この記事のまとめ
建設業界に興味がある人の中には「ゼネコン」という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、ゼネコンは社会的な貢献度や取り組む事業の規模が大きく、イメージしにくい部分も多い業界です。そのため、この記事を読んでゼネコンの具体的な特徴やこの先の動向などまで押さえておきましょう。
この記事では、キャリアコンサルタントの板谷さん、大場さん、加藤さんとともに、ゼネコンの意味だけでなく業界の実態や就職の秘訣まで詳しく解説します。
ゼネコンの意味や建設業界についてもっと知りたい人は参考にして、しっかり業界研究を完了させましょう。
ゼネコンとは? 言葉の意味や業界の実態・就活対策まで網羅しよう
ゼネコンとは建設業者の分類の略称の一つです。皆さんがこれから先、建設業界で就職を考えている場合は、こうした用語の意味だけでなく、業界全体の動向や就職後に求められることなどまで研究しておくことで、その後の就活をスムーズに進めることができるでしょう。
初めにこの記事では、ゼネコンの具体的な意味や定義、そのほかの業界用語との違いについて解説するため、ゼネコンの大枠について理解していきましょう。
次に、ゼネコンの中でもトップクラスに分類される企業について解説していきます。ゼネコンの具体的な仕事内容なども解説するため、あらゆる角度から網羅的に理解を深め、ゼネコンで働くイメージを膨らませましょう。
そして最後は、ゼネコンでの就職を目指す際の3つの対策方法について解説します。自己PRや志望動機のポイントを例文を交えて解説しているため、具体的な就職術まで知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
ゼネコンは政治や経済の影響を受けやすく、日々変化しているため、業界全体の動向を把握することが不可欠です。業界の専門誌やセミナーに参加することで、新しい建設技術や環境に配慮した建設方法などの情報を得ることができます。
興味のあるゼネコンに関しては、四季報やIRの情報などを見ながら、広い視点で企業への理解を深めるのも良いでしょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
ゼネコンとは設計・施工・研究まですべておこなう「総合建設業者」のこと
ゼネコンとはGeneral Contractorの略語で、直訳すると「全体的な請負人」という意味を持ち、その名のとおり設計・施工・研究開発を自社でおこない、売り上げが数千億を超える総合建設業者のことを指します。
建て主からの依頼をもとに、設計から施工まで一貫した建設をおこなうほか、建築技術の研究をおこない業界の発展に貢献できるという点が特徴です。
また、下請け業者という意味で、専門的な施工をおこなう業者のことをサブコンといい、ゼネコンはこうした多くの下請け企業に施工の一部を依頼することで大規模な建設事業に取り組んでいます。
ゼネコンの役割は、工事の元請け業者として工事全体の進行などを管理し、まとめることです。電気工事や空調工事、杭工事や設備工事などの専門的な分野は各分野のサブコンに依頼し、協業の上、工事を進めていきます。
建設業界についてもっと詳しく知りたい、という人は以下の記事を参考にしてみてください。ゼネコンを含む建設業界全体の動向や就職術などについて、キャリアコンサルタントが解説しています。
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ゼネコンは業界のリーダー的役割? 建築会社やハウスメーカーとの違いとは
建設業界と一口に言ってもその種類はさまざまで、建築会社やハウスメーカーなどとゼネコンには以下のような違いがあります。
名称 | 建築物の規模 | 建て主 | その他の特徴 |
---|---|---|---|
ゼネコン | テーマパーク・競技場・ビル・マンション・インフラ設備など大規模な建設に携わる | 法人、国 | 設計・施工以外に研究開発もおこなう |
建築会社 | ビル・マンション・住宅など小〜中規模の建設を請け負う | 法人、個人 | 施設や建物の施工がメインとなる |
ハウスメーカー | 住宅に特化し、小規模な建設を請け負う | 個人 | 各ブランドの競争が激しいため、広告費用が高い |
ゼネコンは、テーマパークや競技場、商業ビルやマンションなどの大規模な建築物のほかに、道路や橋といったインフラ設備などの施工もおこなうことが特徴です。
それに対し建築会社は、ビルやマンションなど比較的大規模なものから、住宅などの小規模な建築物の設計や施工までおこない、建て主が個人のケースもあります。
そして、ハウスメーカーは建築物の中でも住宅に特化しているのが特徴です。多くのハウスブランドが全国に展開されていて、企業間の競争が激しいため、ほかの建設業者に比べて広告やCMなどに多額の費用が捻出されています。
まずはあなたが受けない方がいい職業がわかります
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
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・時間をかけずに自己分析をしたい人
就活のプロから見るとゼネコンとはどんな業界? 本音ベースで解説!
前述でも解説しましたが、ゼネコンは建設業界が手掛ける建設物の中でも大規模なものにかかわり、業界をリードする存在です。では、あらゆる業界の実態を知るキャリアコンサルタントから見てゼネコンとはどのような企業なのでしょうか。
ここからは、新人研修やセミナーなど企業内部に対するサポート経験も豊富なキャリアコンサルタントの大場さんに、就活のプロから見たゼネコンに対する印象を解説してもらうため、ぜひ業界研究の参考にしてみてください。
アドバイザーコメント
大場 美由紀
プロフィールを見るゼネコンはほかの業界と比べても社会貢献度が高い仕事に携われる
ゼネコンが携わるのは大規模な建設物件であることから、各現場で働く人数も多く、使う資材や重機も大掛かりなものになります。
実際の建設現場では、各専門スキルを持つサブコンと協力して施工作業が進められます。定められた工期の中で間に合わせていかなくてはならないとはいえ、現場で働く人たちの安全を確保しつつ、信頼のおける建造物に仕上げる社会的な使命があるのです。
大きなやりがいの背景には大変な仕事も多いことも理解しておこう
多くの人やものがかかわるため、日々想定外のことが起こったり、天候の影響を受ける中で仕事を完遂させることが求められるといった厳しさがあります。
しかし、たくさんの人々とかかわりながら、一つの目標に向かっていくことのやりがいは大きいでしょう。施工の大変さの分だけ思い入れも強いはずです。
また、ゼネコンを目指す人にはものづくりが好きだという学生は多いですね。学部が文系で営業や事務に携わるとしても、無から有を生み出す作業にかかわっていることは言うまでもありません。
しかもそれが、不特定多数の人に何十年も利用され続け、社会的な貢献度が計り知れないという点は、ほかの業界とはまったく異なる魅力があるのではないでしょうか。
ゼネコンの中のトップクラス! スーパーゼネコン5社の特徴
ゼネコン企業の中でも、売上高が1兆円を超える企業のことをスーパーゼネコンといい、2024年3月時点でスーパーゼネコンに該当する企業は上記の5社です。
ここからは、ゼネコン企業のトップを牽引するスーパーゼネコン5社の特徴について詳しく解説していきます。それぞれの企業の強みや特色を見つけて、ゼネコンへの理解をさらに深めていきましょう。
大林組
大林組
- 設立:1936年12月
- 資本金:577億円
- 売上高:1兆9,838億円(2022年度)
- 従業員数:9,134人(2023年3月末時点)
大林組は1892年創業の企業で、大林組が建設に携わったものには、東京スカイツリーや六本木ヒルズなど誰もが聞いたことのある有名施設から、大阪城などの歴史的建造物など多岐にわたります。
大林組は「地球に優しいリーディングカンパニー」という言葉を企業理念として掲げていて、ほかのスーパーゼネコン企業と比べても環境問題への取り組みを重要視しているようです。
これまで大林組は、自社の建設事業を中心とする取り組みによって地球・社会・人のサステナビリティの実現を目指すとしていました。
2019年6月に改訂されたObayashi Sustainability Vision 2050では、自社だけではなく、原料や資材の調達から始まるすべての事業の中で環境に配慮した取り組みをしていくと定め、環境保全にかかわる建設技術の研究開発も積極的に進められています。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
清水建設
清水建設
- 設立:1937年
- 資本金:743億円
- 売上高:1兆9,338億円(2022年度)
- 従業員数:10,845人(2023年3月31日時点)
清水建設の設立は20世紀になってからであるものの、創業は1804年と200年以上の歴史を誇る老舗企業です。清水建設が手掛けたおもな建築物には、東京競馬場や横浜スタジアム、天皇陛下が神事をおこなう際に使用される大嘗宮などが挙げられます。
企業のキャッチフレーズである「子どもたちに誇れるしごとを。」という言葉からもわかる通り、清水建設は、ゼネコンならではの大規模な建設事業によって、未来の世代にとっても価値のある建造物を築くことを目的としています。
そのため、安全性や品質向上のための研究開発が積極的におこなわれていて、震災などの揺れを軽減するBILMUSという建築システムは、地震の多い日本にとって注目される技術であるといえるでしょう。
大成建設
大成建設
- 設立:1917年
- 資本金:122,7億円
- 売上高:1兆1,046億円(2022年度)
- 従業員数:8,613人(2023年3月31日時点)
大成建設は、これまで羽田国際線ターミナルや新国立競技場などの有名施設の建設に携わってきた大企業です。またほかのスーパーゼネコン企業とは異なり、不動産や開発など建設以外の事業でも発展を遂げているという特徴があります。
大成建設では、建設・開発・エンジニアリング・エネルギー・環境の5つの分野をCDE³(シーディーイーキューブ)と定め、今後特に注力していく方針のようです。
特に建設事業のノウハウを活かしたエンジニアリングの分野においては、今後さらに高まるデジタル化のニーズへの対応が期待されています。
鹿島建設
鹿島建設
- 設立:1930年
- 資本金:814億円
- 売上高:1兆4,327億円(2022年度)
- 従業員:8,129名(2023年3月末時点)
鹿島建設も創業から100年を超えるスーパーゼネコンであり、建設業界のあらゆる分野のパイオニアとして多くの業績を残してきた企業です。
中でも鹿島建設は、超高層ビルの建設のパイオニアとして有名で、1968年に日本で初めての超高層ビルとなる霞が関ビルを建設しました。
また、土木や鉄道などの分野でも難しい建設を成し遂げたノウハウを活かして、台湾や東南アジアの国を中心に海外でも大規模な土木事業を展開していて、今後もグローバルに成長していく見込みのある企業です。
これから成長する業界に就きたい人は以下の記事を参考にしてみてください。将来性のある業界をまとめています。
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これから伸びる業界へ就職したい人へ、業界の将来性を見極めるコツや選考時のポイントをキャリアアドバイザーとともに解説します。各業界の成長要因や今後起こりうる展開まで解説しているので、業界理解を深め、自分らしく働ける業界を探しましょう。
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まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
竹中工務店
竹中工務店
- 設立:1909年
- 資本金:500億円
- 売上高:1兆3,754億円(2022年度)
- 従業員:7,751人(2023年1月時点)
竹中工務店はスーパーゼネコンの中で唯一の非上場企業であり、創業400年以上という最も古い歴史を持つ企業です。手掛けた建造物の例としては、東京タワーや新丸の内ビルディングなどが挙げられます。
もともと創業当初は建築事業を専業としていた企業ということもあり、設計と施工に強みを持っているのが竹中工務店の特徴です。
竹中工務店の有価証券報告書第85期によると、2022年度の売上高1兆3,754億円のうち、90%以上の1兆2,462億円を建設事業のみで売り上げていて、自社の強みの分野を中心に大きな成長を遂げている企業であるとわかります。
- それぞれのゼネコン企業の得意分野や強みを見つけるには具体的にどうすれば良いですか?
リアルイベントとオンラインを使いこなすことがポイント
ゼネコン企業の得意分野や強みを見つけるために直接的な情報収集としては、現場見学や業界イベント、インターンシップ(インターン)に参加する方法などが効果的です。
ほかにも、ゼネコン企業のホームページ(HP)を活用する場合、企業がこれまで手掛けた事業の実績に着目することで、企業の基盤となる建設プロジェクトがどんなものかわかるだけでなく、その企業の得意分野を知ることができます。
また、企業のコーポレートレポートでは、企業のこれまでの歩みやこれからのビジョン、中長期の計画やSDGsへの取り組みなど全体像まで見てみると良いでしょう。
中でも企業のニュースリリースは、注力している分野の近況や業界内外で認められた実績について調べるときに役立ちますよ。
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働くイメージが膨らむ! ゼネコンの仕事内容
ゼネコンは設計から施工、そのほか建設技術の研究までおこなう企業であるため、上記のようなあらゆる業務が存在し、連携し合うことで大規模な建設プロジェクトを成功させています。
だからこそゼネコン企業で就職を目指すのであれば、それぞれの職種がどのような仕事をし、ゼネコン企業の中でどんな役割を担っているのかを理解しておくことが大切です。
ここからは、ゼネコンのおもな仕事内容について解説していきます。ゼネコンの就活を検討中の人は参考にして、働くイメージを膨らませてみましょう。
営業
ゼネコンが建設物を提供する相手、つまり建て主は法人や公共団体であることがほとんどです。そのため、営業もBtoBがメインとなり、ゼネコンの特徴である大規模な建設事業の受注を獲得することが仕事です。
ゼネコンが携わる事業はただ建物を建てることだけではなく、ダムや道路、橋など街作りにもかかわるインフラ事業も含まれています。
そのため、ゼネコンの営業職では、取引先である官公庁や企業の要望はもちろん、自社が完成させた後にその建設物や土地を利用する人々のニーズまで分析して取引先が事業を進めるサポートをおこなうことが求められるでしょう。
ほかにも、契約を結んだ後も設計や施工の打ち合わせに立ち会ったり、進捗を随時報告したりするなど建設中のサポートも営業の重要な仕事の一つです。
営業職で就活を考えている人の中には志望動機の書き方に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。以下の記事では経験豊富なキャリアコンサルタントが人事に刺さる営業職の志望動機のポイントを解説しています。
- ゼネコンのような大規模なBtoB営業は一般企業の営業より難しいですか?
ほかのBtoBよりも営業規模が大きいため負担も大きい
ゼネコンの営業は、BtoB営業といっても、一般企業と比べると各案件の規模が桁違いに大きいものになります。
また対象となる顧客は民間企業だけでなく地方自治体などの公官庁も含まれます。契約に至るまでの信頼関係の構築には多大なエネルギーを要するでしょう。
さらに、一つひとつの案件が大きいだけでなく工期も長期にわたればずっと携わり続けることになり、その請け負う責任とプレッシャーも大きくなります。
しかし、無事竣工を迎え、その先何十年も人々の生活に貢献し続けることを考えると、一般企業の営業とは異なる苦労がある分、やりがいも大きいはずです。
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調達
いざ建設プロジェクトがスタートした後は、まず調達部門が建設に必要な資材や原料を用意します。
ゼネコンは大規模な建設に携わるからこそ、材料も膨大な量が必要になるため、コストパフォーマンスが重要です。建設物の品質を損なうことなくコストを抑えられる調達先を見つけることが求められるでしょう。
また、世間では多くの環境問題が取り沙汰されていて、建設業界でも建設中の廃棄物や使用する資材においても環境に配慮したものを推進する動きが高まっています。
このように調達部門は、顧客側と設計側のニーズに加え、あらゆる課題に応えられる材料を準備することが必要となるでしょう。
設計
設計部門は建設物を作るうえでなくてはならない存在です。この部署では、設計士や建築士が勤務し建設する建物の設計をおこないます。
設計と聞くと設計士がメインでおこなうように思う人もいるかもしれませんが、設計士は国家資格などがなく、大規模な建設には建築士の資格を持っていなければ設計することができません。
また、建築士は、指定の科目を修了して試験に合格しただけではなることができず、免許として登録するためには実務経験が必須となります。
そのため、ゼネコンの設計部門で建築士として働きたい場合には、資格を取得したうえで設計士として建築士のサポートをして実務経験を積む必要があるでしょう。
ゼネコンで取り扱う工事は建築士としての知識やスキルが必要な大規模なものが多いので、資格は保有したうえで、設計士として建築士のサポートをおこなう方が仕事が進めやすいでしょう。
また、二級建築士から一級建築士を目指すことは、業務をしながらでも可能です。とはいえ難しい試験なのでかなりの勉強量が必要となるでしょう。
施工管理
ゼネコンで取り組む事業は規模が大きいがゆえに長期的なプロジェクトになります。そのため、施工管理職が随時建設工程やスケジュールを管理して、納期に遅れが出ないようにすることが必要なのです。
具体的には、施工に必要な重機の確保や設計図をもとに資材の検討をするといった仕事があります。
また建設現場では、設計を担当した建築士も設計通りに施工が進んでいるかをチェックしたり、指示を出したりもします。そのため施工管理職は、建築士と連携して作業員全員の業務の管理をおこなうことも求められるでしょう。
ゼネコンの施工管理で活かせる資格
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設備管理
ゼネコンに限らず、建設業界では、建設物を作るだけでプロジェクトが終了するわけではありません。設備管理とは、建物の電気系統やエレベーターのような移動設備の設計管理と施工後の点検などをおこなうことが仕事です。
ゼネコンを含め、建設業者が建設する建物は、できあがった後に多くの人が利用することになります。
そのため設備管理では、施工がスタートした段階から図面を確認しながら、できた後のことを想定しながら利便性や安全性を追求することが求められるでしょう。
ゼネコンの設備管理で活かせる資格
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研究開発
ゼネコンの研究開発はその名前の通り、自社の建築技術の向上を目的として、新しい建築資材や建築技法の研究をおこなう仕事です。
直接的な建設に携わることはなくとも建築に関する専門技術やあらゆる資材の性質など、施工部門でも求められる専門知識が求められるほか、特別な資格の取得が必要となる場合があります。
ゼネコンは請け負う建設がどれも大規模なものであり、一つひとつの事業の売り上げ額も高額になります。だからこそ、自社に建築を任せてもらうためには競合する他社にはない建築技術や強みとなる分野をアピールすることが重要なのです。
それぞれのゼネコン企業の研究開発部門が、日々切磋琢磨することによって新しい技術が生まれ、建設業界全体の発展につながっています。
ゼネコンの研究開発で活かせる資格
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- 資格取得以外でゼネコンの研究開発職に就くためにやっておくべきことはありますか?
インターンに参加して実際の現場を知ることが大切
ゼネコンの研究開発職を目指す場合、インターンに参加することがおすすめです。実際の建築プロジェクトや研究開発の様子など実務で必要なことについて具体的に把握することができるため、積極的に参加してみると良いでしょう。
またゼネコンの研究開発職では、ある程度の学術的知識が必須です。
そのためインターンの中で、建築や土木工学に関する知識はもちろん、CADやBIMに触れたり、データ解析やシミュレーションで必要なプログラミングについて学んだりしておくことで企業に入ってからスムーズに活躍できます。
学術雑誌や専門書籍を読んだり、国内外の学会やセミナーに参加することで最新の研究動向や技術トレンドに対してキャッチアップをおこなうことも有効です。
知っておきたい専門用語
- CAD:Computer Aided Designの略で、図面を作成できるデジタルツールのこと。
- BIM:Building Information Modelingの略。コンピューター上の建築物のデジタルモデルに建築コストや管理情報などのデータを盛り込み、さまざまな建設工程でそのデータを共有することで業務の効率化を図ること。
より詳しい実情も理解しよう! ゼネコンで働くメリットとデメリット
メリット
①大規模な建設事業に携わることで社会に貢献できる
②業界の最新技術に触れることができる
デメリット
①年功序列でキャリアアップが遅い傾向にある
②時期や事業によっては業務過多になりやすい
ゼネコン企業に限らず、どんな仕事でも良い一面や大変さを持っているものです。
入社後にどんなことが大変なのかを考えないまま入社してしまっては、自分がイメージしていたことと実情とのギャップがミスマッチにつながり、入社を後悔してしまうこともあるでしょう。
ここからは、ゼネコン企業で働く際のメリットとデメリットを解説します。ゼネコン企業への就職を検討中の人は、ただ仕事内容を理解するだけでなく、メリットやデメリットまで把握して、仕事のイメージをよりリアルにしておきましょう。
メリット①大規模な建設事業に携わることで社会に貢献できる
前述でも解説した通り、ゼネコンはレジャー施設や歴史的建造物、道路や橋などの大規模な建設に携わります。そのため、社会や不特定多数の人に貢献できる建築物が作れるという点がメリットといえます。
一つの建設事業にかかわる人も多く、長期的なプロジェクトとなる場合も多いため、それだけ完成された瞬間の達成感も大きいでしょう。
また、建設業界での技術も進歩し、より耐久性や品質の高い建築物が建てられるようになってきているため、これから先の未来に長く存在する建築物を作ることができるのもやりがいを感じられるポイントです。
メリット②業界の最新技術に触れることができる
ゼネコンは建設に必要な設計と施工だけではなく、建設にかかわるあらゆる技術の研究もおこなっているため、最新技術に触れることができるという点もメリットになり得ます。
特に昨今では、あらゆる業界で持続可能な社会を目指した事業や取り組みが求められていて、建設業界も例外ではありません。また、日本は地震大国でもあるため、建築物の耐震性や安全性などへのニーズも高いです。
こうした点からもゼネコンは、建設業界の中でも技術の進歩が求められているため、最新技術を駆使した建設に携われるだけではなく、自らも技術向上に貢献できるというやりがいもあるといえるでしょう。
デメリット①年功序列でキャリアアップが遅い傾向にある
ゼネコン企業の多くは年功序列の経営体制のため、個々のキャリアアップのスピードが遅い傾向があります。
また、ゼネコンの事業は大規模な建設がメインとなるので、かかわるチームや人員の数も多いです。大人数でチームワークを発揮しながら建設を進めなければいけないため、個々の意思による挑戦や下からの意見が受け入れられにくい可能性があります。
こうした特徴は、自分のやりたいことになんでも挑戦したい、バリバリ働いて早くキャリアアップがしたいと考えている人にとってはデメリットになる可能性があると考えられます。
- ゼネコンは給料が良いイメージがありますが、キャリアアップが遅いと給料の上がり幅も少ないのですか?
給与の上がり幅は職位や等級によって異なる
等級や職位によって、給与額も違いますが等級・職位が上の方が給与の上がり幅は大きいといえるでしょう。
勤続5年前後程度の等級までは、一定の年次で昇格していく会社が多いですが、それ以降は、その人の人間性や能力によって職位も決まっていきます。
また、職位が同じでも等級が違えばスタートする給与も変わってくるでしょう。
ゼネコンは年功序列的な文化が残ってはいますが、自身の能力や人間性で、キャリアアップも目指せる業界です。扱っている仕事が高額な案件が多いため、給与も一般的な金額よりも上がりやすいといえます。
給与の高い仕事についてもっといろいろ見てみたい人は、以下の記事がおすすめです。具体的な仕事内容から就活のコツまで、キャリアコンサルタントが解説しています。
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給料が高い仕事TOP100|特徴から就活のコツまで徹底解説
就職先を選ぶにあたって、給与が高い仕事とは何か気になりますよね。この記事では、キャリアコンサルタントの解説を交えつつ、給料が高い仕事TOP100を紹介します。また給料が高いことのリスクも解説するので、自分に合っているかどうかの参考にしてください。
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デメリット②時期や事業によっては業務過多になりやすい
ゼネコンはそれぞれの建設事業のスケジュールや繫忙期によっては、かなり業務が立て込む傾向があります。
特に3月と9月は決算期と言い、その年の売り上げを決める重要な月であるため、それまでに建設作業を終わらせなければいけない事業では、残業や泊まり込みといった対応が必要となるでしょう。
逆に、予算決定から年間の事業スケジュールが決まるまでの4月~6月辺りは閑散期と言われていて、中でも梅雨の時期は屋外の作業ができないときもあるため比較的業務が落ち着いているようです。
しかし、ゼネコンに限らず建設業界は人手不足であり、若い人員が少ないという課題も抱えているため、配属先や取り組む事業によっては従業員一人ひとりの業務のウエイトが重くなる可能性があるでしょう。
- ゼネコンの繫忙期では具体的にどの部署や職種が忙しいのですか?
設計・施工管理・技術などの部門が忙しくなる
ゼネコンの繁忙期は9月末や12月~3月末頃です。多くの企業の決算期が9月末や3月末であることから、決算期前に工事の依頼が増えるという理由があります。
また、新年度も繁忙期に含まれ、公共建築物の設計や建設は4月の新年度に合わせて完了となる案件が多いです。
これらの点から、ゼネコン企業の中でも施工管理部門が繫忙期に特に忙しくなる傾向があります。特に施工管理部門に属する現場監督はかなり多忙になるといえるでしょう。
現場監督は工期内に工事を終わらせる責任があり、日々さまざまなトラブルで計画通り進まない中で随時対応して現場の業務を管理しなければいけません。
施工管理部門と同様に、現場の作業を担当する職人が属する技術部門も工期が集中する繁忙期には忙しくなります。また、設計部門も打ち合わせや図面作成、修正などで事業を着工させるための準備に追われることになるでしょう。
建設業界全体の理解を深めよう! ゼネコン企業にかかわる2つの動向
前述でも解説した通り、ゼネコンは建設業界を支えるリーダー的存在であるため、社会からのニーズや課題に応えることが求められています。
ゼネコンで就職を目指す場合は、業界のこれからに対する理解を深めておくことが大切です。そうすることで従業員として今後どんな働き方が必要なのかを考えることができ、入社後の活躍につながります。
ここからは、ゼネコン企業がかかわる建設業界の2つの動向について解説するため、業界として求められていることは何なのか、これからどのような動きがあるのかなどを理解しておきましょう。
①デジタル化による建設技術の向上
インターネットの普及を皮切りにデジタル化が進んだことで、あらゆる業界や業種で技術の向上が期待されていて、ゼネコン企業を含む建設業界全体でもDX化が推進され、さまざまな建設技術の向上が期待されています。
DX
デジタルトランスフォーメーションの略。デジタル化によってさまざまなサービスやビジネスモデル、業務のプロセスなどを改革すること。
建設業界は慢性的な人員不足が課題となっていることに加え、建設現場では危険を伴う場所での作業もあります。そうした課題の解決に対してもデジタル技術が注目されているのです。
具体的には、ドローンを活用した測量や3D技術を応用した設計・メンテナンスの管理などが挙げられます。ほかにも、AI(人工知能)などの情報通信技術を用いたICT建機は、これまで人の手でおこなっていた工程を省人化や生産性、安全性の向上が期待されているデジタル技術の一つです。
建設業界を牽引する企業として、ゼネコンはこうしたDX化に関する取り組みを率先しておこなうことが求められるでしょう。
DX化を進める際の課題としては以下のようなものが挙げられます。
DX化には従業員全員が新しいデジタルツールや技術を理解し、日常業務に取り入れる必要がありますが、従業員のデジタルスキルの格差があるため、その差を埋めるには時間と労力が必要です。
またデジタル技術は導入への初期投資が大きいため、デジタル化が苦手な社員が多いと、導入しても社内にうまく浸透せず、ただコストだけがかかり効率化ができないといった懸念もあると言えるでしょう。
②脱炭素化への対応
あらゆる技術の発展に伴い、環境問題に対する取り組みも世界的に進められていて、ゼネコンを含む建設業界でも脱炭素化への対応が求められています。
脱炭素化
再生可能エネルギーや炭素排出の少ない資源の利用によってCO₂の排出を削減・消滅させ、あらゆるもののあり方を見直し、持続可能な環境を目指すこと。
特にゼネコンは建設業界の中でも、研究開発もおこなっているため、ただ建設効率を向上させたり安全性を高めるだけの技術ではなく、地球環境に配慮した技術の開発が求められているのです。
各ゼネコン企業では、建設分野のほかに環境分野に関する研究が進められています。
たとえば、スーパーゼネコンの一つである大林組では、太陽光の近赤外線を反射して表面温度の上昇を抑制し空調不可の軽減につながる塗装技術(サーマルシェード工法)を独自開発しています。
建設業界の中でゼネコンが継続的に建設事業をおこなうためには、あらゆる分野で脱炭素化に向けた改善が必要不可欠といえるでしょう。
キャリアコンサルタントに聞く! ゼネコンに将来性はある?
前述した通り、ゼネコンにはデジタル化と脱炭素化それぞれへの対応が今後求められています。ではこれらの動向を踏まえて、具体的に今後ゼネコンはどうなっていくのか気になる人もいるのではないでしょうか。
ここからは、就活生に対してだけでなく、産業カウンセラーとして企業へのアドバイスもおこなっているキャリアコンサルタントの加藤さんに、ゼネコンの将来性について解説してもらいます。
ゼネコンを含む建設業界についてさらに理解を深めたい人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
アドバイザーコメント
加藤 賀子
プロフィールを見るゼネコンは国内外において将来性のある業界
ゼネコンは、国内のインフラ整備や日本のシンボル的な建設物の建設などにも携わることに加え、国外でも細やかな技術を活かして他国の発展に貢献している企業も多いため、今後も将来性のある業界といえます。
最新技術やDX化を取り入れて、今後もますます技術が発展していくでしょう。またゼネコンは、脱炭素化の対応に関する研究など、地球温暖化を防止し全人類が住みやすい環境の整備することにも力を入れています。
ゼネコンでは技術の発展だけでなく働く環境の整備も進められている
産業カウンセラーという立場で話をすると、従業員の心身が健康な職場環境のための制度やサポート体制の構築については、従業員数が多い企業ほど積極的にしているところが多いですね。
今後も、こうした技術の進化や働く環境の多様化はさらに進んでいくでしょう。言い換えれば、時代の最先端をいく技術の提供や、働く環境の整備など、率先して取り組むことが社会的に求められている業界ともいえます。
ゼネコンに就職志望の人必見! 仕事で求められる3つの資質
ゼネコンの仕事に求められる3つの資質
- 建設品質を高めるためのコミュニケーション能力
- 部署を超えたチームワーク
- 長期的な建設事業に取り組む忍耐力
ここまではゼネコンの基本情報について解説してきましたが、実際にゼネコンで働くときにどんなことが求められるのかも理解することで、さらに働くイメージを膨らませることができます。
ここからは、ゼネコン企業で求められる3つの資質について解説します。ゼネコンで就職を目指している人はぜひ参考にして、就職後に求められることに対して自分ならどんな働きができるのか考えてみましょう。
①建設品質を高めるためのコミュニケーション能力
ゼネコンは建築会社やハウスメーカーとは違い、規模の大きい建設事業に携わり、多くの人や社会のために建設をおこなうため、高い品質や安全性に対する責任も大きいです。
どんな職種や業界でもコミュニケーション能力は必要ですが、ゼネコンでは建設事業のほぼすべての場面において品質を高めるためのコミュニケーション能力が求められます。
たとえば、建設事業の受注をおこなう営業では、建て主との成約や予算交渉などでは論理的な説明で相手を納得させるコミュニケーション能力が必要です。
また、設計と施工の間での連携ミスは、建築物自体のクオリティはもちろん、安全性も損なってしまいかねません。事業にかかわるお互いの意図や細かい設計についてを理解し、意見交換によって品質や効率を高められるコミュニケーション能力が求められるでしょう。
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②部署を超えたチームワーク
建設業務は1人でおこなえるものではなく、特にゼネコンのような大規模な建設業者ともなると、数千を超える人が業務にかかわることもあります。そのため、ゼネコン企業では部署を超えたチームワークが重要なのです。
特に、建設現場では危険な作業や精密な仕事も多いため、その場の全員での連携が乱れたり、自己判断で行動してしまうことで命にかかわる事態につながってしまいます。
従業員間の報連相(報告・連絡・相談)をおこなうことや、周囲の状況を瞬時に把握しチームのために何をすべきか考えて行動することが重要です。
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③長期的な建設事業に取り組む忍耐力
ゼネコンで手掛ける建設事業は、その規模の大きさゆえに作業期間も長期化し、完成までに何年もかかる場合があります。そのため、一日一日の仕事をコツコツとこなすことができる忍耐力が必要です。
忍耐力が低いままゼネコン企業に就職してしまうと、毎日の業務でモチベーションを維持したり、長期的な建設計画や完成イメージに対して何をすべきか考え続けることが難しくなるでしょう。
毎日の作業や一人ひとりの努力が、少しずつ大きなものの完成につながっているという意識を持って仕事に取り組むことが求められます。
ゼネコンが受注する大規模な案件は多くの人とかかわりながら、同じ目標に向かって完遂しなければいけません。
そのため、強い情熱と使命感、責任感をもって業務にあたることが必要です。こうしたは仕事をしていく経験の中で醸成されていきますが、そのベースとなる力が求められるでしょう。
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ゼネコン企業の就職術とは? 押さえておきたい3つの就活ポイント
ゼネコンの就活で押さえておきたい3つのポイント
- 企業選び:現場見学やイベントなどに参加してあらゆる企業を比較する
- 自己PR:チームの中で活かせる強みをアピールする
- 志望動機:ゼネコンの中でもどんな分野に携わりたいかを明確にする
ここまではゼネコンの実情や細かい仕事内容などについて解説してきましたが、実際にゼネコン企業へ就職を目指す場合は、ほかにもあらゆる点で注意して対策をおこなうことが大切です。
ただその業界について理解するだけでなく、就活対策で押さえるべきポイントをマスターしておくことで、ゼネコンのような建設業界の中でも大きな規模の企業への就活もスムーズに進めることができます。
ここからは、ゼネコン企業の就活で押さえておきたい3つのポイントについて解説します。ゼネコン企業に興味はあるものの具体的にどんな就活をすれば良いのか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
①企業選び:現場見学やイベントなどに参加してあらゆる企業を比較する
ゼネコン企業と一口に言っても、得意とする分野や力を入れている事業、社風などはさまざまであるため、企業選びの段階で自分に合った企業を見つけられるかがポイントの一つとなります。
ゼネコンの中には現場見学を受け付けている企業やインターンで実際の仕事の様子を見ることができる企業もあるため、ゼネコン企業を比較する場合は、そうしたイベントで実際に企業に足を運んでみましょう。
また、自己分析も並行しておこない、ゼネコンの中で自分がどんな仕事に興味ややりがいを感じるのか、自分が企業を選ぶうえで大切にしたい軸は何か、などを明確にしておくことも大切です。
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②自己PR:チームの中で活かせる強みをアピールする
ゼネコン企業ではそれぞれの専門分野のプロフェッショナルが集まって仕事をしているため、就活の自己PRでも、自分の強みをゼネコン企業で活かせる力としてアピールできなければ高評価につなげられません。
ゼネコン企業の仕事の多くは大規模なチームで協力して建設事業をおこなうため、自己PRでは、チームの中で活かせる強みをチョイスすることがおすすめです。
自己PRの根拠として過去のエピソードを例に挙げる場合にも、チームで強みを活かした経験や集団で何かに取り組んだ経験を示し、その中で自分はどんな行動を取り、どんな結果や学びにつながったかまで明確にしましょう。
そうすることで、ゼネコン企業のチームの中で働く姿を説得力を持ってアピールすることができますよ。
- ゼネコン企業の自己PRでの「チームで活かせる強み」って具体的にどんなものをアピールすると良いですか?
チーム内で協調性やコミュニケーション力などを発揮した経験が効果的
「チームの中で活かせる強み」としては、コミュニケーション能力、協調性、問題解決能力などをアピールするのがおすすめです。
たとえば、異なる専門分野のメンバーとのプロジェクトで円滑なコミュニケーションを取り、チーム内の意見や情報を統合してプロジェクトを成し遂げた経験などは効果的なアピール材料になります。
ほかにも、チーム内での対立を仲介した経験や、リーダーシップを発揮してチームをまとめあげた経験なども有効です。
上記のような要素を参考にして、ゼネコンの中の大規模なプロジェクトやそのほかの業務において、どのように自分の価値を提供できるかを示しましょう。
協調性やリーダーシップ、問題解決力など強みを自己PRとしてアピールしたい人は、以下の記事をそれぞれ参考にしてみてくださいね。就活対策の専門家ともいえるキャリアコンサルタントが、伝え方のコツなどを詳しく解説しています。
協調性
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リーダーシップ
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問題解決力
自己PR例文付き|問題解決能力を鍛えるコツと就活でのアピール方法
ゼネコンの自己PR例文
ゼネコンへの就活に活かせる具体的な対策として、上記の解説を踏まえた自己PRの例文を紹介します。良い自己PRがどんなものか確認したい人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ゼネコンの自己PR例文
私の強みはチームの中で信頼関係を築けるコミュニケーション能力です。
私の強みが最も活かされたときとして、大学時代に他大学と協力して開催したイベントの運営経験が挙げられます。
私が大学で所属する音楽サークルでは、県内の他大学が共同でおこなう定期発表会があります。私は2年生からイベントの実行委員として参加しているのですが、他大学の人が集まって実行委員を結成しているため、意見が対立するときが多くありました。
私は、そうした状況ではできるだけ全員が言い分を誰かに発信できる場が必要だと考え、個別に話を聞いたり、全体の話し合いでもまずは個々の意見を尊重するような言葉を伝えるように心掛けました。
その結果、他大学の実行委員から「いつも気にかけてみんなをまとめてくれてありがとう」と言ってもらえ、イベント内でも大きな役目となる司会進行を任せてもらうことができました。
この経験で培ったコミュニケーション能力は、意見が対立した場合でも、全員で信頼し合いながらプロジェクトに取り組む際に活かせると考えています。
上記の例文は、自身の強みを裏付ける具体的なエピソードに加え、エピソード内の細かな部分まで配慮して書かれているため、人とかかわることができる能力についてしっかり伝わってきますね。
改善点としては、強みを活かした経験を意見が対立したときに発揮したと見せるのではなく、一つのプロジェクトを多くのメンバーと一緒に遂行していくゼネコンの特徴を踏まえた視点でアピールできると良いでしょう。
この記事を読んでいる人の中にはチームで取り組んだ経験がないと悩む人もいるのではないでしょうか。以下では、チームで何かに取り組んだ経験がないと悩む就活生に対してキャリアコンサルタントがアドバイスしているため、ぜひ参考にしてみてください。
③志望動機:ゼネコンの中でもどんな分野に携わりたいかを明確にする
志望動機の目的は「なぜ数ある企業の中で御社で働きたいか」を伝えるためです。そのため、ゼネコン企業の志望動機においても、各企業の良さや特徴をはっきり差別化したうえで、自分が感じた気持ちを明確にアピールしましょう。
先で解説した通り、ゼネコンには設計・施工・研究の3つの分野があり、土木事業なのか建設事業なのかなどでも携わり方は異なります。
そのため、ただ「大規模な建設事業に携わりたいから」のような理由では、すべてのゼネコン企業に共通した理由になってしまうため不十分です。
まずは各ゼネコン企業を分析し、それぞれがどんな分野に強く、どんな事業に力を入れているのかを見つけていきましょう。
それと並行して、ゼネコンを知る中で自分はどんな分野に興味を持ったか、その業界でこの先どんなことがしたいのかを具体的に考えることで、自分のゼネコンへの思いが深掘りされたオリジナリティのある志望動機が見つかります。
これから就活を始めるにあたり、志望動機の作り方がわからないという人は以下の記事がおすすめです。就活の専門家であるキャリアコンサルタントが魅力的な志望動機の作り方をマスターする秘訣を解説しています。
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志望動機の作り方大全|就職支援のプロが好印象を残すコツを解説
人事を唸らせる志望動機の作り方のポイントをキャリアコンサルタントとともに解説します。企業側の視点を理解した説得力のある志望動機を作成したい人は参考にして、人事からの高評価をゲットしましょう。
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建築業界や建設業界での就職を検討している人は以下の記事も必見です。各業界の特徴や高評価につながる志望動機の書き方について、キャリアコンサルタントが詳しく解説しています。
建築業界の志望動機
例文8選|建築業界で評価される志望動機とは? 書き方のコツ
建設業界の志望動機
建設業界の志望動機はどう書く? 差別化のコツや注意点を解説
ゼネコンの志望動機例文
ゼネコンを目指す場合の志望動機について、上記の解説を踏まえたOK例文を紹介します。ゼネコン企業の人事に刺さる志望動機とはどんなものなのかお手本を確認しておきましょう。
ゼネコンの志望動機例文
私が御社を志望する理由は、地震大国である日本の多くの人が少しでも安心できる環境を建設を通して提供したいと考えたからです。
私の地元は福島県で、私は高校生のころ東日本大震災を経験しました。私が通っていた高校は海から遠かったため津波の被害もほとんどなく、耐震工事もしっかりおこなわれていた校舎だったため、崩壊の被害も少なく済みました。
震災後、これまで身近に利用していたいろいろな施設で耐震性の低い部分があったことを知り、恐怖を感じたと同時に、多くの人が安心して生活できる施設や街作りがしたいと考え建築士の科目が学べる大学を目指しました。
御社は、多くのゼネコン企業の中でも耐震性や安全性を高めるための研究に力を入れていて、商標登録された独自の技術で質の高い建設をおこなっている点が魅力だと感じました。
御社に入社できた暁には、まずは設計部門で実務経験を積み、最短で一級建築士を目指します。その後は建築士として多くの人が感じる地震への不安を少しでも軽くできるようなものづくりに努めていく所存です。
就活の軸を形成している耐震性や安全性へのこだわりと、そのきっかけが述べられているのは良いですね。
志望企業が力を入れる研究への共感も示されていて良いので、せっかくなら企業独自の技術名やかかわった建築物を具体的に入れ込むと、より魅力的に企業理解を示せるでしょう。
ゼネコンは業界全体の実態と企業単位での理解まで深めて就職を目指そう
ゼネコンとは、建設業界の中でも大規模な事業を担い、設計・施工・研究開発を自社で一貫しておこなっている企業のことです。規模が大きいという特徴ゆえに、ゼネコンは社会のあらゆる施設やインフラ事業を支えるなくてはならない存在ともいえるでしょう。
そのため、ゼネコンについて調べる場合には建設業界全体のビジネスモデルや動向まで把握することがポイントです。
建設業界でのゼネコンの立ち位置を理解した後は、企業単位で研究をおこない、それぞれのゼネコン企業の強みとする分野についても明確にしてみましょう。
ほかにも、ゼネコン企業で求められる資質や働くメリット・デメリットなどまで理解しておくことで、これから就職したいとなったときにスムーズに就活を進めることができます。
ゼネコン企業や建設業界に興味がある人はこの記事を参考にして、企業や業界への理解を深めてください。
アドバイザーコメント
板谷 侑香里
プロフィールを見るゼネコンは業界の中だけでなく社会的にも重要な役割を担っている
ゼネコンは、競技場やテーマパーク、商業ビルやマンションなど日本を代表する建築物にかかわっているだけではなく、道路や橋といった社会のインフラ設備を支える重要な存在です。
就職を検討するのであれば、まずはビジネスモデルや業界動向、SDGsへの対応など、業界を幅広い視野で捉えてみることから始めましょう。各企業の特色や技術革新への取り組みを研究する中で、自分が貢献したいと思える分野を見つけ出すことができるはずです。
単なるイメージだけではない徹底した業界理解がゼネコンの就職のカギ
ゼネコンでは、大規模なプロジェクトへ参画することができ、かっこいいイメージを強く持っている人もいるかもしれません。
しかし、完成までの工期が限られている中で、資材の調達やアクシデント、天候による工期のずれ込みなど、厳しいスケジュール管理や長時間労働が強いられるケースも多い業界であるということも理解しておく必要があります。
就職活動では、業界や企業研究だけでなく、専門知識や資格取得、コミュニケーション能力の向上など自己成長へも力を注ぎましょう。ゼネコンでの仕事は地図や多くの人の記憶に残る仕事です。大きなやりがいを持って社会に貢献できるでしょう。しっかり準備をして、臨んでくださいね。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント/コラボレーター代表
Yukari Itaya〇未就学児から大学生、キャリア層まで多様な世代のキャリアを支援。大企業からベンチャー、起業・副業など、幅広いキャリアに対応。ユニークな生き方も提案するパーソナルコーチとして活躍
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/フィナンシャルプランナー
Miyuki Oba〇大学などでカウンセリングや講義、企業や行政における新人研修・セミナーなどに多数登壇。ファイナンシャルプランナーおよび小論文講師としての知見も加味したアドバイスをおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Yoshiko Kato〇人材会社で約15年間、18,000人以上のキャリア相談を受けてきた。独立後は企業や大学、個人と契約し、キャリア構築の支援をおこなう。キャリアコンサルタント歴は20年以上
プロフィール詳細