この記事のまとめ
- 鉄道会社の就活は選考フローを理解することが重要
- 車掌や駅員だけじゃない! 鉄道会社で自分に合った職種を見つけよう
- 鉄道会社の採用試験対策では2つのフェーズに力を入れよう
- 適職診断
たった3分であなたの受けない方がいい職業がわかる!
この記事を読んでいる人に
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重要な交通インフラの一つである鉄道。身近な職業として鉄道会社への就職を考えている学生は多いものです。
しかし実際に就活を始めると、多くの学生が「鉄道会社の就職活動の流れがわからない」「鉄道会社で働くとしたら、どんな仕事があるんだろう」といった悩みを抱えているのが現状です。特に鉄道会社への就職を目指す学生にとって、「具体的にどんな選考プロセスを経て内定に至るのか」は気になるポイントですよね。
公共性の高いサービスを提供する鉄道業界の就活は、専門知識だけでなく人間性が重視される点で、ほかの業界とは異なる特徴があります。さらに選考プロセスも企業によって違いがあるため、志望先の採用情報を入念にチェックすることが欠かせません。
この記事では、そんな鉄道業界の就活のコツをキャリアアドバイザーの柴田さん、高尾さん、加藤さんのアドバイスを交えつつ解説します。鉄道業界への就職を目指している人はぜひ参考にしてみてくださいね。
鉄道会社に就職したいなら採用フローの下調べが必須
鉄道会社への就職を目指すなら、まずは業界の基礎知識と採用プロセスを理解することが大切です。鉄道業界は、運転士や車掌など専門性の高い職種だけでなく、事務職や技術職など幅広い仕事があります。自分の適性とやりたい仕事をしっかりとすり合わせ、志望先を絞り込むことが重要です。
そこで記事の序盤では、鉄道業界の基礎知識と、自分に合った職種を見つけるためのヒントを紹介します。鉄道業界の就活では、職種によって採用枠が設けられていることも多いのでしっかりと確認しておきましょう。
中盤では、「鉄道業界って実際のところなんの対策から始めれば良いの?」という疑問を解消するべく、鉄道会社の一般的な採用フローを解説しています。Webテストと鉄道業界の就活のフローでよく取り入れられるリクルート面談のコツについても触れているので、参考にしてみてくださいね。
さらに後半では、鉄道会社が求める人材像をキャリアコンサルタントの視点で分析しています。職種別の志望動機の例文やNGポイントも挙げているので、ぜひ最後まで読んで、自分の言葉で鉄道業界の志望動機を作成できるようになりましょう。
鉄道会社の採用ルートは3つに分かれる
鉄道会社の3つの採用ルート
- 総合職採用
- 技術職採用
- プロフェッショナル職採用
鉄道会社の新卒採用は、おもに総合職、技術職、プロフェッショナル職の3つのルートに分かれています。それぞれの職種で求められる能力や仕事内容が異なるため、自分の強みや適性を考慮して応募するルートを決めることが重要です。
鉄道会社は、社会インフラを支える重要な役割を担っていて、さまざまな分野で活躍できる魅力的な職場です。ただし、さまざまな分野で活躍できるからこそ、最初の職種の選択を誤ると思っていたキャリアと違う道を歩むことになってしまう場合もあります。自分の将来のキャリアプランを考えながら、適切な採用ルートを選んでいきましょう。
それでは、それぞれの採用枠の詳細について解説していきます。
①総合職採用
総合職は、鉄道会社の経営や運営に携わる職種です。現場での実務経験を積んだ後、本社で勤務するケースが一般的といえます。鉄道会社にもよりますが、数年おきにジョブローテーションをおこないながら、各部署で施策の企画・立案・推進に携わっていきます。
具体的には駅員や車掌からスタートした後、営業や広報へと異動になる場合が多いようです。採用枠は狭く、競争率も高いため、内定を獲得するには相当の努力が必要となるでしょう。
総合職として働く場合、将来的にさまざまな部門でマネジメントに携わることが期待されています。そのため鉄道会社の事業全体を俯瞰し、さまざまな課題に対して総合的な判断を下す能力が必要とされます。安全運行を最優先しつつ、顧客のニーズに応えるサービスの提供や、効率的な事業運営などにも興味がある人にはやりがいのある職種です。
大手になると会社全体の採用者数が数百人に及ぶことが多いため、一見募集が多そうに見えます。
しかしその中で総合職は数十人しか枠がなく、狭き門といえます。比較的給与が高く、安定性がありかつ遠距離での転勤もあまりないため、定着率が高いからです。
②技術職採用
技術職は、車両や施設の維持管理を担当する職種です。安全で快適な鉄道運行を支える重要な役割を担っていて、車両の定期点検や修理、線路や電気設備の保守点検など、幅広い業務に携わります。故障やトラブルが発生した際には、迅速に対応し、復旧作業をおこなう必要があります。
技術職に就くには電気・機械・土木などの専門知識が求められるので、大学や高等専門学校などで関連分野を学び、専門的なスキルを身に付けていることが応募条件となる場合もあります。
また、新しい技術や知識を常にアップデートし、より高度な技術を習得する努力も技術職には欠かせない要素です。鉄道業界の技術面での進化に興味がある人や、すでに関連分野で専門知識を有している人に適した職種です。
- 技術職採用は高卒でもなれるのでしょうか?
高卒者を対象とした技術職採用をおこなっている鉄道会社もある
多くの場合、鉄道会社の技術職採用においては、大学や高等専門学校で電気・機械・土木などの専門知識を学んだ人材を求めています。鉄道の安全運行を支えるうえで、高度な技術力が必要不可欠だからです。
一部の鉄道会社では、高卒者を対象とした技術職採用もおこなっています。ただし高卒者の技術職採用は限定的であり、競争率も高くなる傾向にあります。
大学や高専で専門知識を学んだ人材と比べると入社後の教育に時間がかかるため、即戦力としての採用は難しいというのが実情です。
また技術職は安全性に直結する重要な職種であるため、基礎的な知識を持っていることが求められます。そのため、高校在学中から数学や物理などの理数系科目に力を入れ、電気・機械・土木などの分野に関する知識を深めておくことが重要です。
鉄道業界に関する情報を収集し、自分がどのような仕事に就きたいのかを明確にしておくことも必要でしょう。
③プロフェッショナル職採用
プロフェッショナル職は、駅員や乗務員など、現場で直接顧客と接する職種です。中でも運転士は、多くの人が憧れる人気の職種といえるでしょう。運転士になるためには、専門学校などで長期間の勉強と訓練が必要です。運転士として列車を安全に運行するだけでなく、非常時には迅速に対応し、適切な判断を下す能力も求められます。
そして駅員は、顧客の窓口という重要な役割として、乗車券の販売や改札業務、顧客への案内や問い合わせ対応など、多岐にわたる業務をこなします。顧客と直接コミュニケーションを取って快適な旅をサポートできるという点は魅力の一つでしょう。
プロフェッショナル職を目指す場合、専門学校や短期大学などで関連分野を学ぶことが一般的ですが、大卒でも就職は可能です。
たとえば2025年のJR西日本のプロフェッショナル職採用募集要項では、「2024年4月から2025年3月までに大学を卒業見込みの方(大学院修了見込みの方を含む)、高等専門学校を卒業見込みの方、短期大学を卒業見込みの方、専修学校の専門課程で『専門士』または『高度専門士』を取得見込みの方」と記載があります。
志望企業の募集要項をよく確認して、自分に応募資格があるのか把握しておきましょう。
- プロフェッショナル職採用と総合職、どちらを受けるか迷っています。どのような基準で決めたら良いでしょうか。
迷っている場合は総合職がおすすめ
プロフェッショナル職と総合職のどちらを経験するか迷っているのであれば、総合職を受けておいた方が良いでしょう。
会社の方針にもよりますが、総合職でも駅員や車掌、運転手などプロフェッショナル職の業務を経験させるケースがあるからです。
入社後にその業務を経験し、やはりプロフェッショナル職だと感じたら職種転換を希望するのも一手です。また、プロフェッショナル職から総合職に転換するのは一般的にかなり狭き門となるため、総合職を目指しておいた方が良いと考えます。
自分の適性を知る方法として、自己分析が挙げられます。次の記事では、自己分析のメリットや具体的な方法、うまくできないときの対処法について解説しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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まずは鉄道業界の4つの運営母体を押さえよう
鉄道業界の4つの運営母体
- JR
- 私鉄
- 第三セクター
- 公営鉄道
鉄道業界を目指す際、まず理解しておくべきなのが、鉄道会社の運営母体の違いです。日本の鉄道は、大きく分けて4つの母体により運営されています。それぞれの運営母体で、企業文化や働く環境、求められるスキルが異なります。
鉄道業界への就職を考える際は、これら4つの運営母体の特徴を理解し、自分の価値観や目指すキャリアに合った企業を選ぶことが重要です。自分の適性を見極め、十分なリサーチをおこなったうえで、志望企業を決定しましょう。
この章では鉄道業界の4つの運営母体について解説します。
鉄道業界の全体像を理解するためには、業界研究が欠かせません。業界研究のやり方については以下の記事で詳しく解説しています。
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①JR(旧国鉄)
JRは、1987年に日本国有鉄道が分割民営化されて誕生した会社群です。北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州、貨物の7社に分かれており、全国的な路線網を持っています。長距離輸送や都市間輸送を担う大手企業であり、安定した経営基盤を持つことが特徴です。
JRは、鉄道事業の収益が大きく、特に新幹線による収入が大きな割合を占めています。また事業範囲が広いため、転勤の可能性が高いことも特徴の一つです。新幹線をはじめとする高速鉄道網の整備や駅ビル開発など、鉄道事業以外にも積極的に取り組んでいます。
JRは、日本の鉄道業界を代表する大手企業です。知名度、安定性、社会的信頼性、多様なキャリアパス、社会貢献性などの就職希望者にとって魅力的な要素を多く備えていることから、競争倍率も高くなる傾向にあります。
就職を目指す際は「JRブランド」に惹かれるだけでなく、自分自身がJRで働く意義を見いだせるかどうかを深く考えたうえで、志望を決めることが重要です。
②私鉄(民間鉄道)
私鉄は、民間資本で運営されてきた地域密着型の鉄道会社です。JRとは異なり、おもに短距離の移動に強みを持っていて、関東や関西を中心に、地域に根ざした路線網を持っています。大手私鉄では、鉄道事業以外にも、不動産開発やオフィスビル賃貸、百貨店やホテルの運営など、多角的な事業展開をおこなっています。
私鉄は、地域に密着した経営をおこなうことで、地域社会との結びつきが強いことが特徴です。沿線開発や地域活性化に積極的に取り組み、利用者のニーズに合わせたサービスを提供しています。各社の個性や企業文化が強く、地域ごとに特色があります。地元で就職を考える際は、私鉄も選択肢に入れると良いでしょう。
私鉄は沿線沿いにスーパーや駅ビル、またマンションなどの住居を展開し、沿線沿いの地域活性化をおこなっているのが特徴です。
たとえば京急電鉄であれば、沿線沿いに京急百貨店・京急ストア・京急不動産・京急バスなどを構え、沿線沿いの人が生活しやすいように事業を多角化展開しています。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
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強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
③第三セクター鉄道
第三セクター鉄道は、公営団体と民間企業の合同出資によって経営されている鉄道会社です。地域開発や都市づくりを目的として設立されるケースが多く、ゆりかもめや横浜シーサイドラインなどが代表例として挙げられます。
第三セクター鉄道は、地域の公共交通を維持するために重要な役割をはたしています。一方で、経営基盤が脆弱なケースもあり、経営改善や効率化が求められています。地域の活性化に貢献したいという思いを持って働くことができる環境です。
第三セクター鉄道の例
大手鉄道会社の不動産や都市開発、システム開発などの業務を子会社に委託しているのと違って、第三セクターではさまざまな業務を本社一括で運営しています。特に町おこしなどの地域振興の役割を担うことが多いのも、第三セクターの特徴です。
④公営鉄道
公営鉄道は、地方公営企業や地方自治体が運営している鉄道会社です。都電荒川線や日暮里・舎人ライナーなど、比較的人口の多い都市部に開設されていることが多いです。公共性が高く、安定的なサービスの提供が求められます。
公営鉄道で働く場合、公務員として扱われることになるので、福利厚生も充実しています。一方で、民間企業に比べると、キャリアパスの選択肢が限られる傾向にあります。都市部の公共交通に携わりたい人にとっては、魅力的な選択肢といえるでしょう。
公営鉄道の例
公営鉄道は地方公営企業や地方自治体が運営している鉄道会社で、公営鉄道で働く場合は公務員として扱われることになります。民間企業とは異なり、定期的な人事異動があり、勤務地が変更になる可能性があります。
また、民間企業のような成果主義の評価体系ではなく、年功序列型の給与体系が一般的です。福利厚生は充実していますが、キャリアパスの選択肢が限られる傾向にあります。
キャリアコンサルタントが解説! 鉄道会社の一般的な採用フローは?
鉄道会社への就職を目指す際、まずは選考プロセスを理解しておく必要があります。各選考段階で求められるスキルや経験が異なるため、事前に採用フローを把握しておくことで、適切な準備をおこなうことができるからです。また、選考スケジュールを知っておくことで、計画的に対策を進められるというメリットもあります。
しかし、鉄道業界特有の採用フローについて、正しい情報源を見つけるのは難しいかもしれません。企業によって選考プロセスが大きく異なることもあり、鉄道業界の一般的な採用フローを自信を持って答えられる学生は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、さまざまな業界に精通したキャリアコンサルタントに、鉄道会社の一般的な採用フローについて聞いてみました。選考の各フェーズを想像しながら読んでみてくださいね。
アドバイザーコメント
加藤 賀子
プロフィールを見る採用フローは基本的に他業界と似ている部分が多い
鉄道会社では各社選考フローが違う部分はありますが、一般的な選考の流れとしては、下記の通りです。
①エントリーシート(ES)
②Web上での適性検査
③選考
④内定
適性検査はSPIもしくは玉手箱を実施している割合が高いですが、適性検査を実施しない会社もあります。選考の回数は企業によってさまざまですが、段階的には3段階もしくは4段階あります。
また、別途グループディスカッションを取り入れている企業もあるので、志望する会社はどのような選考フローなのかを事前に確認しておきましょう。
職種によってインターンの期間が異なることもある
専門的な仕事に従事する業種なのでインターンも技術系と事務系の職種では期間が違います。インターン期間についても、各社によって異なりますが、技術系は約2週間・事務系は約1週間です。
インターン制度を活用し、実際の仕事内容や一緒に働くメンバーや社風などを知ったうえで応募すると、入社後のギャップもなくなりスムーズに職場になじむことができるでしょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
鉄道会社の採用試験対策で力を入れるべき2つのフェーズ
大まかな採用フローを理解できたところで、次は鉄道会社で特に力を入れて対策したい2つのフェーズを解説します。1つ目はWebテストの対策、2つ目はリクルーター面談の対策です。これらのフェーズを突破するためには、単なる知識の詰め込みだけでは不十分です。
Webテストでは、PC操作に慣れるだけでなく、問題傾向を分析して効率的な解答方法を身に付ける必要があります。リクルーター面談では、自分自身と向き合い、なぜ鉄道会社で働きたいのか、どのような強みを発揮できるのかを明確に伝えられるよう、入念な準備が欠かせません。
この章では、それぞれの対策を詳しく紹介します。
①Webテストの対策をしよう
鉄道会社の学力試験は、大半がSPIテストを採用しています。SPIテストとは、多くの企業が導入している共通の学力テストで、Webテスティング、テストセンター方式、ペーパーテスト方式のいずれかで実施されます。
Webテスティングとテストセンター方式では、PCを使用して解答します。問題に答えても正誤は表示されず、次々と設問が出題されます。自分または学校のPCなどを使って受検するか、指定のテストセンターのPCで受検するかが異なります。
SPIは共通テストであるため、テストセンター方式では前回別企業で受検した結果を流用できる場合があります。ただし、解答の正誤はわからないため、前回の成績の良し悪しは受検者には判断できません。流用するかどうかは慎重に判断することをおすすめします。
なお、ペーパーテスト形式でSPIテストを実施する鉄道会社はまれです。ほとんどの場合、PCを使用したテストになるため、事前にPC操作に慣れておくことが重要です。
SPIが主流とはいえ、鉄道会社によっては独自の筆記試験を課す場合も多くあります。そのため、SPIテスト対策だけに偏るのは賢明ではありません。
まずは、志望する鉄道会社の採用情報をしっかりと確認し、どのようなテストが実施されるのかを把握しましょう。
SPIと併せて鉄道業界に特化した専門知識や時事問題などについても学習し、鉄道業界や志望企業に関する幅広い知識を身に付けることをおすすめします。
SPIの基本的な情報や対策方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
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②リクルーター面談の対策をしよう
リクルーター面談の対策をしよう
- 鉄道業界への志望動機を深掘りしておく
- 業界研究で感じた魅力を自分の言葉で語れるようにしておく
- 鉄道業界でのキャリアプランを明確にしておく
用語解説:リクルーター面談とは
企業の採用活動において、人事部の依頼を受けた社員が応募者と面談をおこなうこと。リクルーターと呼ばれるこれらの社員は、おもに20~30代の若手社員やOB・OGが任命されることが多く、カフェやレストランなどのリラックスした雰囲気の中で面談がおこなわれるのが特徴。
リクルーター面談の目的は、応募者の人柄や適性を、より近い目線で見極めることにあります。リクルーターは、応募者と年齢が近く、同じ大学の出身者であることも多いため、応募者は比較的打ち解けた状態で自分の思いを伝えやすいでしょう。また、リクルーターは社内の若手社員の視点から、応募者が組織になじめるかどうかを判断することができます。
リクルーター面談の内容や詳細は企業によってさまざまであり、同じ鉄道業界の企業であってもその内容は一概にまとめられません。一般的には、最初は若手の担当者、おもに3~5年目の社員が対応し、回を重ねるごとに年次の高い社員や管理職が加わります。人によっては、同じ年次の社員と再度面談することもあるようです。
そして、面談に通過した場合、当日または翌日に「別の社員との面談依頼」の電話がかかってくることが多いようです。1週間以上連絡がない場合は、いわゆるサイレントお祈りの可能性が高いでしょう。仮に連絡があっても、上位の志望者の辞退による補欠としての連絡の可能性もあるため、過度な期待は禁物です。
リクルーター面談は気軽な情報収集の機会と捉えている人が多いです。しかし、学生が気負わずフランクに話せる状況を作り出すことで、より人物像が浮き彫りになるので、選考に進めさせるかどうかを判別する機会としている会社がほとんどです。
そのため、質問内容などを事前にしっかり準備して受け答えにも注意を払って挑みましょう。
リクルーター面談の種類によって必要な対策が異なるので注意しましょう。こちらの記事でリクルーター面談の攻略法を解説しています。
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鉄道業界への志望動機を深掘りしておく
比較的フランクな雰囲気で進められるリクルーター面談でも聞かれることが多いのが、あなたの鉄道業界への志望動機です。あなたが鉄道業界を目指すに至った経緯や、業界に対する熱い思いを、具体的なエピソードを交えて語れるよう準備しておきましょう。
たとえば、子どもの頃に鉄道旅行で感じた車掌の親切な対応が、鉄道業界への憧れのきっかけになったなら、そのエピソードを披露してみてください。また、大学時代に鉄道研究会で安全性向上についての研究を重ねた経験など、実務的な話を志望動機に盛り込むのも良いですね。
ただし雑談形式の面談では、人間性を簡単に確認をするような質問が多く、志望動機については軽く振られる程度の可能性もあります。とはいえ、いざというときに志望動機を通じてあなたの魅力を存分にアピールできるよう、前持った準備はマストです。志望動機の作り方については、後ほど解説しますのでしっかり読んでおきましょう。
企業理念を題材にする志望動機の作り方は、こちらの記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてくださいね。
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業界研究で感じた魅力を自分の言葉で語れるようにしておく
リクルーター面談では、あなたが鉄道業界についてどれだけ深く理解しているかも重要な評価ポイントです。企業の社員は、あなたが業界研究で得た知識を、自分の経験と結び付けて咀嚼し、自分の言葉で語れるかどうかを見ています。
そのため業界研究で得た知識を、単に羅列するのではなく、自分の言葉で語れるようにしておきましょう。
たとえば、「鉄道業界の安全性への取り組みについてどう思いますか?」と質問されたら、あなたがボランティアとして参加した災害復興支援活動の経験を絡めて、安全性の重要性について熱く語ってみるなど、自分と業界の課題の接点を明らかにしましょう。
仮に、用意した見解や意見が多少間違っていたとしても構いません。学生として業界や企業の課題に対して「自分の意見を用意しておく」ということに意味があります。通常の面接よりもラフな空気感だからといって気を抜かずに、しっかりと準備して、面談に臨んでください。
鉄道業界でのキャリアプランを明確にしておく
リクルーター面談で、あなたの鉄道業界でのキャリアプランについて聞かれる可能性は高いです。「御社で働きたい」という熱意を見せるだけでなく、入社後どのようなキャリアを歩みたいのか、具体的なビジョンを示せるようにしておきましょう。
運転士のキャリアプランの例
- 運転士として入社し、安全運転と定時運行に尽力する
- 経験を積み、指導運転士としての役割を担う
- 運転士の育成や安全管理業務に携わり、運輸部門のマネジメントを目指す
- 将来的には、運輸部門の責任者や役員を目指す
技術職のキャリアプランの例
- 車両メンテナンスや線路保守などの技術職として入社する
- 専門知識と技術を磨き、安全で安定した輸送サービスの提供に貢献する
- 新技術の導入や技術革新に携わり、業務効率化や品質向上に寄与する
- 技術部門のリーダーとして、後進の育成と技術力の向上に尽力する
総合職のキャリアプランの例
- 総合職として入社し、さまざまな部署でのジョブローテーションを経験する
- 営業、企画、人事、経理など、幅広い業務知識を身に付ける
- プロジェクトリーダーやマネージャーとして、部門横断的な業務に携わる
- 将来的には経営層を目指し、会社の発展に寄与する
まずは、上記のように3年後・5年後・10年後のスパンで考えてみるとイメージしやすくなります。たとえば総合職として「マネジメントの立場で組織を牽引したい」のであれば、「営業や企画部門でマーケティングや新サービス開発に携わり、将来は〇〇部の部門長として事業拡大に貢献したい」といったビジョンを述べてみましょう。
アドバイザーコメント
加藤 賀子
プロフィールを見るリクルーター面談の回数は企業によって異なる
鉄道会社、各社選考フローが違う部分はありますが、一般的な選考の流れとしては、ES→Web上での適性検査→選考→内定の順です。
選考の段階や回数に関しても各社それぞれになっていて、段階として一般的には新卒採用の場合は3段階が多く、選考回数も企業によってさまざまで、一次→二次→三次と各1回ずつの計3回の会社もあれば、リクルーター面談(1〜3回)→管理職面談(1回)→最終面談(1回)と計5回の会社もあります。
選考時期については3月中旬〜4月下旬が一般的ですが、職種枠によっては5月上旬〜6月上旬におこなっている企業もあります。
選考解禁と同時に内々定が出るとは言い切れない
最近は、少子高齢化の影響で若手人材の確保が各社年々厳しくなってきているので、選考解禁と同時に内々定を出している企業も多いでしょう。
ただ、その年の応募数や採用数によっても変わってくるので、必ず選考解禁と同時に内々定が出るとは限らないということは認識しておきましょう。
鉄道会社が求める人材像とは? 共通する要素をキャリアのプロが解説
鉄道会社への就職を目指す際、選考プロセスを理解しておくことと同様に重要なのが、企業が求める人材像を把握しておくことです。しかし、各社の募集要項に記載されている内容だけでは、具体的にどのような人物が求められているのかがわかりにくいこともあるでしょう。
鉄道業界は、安全運行と高品質なサービスの提供を使命とする業界です。そのため、ほかの業界とは異なる独自の価値観や社風を持っている企業が多く、求める人材像にも一定の共通点があるといわれています。
そこで今回は、鉄道業界に精通したキャリアコンサルタントに、鉄道会社が求める人材の特徴について聞いてみました。
アドバイザーコメント
柴田 登子
プロフィールを見る鉄道会社では「チームワーク」が不可欠
JR東日本や西武鉄道、阪急電鉄など多くの鉄道会社が求める人材に「チームワーク」を挙げています。
鉄道は決められたスケジュールに沿って、電車を安全安心に運行しなければなりません。電車を走らせるために、実に多様な業務をそれぞれの専門知識を持った職員が担当し、一人ひとりが責任を持ってそれにあたっています。
それだけに、たった一人の不注意や怠慢が大きな問題に発展することも少なくありません。
ひとたび電車が止まれば、それは鉄道会社の利益損失につながるだけでなく、地域全体の経済活動にも影響してしまいます。だからこそ、常に「チーム」の意識を持ってお互いを尊重しながら任務を遂行できる人物を求めているのです。
「時間厳守」と「準備万端」はアピール材料にもなる
私は鉄道会社の職員の人と仕事をする機会が多々あるのですが、どの会社の人も共通して言えるのは、どの職種の人も時間厳守で準備万端だということです。日本の鉄道は世界一定時性が高く、かつ安全性も群を抜いています。
それは普段から鉄道の運行だけでなく、ほんの些細なことでも時間を守り、抜けもれなく準備をする一人ひとりの姿勢に支えられているのだと驚かされます。面接の際はその点を特に意識し、余裕を持った時間管理と事前準備を念入りにおこないましょう。
3ステップで完成! 鉄道業界で評価される志望動機の書き方
鉄道業界で評価される志望動機の書き方
- なぜ鉄道業界なのか
- なぜその鉄道会社のその職種なのか
- その企業でどのように活躍したいのか
鉄道業界は、人々の日常生活や経済活動を支える重要な社会インフラを担っており、多くの就職希望者が注目する業界の一つです。しかし、鉄道会社の採用競争は非常に厳しく、志望者の熱意や適性が問われます。その中で、採用担当者の心に響く志望動機を作成することは、内定獲得への第一歩といえるでしょう。
では、どのようにすれば説得力のある志望動機を書くことができるのでしょうか。ここでは、3つのステップに分けて、具体例を交えながら解説していきます。
①なぜ鉄道業界なのか
志望動機の冒頭では、なぜ鉄道業界で働きたいのかを明確に伝えましょう。最初にきっかけを明確にすることで、聞き手の興味を惹きつけることができます。ここでは、自分の経験やエピソードを交えながら、鉄道業界に対する思いや関心の高さを示すことが重要です。
なぜ鉄道業界なのかを伝える例文
子どもの頃から鉄道模型で遊ぶのが好きで、鉄道の仕組みに興味を持っていました。大学時代には、通学で毎日電車を利用する中で、鉄道の安全性と定時運行に感銘を受けました。
ある日、台風でほかの交通機関が軒並み止まる中、鉄道会社の懸命な復旧作業によって、始発から電車が動いていたことに感動しました。鉄道が社会インフラとして果たす役割の大きさを実感し、自分もその一端を担いたいと考えるようになりました。
このように具体的な体験を交えて熱意を表現することで、説得力のある書き出しを作ることができます。
「なぜ鉄道業界で働きたいのか」を伝える際には、自分の経験やエピソードを交えることが重要ですが、同時にその業界ならではの魅力や特徴にも触れることが求められます。一般的な理由では、志望動機として十分とはいえません。
鉄道業界の独自性に着目し、業界ならではの魅力を自分の体験や価値観と結び付けて語ることで、説得力のある志望動機につながります。
②なぜその鉄道会社のその職種なのか
次に、なぜその鉄道会社とその職種を志望するのかを説明します。ここでは、企業研究で得た知見と自分の適性をマッチングさせ、論理的に理由を述べることが求められます。
なぜその鉄道会社のその職種なのかを伝える例文
貴社は安全性と快適性を追求し、革新的な技術を積極的に取り入れていることに魅力を感じました。特に、●●プロジェクトが利用者の利便性向上に大きく貢献していると考えます。
また、鉄道車両の整備に関心があり、点検や修繕の技術を磨きたいと思っているので、貴社の充実した研修制度と最新の設備を活用し、専門性を高めることで、安全で快適な鉄道サービスの提供に尽力したいと考えています。
企業の特徴と自分の強みや目標を結びつけて説明することで、説得力のある志望理由になります。多くの企業がある中でなぜ1社にこだわるのかという点は、あなたの価値観がよく表れる部分なので、特に具体的に伝えてみましょう。
- 鉄道業界の場合、その企業ならではの強みや競合他社との違いなどは何を見ればわかりますか?
ホームページ(HP)やニュース・サイトが有用
まずは、HPなどから展開している事業を把握することで、その企業ならではの強みや特徴がわかるでしょう。そして、展開している沿線の地域特性を活かしたイベントなども実施し他社との差別化もおこなっていることもわかります。
鉄道会社の取り組みやイベントを発信しているニュースやサイトなどもあるので、確認してみてください。
③その企業でどのように活躍したいのか
最後に、入社後の具体的なビジョンと、企業への貢献について述べます。ここでは、自分のスキルや経験を活かし、長期的な視点で企業の発展にどのように貢献していきたいのかを説明することが重要です。
その企業でどのように活躍したいのかを伝える例文
車両整備士として、安全運行を支える確かな技術を身に付けることが第一の目標です。先輩方の指導を仰ぎながら、着実にスキルを向上させていきます。
そして将来的には、整備チームのリーダーとして、メンバーの育成にも力を注ぎたいと思います。また、大学時代に学んだデータ分析の知識を活かし、故障の予兆を早期に発見する仕組みづくりにも挑戦し、安全性とコスト効率の両立に貢献したいと考えています。
入社後のイメージは、このように具体的な行動計画と長期的な展望を示すことで明確に伝えることができます。
鉄道業界の志望動機では、自分の経験や価値観と、業界や企業の特徴を結びつけ、論理的かつ熱意を持って伝えることが重要です。具体的なエピソードを交え、入社後のビジョンまで描けるように準備を進めましょう。
- 総合職の場合、活躍の幅も配属によってさまざまだと思うので、入社後のイメージが難しいです……。
実際に足を運ぶことでキャリアプランが見えてくることがある
確かに、総合職の場合、配属先によって職務内容が大きく異なるため、具体的なキャリアプランを描くのは難しいと感じるかもしれませんね。
たとえばOB・OG訪問。実際に企業で働く先輩社員に話を聞くことで、生の情報を得ることができます。さまざまな部署の業務内容や、キャリアパスの事例を教えてもらいましょう。
また、インターンシップに参加することで業務の一端を体験できます。自分の適性や興味と照らし合わせて、将来のキャリアをイメージする材料になるでしょう。
業界研究を深めることも手助けになるはず
それだけではなく、業界研究も重要です。鉄道業界の専門誌やWebサイトを通じて、各社の事業戦略や注目されている部署・プロジェクトについて情報収集しましょう。
自分の関心領域との接点を探り、より良いキャリアについて検討するきっかけにもなります。
大学のキャリアセンターや、専門のキャリアカウンセラーに相談するのも一つの方法です。自己分析の手法や、業界研究の進め方について、アドバイスをもらえるはずです。
これらの情報を総合的に判断し、自分なりのキャリアビジョンを描いていきましょう。
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鉄道業界で差別化に役立つ4つの資格
鉄道業界の就活で差別化に役立つ4つの資格
- 国内旅行業務取扱管理者
- サービス介助士検定
- 日本旅行地理検定
- TOEIC
鉄道業界への就職を目指す際、専門性の高い資格を取得しておくことで、ほかの応募者との差別化を図ることができます。鉄道業界で役立つ資格として、国内旅行業務取扱管理者、サービス介助士検定、日本旅行地理検定、TOEICの4つが挙げられます。
これらの資格取得は、採用面接でのアピールポイントになるだけでなく、鉄道業界で求められる知識やスキルを身に付ける機会にもなりますよ。
また、資格取得により、旅行業務や接客サービス、地域振興、グローバル化への対応など、鉄道業界の多岐にわたる業務で活躍できる人材としての能力を証明することができます。ここからはそれぞれの資格の特徴と、鉄道業界でのメリットを詳しく解説します。
①国内旅行業務取扱管理者
国内旅行業務取扱管理者は、旅行業界だけでなく、鉄道業界でも注目される資格です。資格取得により、旅行商品の企画・販売だけでなく、JRの旅客営業規則や運賃・料金計算など、鉄道業界に関する知識も身に付けることができます。
近年、鉄道会社の中には、収益性の向上を目指して旅行業への参入を進めているところもあります。そのため、国内旅行業務取扱管理者の資格を持つ応募者は、採用において優遇される可能性が高くなっています。鉄道業界の事業の中でも、旅行事業への興味が強い人はぜひ挑戦してみましょう。
国内旅行業務取扱管理者は、ほかの国家資格と比べて難易度は低く、合格率は40%前後です。試験科目は3科目の筆記試験のみで、各科目60点以上で合格となります。
合格者の8割以上が観光業務の経験がない人で、独学で挑戦している人も多い資格ですよ。
②サービス介助士検定
サービス介助士検定は、高齢者や障がいのある顧客へのサポートに必要な知識と技術を学ぶことができる資格です。鉄道業界では、すべての顧客に安全で快適な移動を提供することが重要な使命となります。サービス介助士検定の取得は、そうした鉄道会社の理念に共感し、実践できる人材であることもアピールできるでしょう。
資格取得者の中には、名札やバッジに「サービス介助士」と明記している企業もあるほど、鉄道業界でも注目される資格です。顧客一人ひとりに寄り添う姿勢は、鉄道会社の顧客満足度向上にも直結します。サービス介助士としての知識と経験は、将来のキャリアアップにも役立つはずです。
JR東日本ではサービス介助士取得者がすでに1万名を超えているそうです。実際に駅などで職員の名札を見ると、名前の下に「サービス介助士」と表示されている人が実に多いのに驚きます。
ほかの鉄道会社でも大小を問わず、全国的に取得を進めるところが増えているようです。
③日本旅行地理検定
日本旅行地理検定は、全国の自然景観、都市、温泉、観光地・施設などについての知識を問う民間試験です。この検定で得られる教養は、旅行客からの質問に答える際に役立つだけでなく、鉄道を介した地域振興にも活かすことができます。
多くの鉄道会社では、沿線地域の活性化に力を入れています。日本旅行地理検定で得た知識を活かして、魅力的な観光ルートの提案や、地域イベントとの連携など、沿線地域の魅力発信に貢献することができます。さらに、検定の中級レベルは国内旅行業務取扱管理者とほぼ同レベルとされているため、国家資格取得への足がかりにもなります。
「どのように就職後に資格を活かしたいか」によって取得すると良い資格は変わってくるので、日本旅行地理検定と国内旅行業務取扱管理者のどちらを受けた方が良いかを選定しにくい部分ではありますが、日本旅行地理検定は、日本の地勢や環境・観光地の名称などの知識を学ぶ資格なので、業務を通して観光企画などを提案したい人に良いでしょう。
国内旅行業務取扱管理者は、旅行会社で旅行を販売する際に必要な資格なので、旅行会社の業務に就きたい人は優先して取得すべきでしょう。
④TOEIC
グローバル化が進む現代社会において、英語力は欠かせないスキルです。鉄道業界でも、外国人観光客とのコミュニケーションや、海外事業の展開に英語力が求められています。そのためTOEICで高いスコアを取得しておくことは、語学力をアピールする強力な武器になります。
加えて、TOEICで培った英語力は、海外の鉄道会社との交流や国際会議での情報収集にも役立ちます。グローバルな視点を持つ人材として、鉄道会社の国際競争力強化に貢献することができるでしょう。
身近な資格なので、普段の勉強の延長として一度受けてみて、自分の実力を試してみるのがおすすめですよ。
- 鉄道業界の就活ではTOEIC何点以上が理想ですか?
具体的なスコアは求められないがアピールするなら730点以上が好ましい
海外に事業展開をする機会がほとんどない鉄道業界では、新卒者に具体的なTOEICスコアを求めてはいません。
しかし、近年はインバウンド客が急激に増加しているため、どの職種においても語学力があるに越したことはない状況に変わってきたといえます。
あくまで一般論ですが、総合職でTOEICスコアをアピールするなら最低でも730点、ほかの応募者と差を付けるためのスコアとしては850点以上あることが望ましいでしょう。
しかし、現業で顧客と会話する程度ならそこまでのハイスコアは必要ないので、日常会話がスムーズにできるようになっておけば問題ありません。
TOEICは就職活動を有利に進めるなら、欠かせないアイテムとなりつつあります。目安の点数を知りたい学生はこちらも読んでおきましょう。
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職種別に解説! 鉄道業界の志望動機の例文
鉄道業界を志望する際、職種ごとに求められる資質や経験は異なります。しかし、いざ志望動機を書こうとすると、何を強調すべきかわからなくなってしまう学生も多いのではないでしょうか。そんなときは例文を見ながら、自分のアピールしたい要素をまとめていきましょう。
この章では、総合職、技術職、運転士・車掌など、鉄道業界の主要な職種ごとに、効果的な志望動機の例文を紹介していきます。あなたの経験やスキルを踏まえながら、自分の言葉で熱意を表現できるよう、ぜひ参考にしてください。
例文①総合職
総合職の例文
私が御社を志望する理由は、鉄道が日本の社会インフラとして重要な役割を担っており、人々の生活を支えているからです。
大学時代に鉄道研究会に所属し、鉄道の歴史や技術について学ぶ中で、鉄道会社が安全性と利便性を両立させながら、日々の運営に尽力していることを知りました。その姿勢に感銘を受け、私も鉄道業界の一員として社会に貢献したいと思うようになりました。
その中でも御社を志望するのは、先進的な技術を導入し、サービス品質の向上に積極的に取り組んでいる点を魅力に感じたからです。たとえばAIを活用した列車運行管理システムは、安全性と効率性を高めるための画期的な取り組みだと考えます。
入社後は総合職として、営業や企画、現場管理など幅広い業務を経験し、多角的な視点から課題解決に取り組みたいと思います。将来的にはAIやIoTなどの新技術を活用しながら、より安全で快適な鉄道サービスを提供したいです。
大学時代に鉄道研究会で企画したシンポジウムでは、多様な利用者のニーズを把握することの重要性を学びました。その経験を活かし、利用者の視点に立ったサービス改善を推進し、御社の発展に貢献してまいります。
上記の例文では、思いを一生懸命伝えようとしているのが伝わってくる志望動機になっていて良いですね。改善点は、上手に伝えようと意識して書いているので、言葉の言い回しなど複雑になっていることで思いが伝わりにくい部分です。
シンプルに自分の気持ちを伝えるように意識してみましょう。
例文②総合職
総合職の例文
私が御社を志望する理由は、鉄道が環境に優しい交通手段であり、持続可能な社会の実現に貢献できると考えるからです。
大学での環境工学の学習を通じて、地球温暖化対策の重要性を認識し、鉄道がCO₂排出量の削減に大きく寄与していることを知りました。鉄道業界で働くことで、環境負荷の低減に直接的にかかわりたいと思うようになりました。
御社を志望する理由は、再生可能エネルギーの活用や省エネ車両の導入など、環境に配慮した取り組みを積極的におこなっていることに共感したからです。特に御社が開発した蓄電池式電車は、非電化区間での運行を可能にし、環境負荷の低減に大きく貢献しています。
私もそんな御社で、まずは営業や企画、技術開発などさまざまな部門で経験を積み、ゆくゆくは環境に優しい鉄道システムの構築に携わりたいと考えています。具体的には再生可能エネルギーを活用した鉄道インフラの整備や、環境に配慮した新たな輸送サービスの開発に興味があります。
入社後は環境に優しい鉄道の利点を広く発信しながら、持続可能な社会の実現に貢献したいです。
総合職の志望動機でやりたいことを盛り込む際は、希望する配属先の業務を想定して、それを遂行するために必要な点を伝えると良いでしょう。
その際、単にそれができる、得意であると伝えるだけではなく、具体的なエピソードを併せて伝えるのがポイントです。
例文③技術職
技術職の例文
私が御社を志望する理由は、鉄道が高度な技術の結晶であり、その技術力で人々の生活を支えているからです。
大学では機械工学を専攻し、鉄道車両の設計に関する研究室に所属しました。その中で、鉄道車両の安全性と快適性を追求する技術者の姿勢に感銘を受け、鉄道業界で自分の知識とスキルを活かしたいと思うようになりました。
御社を志望する理由は、御社が最先端の技術を用いて、安全で効率的な鉄道システムの構築に取り組んでいることに共感したからです。特に御社が開発した新型車両は、軽量化と省エネ性能を両立させた画期的な設計だと考えます。
技術職として、車両設計や保守管理の業務に携わり、自分の専門性を活かして技術革新に貢献したいと思います。
また大学時代に取り組んだ車両設計のプロジェクトでは、利用者の声を反映させることで、より使いやすい設計を実現しました。その経験を活かし、将来的には利用者の視点に立った技術開発を推進し、御社の技術力向上に尽力したいと思います。
上記の例文では、具体的な内容で技術職への適性と関心の高さを示していることと、志望企業の技術力や取り組みと絡めて自身の専門性とのマッチングを強調していて良いと思います。
大学時代のプロジェクト経験を交え、利用者視点の大切さを理解していることをアピールしている点も評価できます。
一方で、「高度な技術の結晶」という表現は、やや抽象的で具体性に欠けます。鉄道技術の具体例を挙げましょう。文末では将来的な貢献に触れていますが、もう少し具体的なビジョンがあるとより良い志望理由となります。
例文④技術職
技術職の例文
私は鉄道インフラの維持・管理にかかわる技術力に魅力を感じたため、御社を志望しています。
大学では土木工学を専攻し、鉄道構造物の維持管理に関する研究に取り組みました。その過程で、老朽化が進む鉄道インフラの適切な維持・管理が、安全で安定した輸送サービスの提供に不可欠であることを学びました。鉄道業界で働くことで、自分の知識とスキルを社会に役立てたいと考えています。
鉄道業界の中でも御社は、特に鉄道構造物の維持管理に先進的な技術を導入し、安全性と効率性の向上に努めています。たとえば、御社が開発した構造物モニタリングシステムは、構造物の劣化状況を常時監視でき、より理想的なメンテナンスを実現できると思いました。
そんな御社で技術職として、このようなシステムの開発や運用に携わり、鉄道インフラの安全性確保に貢献したいと思っています。
将来的には、鉄道構造物の長寿命化や災害対策など、さまざまな技術的課題に取り組みたいと考えています。大学時代に参加した鉄道構造物の点検実習では、目視だけでなく、最新の非破壊検査技術を用いることで、より精度の高い点検が可能になることを学びました。
その経験を活かし、技術革新を推進しながら、安全で持続可能な鉄道インフラの構築に尽力してまいります。
自分のスキルや学びを活かしたいということは伝わってきますが、「なぜそう思うのか」という思いの背景の記載がないのでなぜそのような思いや考えに至ったのかが把握しづらいです。
自分のスキルや学びを活かしたいと感じたきっかけや思いを具体的に記載するように意識しましょう。
例文⑤プロフェッショナル職
プロフェッショナル職の例文
私が御社のプロフェッショナル職を志望する理由は、鉄道の運行に直接携わる仕事に魅力を感じたからです。
高校時代に鉄道運転シミュレーターを体験し、運転士の仕事の重要性と、安全運行に対する責任の大きさを実感しました。以来、鉄道の安全を守る運転士として働くことが夢となり、その実現に向けて努力してきました。
たとえば鉄道研究部では事故防止キャンペーンに取り組み、安全意識の大切さを多くの人に伝える活動をおこないました。
そして御社の説明会に行った際に、運転士の育成に力を入れており、充実した教育体制が整っているということを伺いました。御社の運転士養成所では、座学だけでなく、実践的な訓練を通じて、高度な運転技術と安全意識を身に付けることができます。
そのような環境でいち早くプロフェッショナルとして成長し、安全で快適な輸送サービスの提供に貢献したいと思いました。
将来的には後進の指導にも積極的にかかわり、御社の安全文化を次世代に引き継ぐ役割を担いたいと思います。鉄道研究部での学びや乗客の生命を預かる責任感を胸に、運転士として安全運行に尽力し、安全性向上に向けた取り組みを推進してまいります。
プロフェッショナル職の志望動機を作成するときは、「あこがれ」でその職種を志望したわけではないという点を明確にしてください。
「仕事理解をするための多角的な情報収集をおこない、その仕事の厳しい部分も承知したうえで志望している」ということを伝えれば好印象につながります。
例文⑥プロフェッショナル職
プロフェッショナル職の例文
私が鉄道業界を志望する理由は、駅員の仕事を通じて、どんな方でも快適に鉄道が利用できるようにサポートしたいと考えたからです。
大学時代にアルバイトで駅員を経験し、車椅子の方やそれ以外にも補助が必要な方にも気を配りながら、時刻通りの安全で快適な駅環境を提供することの難しさを学びました。
丁寧に対応しなければと思いながらも、定刻が迫っているとどうしても焦ってしまい、お客様が不安そうな顔をしていることもありました。
このような経験をしたからこそ、御社が「顧客第一主義」を経営理念に掲げ、質の高いサービスの提供に努めていることに惹かれました。御社では、AIを活用した案内システムやバリアフリー設備の充実など、顧客の利便性と満足度の向上に積極的に取り組んでいます。
プロフェッショナル職として、御社の一員となり、どんな顧客の期待にも応える駅サービスの実現に尽力したいと思います。
将来的には、御社の看板を背負えるような駅員として、顧客一人ひとりに寄り添い、きめ細やかかつ、時間通りの運行もかなえるようなバランスの取れたサービスを提供したいと考えています。また、駅の安全確保や、円滑な運営に向けた改善提案なども積極的におこない、御社の発展に貢献したいと思います。
顧客の視点を大切にしながら、誰もが利用しやすい駅づくりに取り組んでいきたいです。
駅員を志望する際、特に重視されるポイントは「安全確保への意識の高さ」「お客様志向のプロフェッショナルなサービスマインド」「臨機応変な状況判断力とコミュニケーション能力」などです。
志望動機ではこれらの能力を培ってきた経験や、実際の場面を想定した対応方法などを示すことで、適性をアピールできるでしょう。
意外とやりがち? 鉄道業界のNG志望動機の例文
鉄道業界のNG志望動機の例文
鉄道業界の就活では、学生がやってしまいがちな3つのNGパターンがあります。単刀直入にいうと、「安定しているから」「鉄道が好きだから」「多くの人の役に立ちたいから」といった理由は、具体性に欠け、あなたの熱意や適性を十分にアピールできていない可能性があります。
ただし、実際に「鉄道が好きだから鉄道業界を目指したのに」という学生もいますよね。この章では、NGとされやすい志望動機の例文を紹介し、どのような点が問題なのかを解説します。本番で具体性に欠けた志望動機を書かないためにも、参考例文のNGポイントを一緒に考えてみましょう。
安定しているから
NG例文①「安定しているから」という志望動機
私が鉄道業界を志望する理由は、公共交通機関として社会に不可欠な存在であり、経営が安定しているからです。鉄道会社は、景気の影響を受けにくく、長期的に安定した雇用が見込めると考えています。
また、福利厚生も充実しているため、働きやすい環境が整っていると思います。私は安定した企業で長く働くことを望んでおり、御社ならその希望をかなえられると確信しています。
この志望動機の問題点は、鉄道業界や企業の魅力ではなく、自分の都合を優先しているところです。働く社会人として「安定」を求めるのは当然ですが、それだけでは企業からの共感を得られません。
また、福利厚生に触れることで、給与や待遇目当てと受け取られるリスクもあります。志望動機は「鉄道業界ならでは」「その企業ならでは」の魅力に惹かれていることが伝わる内容にしましょう。
就職先に安定を求めることは悪いことではないですが、現在のVUCA時代は何が起こるか解りません。
必ずしもどの会社も安定を提供できるとは限らない時代なので、安定ということを前面に出すのは避けた方が良いでしょう。
鉄道が好きだから
NG例文②「鉄道が好きだから」のみの志望動機
私が鉄道業界を志望する理由は、子どもの頃から鉄道が大好きで、電車の写真を撮ったり、鉄道模型を集めたりしてきたからです。
鉄道の歴史や技術に強い関心を持ち、大学では鉄道研究会に所属して、仲間と一緒に鉄道旅行を楽しみました。趣味で培った知識を活かし、鉄道会社で働くことが夢です。特に、御社は人気の車両を多数保有しており、そうした車両に携われる喜びを感じながら仕事に取り組みたいと考えています。
趣味と仕事は異なるため、単に好きだから働きたいという姿勢では、企業の期待には応えられません。またこの例文の場合、「鉄道が好き」という気持ちの背景にどんな理由があるのか自己分析が浅い印象も受けます。
志望動機の中で鉄道が好きな気持ちを語ることそのものはNGではありませんが、「なぜ鉄道が好きなのか」をきっかけから掘り下げて言語化できるようにしましょう。
アドバイザーコメント
高尾 有沙
プロフィールを見る「なぜ鉄道が好きなのか」の理由を深掘りすることが何よりも重要
「鉄道が好きだから」という気持ちは、多くの志望者の原点にあるでしょう。しかしそのまま志望動機として伝えるだけでは、採用担当者の支持や共感を得ることは難しいです。大切なのは「なぜ鉄道が好きなのか」を掘り下げ、自分の価値観や適性、社会貢献への思いと結び付けて表現することです。
たとえば以下のような志望動機であれば、単なる「鉄道好き」ではない思いが伝わるでしょう。
「子どもの頃から鉄道旅行が好きで、全国各地の路線に乗ることで地域の文化や魅力に触れてきました。鉄道が人や物をつなぎ地域社会を支える存在であることを実感する中で、いつしか鉄道会社で働くことが夢になりました。大学では交通まちづくりを専攻し、鉄道を軸とした地域活性化策を研究してきました。御社の新サービスに共感し、自分の知識とアイデアを活かして、地域と共生する持続可能な鉄道サービスの実現に貢献したいと考えています」
一方、以下のような志望動機では「鉄道好き」の域を出ていないため、企業の期待に応えられない印象を与えてしまいます。
「私は鉄道マニアで、これまでに全国の路線を制覇してきました。鉄道の歴史や車両設計に詳しく、その知識を活かして鉄道会社で働くことが夢です。御社は魅力的な観光列車を多数運行しており、そうした列車の企画に携わりたいと思い志望しました。趣味として培ってきた知見を存分に発揮し、楽しく働きたいと考えています」
「鉄道好き」とプラスアルファのアピールができるようにしよう
「鉄道が好き」という気持ちを出発点としつつ、背景を深く掘り下げて専門性や価値観、社会への思いと結び付けて表現することが説得力ある志望動機につながります。そうすることで、「ただの鉄道好き」ではなく、企業にとって魅力的な人材としての印象を与えることができるでしょう。
多くの人の役に立ちたいから
NG例文③「多くの人の役に立ちたいから」という志望動機
私が鉄道業界を志望する理由は、鉄道が多くの人々の生活を支える重要なインフラだからです。鉄道は、通勤、通学、旅行など、日常生活に欠かせない移動手段であり、社会になくてはならない存在です。鉄道会社で働くことで、多くの人の役に立ち、社会貢献できると考えています。
御社は、1日あたりの利用者数が非常に多く、日本を代表する鉄道会社としてたくさんの顧客の生活を支えています。そうした御社の一員となり、人々の暮らしを豊かにする仕事がしたいです。
この志望動機のNGポイントは、鉄道業界で働く意義を一般論で語っているだけで、自分の強みや価値観が伝わらないことです。「多くの人の役に立ちたい」という思いは立派ですが、それだけではほかの志望者との差別化ができません。
また、利用者数の多さにいきなり触れてしまうと、会社の軸があいまいなまま、単に規模の大きな企業を狙っているという印象を与えかねません。誰もが知るような大手の鉄道会社の就活でも、自分と企業の接点がはっきりとわかるような志望動機の作り込みは必須となります。
- 「多くの人の役に立ちたい」という気持ちが強いのですが、ほかの学生と差別化する方法はありますか?
「なぜなのか」を繰り返すことが差別化につながる
自分の思いをしっかりと言葉で伝えることがほかの学生との差別化になるでしょう。そのためにはまず、「多くの人の役に立ちたい」という気持ちが強いのはどうしてなのかの、思いのもとをしっかりと深めて明確にすることが必要となります。
また、その明確になった思いのもとから「どうして鉄道会社なのか」「どうして志望企業なのか」も明確にし、その思いを自分の言葉で伝えられるようにしましょう。
社会貢献をしたいと伝える志望動機は、書き方を気を付けないと企業に熱意がうまく伝わらないため、注意が必要です。「社会貢献」の志望動機は4ステップで作成して差別化しましょう。
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志望動機として社会貢献を打ち出して高評価を得るポイントをキャリアコンサルタントとともに解説します。やりたい仕事別の例文5選と注意点も解説するので、参考にして志望動機を作成し、選考突破につなげてください。
記事を読む
企業の特徴にあった対策をして鉄道会社への就職をかなえよう
鉄道会社への就職を目指す際は、志望動機の質が採用可否を大きく左右します。「多くの人の生活に貢献できるから」「鉄道が好きだから」といった具体性に欠ける理由では、採用担当者の心を動かすことはできません。大切なのは、自分の強みや価値観を企業の特徴に合わせて具体的に伝えることです。
そのためには、まず企業研究を徹底し、志望する鉄道会社の採用ルートをしっかりと把握しましょう。総合職、技術職、運転士・駅員など、職種ごとに求められる資質や選考基準が異なります。自分がどの職種に適性があるのかを見極め、必要なスキルや経験を積んでおくことが重要です。
鉄道業界の扉を開くための第一歩として、記事で紹介した一連の対策に全力で取り組んでみましょう。
アドバイザーコメント
柴田 登子
プロフィールを見る鉄道会社に求められる人物像を改めて考えてみよう
鉄道業界の仕事は誰か一人でもいい加減な仕事をしてしまうと、それが思わぬトラブルや事故につながってしまいます。大事になればミスをした人の評価が下がったり会社が損失を被ったりするだけでなく、社会全体の経済や流通にも影響します。
だからこそ、チームワークが重要視されるのはもちろんですが、多くの鉄道会社の求める人材像に「向上心」というものがあります。
これまで、地域に人が住んでさえいれば何もしなくても電車に乗ってくれる、ずっと利益が生み出される鉄道業界にいれば生活は安定する、と考える人は少なくありませんでした。
しかし日本も人口が減少に転じ、コロナ禍のような事態の発生やテレワークの普及などで鉄道の需要が下がる要素も増え、安心してはいられなくなってきました。鉄道は、いわば社会にとっての血管・血流ともいうべき、なくてはならないものなのです。
鉄道会社の今後のあり方まで考察することが大切になる
既存の鉄道事業のサービスを踏襲するだけではなく、新たなビジネスモデルを掲げ、これからの鉄道業界のあり方や鉄道によって社会をどう発展させられるかを考えられる人が求められるようになってきました。
これまで鉄道業界が積み重ねてきたものをベースに、どのような将来が描けるか、という点についてもしっかり考察して面接準備をおこないましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Takako Shibata〇製造業を中心とした大手~中小企業において、従業員のキャリア形成や職場の課題改善を支援。若者自立支援センター埼玉や、公共職業訓練校での就職支援もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント
Arisa Takao〇第二新卒を中心にキャリア相談を手掛け、異業種への転職をサポートする。管理職向けの1on1やコンサルティング業界を目指す新卒学生の支援など年齢や経歴にとらわれない支援が持ち味
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Yoshiko Kato〇人材会社で約15年間、18,000人以上のキャリア相談を受けてきた。独立後は企業や大学、個人と契約し、キャリア構築の支援をおこなう。キャリアコンサルタント歴は20年以上
プロフィール詳細