新卒でSESになるのはあり? 優良企業を見抜く4つの視点を解説

3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました

  • キャリアコンサルタント/産業カウンセラー

    Atsuko Hirai〇ITメーカーで25年間人材育成に携わり、述べ1,000人と面談を実施。退職後は職業訓練校、就労支援施設などの勤務を経て、現在はフリーで就職・キャリア相談、研修講師などを務める

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  • キャリアコンサルタント/キャリアシンク・オフィス代表

    Yoshinori Nomura〇IT業界・人材サービス業界でキャリアコンサルタントの経験を積む。培ったノウハウをもとに、その後はNPO支援団体として一般企業人の転職相談・就活生への進路相談を担う

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  • キャリアコンサルタント/2級キャリア技能士

    Misako Sugihara〇石川県金沢市を拠点に15年にわたり就職支援に携わる。2年前からは転職支援も手掛けている

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この記事のまとめ

IT業界にはさまざまな職種がありますが、就活を進める中でSESという言葉を初めて聞いた人も多いのではないでしょうか。

似たような言葉にSEやSIerなどがありますが、「SESって何をする仕事なんだろう」「SES企業に就職するメリットとデメリットが知りたい」など、SES企業に興味を持った人の中には、こんな疑問を抱えている人もいるかもしれません。

SES企業は、簡単に言うとエンジニアの力を必要とする顧客企業に、自社のエンジニアを派遣するビジネスをおこなっています。大手企業のプロジェクトにかかわれたり、さまざまな業界の最新技術に触れられたりと、エンジニアとしてのスキルアップが期待できる魅力的な就職先です。

その一方で、派遣先の環境に合わせて常駐することが多いため、自社の文化になじみにくかったり、案件によってはスキルアップしにくい懸念もあることは知っておく必要があります。

SES企業で働くエンジニアの実情をよく理解したうえで、自分のキャリアプランに合った企業選びをすることが何より大切です。

この記事では、キャリアアドバイザーの平井さん、野村さん、杉原さんのアドバイスを交えつつ、SES企業の特徴からメリット・デメリットまで、学生のSES企業にまつわる疑問をさまざまな角度で解説します。新卒でSES企業に入るか悩んでいる人はぜひ参考にしてみてくださいね。

目次

新卒でSES企業に入るなら業界のリアルな情報を知っておこう

新卒でSES企業を目指すなら、業界の実情を把握しておくことが何より重要です。そのためこの記事では、SES業界の基礎知識から働き方の特徴まで、IT業界に精通したキャリアコンサルタントのアドバイスと併せてリアルな情報を解説します。

まずは、SES企業の仕事内容と、ほかの業態との違いを理解することから始めましょう。SESエンジニアに求められるスキルセットや、キャリアパスのイメージをつかむことで、自分に合った企業選びができるようになります。

次に、SES企業で働くメリットとデメリットを解説します。技術力を磨ける環境がある一方で、仕事内容が選べない場合もあるなど、知っておくべき留意点にも触れるので、就職先としてのSES企業の特性を多角的に理解できるでしょう。

そして中盤では、優良なSES企業の見極め方を伝授します。教育制度の充実度や取引先の質など、SES企業選びで重視すべき4つのポイントを押さえることで、自分に合った就職先を見つけ出せるようになります。

さらに、SES企業への就職を有利に進めるための6つの対策も紹介します。プログラミングスキルの習得からポートフォリオ作成のコツまで、実践的な内定獲得術がわかります。SES企業への入社後のキャリアパスも解説するので、長期的な視点を持って自分の理想のキャリアを描いてみましょう。

まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください

就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。

そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
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・時間をかけずに自己分析をしたい人

強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。

そもそもSES企業とは? まずは基本情報をチェック!

SES企業の概要
SES企業の概要システムエンジニアリングサービスを提供する企業
働き方顧客企業に常駐し、システム開発や運用をおこなう
契約形態準委任契約(業務委託契約の一種。特定の業務をおこなうことを定めた契約)でSES企業がエンジニアを派遣
指揮命令顧客企業が指揮、SES企業が責任を負う
企業の傾向大手は大規模、中小は専門性重視の傾向にある
SES企業の特徴

SES企業とは

システムエンジニアリングサービス(System Engineering Service)を提供する企業のこと

上記のようにSES企業はサービスを提供する企業なので、所属するエンジニアは顧客企業に常駐し、システム開発や運用・保守などの業務をおこないます。

SESエンジニアは、準委任契約に基づいて働きます。わかりやすく言えば、SESエンジニアは顧客企業の指揮命令を受けながら業務をおこないますが、最終的な責任はSES企業が負います。つまり、SESエンジニアは、SES企業に所属しながら、顧客企業での業務をおこなうという特殊な立場にあるのです

SES企業は、企業規模によって働き方が大きく変わるので、自分のキャリアプランに合った企業を選ぶことが重要です。大手SES企業では大規模なプロジェクトに携われる機会が多く、中小のSES企業では特定の業界や技術に特化しているケースが多くなります。

また、教育制度や福利厚生、残業時間などが企業によって異なるため、自分のキャリアプランに合ったSES企業を見つけ、エンジニアとしてのキャリアを積んでいきましょう。

平井 厚子

プロフィール

SES企業とは、顧客企業にシステム構築の支援をする企業です。システム構築はITエンジニアによって提供されるため、必然的にSES企業の技術者が顧客企業に出向いてシステム構築を担当することになります。

そもそも「ITの仕事の種類ってどのようなものがあるのだろう?」と気になっている人はこちらの記事も参考にしてください。

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一方でプログラマーは、システムエンジニアが作成した仕様書をもとに、プログラミング言語を用いてプログラミングをします。プログラマーについてはこちらの記事で解説しています。

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SESと勘違いしやすい言葉の意味も知っておこう

IT業界を目指す学生の中には、SESという言葉を耳にしたことがあるものの、その意味を正確に理解していない人も多いものです。業界研究を進めるうちに、SESと似た労働形態や業種の言葉を知り、混乱してしまった学生もいますよね。

特にエンジニアを目指す学生の中には、SIer(システムインテグレーター)、派遣エンジニア、請負エンジニアなどの言葉を聞いたことがある学生もいるかもしれません。それぞれ違いを押さえておかないと後に自分が思い描いていた仕事内容とのギャップを感じてしまう可能性もあります

この章では、IT業界に精通したキャリアコンサルタントの野村さんにSESと混同しやすい言葉の意味を聞いてみました。まずは言葉の違いを正しく把握し、IT業界でのSESの立ち位置について理解を深めましょう。

アドバイザーコメント

SIer・派遣エンジニア・請負エンジニアはそれぞれ働き方が異なる

SIerは、顧客企業のシステムを設計・構築・運用まで一貫して担当します。大規模なプロジェクトに携わることが多いのが特徴です。

派遣エンジニアは顧客企業にエンジニアとして派遣される形態で、顧客企業の指揮命令で業務をします。その際の給与は所属の派遣会社から支払われ、短期的なプロジェクトが多いです。

請負エンジニアは、所属のIT企業が顧客企業と請負契約を結び、システムの完成まで責任を持つ形態です。ただし、顧客企業の指揮命令を直接受けることはなく、長期的なプロジェクトに携わることが多いです。

SES企業は責任が大きい分多くのスキルを身に付けられる

SESとSIerや派遣エンジニア、請負エンジニアなどほかの業務形態との違いを理解したうえで、自分のキャリアプランに最適な選択をすることが重要です。

SESは、エンジニアが顧客企業と準委任契約を結び、客先に常駐して開発や運用・保守等の技術支援をおこなう形態です。顧客企業からの指揮命令を受けますが、最終的な責任はSES企業が負います。

高い技術力や経験が要求され、多様なプロジェクトに関わり、幅広い経験とスキルを積めることが特徴です。

エンジニアに関連した仕事は数多く存在します。それぞれの職種については以下で解説しているので確認してみましょう。

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新卒必見! SES企業に勤める5つのメリット

エンジニアになりたい学生には、さまざまなキャリアの築き方があります。その中でも、新卒でSES企業に就職する最大のメリットは、エンジニアとして活躍できるチャンスが広がることです。さまざまな企業とのつながりができるSES企業では、専門性を高めながら、さまざまな経験を積むことができるのです。

ここでは、SES企業で働くメリットを3つ紹介します。自分のキャリアプランに合ったSES企業を見つけ、エンジニアとしての第一歩を踏み出しましょう。

①専攻や文系・理系にかかわらず就職できる

新卒で就職する際、専攻と職種のミスマッチに悩む学生も多いですが、SES企業であれば、そうした心配はありません。

SES企業の大きな特徴は、情報系の専攻だけでなく、さまざまな専攻の学生が就職できることです。SES企業は、専攻や文理を問わず、論理的思考力やコミュニケーション能力を持った人材を求めているので、文系出身者でもSES企業が提供する充実した研修プログラムを通じて、ITスキルを身に付け、エンジニアとして活躍することができます。

自分の専攻を活かしつつ、ITの知識やスキルを身に付けられるのは、SES企業ならではのメリットです。

杉原 美佐子

プロフィール

実は、SES企業ではかなり以前から文系の学生を積極的に採用しています。また女性も同じように積極採用をしています。理由は男女差がないからです。

論理的思考ができれば良いため、性別や文理の区別はしていません。要は個人の能力が大事なのです。

SES企業を受ける際にコミュニケーション能力をアピールしようと考えている人は、こちらの記事も参考にしてください。

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②さまざまな企業とのつながりができる

SESエンジニアは、複数の顧客企業のプロジェクトに参加します。その中で上場企業や大手に出向することもあります。

上場企業や大手企業は優秀な人材が集まることが多いので、その中で働いていたという経歴は、優れた知り合いとのつながりや、今後の長い目で将来性を考えたときに役立つといえます

ただし、SESエンジニアがかかわる業界は、顧客企業によって異なります。必ずしも希望の業界を経験できるわけではないので、企業研究の際にどのような業界の顧客を持つSES企業なのかは確認しておきましょう。

野村 芳克

プロフィール

複数の顧客企業でプロジェクトに参加することで、多様な業界の知識や技術が身に付き、人脈も広がります。

特に上場企業や大手企業での経験は、転職時に有利に働いたり優れた人材とのコネクションが築けたりするため、キャリアの成長に役立つでしょう。

③大きなプロジェクトに参加できる

SES企業は、大手企業の大規模プロジェクトを請け負うことも多いです。新卒のうちから、そうした大きなプロジェクトに参加できるのは、SES企業ならではのメリットです。プロジェクトを通じて、最新の技術を学びながら、実践的なスキルを身に付けることができます。

新卒の場合、最初は同期との長期研修がメインであったり、大きな顧客とかかわる案件を任せてもらえないケースが一般的です。しかし、SES企業では大きな案件を新卒から任せてもらえる機会も比較的多くあります

また、大規模プロジェクトでは、さまざまな立場のメンバーと協力して作業を進めるため、コミュニケーション能力やチームワーク、リーダーシップなどのビジネススキルも身に付けることができます。

④新卒からでも人脈を広げやすい

SES企業では、複数のプロジェクトに参加する機会があるため、新卒からでもさまざまな人脈を築くことができます。顧客企業の担当者や、プロジェクトメンバーとのつながりは、将来のキャリアにおいて貴重な財産となるでしょう。

特に、上場企業や大手企業でのプロジェクトに参加できれば、業界の第一線で活躍するエンジニアやビジネスパーソンとの出会いがあるかもしれません。そうした人脈は、将来の転職やフリーランスとしての活動にも役立ちます。

社内外に豊富な人脈を築くことができるのは、新卒からSES企業で働くことの大きなメリットです。

SES企業に入ったとして、具体的にどういったタイミングで人脈が広がりますか?

杉原 美佐子

プロフィール

人脈が広がるのはエンジニアとして一人前になってから

常駐先の顧客と折衝や打ち合わせなどができるようになれば、相手との信頼関係が築けるでしょう。上司や先輩の指示を受けて仕事をしている間は、顔見知りになることはあっても、仕事のパートナーになりえません。

あくまでも仕事で顧客先に常駐しているので、仕事上での信頼が第一です。また、エンジニアなので技術の高さも必要です。

人脈は、相手にとって交際のメリットがなければ広がらないでしょう。人脈を広げたいなら、技術力を磨くと同時にプロジェクトを進める力をつけるなど、エンジニアとして一人前になることを目指しましょう。

⑤長時間にわたる残業が少ない傾向にある

エンジニアの特性上、残業が恒常化しやすい傾向にありますが、SES企業はその点を比較的クリアしやすいといわれています。

これは指揮をとったり、進捗を確認する義務はが顧客ではなくSES企業にあるためです。想定以上の残業を求められることが少ないのは大きなメリットですね。

ただし、これはSES企業や案件によって異なる部分もあるので、残業時間についてはしっかりと確認しておく必要があります。自分に合った働き方ができるSES企業を選ぶことが大切です。

平井 厚子

プロフィール

システム開発はサービス提供の日時は厳守なので、その前には残業が発生することが仕方ない面があります。

そのため残業時間の条件だけでなく、普段の仕事の仕方がどうなのか、手戻りの発生しない仕事の仕方や意思決定ルートの明確さなどはどうなのかなど、面接で質問しておくことが大切です。

「システムエンジニア(SE)の残業時間が気になる」という疑問には、こちらのQ&Aコンテンツでアドバイザーが回答しています。

まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください

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強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。

SES企業の落とし穴! SES企業に勤める4つのデメリット

SES企業の落とし穴! SES企業に勤める4つのデメリット

  • 案件によってはスキルアップしにくい
  • システムの完成形まで仕事に携われない
  • 企業によっては年収が低めになることもある
  • 望まない案件を担当することもある

SES企業に就職することで、若手のうちからエンジニアとしてのキャリアを積むことができますが、一方でデメリットもあることを理解しておく必要があります。

SES企業の特性上、顧客企業の要望に応じてさまざまな案件を担当することになるため、必ずしも自分の希望通りの仕事ができるとは限らないのです。

また、技術的なスキルアップの機会が少ない案件に配属されてしまうこともあります。SES企業で働くことを考えている学生は、メリットだけでなくデメリットもしっかりと理解したうえで、自分に合ったSES企業を選ぶことが大切です。

ここからは、SES企業に勤める4つのデメリットを解説します。

①案件によってはスキルアップしにくい

SESエンジニアは、顧客企業の要望に応じてさまざまな案件を担当します。しかし、案件によっては、導入から長期間が経過した過去の技術で構築されているシステムの保守運用などが中心となることがあります。そのような案件では、最新の技術に触れる機会が少なく、スキルアップが難しいかもしれません。

スキルアップの機会が少ない案件が続くと、エンジニアとしてのモチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。自分のキャリアプランに合わせて、スキルアップできる案件を担当できるSES企業を選ぶことが重要です。

野村 芳克

プロフィール

スキルアップしにくいケースとして、銀行や行政システムなどのシステムに使われることが多いプログラミング言語であるCOBOLを使ったメインフレームの保守や、Excelへのデータ転記のような単純なデータ入力作業などが挙げられます。

これらの業務では新しい技術に触れる機会が少なく、技術的な成長が難しくなります。

②システムの完成形まで仕事に携われない

多重下請け構造の中のSES企業の立ち位置

SESで働くエンジニアがかかわるプロジェクトは、大規模なシステム開発の一部分だけを担当することも多くあります。

これは、IT業界特有の多重下請け構造が関係しています。大手IT企業が大規模なプロジェクトを受注し、それを細かく分けて中小のSES企業に発注するのです。

そのため、SESエンジニアは、システム開発の全体像を把握できず、自分がかかわった部分がどのように活用されているのか見えにくくなります。たとえば、設計フェーズの一部だけ、あるいは開発フェーズの一部だけを担当するといったケースです。

また、案件によっては、要件定義や設計といった上流工程にはかかわれず、開発や単体テストなどの下流工程だけを任されることもあります。システムの一部分だけを担当し、全体像が見えない状況では、エンジニアとしてのやりがいを感じにくいかもしれません。

そのためSES企業を選ぶ際は、システム開発の上流工程から下流工程まで、幅広く経験できる企業を選ぶと良いでしょう。

アドバイザーコメント

SES企業では自チームの担当分が終われば別の仕事に移ることがほとんど

SES企業はシステム開発全体の一部を請け負い、完成責任を持ちながら顧客起業のプロジェクトマネージャーの指示で業務を担当します。自社が請け負った部分を完成させて顧客企業が受領すれば、そこで仕事が終わります。

つまり、ほかのSES企業や顧客企業の技術者がまだ自分たちの分担分を開発していても、自チーム分が終われば撤退になるのです。

システム開発全体にかかわれることはほぼないと言っても良い

チームやプロジェクトを取り仕切るプロジェクトマネージャーは、多くの場合顧客企業の管理職やリーダーが担当します。そのため、SES企業でプロジェクトマネジメントにかかわることは少ないでしょう。

システム開発では一定範囲の機能やモジュールを切り出して任されるので、自分の身に付けたいスキルや専門性に関係のない担当が続くこともあります。

目指したい技術者像が明確だったり、プロジェクトの意思決定に関わりながら仕事をしたいという人には、満足できないことがあるかもしれませんね。

③企業によっては年収が低めになることもある

SES企業の年収は、企業規模や業績によって大きく異なります。大手SES企業であれば、安定した高い年収を期待できますが、中小のSES企業では年収が低めになることもあります。また、顧客企業での常駐が多いため、残業代が出ない場合もあるようです。

またSESエンジニアの年収は、経験年数によっても変わってきます。新卒のうちは年収が低めになる傾向にありますが、経験を積むにつれて年収アップを期待できます。

だからこそ、新卒のうちから自分の望む年収水準を実現できる企業を選ぶことが大切です。また、残業代がしっかりと支払われるのかどうかも確認しておきましょう。

④望まない案件を担当することもある

SESエンジニアは、顧客企業からの要望に応じて案件を担当します。そのため、自分の希望や適性と合わない案件を担当せざるを得ない状況になることもあります。たとえば、自分の専門分野とは異なる技術を使った案件や、単調な作業が中心の案件などです。

望まない案件を担当するリスクを避けるためには、自分の専門分野や希望をしっかりとSES企業に伝えることを意識しましょう。また、SES企業の案件の傾向を確認し、自分に合った案件が多い企業を選ぶことも重要です。

杉原 美佐子

プロフィール

どの職業にも言えますが、好きな仕事ばかりできません。仕事は相手や案件があって成立しています。SESでは各人の技術レベルに応じて案件が割り振られます。

希望と違うと思うなら案件を選べるくらいにまで技術力を上げましょう。

かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断

就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。

そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
・志望業種をまだ決めきれない人
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人

強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。

新卒でSES企業はやばい? キャリアの専門家に聞いてみた

キャリアの観点から見ると、新卒でSES企業に就職することにはメリットとデメリットがあることを解説してきました。しかしSES企業への就職が、新卒エンジニアにとって賢い選択なのか、貴重な新卒カードを有意義に使いたいからこそ、第三者の意見が気になる人もいますよね。

そこで今回は、IT業界でのキャリア形成に詳しい専門家に、SES企業への新卒就職について見解を聞いてみました。

アドバイザーコメント

即戦力としての成長機会が多くある

SES企業ではプロジェクトに直接参加するため、コミュニケーション能力やプロジェクト管理の経験が得られ、早期のキャリア成長の可能性が高いです。

また複数の顧客企業とのかかわりが多く、業界内での人脈構築の機会に溢れています。特に上場企業や大手企業との機会やそのつながりは、将来の転職やキャリアアップに役立つと考えられます。

成長の機会がたくさんある環境で人脈を築いていきたいという人には持ってこいの環境であると言っても良いでしょう。

案件によって成長の機会や身に付けられるスキルが異なることを覚えておこう

一部のプロジェクトでは新技術に触れる機会が少なく、過去の技術や仕組みで構築されているシステムであるレガシーシステムや単純作業に偏ることもあります。そのため、応募先企業での仕事内容や案件の振り分け方に関する事前調査をしたり、面接で確認したりしておく必要があります。

また、SES企業では多様な案件に携われるという良い経験がある反面、希望や興味に沿わない案件を振り分けられるというリスクがあるため注意が必要です。

そのため、応募先企業での仕事内容や案件の振り分け方に関して、自分が納得した意思決定ができるように、入社目の企業研究を深めたり面接で疑問点を質問して不明点を解消したりと、事前調査をしっかりとしておく必要があります。

新卒入社社員がSES企業を選ぶ際は以上の点を理解して、自分の将来のキャリア目標に合致する企業選びをおこない、その企業での成長を最大限に活かすことが肝要です。

キャリア形成をするには3つのポイントを踏まえることが大前提です。実りあるキャリアを築くための長期的な計画を次の記事を読みながら立ててみましょう。

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何を見るべき? 優良SES企業を見抜く4つの視点

何を見るべき? 優良SES企業を見抜く4つの視点

  • 教育制度・研修制度が充実しているか
  • 企業自体が成長しているか
  • 取引先にユーザー企業や大手Slerがあるか
  • 評価基準が明確に決まっているか

SES企業への就職を考えている学生にとって、優良なSES企業を見極めることは非常に重要です。

なぜなら優良なSES企業で働くことができれば、エンジニアとしてのスキルを高め、キャリアアップを目指すことができますが、一方でいわゆるブラックなSES企業に就職してしまうと、スキル向上の機会が限られたり、劣悪な労働環境で働くことになるリスクがあるためです。

就職活動の際には、SES企業の魅力的な部分だけでなく、その実態をしっかりと見極める必要があります。表面的な情報だけでなく、企業の内部事情まで深く調査するようにしましょう。

では、優良なSES企業を見抜くには、どのような点に注目すれば良いのでしょうか。ここでは、SES企業選びの際に重要な4つの視点を紹介します。

教育制度・研修制度が充実しているか

優良なSES企業は、エンジニアの育成に力を入れています。新入社員向けの研修だけでなく、経験者向けのスキルアップ研修など、充実した教育制度を用意しているケースも多いです

教育制度でチェックするべきポイント

  • 新入社員研修の期間と内容
  • 技術研修の頻度と内容
  • 資格取得支援制度の有無
  • 外部セミナーや勉強会への参加支援制度の有無

情報の入手場所や方法の例

  • 企業のウェブサイトや採用パンフレット
  • 説明会や面接での質問
  • 企業で働く先輩社員への聞き取り

教育制度や研修制度が充実しているかどうかは、エンジニアとしてのキャリア形成に大きな影響を与えます。スキルアップの機会が豊富にある企業で働くことで、常に最新の技術を学び、自分の市場価値を高めていくことができるでしょう。

逆に、教育制度が不十分な企業では、エンジニアとしての成長が止まってしまう可能性があります。会社による教育投資が少ない分、自己学習に頼らざるを得なくなるので、どれだけ会社が成長をサポートしてくれるのかはしっかり確認しましょう。

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企業自体が成長しているか

優良なSES企業は、企業自体が成長を続けている企業であるはずです。売上高や従業員数が安定的に増加している企業は、市場での需要が高く、経営状態が良好であることを示しています。企業の売上高や従業員数の推移を確認し、安定的な成長を遂げているかどうかを見極めましょう。

企業の成長に関してチェックするべきポイント

  • 売上高の推移
  • 従業員数の推移
  • 新規事業への取り組み
  • 事業拠点の拡大状況

情報の入手場所や方法の例

  • 企業のウェブサイトや会社案内
  • 企業の決算報告書(上場企業の場合)
  • ニュースリリースや報道記事

成長企業であれば、プロジェクトの規模や数が増え、さまざまな経験を積むチャンスが増えるので、企業の成長性はエンジニアにとって重要な指標です。また、企業の業績が良ければ、給与のアップも期待できるでしょう。

一方で、成長が停滞している企業では、プロジェクトの受注が不安定になり、エンジニアの雇用が不安定になる可能性があります。また、業績不振に陥れば、給与カットや人員削減のリスクも高まります。

自分が入りたいと思っているSES企業が成長しているかどうかは、どの資料の何を見ると一番わかりやすいですか?

杉原 美佐子

プロフィール

企業の成長は売上高の推移や成長率からチェックしよう

売上が上がるには何かしらの要因があります。取引件数が増えたのか、単価が上がったのか、あるいは単価の高い案件が増えたのか。

取引件数の多さも大事ですが、単価の高さの推移にも着目してみましょう。単価が高いということは、それだけ技術力が高いということを示しています。そのため、成長するのは技術力を持っている企業だといえます。

また、取引先と共にその企業の得意分野や保有スキルを調べてみましょう。情報処理技術者試験を持っている社員数や、特に高度情報処理技術者試験を持っている社員が何人いるかもチェックしておくと良いです。

SESは技術(人)を売っているので、技術力のない社員ばかりいる企業が成長するのは難しいです。

取引先にユーザー企業や大手Slerがあるか

取引先の質は、そのSES企業の技術力や信頼性を測るうえで重要な指標となります。ユーザー企業とはシステム開発を発注する側の企業のことで、大手SIerとは大規模なシステム開発を手がける大手IT企業のことですが、これらの企業との取引実績が豊富であれば、そのSES企業が高い技術力を持ち、信頼されていることの証になるのです

取引先に関してチェックするべきポイント

  • 主要な取引先企業名
  • 取引先企業の業界や規模
  • 取引実績のある大手SIerの有無

情報の入手場所や方法の例

  • 企業のウェブサイトや会社案内
  • 企業の決算報告書(上場企業の場合)
  • ニュースリリースや報道記事

また、大手企業との取引があれば、大規模なプロジェクトに携われる可能性が高まります。大規模プロジェクトでは、多くのエンジニアが協力して開発を進めるため、貴重な経験を積むことができるでしょう。

逆に、取引先が中小企業ばかりであれば、技術力や信頼性に不安がある可能性があります。また、プロジェクトの規模が小さくなりがちで、スキルアップの機会が限られてしまうかもしれません。

平井 厚子

プロフィール

大手企業でも自社の業務システムを開発・保守する社内システム部門があります。中小企業では専任の社内システム部門をSES企業に発注することがあります。

そのような業務では顧客のビジネス拡大と共に業務システムを充実させていくので、やりがいのある仕事ができるでしょう。

評価基準が明確に決まっているか

評価基準が明確に決まっていると、モチベーション維持につながります。自分の頑張りがしっかりと評価され、処遇に反映されることがわかれば、仕事への意欲も高まるでしょう

たとえば、プロジェクトの成果や顧客満足度、技術力などを基準に、公平な評価がおこなわれているかどうかを確認しましょう。

評価基準でチェックするべきポイント

  • 評価基準の明確さ
  • 評価の頻度
  • 評価結果のフィードバック方法
  • 評価結果の処遇への反映(給与、ボーナス、昇進など)

情報の入手場所や方法の例

  • 企業のウェブサイトや採用パンフレット
  • 説明会や面接での質問
  • 企業で働く先輩社員への聞き取り

また、評価基準が明確であれば、自分に足りない部分を認識し、改善に取り組むこともできます。上司からのフィードバックを受けて、自分の強みと弱みを把握し、スキルアップにつなげていくことが重要です。

一方で、評価基準が不明確な企業では、エンジニアのモチベーションが低下しがちです。自分の頑張りが正当に評価されているのかどうかがわからないため、仕事への意欲が湧きにくくなってしまいます。

アドバイザーコメント

通常の派遣会社と変わらない案件にアサインするSES企業もある

SESといってもピンキリです。案件がないからといって、IT企業のコールセンターだったり、携帯電話のショップだったり、通常の派遣会社と変わらないような案件にアサインされたりするケースを時々見受けます。

あくまでも私の経験上の話ですが、こうした案件にアサインされた人が時を経て、本来のITプロジェクトに配置された話を聞いたことはありません。

採用ハードルが低すぎる企業には注意が必要

やめておいた方が良いSES企業を見極めるためには、業務内容や保有スキルをよく確認しましょう。

「未経験大歓迎」や「技術力がなくても大丈夫」とうたっているところは要注意です。研修制度がしっかり整っている場合もあるため一概に否定はできませんが、IT企業は技術集団ということを忘れないようにしてください。

SES企業が求めているのは技術者であり、優良なSES企業は身に付けて欲しい技術や求める技術がはっきりしています。

本業がITではなく開発をやってないSES企業は、入社後の案件に何があるのか尋ねた方が良いでしょう。

ほかにも、今まで入社した人はどのようなキャリアパスを歩んだのか、習得すべきスキルは何なのかを確認し、明確にならない企業は避けた方が無難です。

どうしても優良企業に就職したい学生はこちらの記事も読んでみましょう。

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まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください

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新卒でSES企業の就職に最適な3タイプとは?

新卒でSES企業の就職に最適な3タイプ

  • すぐに実務経験を積みたい人
  • 大手企業で働いてみたい人
  • 将来フリーランスとして独立したい人

SES企業は、さまざまなバックグラウンドを持つ新卒エンジニアの就職先として人気があります。SES企業で働くことで、幅広い経験を積み、エンジニアとしてのスキルを磨くことができるからです。

しかし、SES企業への就職がすべての新卒エンジニアに適しているわけではありません。自分のキャリアプランや働き方の希望に合わせて、SES企業への就職を検討する必要があります。

ここでは、新卒でSES企業への就職に最適な3つのタイプを紹介します。自分が3つのタイプに当てはまるか考えながら、SES企業への就職を検討してみましょう。

①すぐに実務経験を積みたい人

SES企業では、新卒のうちから実際のプロジェクトに参加できる機会が多くあります。研修期間が終われば、すぐに顧客先に常駐し、実務経験を積むことができるのです。

特に、大手SES企業では、大規模なプロジェクトを多く抱えているため、新卒エンジニアでも重要な役割を任せてもらえる可能性があります実務経験を積むスピードが速いことが、SES企業の大きな魅力です。

実務経験を積むことで、エンジニアとしての技術力を高めることができます。また、さまざまな業界の顧客との仕事を通じて、ビジネスの知識やコミュニケーション能力なども身に付けることができるでしょう。

プログラミングスキルを実際の業務で活かし、実務経験を積みたいと考える新卒エンジニアにとって、SES企業は最適な環境だといえます。

野村 芳克

プロフィール

新卒のうちから実際にプロジェクトに参加した経験があることで、実務経験を早期に積むことができ技術力が早期に向上するため、エンジニアとしての成長が加速します。

また、業務経験を通じて習得するビジネス知識やコミュニケーション能力も長期的にキャリアの幅を広げることにつながり、経験豊富なエンジニアの基盤となります。

②大手企業で働いてみたい人

SES企業では、大手企業の大規模プロジェクトに参加できる機会が多くあります。新卒のうちから大手企業の最先端のシステム開発に携われるのは、SES企業ならではの魅力です

大手企業のプロジェクトに参加することで、最新の技術トレンドを学ぶことができます。

さらに、大手企業との仕事を通じて、人脈を広げることもできます。将来的に、大手企業への転職を目指すなら、SES企業での経験が役立つはずです。

大手企業の仕事に興味があるものの、新卒では直接大手企業に就職するのが難しいと感じる人にとって、SES企業は最適な選択肢となります。SES企業を経由することで、大手企業で働く機会を得ることができるのです。

杉原 美佐子

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大手企業との仕事を通じて人脈以外に得られるものとしては、間違いなく技術力でしょう。

大手の仕事は開発規模が大きく難易度も高いので、その仕事に携われるとエンジニアとして貴重な経験になります。そこで培ったスキルや得た経験を元に間違いなくスキルアップできるでしょう。

③将来フリーランスとして独立したい人

SES企業で働くことで、フリーランスエンジニアとして必要なスキルを身に付けることもできます。SES企業では、さまざまな案件に携わる機会があるため、幅広い技術スキルを習得できるのです。

また、SES企業での仕事を通じて、業界の人脈を広げることもできます。フリーランスとして独立する際には、この人脈が大きな力になるでしょう。

SES企業で数年間働いた後、フリーランスとして独立するエンジニアは少なくありません。SES企業での経験が、フリーランスとしての基盤づくりに役立つのです。多様な案件を経験し、技術力と人脈を身に付けることが、フリーランスとしての成功のカギとなるでしょう

新卒で1社経験した後にフリーランスになろうと思っています。この場合、新卒でSES企業への就職でも良いでしょうか?

野村 芳克

プロフィール

SES企業での経験は非常に有益

SES企業では幅広い案件に携わりながら、技術スキルやビジネス上の洞察を深める機会が豊富にあります。これにより、フリーランスとして独立する際に必要な経験や知識を着実に積むことができます。

実際に多くのエンジニアが新卒でSES企業に就職してからフリーランスに転身していて、そのキャリアパスは実現可能であり合理的です。SES企業で得た貴重な経験が、将来の自己実現に向けた重要な一歩となるでしょう。

準備が大事! 新卒がSES企業に就職するための6つの対策

SES企業への就職は、新卒のエンジニアにとって魅力的な選択肢の一つです。しかし、実際に内定を獲得するためには、入念な準備が欠かせません。

プログラミングスキルを磨くことはもちろん、資格取得やポートフォリオ作成など、自分の強みをアピールするための努力が求められます。また、SES企業の特性を理解し、自分に合った企業を見極めることも重要です。

そこで今回は、新卒でSES企業への就職を目指す人に向けて、6つの対策を紹介します。これらを実践することで、SES企業への就職の可能性が大きく高まりますよ。

①プログラミングを学習する

新卒でSES企業に就職するためには、まずはプログラミングスキルを身に付けておくことが何よりも重要です。SES企業では、即戦力としてのエンジニアが求められるため、入社後すぐに業務に携われるだけのスキルが必要とされます

プログラミング言語の種類は多岐にわたりますが、特に需要が高いのは、Java、Python、C#、PHPなどです。これらの言語のうち、少なくとも1つは習得しておくことが望ましいでしょう。

また、プログラミングを学ぶ際には、基礎的な文法やアルゴリズムだけでなく、オブジェクト指向やデザインパターンなどの設計手法についても学ぶことが重要です。これらを理解しておくことで、より高度なプログラミングスキルを身に付けることができます。

プログラミングを学習するには、以下の3つの方法があります。

独学で勉強する

独学でプログラミングを学習するために、以下のような書籍やオンライン教材を活用するのも一つの方法です。

オンライン教材の例

ただし、独学で学習するためには、高い学習意欲と自己管理能力が必要です。学習の進捗管理や、わからないことがあった際の解決方法など、自分で考えて行動する必要があります。独学で学ぶ際は、学習計画を立てて、定期的に進捗を確認しましょう。

また、独学では、自分の理解度を客観的に評価することが難しいという欠点もあります。可能であれば、経験者にコードレビューをしてもらったり、オンラインコミュニティで質問したりして、自分の理解度を確認することをおすすめします

平井 厚子

プロフィール

新人はプログラミングができるに越したことはないですが、私がITメーカーで人材育成を担当していたときは、まずは論理的思考ができること、具体的にはフローチャートが書ける力を付けてほしいと思ってました。

前工程と後工程とを「インプット→処理プロセス→アウトプット」の連続でつなげられる人が、配属後伸びると思います。

スクールを利用する

プログラミングスクールに通うのも、プログラミング学習の有効な方法の一つです。具体的には以下のようなスクールがあります。

スクールでは、体系的なカリキュラムに沿って、講師の指導の下で学習を進めることができます。また、実務を意識した課題に取り組むことで、実践的なプログラミングスキルを身に付けることができますよ。

さらに、スクールに通うことで、同じ目標を持った仲間と出会うことができます。お互いに刺激し合いながら、学習を進めることができるのです。スクールでの学びを通じて、エンジニアとしてのネットワークを広げることも可能です。

ただし、スクールに通うためには、一定の時間と費用が必要になります。自分の予算と時間を考慮して、最適なスクールを選ぶ必要があります。また、スクールによってカリキュラムの内容や質が異なるため、事前に十分な情報収集をすることが大切です。

プログラミングスクールに通っていたことは就活で自己PRなどに使えますか?

野村 芳克

プロフィール

プログラミングスクールでの学習経験は大いにアピールになる

スクールでは体系的なカリキュラムに沿って学ぶため、基礎から応用までのスキルを実践的に習得できます。また、実際のプロジェクトでの経験や同じ目標を持つ仲間とのチームワークの経験も強みになります。

たとえば、スクールでチームのリーダーとして課題を解決した経験や、現役エンジニアからのフィードバックを活用したエピソードを話すのも良いでしょう。

そして、スクールに通うこと自体が自己投資や自己成長への意欲を示すものであるため、採用担当者に対して積極的かつ前向きな姿勢をアピールすることにもなります。

具体的なエピソードを交えて、自信を持ってアピールしてください。

②資格を取得する

SES企業への就職を目指すなら、IT関連の資格を取得しましょう。資格は自分のスキルを客観的に証明し、就職活動での差別化にもつながるからです。

SES企業に就職するために特に役立つ資格として、次の2つが挙げられます。

ITパスポート試験(IP)ITに関する基礎的な知識を問う国家試験。ITエンジニアを目指す人の最初のステップとして最適。①ストラテジ系(経営戦略、システム戦略など)
②マネジメント系(サービスマネジメント、システム開発など)
③テクノロジ系(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなど)
基本情報技術者試験(FE)ITエンジニアとしての基礎知識を問う国家試験。プログラマーやシステムエンジニアを目指す人に適している。ITパスポートの次のステップ。ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、データベース、セキュリティ、アルゴリズム、プログラミング
SES企業に就職するために特に役立つ資格

これらの資格の取得に向けた学習は、ITエンジニアとしての基礎知識を身に付けるうえで非常に有効です。シラバスを確認し出題範囲を把握したうえで、教科書や参考書を選び、体系的に学習を進めていきましょう。

過去問題や模擬試験を活用し、出題傾向や自分の弱点を把握することも重要です。

資格取得はSES企業への就職準備として非常に有効な方法ですが、同時に自分自身のスキルアップにもつながります。目標とする資格を定め、計画的に学習を進めましょう。

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③ポートフォリオを作成する

ある程度実績がたまっているのであれば、自分の技術力を示すポートフォリオの作成もアピールになります。

ポートフォリオを作成する際は、自分が得意とする技術領域や、力を入れて開発したプロダクトを中心に選びましょう。各プロダクトの概要と、使用した技術やツールを明確に示すことで、自分のスキルをより具体的に伝えることができます。

また、ポートフォリオのデザインも重要なポイントです。見やすく、美しいデザインにすることで、採用担当者に良い印象を与えることができるでしょう。

ポートフォリオは、GitHub PagesQiitaなどのサービスを活用して作成するのがおすすめです。新しいプロダクトを追加したり、既存のプロダクトを改善したりして定期的に更新することで、自分の成長をアピールすることができます。

プログラミングは完全未経験です。就活ではポートフォリオがないとまずいですか?

平井 厚子

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ポートフォリオの作成は必須ではない

ポートフォリオの提出を求める企業もありますが、そういった企業は少ないように感じます。

提出は必須ではないですが、ポートフォリオを提出することでスキルの裏付けにもなるので、今からプログラミングを勉強してポートフォリオを作っても良いでしょう。

入社後にどんなプログラミング言語を使うかわからないときは、業務プロセスを分解して書き出すフローチャートの練習をおすすめします。

フローチャートには書き方があります。本などでまず勉強して基本が理解できたら、いろいろなシステムをフローチャートで表現してみましょう。

新人教育でよくやったのは、自動販売機や切符販売機です。フローチャートを書くことはプログラミングだけでなく、設計にもきっと役立つでしょう。

④関連IT職の長期のインターンに参加してみる

SES企業への就職を目指すなら、関連するIT職種の長期インターンシップ(インターン)への参加が非常におすすめです。インターンでは、実際の業務を通じて、エンジニアとしてのスキルを磨くことができます。

インターン先は、SES企業だけでなく、ITベンダーや事業会社のIT部門など、さまざまな選択肢があります。自分の興味や将来のキャリアプランに合わせて、最適なインターン先を選びましょう。

特に長期インターンでの経験は、就職活動で大きな武器になります。エンジニアとしての適性を見極め、自分の強みを明確にできます。また、インターン先から内定をもらえる可能性もあります。

SES企業を目指すなら、ぜひ関連IT職の長期インターンにチャレンジしてみてください。実践的な経験を積むことで、エンジニアとしての飛躍が期待できますよ。

野村 芳克

プロフィール

ソフトウェア開発・システムインテグレーション・データベース管理・クラウドコンピューティング技術などを扱っている企業での長期インターンの経験は、SES企業での将来のキャリアに役立つ基盤を築く重要なステップとなるでしょう。

インターンは出遅れると取り返しのつかないことになるケースもあります。次の記事で開催時期を確認しておきましょう。

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⑤新卒採用をしているSES企業をリストアップしておく

SES企業への就職を目指すなら、新卒採用をおこなっているSES企業のリストアップが重要です。自分に合ったSES企業を見つけることで、就職活動をより効率的に進められます

新卒採用をおこなっているSES企業は、各社のWebサイトや就職情報サイトで探すことができます。リストアップする際は、企業名だけでなく次の点も一緒にまとめておきましょう。

リストアップする内容

  • 事業内容:SES企業の事業内容や得意分野を確認し、自分の興味やスキルとマッチしているか
  • 教育制度・研修制度:充実した教育制度や研修制度があるかどうか
  • 福利厚生:残業時間や有給休暇の取得率など働き方に関する情報

リストアップしたSES企業は、エクセルなどを使って整理すると便利です。企業名、事業内容、教育制度など、重要な情報をまとめておきましょう。

また、リストアップしたSES企業の中から、特に興味のある企業をピックアップしておくのも効果的です。深掘りする企業を絞ることで、情報収集の効率が上がりますよ。

杉原 美佐子

プロフィール

リストアップした際は、事業内容がフロントエンド寄りか、バックエンド寄りなのか、自社開発もやっているのか、おもなプログラム言語は何かも見ておきましょう。

また、入社する会社によって担当できるシステム開発の工程が違うので、募集職種もよく確認してくださいね。

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⑥就活エージェントを活用する

SES企業への就職を目指すなら、就活エージェントの活用も検討してみましょう。就活エージェントは、就職活動のプロフェッショナルで、企業との太いパイプを持っています。

就活エージェントを活用するメリットは、以下の3点です。

就活エージェントを活用するメリット

  • 非公開求人の紹介
    企業から直接求人情報を受け取ることがあるため、一般には公開されていない求人に出会えるチャンスがある
  • 書類選考・面接対策
    自己PR文の添削や面接練習など、選考対策の手厚いサポートを受けられる
  • 企業情報の提供
    企業の雰囲気や社風など、外部からはわかりにくい情報を教えてもらえる可能性がある

特に、大手就活エージェントは、大手SES企業との強いつながりを持っている可能性もあるため、有力な就職先を紹介してもらえる可能性が高いです

ただし就活エージェントを利用する際は、以下の2点に注意しましょう。

就活エージェントを利用する際の注意点

  • 複数のエージェントを利用する
  • エージェントに任せきりにせず自分の意思を伝える

就活エージェントは、SES企業を目指す学生にとって心強い味方です。上手に活用して、自分に合ったSES企業を見つけていきましょう。

SES企業に入った後は? 未来を拓く4つのキャリアパス

SES企業に入った後のキャリアパス

  • 管理職になる
  • SIerで受託開発をする
  • フリーランスとして独立する
  • 常駐先に就職する

SES企業に入社した後のエンジニアとしてのキャリア構築は慎重に考える必要があります。エンジニアのキャリアは多岐にわたるため、大まかなゴールがないまま仕事を積み重ねていくと、入社後に「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを感じる結果になってしまうこともあるからです。

SES企業での経験を積んだ後、どのようなキャリアパスを歩んでいくのか、イメージを持っておくことが、モチベーションの維持にもつながります。

ここでは、SES企業に入社した後の4つのキャリアパスを紹介します。自分の目指すキャリアに合ったパスを選び、エンジニアとしてのスキルを磨いていきましょう。

管理職になる

よくあるケースとして、マネジメント業務に携わりメンバーを統括するという道があります。つまり、SES企業で一定の経験を積んだ後、管理職へのキャリアアップを目指すルートです。

プロジェクトリーダーやマネージャーとして、チームを率いる立場になることで、エンジニアとしてのスキルだけでなく、リーダーシップやマネジメント能力も身に付けることができます

また、後輩エンジニアの育成に携わることで、新しい視点を得る楽しさもあります。管理職として、プロジェクトの成功に責任を持つことで、プレイヤーとして働くのとは違ったやりがいを感じることができますよ。

管理職になりたくないのですが、どのようなキャリアパスがありますか?

平井 厚子

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プロジェクトマネージャーであれば管理職ほどの責任を負う必要がない

管理職は会社の役職の一つで、プロジェクトマネージャーは特定プロジェクトの完遂に責任を負う人のことを指します。会社によっては同一のこともありますが、基本的には異なります。

部長の下に複数のプロジェクトマネージャーが担当プロジェクトを持っている例がわかりやすいでしょう。プロジェクトマネージャーは担当したプロジェクトの完遂にのみ、責任を持ちます。

極端に言えば、預かったメンバーの人材育成には責任を負いません。部長はプロジェクトの完遂に責任を持つと同時に、自部署の社員のキャリアや成長支援にもかかわります。

またシステム開発には上流設計を担当する技術者やデータベース、ネットワークに精通する技術者もいます。これらはみんなキャリアパスになります。

SIerで受託開発をする

SES企業での経験を活かして、SIer(システムインテグレーター)での受託開発に携わるのも一つの選択肢です。SIerは、顧客の要件に合わせてシステムを設計・開発する会社です。

SIerでの受託開発では、システムの上流工程から下流工程まで、幅広い工程に携われる可能性があります。また、プロジェクトの規模も大きくなる傾向にあるため、より高度な技術力が求められます。

SIerでの経験を積むことで、エンジニアとしての技術力を高めることが可能です。また、プロジェクトマネジメントのスキルを身に付けることもできます。

フリーランスとして独立する

SES企業で一定の経験を積んだ後、フリーランスエンジニアとして独立するのも一つの選択肢です。フリーランスになることで、自分の好きな案件を選んで仕事をすることができます

また、フリーランスになることで、収入アップを目指すこともできます。自分の技術力を武器に高単価の案件を受注することで、収入を増やすことが可能です。

ただし、フリーランスになるためには、高い技術力とともに、営業力も必要になります。自分で案件を獲得し、顧客との交渉をおこなう必要があるのです。また、フリーランスは、経済的な不安定さをともなうというデメリットもあります。案件が途切れると、収入が不安定になるリスクがあることも覚えておきましょう。

常駐先に就職する

SES企業での常駐を通じて、顧客企業に自分の技術力を認めてもらうことで、そのまま常駐先に就職するケースもあります。常駐先に就職することで、より安定した雇用を得ることができるでしょう。

また、常駐先での業務に専念することで、その企業のビジネスや業務に精通することができます。ただし、常駐先に就職する場合、常駐先での業務に特化することで、これまでとは働き方や業務範囲が変わる可能性があります。ほかの領域の技術力が落ちてしまうリスクもゼロではありません。

アドバイザーコメント

いきなりプログラマーとして華々しくデビューする可能性はごくわずか

プログラムを作ることだけがIT技術者の仕事ではありません。

新卒でITスキルが高くない場合、多くはインフラの保守運用のオペレーターからスタートします。マニュアルを見て作業するので未経験でもできるようになっています。

そこから、パッチを当てたり、リビジョンアップ・バージョンアップ作業に対応したりしながら、エンジニアとしてスキルと経験を積んでいきます。

専門分野をどれにしたいのかを考えたうえでプランを組もう

インフラの職種には、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアがあります。サーバーの場合はオンプミスやクラウドに対応する必要があり、またほかにもセキュリティ系のエンジニアがいます。

最終的にインフラのスペシャリストとなると、ネットワーク、ストレージ、サーバー、データベース、ミドルウェア、仮想化、クラウドまでの幅広い内容に対応します。

専門分野をどれにするか、どの工程を自分の仕事にしたいか、携わる案件と照らし合わせて、将来どのようなエンジニアになりたいのかよく考えましょう。

見るべきポイントを押さえて優良SES企業への内定をつかもう

新卒エンジニアにとって、SES企業は魅力的なキャリアパスの一つであると同時に、チャレンジングな選択肢でもあります。しかし、その挑戦はエンジニアとしての大きな成長の第一歩となるはずです。

そのためデメリットも理解したうえで、自分に合ったSES企業を見極めていくことが重要です。

また、SES企業を選ぶ際は、教育制度や研修制度の充実度、企業の成長性、取引先の質、評価基準の明確さなど、さまざまな視点を持つことが大切です。これらを意識して、自分に合ったSES企業を探していくことが求められます。

記事で説明したポイントを確認しながら、しっかりと対策を重ねて優良SES企業への内定をつかみましょう。

アドバイザーコメント

2つの方向性で自分のキャリアの在り方を考えよう

一つは管理職になって、SES企業の経営にかかわる判断を引き受ける在り方です。顧客企業に部下を預けて技術力を提供しますが、顧客企業はSES企業社員の成長やメンタルケアなどはおこないません。

あくまでも技術力を提供する技術職で、期待レベルに達しなければ交代を求めることもあります。

SES企業の管理職は部下の状態を把握し、彼らのメンタルやモチベーションが仕事に影響しないように、ケアしていく必要があります。時には自社の利益の代弁者として、顧客企業との意見の相違を調整することも必要です。

もう一つは技術職として専門性を伸ばす在り方です。技術職として何を売りにしていくのかを考え、実現していくことになります。

自分の手を動かして身に付けたいスキルがあるという人や、システム開発に直接的にかかわりたいという場合は専門性を伸ばす方向性に注力すると良いでしょう。

自分の意思を尊重して成長につなげていこう

顧客先で作業をしていると、自分の在り方を見失ってしまうことがあります。自社に戻る機会がなかなかなく、キャリアに対する視野が狭まってしまうからです。

SES企業に就職して働く際は、目の前の仕事にしっかりと意味付けし、この経験を通して自分はどう成長したいのかを常に問いかけてください。応援しています。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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