広い知識も求められることから、以上のような宅地建物取引士をはじめ、ファイナンシャルプランナー・不動産鑑定士などの専門資格がある人は特に活躍できる業種といえます。
三井不動産リアルティグループ
三井不動産リアルティグループは、おもに個人向けや法人向けの不動産仲介を手がける不動産売買仲介会社です。全国の売買仲介取扱件数はNo.1であり、不動産仲介業界でも最大手の企業の一つです。
三井不動産リアルティグループでは、戸建住宅・土地・マンションなど幅広い不動産の仲介事業を担っています。主な事業内容は以下の通りです。
三井不動産リアルティグループのおもな事業内容
- 個人向け不動産売買仲介
- 個人向け不動産賃貸
- 法人向け不動産仲介
- 外国人向け不動産仲介
- 不動産資産コンサルティング
三井不動産リアルティグループは、個人向け不動産仲介をおこなう三井のリハウスを全国に約290拠点展開し、地域の実情を踏まえた地域密着型の不動産仲介をおこなっているのが特徴です。
また、事業用・投資用といった法人向けの仲介や、個人資産家向けに不動産戦略のコンサルティングも請け負っているため、入社すれば不動産仲介に関する幅広い事業を経験できます。
東急リバブル
東急リバブルは、首都圏を中心に個人向け・法人向けの不動産売買・賃貸仲介を請け負う不動産仲介会社です。
東急リバブルは、鉄道整備や不動産開発を手がける東急グループに属していて、自社グループが開発した新築分譲マンションや戸建て住宅などの販売もおこなっています。おもな事業内容は以下の通りです。
東急リバブルのおもな事業内容
- 売買仲介事業
- 賃貸仲介事業
- 新築販売受託事業
- 不動産開発事業
- 不動産ソリューション事業
東急リバブルは、不動産仲介会社のメイン事業である売買・賃貸事業のほかに、不動産開発や不動産投資など不動産ビジネスを手広く取り扱っています。
東急リバブルは、用地開発を手がけるデベロッパーや個人投資家など、さまざまな立場の人とかかわれる企業です。必然的にコミュニケーションを取る場面が多く場数を踏めるため、不動産を通じて人とかかわりたい人には特におすすめの企業といえます。
事業内容が多岐にわたる企業では、異動の希望が叶うこともありますが、必ずしも保証されているわけではありません。たとえば大手企業では、社内公募制度があり自分の希望部署に異動できるチャンスがあります。
⑨不動産管理会社
不動産管理会社は住宅・オフィスビルなどの不動産の所有者から委託を受けて、不動産の管理業務をおこなう業種です。
不動産管理会社がおこなう事業内容は、大きく賃貸管理事業・建物管理事業の2つに分けられます。それぞれのおもな事業内容は以下の通りです。
不動産管理会社のおもな事業内容
賃貸管理事業 | 建物管理事業 |
---|---|
・入居者の募集 ・賃貸契約手続き ・設備の修繕工事の手配 ・入居者のクレーム対応 | ・建物の点検などのメンテナンス ・建物の清掃 ・長期修繕計画の作成 |
賃貸管理事業の業務内容には建物自体の管理だけでなく、入居者を募集するための広報や入居者同士のトラブル対応なども含まれます。不動産の管理だけでなく入居者の生活をサポートする、重要な役割です。
以下では、代表的な不動産管理会社を紹介します。
大東建託グループ
大東建託グループは、おもに不動産賃貸に関する事業を全国的に展開する大手不動産会社です。不動産管理事業をメインに、不動産仲介事業や賃貸住宅の企画・建設まで、不動産賃貸に関する事業を各グループ企業が分担して手がけています。
大東建託グループのおもな企業とその役割
- 大東建託パートナーズ株式会社:賃貸住宅の管理・運営
- 大東建託リーシング株式会社:賃貸住宅の仲介事業
- 大東建託株式会社:賃貸事業の企画・立案や建物の設計・施工
大東建託グループは、賃貸住宅の建設・管理まで不動産賃貸事業の全体を網羅的に経験できるのが強みです。
また、人口減少により人が住まなくなった空き家の管理や、高齢化に伴い需要が増えているサービス付き高齢者向け住宅の建築・管理の事業など、幅広い事業内容を手がけているため、住宅にかかわるさまざまな事業を経験したい人には特におすすめです。
レオパレス21
レオパレス21は、賃貸アパートの管理・建築のほか、老人ホームの建設やリゾート地の開発などをおこなう不動産管理会社です。
レオパレス21では、自ら賃貸アパートを管理しているため仲介手数料がかからず、顧客に安価で賃貸できるのが最大の強みといえます。
入居の初期費用を抑えられる物件や、家具・家電付きのアパートを提案できる分、顧客にメリットのある物件を提示しやすく、成果につなげやすいのもレオパレスに入社する魅力です。
レオパレス21はアパートの賃貸業務以外にも、おもに以下のような事業を展開しています。
レオパレス21のおもな事業内容
事業の種類 | 事業内容 |
---|---|
賃貸事業 | ・アパートの賃貸、管理 ・アパートの建築 |
開発事業 | ・省エネ、高耐久性など高性能を備えた建材の開発 ・土地活用 |
シルバー事業 | ・有料老人ホームの運営 ・訪問介護、居宅介護支援 |
その他の事業 | ・海外リゾート地の開発 |
レオパレス21に就職すれば、賃貸アパートの管理業務だけでなく、アパートや介護系施設の建築や資材開発など、幅広い事業内容を経験できます。さまざまな事業を通じて社会に貢献できるため、他社とは異なるやりがいを感じながら働けるはずです。
魅力がたくさん! 住宅業界に就職するメリット
魅力がたくさん! 住宅業界に就職するメリット
ここまで詳しく説明してきた住宅業界は取り扱う事業の規模が大きいため、人の生活に密接にかかわれるなど、業界ならではのメリットが多くあります。
ただ、住宅業界は労働環境の過酷さが議論の対象となることもあり、実際の職場環境や労働条件について不安に思う人もいるでしょう。
そこで、ここからは給料事情や福利厚生を中心に、住宅業界に就職するメリットを解説します。住宅業界に就職するメリットを押さえ、就職するかどうか決める際の判断材料にしましょう。
①実力次第で1,000万円以上の年収も実現できる
住宅業界は実力主義の傾向が強いため、自分の努力次第で高収入を得られます。
特に住宅業界の営業職には、住宅の販売数に応じた歩合制が採用されている場合が多くあります。基本給に追加報酬が上乗せされるため、良い結果を残せばその分収入がアップするのです。
歩合制
個人の成果に応じて給料が支払われる制度。「出来高払い制」や「インセンティブ制」と呼ばれることもある。
実際、ゼネコン大手23社の平均年収ランキング【2024年版】によると住宅業界のなかでも特に大企業では、以下の通り1,000万円以上の高収入を実現している企業もあります。
住宅業界の平均年収1,000万円以上の企業例
- 鹿島建設:約1,178万円
- 大林組:約1,066万円
- 大成建設:約1,024万円
これらはあくまで平均年収であるため、努力やスキル次第では上記以上の年収を得られることもあります。
また、スキルアップにつながる資格の取得をサポートする体制が整っている場合も多く、努力が年収に反映されやすい側面があるのも住宅業界の大きな魅力です。
住宅業界はノルマなど厳しい労働環境がある一方、出した結果がそのまま収入に反映されるため、モチベーションを保ちやすい側面もあります。
最も1,000万超えに近いのは住宅営業です。住宅は単価が高いためインセンティブも高額になります。
そのほか、技術職の設計士、施工管理技士など専門知識を活かせる高収入職種も注目です。これらの専門職は長期間活躍できる職種でもあります。
就職後の年収事情が気になる人は、以下の記事もチェックしてみてください。新卒者の平均的な初任給や年収の見通しを具体的なデータを交えて解説しています。
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新卒の平均年収は約240万〜300万円ですが、学歴や業界によっては300万円以上も十分狙えます。この記事では、学歴別や企業規模別での新卒平均年収について説明します。高年収を狙える業界8選の特徴も解説するので、年収を重視した就活を目指す人は参考にしてください。
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また、住宅営業に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。事前にチェックしておけば、その魅力や就職のコツまで具体的に理解できるでしょう。
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ハウスメーカーで働く住宅営業は、顧客のライフイベントに立ち会えるやりがいのある仕事です。ノルマがある、責任感が求められるなど、大変さもありますが、その分大きな達成感を得られます。この記事ではキャリアコンサルタントとともに住宅営業の魅力や、具体的な仕事内容などを詳しく解説します。
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②顧客の人生を左右する「人生の三大支出」の一つに寄り添える
住宅購入は、人生のなかでも最大と言えるほどの大きな買い物です。住宅資金は、教育資金・老後資金と共に人生の三大支出とも呼ばれていて、人生の最も重要な支出の一つに数えられます。
フラット35利用者調査(2023年度)によると、戸建住宅の平均購入金額は以下のように算出されています
戸建て住宅の平均購入金額(2023年度)
注文住宅+土地 | 建売住宅 |
---|---|
4903.4 万円 | 3603.2 万円 |
このような人生にもかかわる大切な買い物を隣でサポートし、顧客が夢をかなえる瞬間に立ち会えるのも、住宅業界で働くメリットの一つです。
また、顧客が満足できる住宅を建築・提供すれば、面と向かって感謝を伝えられる場面もあります。自分の仕事が誰かの役に立っていることを実感できる、やりがいを感じやすい仕事といえます。
ただし顧客の生活に密接にかかわる仕事だからこそ、顧客のニーズに最大限寄り添うことが求められる点には留意しておきましょう。
③さまざまな取引相手と関わるためビジネススキルが磨かれる
住宅業界は、建物の設計から販売まで一連の過程を担当するため業務範囲が広く、業界内外の取引先とかかわる機会が多いため、ビジネススキルを向上しやすい業界といえます。
さまざまな企業・職種とやり取りすることは、業界内外の知識を増やせるだけでなく、コミュニケーションの場数を踏むことにより対人スキルのアップにもつながるためです。
たとえば、建材の仕入れ先や、住宅建築に欠かせない電気・水回り設備の専門業者はもちろん、ときには住宅ローンについて銀行と相談することもあります。
ビジネススキルを磨き、取引先とスムーズにやり取りできるようになれば信頼関係も築けるため、効率的な業務進行や顧客のニーズに合わせた柔軟な対応が可能になるでしょう。
住宅業界の取引先の例
- 顧客(個人・企業)
- 住宅建材関係企業
- 住宅設備関係企業
- 職人(大工・電気工 など)
- 銀行
特に施工管理職では、各業種の要望やスケジュールなどを集約し調整するスキルが求められます。そのため、さまざまな立場の事情を汲み取り落としどころを見つける調整力も磨かれるでしょう。
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④資格取得やスキルアップに関する福利厚生が整っている場合が多い
住宅業界の多くの企業では、社内独自の研修制度や資格取得費用の援助などの、社員のスキルアップにつながる福利厚生が充実しています。スキルアップの費用を会社に負担してもらえることもあるため、支出を気にせずスキルアップに取り組める点は大きなメリットです。
このように福利厚生が整っている背景には、社員一人ひとりのスキルや専門性を高めることで、企業としても売上アップや質の高いサービス提供の実現にもつながるということがあります。
住宅業界に属する企業のスキルアップサポートの例
企業名 | サポート例 |
---|---|
一条工務店 | ・キャリアに応じた社内研修制度 ・公的資格取得支援制度(教材の提供、講座費用の補助 など) |
積水ハウス | ・公的資格(検定)取得祝金の支給(建築士、土木施工管理技士 など) |
三井不動産リアルティグループ | ・指定の資格取得時の援助金支給(不動産コンサルティング技能試験、マンション管理士 など) |
住宅業界に属する企業のなかには、資格取得により資格手当の支給や昇給をおこなう企業もあるため、スキルを磨くことで自身の成長だけでなく収入アップにもつながります。
自己研鑽のための費用は各自で負担することが当たり前の業界もありますが、住宅業界なら企業の金銭的サポートを受けて、さまざまな知識を取り入れながら成長可能です。
住宅業界では、技術や知識の進化が求められます。スキルアップに関する福利厚生は、社員の成長を促進し、競争力を高めるだけでなく、仕事の満足度や社員の定着率向上にも寄与します。
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⑤自分のスキルを活かしてクリエイティブな業務にも携われる
住宅業界では、建物の建築だけでなく、住宅デザインなどのクリエイティブな仕事にも携われるのもメリットの一つです。以下のような職種では、空間設計や内装のデザインなどクリエイティブな業務を担当しています。
住宅業界でクリエイティブな業務を担うおもな職種
職種 | 業務内容 |
---|---|
設計職 | ・建築図面の作成 ・デザインのスケッチ ・部材の選定 |
インテリアコーディネーター | ・壁紙や照明の選定 ・空間設計 ・家具のコーディネート |
住宅建築においては、ただ建物を建てるだけでなく、住みやすい・使いやすい導線の確保や、内装や照明などを駆使して居心地の良い空間をデザインすることが求められるのです。
だからこそ、インテリアデザインや色彩の知識がある人や、アイデアを図面や模型に落とし込める人などは、住宅業界でそのスキルを活かしやすいといえます。
学生時代に建築学や美術学を学んだ人や、インテリアデザイナーなどの専門資格を取得している人などは、住宅業界ではスキルを存分に活かして企業に貢献できるでしょう。
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厳しい一面があるのも事実! 住宅業界に就職する5つのデメリット
厳しい一面があるのも事実! 住宅業界に就職する5つのデメリット
住宅業界へ就職するメリットがわかったら、住宅業界に就職した後に起こりうるデメリットも併せて確認しておきましょう。デメリットを把握しておかなければ、就職後に「自分に合わない」と後悔する可能性があるためです。
ここからは、成果主義の世界の厳しさや労働環境を中心に、住宅業界に就職するおもなデメリットを解説します。
良い面だけでなくマイナス面も理解したうえで、住宅業界に就職するかどうか判断しましょう。
①高価な商品を販売するため成果をあげるのが難しい
前述の通り、住宅業界では人生の三大支出とも言われる高額な商品を取り扱います。人生で数えるほどしかない大きな出費であるため、販売は容易ではありません。
そもそも住宅は販売数が少ないうえに、顧客は失敗しないように時間をかけて多くの住宅を比較検討します。どれだけ熱意を注いでも、顧客が心から納得しなければ成約につながらないのです。
全国宅地建物取引業協会連合会が2025年1月に取りまとめた不動産市場動向調査(2025年1月)によると、首都圏での2023年の新築戸建住宅の成約率は8.3%となっています。
つまり、顧客が100人来店した場合に購入まで至るのは、わずか8人程度です。以上の数値は首都圏全体のデータのため、個々の社員ではさらに契約率が低い場合もあります。
住宅業界に就職する人は、金額の大きな商品を取り扱う業界だからこそ、一つの成果をあげるのに苦労する可能性がある点を理解しておきましょう。
②市場規模が縮小傾向にあるためスキルや経験がないと生き残れない
住宅業界は市場規模が縮小している分、スキルや経験がない人は成果を上げづらく、業界で生き残るのは難しいのが現状です。
さらに住宅は顧客にとって人生最大の買い物の一つといえます。だからこそ、失敗したくない顧客の相談はスキルや経験のある人に成約が集中し、スキルのない人にはチャンスが回ってこないケースが多いのです。
住宅の買い手が減っているうえに、顧客側の「人生に一度あるかないかの高額な買い物に失敗したくない」という心理が加わり、成約を取る難しさが増しています。だからこそ、スキルや経験がない人が成果を出すのは容易ではなく、生き残りが難しいと言われるのです。
このような実力がないと生き残れない厳しさも、住宅業界に就職するデメリットの一つです。
会社の規模や配属される部署によっても違いますが、住宅業界は仕事の内容が複雑で、一人前になるまでに時間もかかるといわれています。
まったくの未経験ではじめた場合、休日も勉強しているのに給料が上がらない、昇進できないといった点は、ある程度覚悟が必要かもしれません。
③残業時間が多い傾向がある
住宅業界では、顧客対応や工期のスケジュールなどにより、残業が発生するケースが多い傾向にあります。
今の日本では平日勤務が一般的です。顧客の大半はそのように働く人であるため、顧客に合わせて打ち合わせ日程を組むと、夕方以降または土日などに対応する必要があります。
また、建材の納品から施工までさまざまな業種がかかわる建築工程のなかで、想定外のトラブルにも迅速に対応が求められることも、住宅業界で残業が多い理由の一つです。
実際、厚生労働省がおこなった毎月勤労統計調査(令和5年分)によると、住宅業界は全国平均・不動産業界よりも残業時間が長いデータが出ています。
住宅業界の月間の平均残業時間
住宅業界 | 不動産業界 | 全国平均 | |
---|---|---|---|
月間の平均残業時間(時間) | 28 | 25 | 10 |
住宅業界が気になっている人は、残業の多さや忙しさにも耐えられるかを事前にチェックしておく必要があります。
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④住宅業界で接客に携わる場合は土日出社の可能性が高い
住宅業界のなかでも、接客に携わる職種は、土日出社が多い傾向があります。
前述の通り、顧客のほとんどが土日休みの働き方であり、住宅の見学や打ち合わせなどが土日に設定される場合が多いためです。契約を獲得するには、できるだけ顧客のニーズに合わせて勤務する必要があり、土日に出社することもあるのです。
住宅業界で土日の接客対応があるおもな業務は、以下の通りです。
土日出勤が必要な業務の例
- 住宅展示場での受付・営業
- 賃貸アパートの紹介・内見案内
- 顧客へのヒアリング
住宅展示場でのモデルルームの見学や、新築住宅に反映する顧客の希望をヒアリングする業務も、土日におこなわれる場合が多いです。
土日出社があることで、土日休みの家族・友人などとのプライベートの予定を合わせづらいことは、住宅業界に就職するデメリットの一つといえます。
⑤幅広い知識が必要なため業務外での勉強が欠かせない
住宅業界では、住宅の設計から販売まで幅広い業務に携わるケースも珍しくありません。それぞれの業務を遂行するために身に付けるべき知識が多いため、業務外で自ら勉強して知識をつける必要があります。
住宅業界では、以下のようなさまざまな知識が求められます。日々自分の担当業務をこなしているだけでは身に付けられない知識が多くあるため、勤務外での勉強が欠かせないのです。
住宅業界で必要とされるおもな知識
求められる知識 | 具体例 |
---|---|
住宅建築の基本知識 | ・建築資材や住宅の構造、工法 |
不動産売買・賃貸に関する法律の知識 | ・宅地建物取引業法 ・建築基準法 ・消費者契約法 |
住宅購入にかかる税金の知識 | ・不動産取得税 ・固定資産税 |
住宅ローン・各種保険に関する知識 | ・住宅ローン ・建設工事保険 ・火災保険 |
インテリア・家具に関する知識 | ・インテリアデザイン |
住宅を建てる地域の知識 | ・建設エリアの災害想定 ・地域の気候、交通事情 |
繰り返しになりますが、住宅業界は残業するほど忙しいことも多いため、勤務時間中はやるべき業務に追われて新たな知識を勉強する時間がない可能性もあります。
多忙な業務に加えてさらに勉強時間がかかるためプライベートの時間が確保しづらいことも、住宅業界に就職するデメリットの一つです。
住宅業界は単に住宅を販売するだけでなく、人が関係すること全般に絡む可能性があります。広く情報に気を配り情報提供する側になる必要もあります。
住宅に関係する資格取得はもちろん、法律や保険、金融など重要事にかかわるため、広く深く勉強している人は圧倒的に顧客の信頼を得られ、販売成績にも大きくかかわります。
就活のプロに聞く! 住宅業界で働くうえで知るべき魅力と大変さ
ここまで、住宅業界に属する業種や具体的な企業例、就職するメリットやデメリットなどについて解説しました。住宅業界に関して理解を深め、自分自身がそこで働くイメージを膨らませることが、住宅業界を志望するかどうかを考える際の判断材料になるのです。
ただ、どれだけ一般的な事実を理解できても、住宅業界で働く人のリアルがわからなければ決心が難しい人もいるかもしれません。
そこでこの章では、キャリアコンサルタントの谷猪さんに、住宅業界に就職した場合の実際の働き方と、働くうえで知っておきたい住宅業界の魅力と大変さについて見解を聞きました。
谷猪さんの見解から、自分なら住宅業界のどんな魅力をやりがいに昇華させられるのか、またどんな部分が懸念点になりそうか、ぜひ考えてみてくださいね。
アドバイザーのリアル・アドバイス!人々の生活の基盤を作れることにやりがいを感じられる
谷猪 幸司
プロフィールを見る住宅業界で働く人は、建設・設計・営業・管理など多岐にわたる職種があるため、現場での仕事やオフィス勤務なども求められます。
勤務時間についても進捗状況や納期などによって、勤務時間が変更となり、長時間になることもあります。ただそのような住宅業界で働くメリットとしては、住宅は人々の生活の基盤となるため需要が安定している傾向があります。
社会に貢献しているというようなやりがいなど喜びを感じやすいでしょう。また、技術は常に進歩するもの、新しい知識が増えていくことに対して面白さを感じたりスキルを習得できたりすることもメリットです。
不規則な働き方や顧客からのクレーム対応はストレスを感じやすい
デメリットとしては、現場での仕事は気候条件や身体的な負担が大きく、場合によっては危険が伴う場面もあります。
また、プロジェクトの進捗状況によっては、不規則な勤務形態となりやすく、顧客からのクレーム対応によりストレスを感じる場面も多くなります。
このようにメリット・デメリットそれぞれありますが、自分にあったライフスタイルや興味や自信の尺度に合わせて、キャリアを考えていくことが大切です。
住宅業界に向いている人の3つの特徴
住宅業界に向いている人の3つの特徴
- 上昇思考が強く自分で試行錯誤しながら成長できる人
- 変化が激しい建築やデザインなどトレンドに興味を持ち続けられる人
- さまざまな立場の人とうまくコミュニケーションを取れる人
ここまでで、住宅業界に就職するメリット・デメリットや、就活のプロの見解を交えてリアルな働き方などを解説しました。
ただ、就職後の魅力や厳しさを理解できても、「実際、自分は住宅業界で活躍できるのか」と不安に感じている人もいるかもしれません。
そこでここからは、住宅業界に向いている人の特徴を3つ、それぞれ具体的に説明します。自分がその特徴に当てはまるかチェックして、住宅業界を志望すべきか決める際の参考にしてみてください。
①上昇思考が強く自分で試行錯誤しながら成長できる人
成長意欲が高く、困難な状況でも自分なりに工夫しながら成長できる人は住宅業界に向いています。ノルマや歩合制が導入されている住宅業界では、自主的にスキルを磨く努力や成果を出すための自分なりの工夫が欠かせないためです。
住宅業界で成果を出すには、顧客のニーズを正確に把握して、それに合わせた提案を通じて「買いたい」と思ってもらう必要があります。
さまざまなニーズを持つ顧客それぞれに納得してもらうには、幅広い知識とコミュニケーション能力を駆使して常に相手に最適な提案ができなければならないのです。
上昇思考が強い人は常に自分の成長に目を向け、顧客を満足させられる知識とスキルを伸ばし続けられるため、住宅業界で活躍できる可能性が高いといえます。
②変化が激しい建築やデザインなどトレンドに興味を持ち続けられる人
建築技術や住宅デザインに関する最新のトレンドに関心が強い人も、住宅業界に向いていると言えます。変化の激しい住宅業界の最新トレンドにキャッチアップできる人は、その時代を生きる人に最適な提案ができるためです。
住宅業界では、顧客にとって最適な建築やデザインを提案することで納得してもらい、成約につなげなければなりません。最新の流行に関心がある人は、その時代で顧客が重要視するポイントを押さえた提案ができるため、成約を取りやすいのです。
また、人の生活に密接にかかわる住宅業界は、SDGsの推進やエコ志向の高まりなど、社会全体の変化に影響されやすい業界です。
トレンドの変化に敏感な人は、建築自体の流行だけでなく顧客のニーズの微妙な変化をとらえた提案ができる場合が多いため、二重の理由で住宅業界で活躍できる可能性が高いです。
住宅業界のトレンドは、SNSが発達したこの10年で特に激しく移り変わっていると感じています。SNSで自宅をアップする人が増え、新たなトレンドがどんどん生まれているからです。
そういった意味では、住宅業界で働く人はさまざまな視点から情報収集する能力も求められています。
③さまざまな立場の人とうまくコミュニケーションを取れる人
業種・企業・職種などの立場関係なく、さまざまな人とスムーズにコミュニケーションを取れる人も、住宅業界に向いています。
住宅業界は、建物の設計・建築・販売など事業範囲が広い分、携わる業務も多いため、社内外のさまざまな立場の人とかかわります。立場関係なく円滑にコミュニケーションを取れる能力があれば、業務に必要な情報を適切につかみ、スムーズに業務に取り掛かれるのです。
たとえば、建設工事の全体を指揮・監督する施工管理職では、工事のスケジュールや法定の品質水準を満たしているかなどを、現場の職人と確認しながら進めます。
工事は建設の委託元であるデベロッパーや土地管理者ともコミュニケーションを取りながら進める必要があるため、施工管理職がさまざまな立場の人とコミュニケーションを取らなければ作業は困難を極めるのです。
また、販売職などにも、年齢・性別・職業など属性の異なるさまざまな顧客との効果的なコミュニケーションが求められます。
このように、さまざまな相手と効果的にコミュニケーションを取れる人材は、住宅業界で重宝されるのです。
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住宅業界に向いていない人の3つの特徴
住宅業界に向いていない人の3つの特徴
- 仕事よりもプライベートの充実を重視する人
- 相手の立場に立って考えるのが苦手な人
- プレッシャーに弱い人
住宅業界は、向いている人にとっては魅力的な業界であり、活躍しながら高年収を目指すことも可能な業界とわかったと思います。
一方で、ノルマの設定やインセンティブ制度など成果主義の傾向が強い住宅業界では、常に結果を求められるため、自分に合わないと感じる人がいるのも事実です。
ここからは、住宅業界に向いていない人の特徴を3つ説明します。一つずつチェックして自分が働き続けられそうな業界か見極め、目指すかどうか判断しましょう。
①仕事よりもプライベートの充実を重視する人
住宅業界は、仕事よりもプライベートの時間を優先したい人には向いていません。なぜなら、住宅業界は残業が多いうえに、職種によっては土日出社もありプライベートが仕事の予定に左右されやすいためです。
顧客の都合によっては、勤務時間外の電話対応や急な打ち合わせの予定が入る可能性もあります。そのためプライベートの予定があってもキャンセルせざるを得ないといったケースもしばしば発生するのです。
また、住宅業界は残業時間に加えて、幅広い知識習得のために勤務時間外の勉強時間も欠かせません。スキルアップを重視すればするほど、プライベートの時間を確保しづらくなります。
このように、結果が重視される住宅業界では、仕事を優先してプライベートが疎かになりがちです。ワークライフバランスを重視する人にとっては、住宅業界は向いていないと言えます。
ワークライフバランスを確立したい人は、以下の記事も併せてチェックしてみてください。仕事とプライベートを両立することについて、キャリアコンサルタントが解説しています。
②相手の立場に立って考えるのが苦手な人
顧客の希望に沿って住宅を建築する住宅業界では、相手の目線に立って物事を考えるのが苦手な人には向いていません。なぜなら、顧客のニーズを正確に理解できなければ、顧客の希望に合う住宅を提供できないためです。
先で述べたように、住宅は人生の三大支出に数えられる高額な買い物です。顧客はその後の人生にもかかわる重要な局面で失敗しないよう、慎重に住宅を選びます。
そのため、顧客の立場に立って「生活上でどんなことを重視しているのか」「住宅のなかで譲れないポイントはどこなのか」を理解し、顧客が納得できる住宅や建築プランを提示できなければ、成約は難しいのです。
また、企業や商業施設の建設にかかわる土地所有者の場合も同様に、相手視点で交渉し、説得できなければ成約は取れません。
だからこそ、顧客の理想に沿う提案が欠かせない住宅業界は、顧客視点でニーズをとらえるのが難しい人には、向いていないのです。
③プレッシャーに弱い人
成果主義の傾向が強い住宅業界は、プレッシャーに弱い人には向いていません。住宅業界では営業ノルマ達成や工期の遵守が絶対であるなど、重圧に弱い人にとってはプレッシャーを感じる場面が多くあるためです。
住宅業界でプレッシャーがかかるおもな理由の例
職種 | プレッシャーがかかる理由 |
---|---|
営業職 | 営業ノルマが設定されていて、達成できないと評価や収入に影響が出る可能性がある |
施工管理職 | 工期が遅れるとさまざまな関係者に迷惑がかかり、場合によっては損害賠償などを請求されかねない |
常に結果を求められる状況に強いストレスを感じ、体調を崩してしまう可能性もあります。
結果や工期などに追われることが苦手なプレッシャーに弱い人は、住宅業界は、住宅業界を志しても挫折する可能性がある点を理解しておきましょう。
- 自分がプレッシャーに弱いと思ったことはないですが、実務経験がないため、住宅業界のプレッシャーに耐えられるかわかりません。
プレッシャーは避けるのではなく受け止め方がポイント
プレッシャーに強いかどうかは我慢強さや忍耐力の問題ではないと思います。また、プレッシャーがかかるのは避けられない場合が多く、自分では何ともできない場合もあります。
まずは、その仕事にあなた自身が意義や使命感を持っているかを確認しましょう。「この大事な仕事は成し遂げる意味がある」あるいは「自分の掲げる大事な目標のためだ」と思えることで踏ん張りが効きます。
住宅業界の仕事に意義を見出してプレッシャーを乗り越えよう
次に、プレッシャーから来るストレスの影響を回避するための術を持っているかも重要です。その影響を和らげたり発散させてくれる友人や家族、趣味に没頭する時間といった環境があるかを確認しましょう。
さらにプレッシャーをまるでゲームのように楽しもうとする気持ちの転換と客観視ができるかという心の柔軟性も重要です。
以上の点について考えてみましょう。備わっていないと思ったらこれから獲得していくことです。
実際に準備を始めよう! 住宅業界で評価される志望動機を作る5つのコツ
実際に準備を始めよう! 住宅業界で評価される志望動機を作る5つのコツ
ここまでで、住宅業界で働くメリット・デメリットや向いている人・向いていない人など、住宅業界を志望すべきか判断するために必要な視点を詳しく解説してきました。
ここからは、住宅業界に向いていると判断した人に向けて、住宅業界で評価される志望動機を作成するコツを5つのポイントに分けて説明します。作成前にポイントを押さえることで、採用担当者に好印象を残す志望動機を作成できます。
住宅業界への就職を目指す人は一つずつチェックして、志望動機を作成する際の参考にしてみてください。
①具体的なエピソードをもとに住宅業界を志す理由を明確にする
住宅業界で評価される志望動機を作成するために、まずは数ある業界のなかから住宅業界を選んだ理由を明確にしましょう。具体的なエピソードを絡めることで、志望動機に説得力が生まれます。
同じ業界を目指す志望者の志望動機は類似しやすく、ほかの志望者と似通った理由では採用担当者の印象に残りません。逆に、具体的なエピソードをもとに志望動機を作成すればほかの志願者と差別化でき、採用担当者の印象にも残りやすくなるのです。
たとえば、過去の体験をもとに住宅業界を志した理由を説明したり、学生時代の勉強と志望動機を結びつけて実現したい未来を明示したりするといった方法が有効です。
住宅業界を志すに至ったプロセスを織り交ぜることで、住宅業界への思いが言語化され、志望動機に説得力が増します。
住宅業界を志望した理由に含めるエピソード例
- 自宅が震災被害にあった経験から、地震に強い家づくりに興味を持った
- 大学で学んだ環境デザインの知識を活かし、住み心地の良い省エネ住宅を通じて誰もが快適に暮らせる住宅を創造したい
また、志望動機に実際に経験したエピソードを盛り込むことは、住宅業界に関する知識や経験値をアピールすることにもつながります。
業界に関連するエピソードを持っている人は、志望動機が具体的で熱意が伝わりやすいです。
とはいえ、エピソードがなくても印象が悪くなることはなく「なぜ住宅業界を志望したのか」を明確に伝えることが大切です。
志望動機に盛り込む具体的なエピソードが思い浮かばない人は、以下の記事もチェックしてみてください。事例が思いつかない場合の対処法や、具体的な志望動機の作り方を詳しく解説しています。
志望動機
志望動機例文35選|基本とプラスアルファで差別化するコツ
志望動機の作り方
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自分史
自分史のテンプレ3選! 例文付きで当てはめるだけで自己理解が深まる
②住宅業界のなかでも特にその企業を志望する理由を明示する
住宅業界を目指す理由を明確にできたら、志望動機をさらに深掘りましょう。住宅業界にはさまざまな業種・企業があるにもかかわらず、なぜその企業を志望するのかを言語化してください。
ほかでもないその企業を志望する理由が明確でないと、採用担当者から「ほかの企業でも良いのではないか」と思われ、熱意が感じられないと判断される可能性があるためです。
志望企業でしかできない事業や強みを理解するためには、住宅業界に属するほかの企業の特徴や事業内容を把握することも必要です。そのうえで志望先企業の独自の魅力に言及すれば、採用担当者の納得を得やすくなります。
住宅業界のなかでもその企業しか持ち得ない魅力を示せれば志望動機に説得力が増し、採用担当者の評価も高まるでしょう。
③自分と志望企業のマッチ度の高さをアピールする
その企業を志望する理由を明示できたら、自分と志望企業のマッチ度の高さをアピールできるポイントを探しましょう。自分がその企業で長期的に活躍できることを示せれば、採用担当者に好印象を残すことができます。
志望者と企業のマッチ度の高さは、企業が選考で最も重要視するポイントの一つです。企業は理念・目標とマッチする人材を採用することで、ミスマッチによる退職のリスクを抑えられるため、マッチ度の高い人材を高く評価するのです。
だからこそ、選考が始まる前に自分の強みと企業理念や職場の雰囲気を照らし合わせて、マッチ度の高さを示せるポイントを明確にする必要があります。
志望動機で自分と企業の相性の良さをアピールできれば、企業で長期的に活躍できる人材として採用担当者から好印象を得られるでしょう。
④自分が志望企業・住宅業界に提供できる価値を伝える
志望動機では、自分と企業のマッチ度の高さを示すのに加え、自分がその企業に提供できる価値も明確に伝えましょう。なぜなら、企業は選考を通じて、自社に価値をもたらす人材を探しているためです。
自分を採用するメリットを伝え、企業にとって有益な人材だと示せれば、必然的に採用での評価は高まります。逆に、熱意があっても企業に貢献できる見込みがなければ採用されないため、自分の価値を明示することは、志望動機のなかでも特に重要なポイントといえます。
志望動機を作成する際には、どのような職種・業務でどのように貢献できるのかをできるだけ具体的に伝えることが効果的です。具体例があると主張に説得力が出るため、採用担当者に自分を採用するメリットを理解してもらいやすくなります。
ただし、良い評価を得るために話を盛ったり、噓をついたりするのは避けるべきです。採用後に食い違いがあり信頼を損ねないよう、ありのままの自分で見出せる価値を最大限アピールしましょう。
- 自分ができることについて、それを活かして住宅業界の企業にどう価値を提供できるかが思い付きません。
企業研究で得た情報から自分の力が活かせる点を見つけよう
まずは自分の強みが何かを把握することから始めることです。自分ができることは何かを過去の経験から振り返りましょう。
自分の何を体験してきたのかを振り返ることで強みも見えてきます。自分の人生で何も成し遂げていないわけはないはずなので、ここはしっかり振り返ってみてください。
次に企業が求職者に対して何を求めているのかを考え、実際にホームページ(HP)などを見るなどし、企業調査をおこないます。
企業を知ることで、自分の強みがこのようなところで活かせるのではないか? ということを見つけることができます。自分を知り、企業を知ることでお互いが結びつきやすくなります。
自己PRの具体的な方法は、以下の記事でも解説しています。自分を最大限魅力的にアピールするためにも、就活に取り掛かる前に一度チェックしておきましょう。
自己prの構成
自己PRの構成作成ガイド|PREP・STAR法を使う作成法を伝授
自己pr簡単に
例文20選|自己PRが簡単に書けるテンプレートで就活準備を効率化
就活の自己PR
例文12選|就活必勝の自己PRの作り方をキャリアのプロが解説
就活での嘘や盛って話すことに関するリスクも併せてチェックして、嘘なしで内定を勝ち取る方法もマスターしてください。
関連記事
就活で嘘はアリ? 盛ることや嘘をつくリスクを採用側の視点で解説
「就活=嘘つき大会」と言われるほど就活では嘘ばかりという噂もありますが、就活での嘘はそのほとんどがバレるのが現状です。嘘がバレると面接でネガティブな評価を受けるだけでなく、最悪の場合内定が取り消される場合もあります。この記事では就活で嘘をつくリスクや嘘がバレる理由、嘘なしで内定を勝ち取る方法を解説します。キャリアコンサルタントの見解も交えて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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⑤具体的なキャリアプランを示して熱意の高さを理解してもらう
志望動機の最後には、その企業でのキャリアプランを明示して自身の熱意を伝えましょう。就職後の具体的なキャリアプランを伝えることで、採用担当者に「この人は本気で自社に入社したいと考えている」と思ってもらいやすくなります。
キャリアプランを示す際は、自分のスキルや経験に合った実現可能なプランを提示するのが重要です。高い目標を掲げることも熱意を伝える有効な手段である一方、あまりにも現実とかけ離れている計画は、かえっていい加減な印象を持たれる恐れがあります。
また、志望動機に含めるキャリアプランでは、志望企業でかなえられる計画を立てることも意識しましょう。その企業で実現しないキャリアプランの場合、採用後に転職するリスクがあると見なされて、企業側が採用を躊躇する可能性もあります。
その企業を志望する理由やマッチ度の高さだけでなく、実現したいキャリアプランまでしっかり明示できれば、企業への貢献が期待できる人材として採用担当者からの好評価を得られます。
志望動機を作成する具体的なイメージが湧かない人は、以下の記事も参考にしてみてください。人事担当者から見た魅力的な志望動機の書き方や、不動産業界の志望動機作成のコツを解説しています。
志望動機の作り方
志望動機の作り方大全|就職支援のプロが好印象を残すコツを解説
不動産業界の志望動機
例文5選|不動産業界の志望動機を書く3つのコツと注意点を解説
住宅業界の現状や課題を理解して自分なりの志望動機で選考に臨もう!
この記事では住宅業界が気になっている人に向けて、業界の最新動向からおもな業種、住宅業界に就職するメリット・デメリットまで詳しく解説してきました。
住宅業界には魅力的な側面が多い一方、厳しい一面もあることが理解できたのではないでしょうか。良い面だけでなく懸念点まで理解したうえで目指すべきか判断することで、後悔するリスクを最小限に抑えられます。
また、記事後半では住宅業界に向いているかの具体的な見極め方や、住宅業界で評価される志望動機作成のコツも解説しました。自身の適正をチェックしたうえで就活に臨めば、自信を持って選考を進められます。
住宅業界の現状や課題を踏まえて自分が企業や業界に提供できる価値を明確にし、自分の魅力を最大限伝えられる志望動機を用意して選考に臨みましょう。
アドバイザーからあなたにエール多様化するニーズへの対応で住宅業界はさらに成長が期待できる
若林 宏美
プロフィールを見る住宅業界の未来について不安を感じる方も多いかもしれませんが、実際には多くの事業領域があり、分譲住宅や注文住宅、設計・建設・販売などさまざまな業種が存在します。
一部では事業領域の拡大が続いていて、新たなビジネスチャンスが広がっているのも事実です。特に、ZEHやリノベーションなど、一般的な新築住宅にプラスアルファした価値を提供する業種が今後求められるため、成長が期待される分野もあります。
自分が携わった仕事が形として残り続けるのも住宅業界の大きな魅力
個人的に、住宅業界の人と携わることが多いのですが、そのなかで感じるのは「意外と離職率が低い」という点です。理由としては仕事の満足度が高く、自分が携わった仕事が形として残り続けることが大きな魅力です。
また、会社によっては同年齢よりも高い給料を得られることがあり、安定した職場環境が整っています。
住宅業界は、専門的な知識が身に付けられることもあり、将来的なキャリアプランを考えている人、独立志望の人にも向いている業界の一つです。
この記事を読んで興味を持った人は、挑戦してみてはいかがでしょうか。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
国家資格キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー
Koji Tanii〇大手メーカーで設計、品質管理に従事。キャリアチェンジののち、高校・大学の就職講師として活動。障がい者の就職や恋と仕事の両立を実現させるコンサルティングなど幅広い支援をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/一般社団法人テツナグ代表理事
Hiromi Wakabayashi〇女性や学生向けのキャリア講座、行政主催の就職フェアでのキャリア相談に従事。また、ライター経歴を活かし、各種サイトでキャリアについて考えている人に向けた記事を監修
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/キャリア・デベロップメント・アドバイザー
Rie Kuwata〇2018年にキャリアコンサルタントとして独立。企業対象の研修講師や各学校でのキャリアカウンセラーを経てハローワーク就職支援ナビゲーターを務め、年間約3,000名の相談を受けている
プロフィール詳細