例文付き! 面接で他社の選考状況を質問されたときの答え方

例文付き! 面接で他社の選考状況を質問されたときの答え方

この記事にコメントしたアドバイザー

  • 田邉 健

    なべけんブログ・よちきゃり派遣 保有資格:国家資格キャリアコンサルタント(登録番号19005362) SNS:X(旧Twitter)/Instagram

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  • 渡部 俊和

    合同会社渡部俊和事務所代表 保有資格:国家資格キャリアコンサルタント(登録番号16029675) SNS:Facebook

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  • 鈴木 洵市

    ブルーバード合同会社代表取締役 保有資格:国家資格キャリアコンサルタント(登録番号21041822) SNS:Instagram/Facebook

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この記事のまとめ

  • 他社の選考状況を聞かれたときは一貫性と軸を意識した回答が求められる
  • 答え方のポイントを押さえて、選考状況の回答で好印象を残そう
  • 選考状況に関するさまざまな質問に備えておくことが大切
  • この記事を読んでいる人におすすめ

  • 面接力診断ツール

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就活の面接で「他にどのような企業の選考を受けていますか」や「我が社の志望度はどれくらいですか」など、選考状況を聞かれることがあります。

しかし、「選考状況を聞かれたときの答え方がわからない」「そもそもなぜ選考状況を聞いてくるのだろう」「他の人がどのように答えているのか例文を見たい」など、悩みや不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。

この記事ではキャリアアドバイザーの田邉さん、渡部さん、鈴木さん、社労士の涌井さんと一緒に、選考状況を聞かれたときの答え方を解説します。面接で聞かれる可能性が高い質問なので、必ず対策しておきましょう。

選考状況を聞かれたときは一貫性と熱意を意識した答え方がカギ!

面接で選考状況を聞かれたときは、「しっかり理由があって他の企業もエントリーしている」や「貴社が第一志望である」といった、一貫性と熱意を意識することが重要です。

この記事では、前半で企業が他社の選考状況を質問する理由や回答する際のポイント、回答例などを解説します。企業が質問する意図を把握したうえで回答内容を考えていきましょう。

そして、記事後半では選考状況に関する質問の例や、就活終われハラスメントの対処法など、考えられるさまざまな状況の対応方法を解説します。

最後まで読んで、選考状況を聞かれた際の答え方はしっかり準備しましょう。

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答え方を考える前に! 企業が他社の選考状況を質問する理由

企業が他社の選考状況を質問する理由

  • 軸を持って就活しているかどうかを判断するため
  • 自社の志望度を確認するため
  • 他社からどのような評価を得ているか確認するため
  • 他社との就活競争に負けないため

「なぜ企業が他社の選考状況を質問してくるのかわからない」と疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。企業側の目的を把握しなければ、的外れな回答をしてしまう可能性があります。

適切な答え方をするためにも企業が選考状況を聞く理由を把握しておきましょう。

軸を持って就活しているかどうかを判断するため

就活に軸や一貫性があることは明確にやりたいことがあることを指します。軸を持っている学生は好印象を持たれやすいのです。

そして、軸があるかどうかはエントリーしている企業から知ることができます。企業はこの軸や一貫性の有無を確認するために選考状況を聞きます。

自社の志望度を確認するため

企業は優秀な学生には自社に入社してほしいと考えます。しかし、採用活動にはコストがかかるため、自社の志望度を確認して、今後も選考を継続するかどうかを判断するのです

企業はさまざまな質問で志望度を確認します。たとえば、率直に「自社の志望度はどれくらいか」と聞く場合もあれば、「エントリー中の他の企業にどのような印象を持ったか」など他社と比べた自社の印象を聞くこともあります。

また、「自社とどの会社で迷っているか」などと他社の選考状況に関する質問を通して志望度を確認することもあります。

他社からどのような評価を得ているか確認するため

志願者が他社からどのような評価を得ているか確認して、自社の選考の参考とするという目的もあります。

履歴書や面接の回答だけで、自社の面接官だけでは志願者の人柄が見出せない場合があります。その際、他社からの評価を確認して、自社の選考を通過させるべきかどうかの判断材料とするのです

「複数の企業を受けているが選考に通らない」と回答した場合は企業の一員として働く際に問題がある可能性があると推測されることがあります。一方で、「どの企業も選考に通っている」と回答した場合は、優秀な人材と思われる可能性が考えられます。

このように、面接官がした評価が正しいかどうか、どんな人柄なのかなどを他企業の評価から確認するために選考状況を質問することがあります。

他社との就活競争に負けないため

優秀な人材はどの企業も採用したいと考えます。他の企業がその人の採用に向けて積極的であれば、自社も他社に負けないために早いスピードで行動をしなければいけません。

具体的には「他社から内定をもらっているか」「どんな企業の選考を受けているか」などの質問をして、他社が内定を出す前に内定を出したりすることがあります

このように就活競争に負けないためにも、他社のペースを把握することを目的に選考状況を質問するケースがあります。

企業が選考状況を聞く理由の中で、「他社との就活競争に負けないため」は特に重視されています。

他社の選考が進んでいると、最初に内定が出た企業へ就職を決める学生も多いです。そのため、他社の選考スピードに合わせてスケジュールが組まれることもありますよ。

面接で他社の選考状況を質問されたときの答え方のポイント

面接で他社の選考状況を質問されたときの答え方のポイント

面接で他社の選考状況を聞かれて答える際、押さえておくべき6つのポイントがあります。ポイントを押さえないと不用意に印象を下げてしまう可能性があります。面接を突破するためにも、選考状況の答え方のポイントを把握しておきましょう。

なお、この6つのポイントは上記の画像をイメージすると理解が深まるので、画像と照らし合わせながら本文を確認してみてくださいね。

①面接中の企業が第一志望だと伝える

複数の企業の選考を受けていて「我が社の志望度はどれくらいか」と質問されたら、第一志望と回答するのが無難です。

前述の通り、企業は選考状況を聞くことで「自社の志望度はどれくらいか」を知ろうとします。採用活動はコストがかかるため、「志望度が低い」と答えた場合、企業はこのまま選考を続けるべきかどうか考え直すことになるのです

選考の継続に悪影響を与えないためにも、面接ではその企業が第一志望であることを伝えた方が選考確率が上がるといえます。

なお、就職先を迷っている場合は正直に伝えても問題ありません。また、第一志望でない旨を正直に伝えても選考を通過できる企業もあります。「その会社の志望度は高いが同じくらいの志望度の会社がある」など面接官が納得できる理由まで伝えましょう。

②他社の企業名を挙げる際は一貫性を意識する

「他にどのような企業の選考を受けていますか」と聞かれて企業名を回答する場合は、一貫性を意識することが重要です。

具体的には業界や職種、社風などの一貫性を意識しましょう。たとえば、「食品業界に興味があるため、食品業界の〇〇社や△△社などの企業を受けています」のように回答すると、一貫性があると判断されます。

一方で、一貫性がない場合は「適当に企業を選んでいる」や「ただ有名企業だけを受けているのではないか」と思われ、印象を下げてしまう可能性があるため、注意しましょう

渡部 俊和

プロフィール

一貫性は自分なりの基準で構いません。業種・職種に関連したもの以外にも、若いうちから責任のある仕事に挑戦できる、仕組みが確立した大手よりもベンチャーを志向しているなど、方針や社風、将来可能性などにも軸となる要素はあります。

③落ちた企業は伝える必要はない

その企業の選考前に落ちた企業がある場合、落ちた企業名までは伝える必要がありません。落ちた企業まで伝えると、「能力が低いのではないか」「人柄に懸念があるのではないか」と疑問を持たれてしまう可能性があります

不信感を持たれないためにも落ちた企業は伝えず、まだ選考が続いている企業名のみを伝えるようにしましょう。

選考に落ちた企業を聞かれることはありますか。

他社の選考状況を伝えていれば進捗を聞かれることもある

選考に落ちた企業を聞かれることは滅多にないです。

学生の中には、「どのような企業で選考落ちになったのか」を聞かれて、落ちた企業を答えるとマイナス評価になるのではと不安を感じている人もいるかもしれません。

しかし、基本的にはどの企業の選考に落ちたのかを面接で聞かれることはないので安心してください。

ただし、面接で他社の選考状況を聞かれて「一次選考の結果待ち」などと選考進捗を回答していた場合には、その後の進捗を聞かれる可能性があります。

選考落ちになってしまったときには、事実を偽らずに落ちたことを伝えましょう。

④エントリーした企業のすべてを伝える必要はない

エントリーした企業を聞かれた場合、すべての企業名を回答する必要はありません。前述の通り、企業名を伝える際は一貫性を示すことが重要です。

自分の中では選考中の企業に共通点があったり、一貫性があったりすると考えていても、企業名だけを羅列すると「一貫性がない」と思われることもあるのです。

そのため、企業名を伝える際はむやみにすべてを回答するのではなく、業界や職種、社風などで一貫性があると判断した企業名のみを伝えるようにしましょう

⑤面接中の企業の他社にはない魅力を探しておく

その企業の志望度が高いことを伝えるためにも、選考中の会社の他社にはない魅力を探しておきましょう。

「他の企業も受けているようですが、なぜ我が社の選考を受けようと思ったのですか」と聞かれることがあります。回答できない場合、「なんとなくでエントリーしたのだろう」や「第一志望ではないのだろう」などと熱意が低いと判断される可能性もあります

企業の魅力を探す具体的な方法は以下があります。

企業の魅力の探し方

  1. 会社ホームページ(HP)の企業理念や業務内容などを確認する
  2. 会社説明会や座談会で社員の働く姿を見る
  3. インターンで実際に働いてみる
  4. OB・OG訪問をする

これらの方法を活用して、他社との違いや他社にはない魅力を見つけ、面接の際に志望度の高さをアピールしましょう。

それぞれの参加方法や特徴は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてチェックしてくださいね。

説明会
Web説明会参加マニュアル|服装やメール送信例まで完全網羅座談会

座談会
座談会とは? 質問例50選と本選考への活かし方を企業目線で解説

インターン
インターンは就活に不可欠? 8のメリットと選び方を詳細解説

OB・OG訪問
OB訪問・OG訪問は必要? 就活を有利に進める手順を完全網羅

鈴木 洵市

プロフィール

企業の魅力を見つけにくい場合は、その企業で働いている先輩社員を自分のロールモデルとして捉えてみましょう。

「人は石垣」という言葉があるように、人が企業を作っているからです。人の魅力に着目すると、おのずと企業ならではの魅力が見つかりますよ。

⑥他社で異なる職種を志望している場合はその理由を明確にする

企業によって異なる職種でエントリーしたいと考える人もいると思います。異なる職種を志望している場合はその理由を明確にしておきましょう。

理由もなく異なる職種を志望していると、「就活の軸がない」と自己分析が甘い印象になってしまいます

悪い印象を与えないためにも「〇〇では顧客に直接営業するのが一番商品の魅力が伝えられると思い営業職を志望しています。一方で△△ではインターネット上でマーケティングするのが商品の魅力が伝わると思いマーケティング職を志望しています」などと明確な理由を添えて答えるようにしましょう。

アドバイザーコメント

自己アピールにもなる! 選考状況は偽らずに伝えよう

基本的に、ネガティブな印象を与えること以外は選考状況をありのまま伝えて良いと思います。企業側も学生に多面的な特徴やいろいろな可能性があることを十分理解しています。

いくら一貫性が重要といっても、同じ業界の同じ職種しか受けていませんと答えると、むしろ視野の狭い偏った考え方の学生と思われかねません。また、嘘を言っても後でつじつまが合わなくなるだけなので、あまりメリットもないです。

選考状況の質問では、面接官は他社の進捗状況を知りたいわけですが、何社通過しているか、どの段階かだけを聞かれる場合と、社名や業種、職種まで聞かれる場合では質問の狙いが違います。

前者は自社に入社する可能性がどのくらいあるか、後者は会社選びの基準や考え方も含めて聞いていると思ってください。

受けている理由に筋が通っているかが大切

他にどんな会社を受けているか詳しく聞かれた場合は、答え方によって会話を有利に展開することもできます。

自分の強みを活かせる会社を受けていることを伝えれば隠れた自己PRにもなり、意外な会社や職種を受けていることをしっかりした考え方に基づいて説明できれば、有能さを印象付けることもできます。

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他社の選考状況を質問されたときの基本的な回答例

他社の選考状況を質問されたときの基本的な回答例

  • 選考中の1社しか受けていない場合
  • 他社と併願している場合
  • 他社から内定をもらっている場合
  • 他のすべての企業が落ちている場合

選考の状況によって適切な回答が異なります。

ここからは、選考の状況別で他社の選考状況を質問されたときの基本的な回答を解説します。基本を押さえて適切な回答ができるように準備しておきましょう。

選考中の1社しか受けていない場合

選考中の1社しか受けていない場合の例文

現在選考を受けているのは御社のみです。ただし、これから御社と同じ食品業界メーカーの他社の選考にエントリーする予定です。

選考中の1社しか受けていない場合は、他社も選考する予定があることと、現在選考を受けている企業が第一志望であることを伝えましょう

1社しか受けていない場合、「志望度が高い」と思われる一方で、「就活のやる気がない」「業界研究をしていない」と判断される可能性もあります。

このように、選考中の企業が1社しかない場合は志望度は伝わりやすいですが、就活に対するやる気が伝わりにくくなります。就活に対する意欲を伝えることを意識して回答しましょう。

面接中の1社にしか入社するつもりがありません。それでも「他の企業の選考も受ける予定」と伝えるのが良いのでしょうか。

渡部 俊和

プロフィール

1社しか受けていないなら納得いく理由を伝えよう

この場合は、「御社にしか入社する気がありません」と正直に伝えるべきです。そのうえで相手の不安を減らすような説明を補足しましょう。

志望意欲が強すぎる場合の企業側の懸念としては2つあります。

1つは客観的な比較検討ができずに盲目的に志望しているのではないかということ、もう1つは自社に理想を描きすぎていて、入社後に理想と現実に苦しみ早期離職につながるのではないか、ということがあります。

他社も含め客観的に分析検討した結果であること、自分の価値観や特徴に合っていること、また、会社のマイナス面や仕事の苦労についても充分知ったうえで1社に絞っているということをきちんと伝えておきましょう。

他社と併願している場合

他社と併願している場合の例文

御社と同じ食品メーカー業界の企業の選考を3社受けています。その中で御社を第一志望とさせていただいております。

他社と併願している場合は、選考中のその企業が第一志望であることを伝えるのが重要です。企業が「この人は自社への志望度が低い」と判断した場合、能力が同じであれば、志望度が高い他の人を優先する可能性が高くなります。

また、併願している企業の名前を聞かれた場合は一貫性を意識して回答しましょう。このように、その企業が第一志望であることと一貫性を意識した回答をすることが大切です。

正直、他の企業が落ちた場合の滑り止めとして受けている企業もあります。その場合でも第一志望と伝えるべきでしょうか。

鈴木 洵市

プロフィール

どの企業でも第一志望と伝えるのがベター

他の企業が落ちた場合の滑り止めとして受けている企業においても、第一志望として回答することが賢明です。

志望企業に入社できることがあなたにとって一番良い結果となりますが、それが必ず叶うとも限らないのが就職活動です。

万が一のために、就職先を逃さないことも重要です。

焦らず就活を進めていくためにも、どの面接でも第一志望と伝えることができるように準備しておいてください。  

他社から内定をもらっている場合

他社から内定をもらっている場合の例文

これまで5社の選考を受けており、そのうち2社から内定をいただいているという状況です。ただし、御社を第一志望とさせていただいており、まだ選考は続けるつもりです。

他社から内定をもらっている場合は、すでに内定をもらっていることを正直に伝えましょう

内定をもらっているとわかれば、どこかの会社で必要とされている人材であるというアピールにつながり好印象です。正直に伝えたうえで面接中の企業の志望度も高いことを伝えれば、さらに好印象を持ってもらえる可能性が高くなります。

また、すでに内定をもらっている企業で内定保留の期間がある場合はその期間も明確に伝えましょう。その期間に合わせて選考を進めてもらえる可能性があります。

39点以下は要注意!
あなたの面接力を診断してください

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もし39点以下だった場合は要注意です。今すぐ診断で面接力をアップし、就職で失敗する可能性をグッと下げましょう。

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他のすべての企業が落ちている場合

他のすべての企業が落ちている場合の例文

現在5社の選考を受けています。第一志望は御社とさせていただいております。

他のすべての企業が落ちている場合は「他社も受けているが、御社が第一志望です」と伝えましょう。前述の通り、選考に落ちた企業を伝える必要はありません。企業は「何か問題があるのではないか」と不安を抱えてしまうからです。

また繰り返しになりますが、選考を受けている企業に関してさらに質問された場合は、業界や職種、社風など、企業の特徴に一貫性のある回答を心掛けましょう。

企業が不信感を持たず、かつその企業が第一志望であることが明確に伝わるような回答を意識してください。

内定を保持していると嘘をつくのはやめましょう。以下のQ&Aで、内定を持っていると嘘をつくリスクをキャリアコンサルタントが回答しているので、チェックし心得てください。

業界を絞っている人向け! 他社の選考状況を質問されたときの回答例

ここからは業界を絞っている人向けに、他社の選考状況を質問されたときの回答例を紹介します。「具体的にどのように回答したら良いかわからない」と悩む人は、回答を考える際の参考にしてください。

①メーカーを中心に受けている場合

メーカーを中心に受けている場合の例文

私は食品メーカーを中心に現在5社選考を受けています。

私が食品メーカーに興味を持ったきっかけは減量です。私は現在も格闘技をやっており、試合に出場するために減量が必要でした。

減量の際は好きなように食べ物を食べられず、常に空腹状態です。この経験から食べ物のありがたみを人一倍感じるようになりました。

そこで、食のありがたみや美味しさをもっと多くの人に実感してほしいと思い、食品メーカーを志望しています。

業界を絞って選考を受けていることをよりわかりやすくアピールするためには、「格闘技の減量を通して食べ物のありがたみを感じたことです」と伝えましょう。

今の例文だと抽象度が高く、面接官が混乱する可能性があり伝え方に注意が必要です。

②商社を中心に受けている場合

商社を中心に受けている場合の例文

私は商社を志望しており、現在3社選考を受けています。

私が商社を志望したきっかけはアルバイトです。カフェでアルバイトをしており、さまざまな種類のドリンクやフードを提供していたのですが、それらの原材料はほとんど海外から輸入したものでした。

そこで「我々の生活は世界中の人の力で成り立っている」ことを実感して、世界中の人がさらに安心、かつ便利な生活をするためにも商社で働きたいと思うようになりました。

渡部 俊和

プロフィール

アルバイト経験と志望動機との関連が飛躍している印象です。今や生活のほとんどの場面で輸入品があふれているので、無理やりアルバイト経験に結び付けずに、日々の生活の中にある多くの場面を例示した方がより説得力が出るように思います。

商社を志望する人は、以下の記事で商社の志望動機の作り方を解説しているので、参考にするとしっかりとした選考対策が可能です。
総合商社・専門商社別の志望動機例文10選|必須の対策4選も解説

③小売を中心に受けている場合

小売を中心に受けている場合の例文

私は小売業界を中心に現在5社の選考を受けています。

私は大学時代にスーパーや雑貨店などでアルバイトをしていました。小売業で顧客と直接かかわれるのはレジの一瞬だけですが、毎日のように来る人もいて、近隣の方の生活を支えていることを実感しました。

そこで、「もっと便利で顧客に愛されるお店づくりをしたい」と思い、引き続き小売業界で働きたいと思うようになりました。試行錯誤を繰り返して、小売業界でパイオニアと呼ばれるような存在になりたいと考えています。

鈴木 洵市

プロフィール

小売業で働き続けたいという意志がわかる内容で良いと思います。

追加するとすれば、自分が小売業界に対して思う課題や改善案などを織り込むことによって、さらに納得感が生まれ、選考で存在感を発揮できます。

④金融を中心に受けている場合

金融を中心に受けている場合の例文

私は金融業界を中心に、現在4社受けています。

近年、FinTechが急成長しており、金融業界のあり方が変わろうとしている状況かと思います。私自身も金融に関して「便利になった」と実感する一方で、「まだ不便だ」や「便利すぎて付いていけない人もいるのではないか」と課題に感じる部分があります。

その中で、御社は私が課題に感じた部分の解決に積極的に取り組んでいる印象があります。

そこで、御社を第一志望としており、他にもこれからの金融業界を変えられそうな企業の選考を受けているという状況です。

この例文は、結論を答えた後に理由や根拠の説明がされておらず、伝わりづらい構成でマイナス評価になる可能性があります。

また、志望する理由の具体性に欠けていて、説得力が伝わらないケースもあります。実体験ベースで金融業界を志望する理由を伝えるとより良いと思います。

金融業界の詳細は以下の記事で解説しています。金融業界を志望する人は、こちらを参考に業界研究を進めておくとどんな質問にも備えられますよ。
金融業界を徹底調査! 押さえておくべきトレンドや対策まで大解剖

⑤サービスを中心に受けている場合

サービスを中心に受けている場合の例文

私はコンサルティング業界を中心に現在3社受けています。

私がコンサルティング業界に興味を持ったのは「問題解決能力を活かして、さまざまな課題を解決したい」と思ったからです。

現在も所属しているゼミでは、「問題解決」をテーマにさまざまな活動をしています。たとえばフレームワークを研究したり、実際に日本で起きている問題の解決策を考えて、関係各所に提案したりなどしています。

ゼミで培った力を活かして多くの人・企業の課題を変えられるのはコンサルティング業界だと思っています。

渡部 俊和

プロフィール

国の課題を考えたりフレームワークを研究したりしているので、志望業界の仕事も理解しながら、一貫した志向性があることも感じられます。

この後、具体的な活動内容や提案などが補足されていくと非常にわかりやすいですね。

⑥マスコミを中心に受けている場合

マスコミを中心に受けている場合の例文

私はマスコミ業界を中心に、現在4社を受けています。

その中で御社を第一志望としています。その理由は、真実を真実のまま発信していることが読者にも伝わるからです。

私にはマスコミに取り上げられた友人がいます。そこに記載されている内容は事実に反しており、友人が悪者扱いされるような内容でした。

私は怒りと悲しみの気持ちでいっぱいで、発信者によって読者の捉え方が変わるような世の中ではいけないと強く感じました。

そこで、御社の理念に強く共感し、さらに御社の理念に似た部分があるマスコミ企業も志望しているという状況です。

鈴木 洵市

プロフィール

マスコミ業界の中でも真実を伝えることができる会社に就職したいということがわかります。

追加するならば、なぜこの企業に就職したいと思ったのか、この会社独自の理由を入れ込むとより良いと思います。

⑦ITを中心に受けている場合

ITを中心に受けている場合の例文

私は世の中の多くの人がプレイするゲームを制作したいと思い、ゲーム業界を3社受けています。

私はもともとゲームが大好きで毎日3時間以上プレイしていました。しかし、いつしか自分がゲームを制作する側に回りたいと思い、ゲームをしていた時間でプログラミングをするようになりました。

現在では簡易的なゲームは数時間で制作できるほどになりました。

私は御社が販売するゲームが特に大好きで、「自分と同じような好みの人にもっと楽しいゲームを提供したい」と思い、御社を第一志望としています。

「簡易的なゲーム」や「数時間で制作」という表現が抽象度が高く、経験やスキルが十分にアピールできていないかもしれません。

実際に制作したゲームについて具体的に伝えれば、よりゲーム業界への熱意をアピールできると思います。

IT業界を志望する人は、以下の記事が必見です。職種別の例文10選とともにIT業界の志望動機の書き方を解説していて、非常に参考になりますよ。
IT業界の受かる志望動機の書き方|職種別の例文10選も紹介

⑧官公庁・公社・団体を中心に受けている場合

官公庁・公社・団体を中心に受けている場合の例文

私は〇〇市の警察や市役所などを受けています。

私が〇〇市の官公庁にこだわる理由は、生まれ育った町に恩返しがしたいからです。地域のいろいろな人や制度などに支えられてここまで成長することができました。

そして、これから大人になる子どもたちにも、大人になったときに「この町で育って良かった」と思ってもらえるような町づくりをしたいと考えています。

特にこの町の安全・安心に支えられたと実感しています。次は私が安全・安心を守るために御署を第一志望としています。

渡部 俊和

プロフィール

生まれた町への愛着というのは論理的な説明とは異なります。実体験をベースにしているので誰も反論できない一貫性と強い説得力があります。

矛盾のない言動ができていれば、これで通していって構わないと思いますよ。

公務員と民間企業を併願する人は、以下の記事を参考にしておけばどちらの就職活動も成功させられる可能性が上がります。
公務員と民間企業の併願で共倒れ? 状況別で両立のコツを解説

職種を絞っている人向け! 他社の選考状況を質問されたときの回答例

ここからは職種別で、他社の選考状況を質問されたときの回答例を紹介します。すでに志望する職種が決まっている人はこちらもチェックしましょう。

①営業職

営業職の例文

私は営業職を志望しており、他にも5社の選考を受けています。

私が営業職を志望した理由は、自分の努力によって顧客と自社の両方にわかりやすく貢献できることに魅力を感じたからです。

その中で御社を第一志望としており、御社の〇〇という商材は高校生から愛用しています。この魅力や特徴は私自身も熱量を持って伝えられると自負しています。

鈴木 洵市

プロフィール

営業職に就きたいということはよくわかりますが、「自分がその商材を使用しているから就職したい」というのはありがちな理由です。

並行して5社を受けているので、本当にこの会社に入社したいという意図が伝わるようにするとより良いです。

営業職を志望する人は、以下の記事を参考にすると魅力的な志望動機を作成できます。営業志望の人は参考にして就活対策をしましょう。
例文18選|営業職の志望動機で採用担当者を惹きつけるコツ

②事務職

事務職の例文

私は経理事務職を中心に現在5社の選考を受けています。

私は大学2年生のとき、学園祭の経理を担当しました。そのとき、最後まで会計が合わず多くの人に迷惑をかけました。この経験が悔しく、次の年も経理を担当させてもらい、次は無事終了することができました。

このような経験を活かして、経理事務職で会社を縁の下で支えたいと考えています。特に御社はインターンに参加させていただいた際、温かい人柄の社員の方が多く、「この人たちが安心して働けるように支えたい」と思い、第一志望としています。

前年の失敗が書かれているため、入社後にも失敗してしまうのではないかと懸念される可能性があります。

より魅力的にアピールするためには、経理担当者としての成功体験を具体的にアピールすると良いですよ。

事務職に対して誤解している人は多くいるものです。以下の記事で事務職に多い4つの誤解を踏まえ、事務職の仕事内容や適性などを解説しているので、志望している人は参考にして後悔のないようにしましょう。
事務職の4つの誤解に要注意! 仕事内容・適性・選考対策を徹底解説

③企画職

企画職の例文

私は企画職を中心に現在3社の選考を受けています。

私が企画職を志望している理由は、「自分のアイデアを形にしたい」という強い思いを持っているからです。

私は幼少期から図画工作の授業を好み、自分の考えやアイデアを表現するのが好きでした。そして、現在も変わらず、新規事業アイデアコンテストに出場するなどして、自分のアイデアを表現しています。

その中で御社の「どんなアイディアも宝だ」という理念に強く共感しています。私もどんなアイディアも見逃すことなく大切にしたいと考えており、御社に共感するため、第一志望とさせていただいております。

渡部 俊和

プロフィール

「企画」という言葉は会社によって解釈が違い、幅広い要素が含まれるため、その会社に合った内容で説明することが重要です。

例文では新規事業アイデアコンテスト出場、という点が具体的な行動力の裏付けになっていて良いと思います。

企画職の仕事内容や選考難易度、対策はこちらの記事で詳しく解説しています。新卒で目指すのは難しいといわれているからこそ、この記事を参考にして確実な選考突破を目指しましょう。
企画職の仕事や適性を徹底解剖! 新卒が企画職を狙うのはハード?

④販売・サービス職

販売・サービス職の例文

私は販売職を中心に現在5社の選考を受けています。

私は小売店で販売員としてアルバイトをしていました。販売員は短い時間ですが、顧客とコミュニケーションを取ることができます。この時間がとても好きで、販売職として働きたいと考えました。

特に御社は〇〇というショップを展開しているかと思いますが、私自身もユーザーの一人です。来店される人の気持ちをわかっているので、他社よりも楽しく仕事ができるのではないかと思い、第一志望とさせていただいています。

鈴木 洵市

プロフィール

ショップブランドを限定してなおかつユーザーであることがアピールポイントになっています。

しかしながら、他社よりも楽しく働けるというのは雰囲気の観点なので、企業分析をもう少し徹底するとより良いでしょう。

販売職の仕事内容は以下の記事で詳しく解説しています。販売職として入社すべきか迷っている人は、以下の記事を参考にすればミスマッチのない選択ができますよ。
販売職を徹底調査! 仕事内容から就活を成功させるコツまで紹介

⑤クリエイティブ職

クリエイティブ職の例文

私はWebデザイナー職を中心に、現在4社の選考を受けています。

大学生の頃から、クラウドソーシングを活用してWebデザイナーとして働いており、そのスキルを活かせると思い、Webデザイナー職を志望しました。

その中で御社の「〇〇」という理念に強く共感しており、実際に私が働く際も常に意識していることであるため、御社を第一志望とさせていただいています。

よりWebデザイナーとして活躍できることをアピールするために、「どのようなスキル」を「どのように活かせるのか」を具体的に書きましょう。すると、職種だけでなく企業に対する熱意も伝わりますよ。

Webデザイナーの仕事内容や選考対策は以下の記事で詳しく解説しているので、Webデザイナー志望の人は併せてチェックしておくと安心です。
Webデザイナーになるには? 仕事内容から将来性まで徹底解説

⑥エンジニア職

エンジニア職の例文

私はエンジニア職を中心に、現在3社の選考を受けています。

エンジニア職を中心に受けている理由は、スキルを活かせると思ったからです。私は幼少期からゲームやパソコンが好きで、暇さえあれば触っているという生活を送っていました。

そして、大学入学と同時に先輩から「プログラミングやってみたら?」と提案され、それから没頭するようになりました。現在では簡易的なアプリを制作できるほどスキルを身に付けられました。

その中で、御社〇〇を中心に多くの人を虜にするアプリを開発・提供しています。私もその一員になって、人々に感動を与えたいと思い、第一志望とさせていただいています。

渡部 俊和

プロフィール

エンジニアにもいろいろ違いがありますが、アプリ開発という事業とこれまでの経験が整合していて、プログラミングが好きで、やることに没頭できることもわかる内容です。

スキルに焦点を当てることで一貫性がある回答になっていますね。

エンジニアの仕事内容は以下の記事で詳しく解説しています。入社前後で大きくイメージが変わりやすい仕事なので、就活前に以下の記事をチェックし、エンジニアの実態を把握しましょう。
未経験でもエンジニア転職は可能? おすすめ職種や求人の見極め方

⑦医療・介護職

医療・介護職の例文

私は看護師職を中心に、現在5社の選考を受けています。

私は幼少期にケガをして、そのときに看護してくれた看護師の人を今でも思い出すことがあり、感謝しています。私も患者さんの記憶に残るサポートをしたいと思い、看護師職に就きたいと思うようになりました。

そして、御院は幼少期に私が入院した病院です。恩返しの意味も込めて働きたいと思い、第一志望とさせていただいております。

鈴木 洵市

プロフィール

看護師の資格を取得した人は就職活動において引く手あまたでしょう。その状況で、なぜこの病院に就職したいのかを自分ならではのストーリーから語ることができているため、好印象が残ります。

⑧教育職

教育職の例文

私は塾講師職を中心に、現在3社の選考を受けています。

私も中学・高校時代に塾に通っていました。学校では全体への授業ですが、塾は個人に教えることができます。

当時はこのような塾の特徴に非常に助けられました。この経験を活かして、塾講師として一人でも多くの生徒を志望校合格に導きたいと考えています。

その中で、御校は多くの有名校合格者を排出しているかと思います。私もその一員となって、生徒の人生の支えになりたいと考えており、第一志望とさせていただいております。

「塾に通っていた経験があるため、生徒を志望校合格へ導ける」という説明は論理的ではなく、志望度が低いと勘違いされてしまう可能性があります。

自分が塾講師を志望する理由を具体的に深掘りしてアピールするとより良いでしょう。

⑨技術職

技術職の例文

私は建築設計職を中心に、現在3社の選考を受けています。

私の実家は中学生の頃に建て替えたのですが、そのときに担当した設計士の人が非常に親切で、私たちの意見を細かく汲み取ってくれていたことを覚えています。

私もそのような設計士になりたいと思い、建築設計職を志望するようになりました。

その中で、御社には「顧客の声を第一優先にして設計する」という社風があることを伺いました。私が実現したいことと合っていることから第一志望とさせていただいております。

渡部 俊和

プロフィール

この例文も体験をベースにしていますが、同じことを言うのでも実体験があるかないかで説得力が変わります。

体験から得た価値観と社風が合うという点が他社との差別化ポイントになっているので、会社側から見ても好印象になりやすいですね。

⑩研究・開発職

研究・開発職の例文

私は生活用品に関する研究職を中心に、現在5社の選考を受けています。

私は幼少期に洗濯洗剤による肌荒れに悩まされました。成長するとともに改善されたのですが、同じような悩みを持っている人がいます。私の経験をもとに、同じ悩みを持っている人を減らしたいと思い、研究職を志望しました。

その中で、御社は人の健康を第一優先にしてさまざまな製品を開発・提供していると思います。私もその考え・価値観に非常に共感しているため、御社を第一志望とさせていただいております。

鈴木 洵市

プロフィール

自分の幼少期からの体験を通じて、この会社に就職したい思いが伝わる内容になっていて良いと思います。

さらに企業の理念や方針を調べて、その点に賛同して就職したいというまとめ方が上手いですね。

研究職の仕事内容は以下の記事で詳しく解説しています。選考を受ける前や入社する前にしっかり読んでおくと、就活対策になったり、ミスマッチを防げるのでぜひ確認してくださいね。
研究職ってどんな仕事? 狭き門を勝ち抜くための志望動機例も紹介!

選考状況を質問されたときのNGな答え方

選考状況を質問されたときのNGな答え方

  • 就活の軸が見えない
  • 面接中の企業への熱意が伝わらない
  • 明らかに嘘をついている
  • 選考中の他社の具体的な内部情報を漏らす

選考状況を質問された際、回答内容によっては企業に悪い印象を与える可能性があります。

ここからは、選考状況を質問されたときのNGな答え方を解説します。不用意に悪い印象を与えないようNGな答え方も把握しておきましょう。

就活の軸が見えない

就活の軸が見えないNG回答例

私は、食品メーカーの〇〇や、建築業界の△△、教育業界の□□などの選考を受けています。

このように、就活の軸が見えない回答は企業に悪い印象を与えます。なぜなら、「やりたいことがない」「適当に有名な企業を受けている」と判断される可能性があるからです

前述の通り、選考状況を聞かれた際は一貫性を意識した答え方が重要になります。一貫性や軸がなければ、就職後に何を実現したいかがわからず、企業側は「我が社に入社しても、高いパフォーマンスを発揮してくれないのではないか」と思うのです。

たとえさまざまな業界・職種の選考を受けていても、就活の軸を意識した答え方を心掛けましょう。

意欲が伝えられるような企業選びができていない人は、こちらの記事を参考にして企業選びの軸を見つけましょう。
意欲が伝わる「企業選びの軸」の回答例50選|見つけ方も解説

面接中の企業への熱意が伝わらない

面接中の企業への熱意が伝わらないNG回答例

私は小売業界を中心に、現在3社の選考を受けています。

その中で第一志望は〇〇社です。御社は第二志望と考えています。第一志望の企業の選考に落ちた場合、御社への就職を検討しています。

前述の通り、面接中の企業は第一志望と伝えるようにしましょう。企業はコストをかけて採用活動をおこなっているため、入社しないリスクのある人材はなるべく採用したくないと考えます。そのため、「自社が第一志望ではない」など、熱意が伝わらない場合は落とされる可能性が高くなるのです。

内定を辞退することは可能です。しかし、内定をもらえなければ就職すらできないため、面接中の企業には熱意を伝え、次の選考に進めるようにしましょう。

明らかに嘘をついている

明らかに嘘をついているNG回答例

私は30社の選考を受け、すべての企業から内定をもらっています。

自分を良く見せようと嘘をつきたくなることもありますよね。しかし、その嘘がバレた場合、選考に落とされたり、内定取り消しになったりする可能性があります

社会人が嘘をつくと、後から大きな問題に発展する可能性があります。企業はそのようなリスクを少しでも減らすために、嘘をつくような人材は採用したいと思いません。

そして、ほとんどの嘘は後にバレるため、嘘は絶対につかないようにしましょう。

選考状況の回答の嘘がバレたときには、自己PRや志望動機の評価が良かったとしても不採用になる可能性があるため注意してください。

また、採用担当者が転職をして別企業の採用担当者になると、転職活動でも不利になる可能性があることも認識しておきましょう。

選考中の他社の具体的な内部情報を漏らす

選考中の他社の具体的な内部情報を漏らすNG回答例

私はコンサルティング業界を中心に、現在3社を受けています。〇〇という会社では現在内定をもらっています。その会社では6月時点で10人の内定者を出しており、追加で5人採用するという情報がありました。

特にラフな雰囲気の面接の場合、うっかり他社の内部情報を漏らしてしまう可能性が高くなります。しかし、他社の具体的な内部情報は絶対に漏らしてはいけません。

その理由の一つに、その他社の規約を破っている可能性があることが挙げられます。内部情報を漏らしていることが判明した場合、選考に落とされる可能性が高くなります。

もう一つの理由に、選考中の企業から信頼を失う可能性があります。各企業社外には漏らしたくない情報を持っている中で、「この人は会社の情報を外部に漏らしてしまう人だ」と判断されれば、情報漏洩のリスクが高まるため採用したいとは思わなくなります。

信頼を下げないためにも、他社の内部情報は漏らさないようにしましょう。

渡部 俊和

プロフィール

学生が漏らしてしまいがちな他社の情報として、先輩リクルーターの愚痴や面接官から選考中に聞いた内輪の話、今後の会社の方向性などがあります。

第一志望の会社に対して、競争相手の話なら良いだろうとつい他の会社の情報を話したくなることがあるようです。

アドバイザーコメント

アピールしようとして他社を否定するのは良くない

選考状況を質問された際のNGな回答例として挙げられるのは、他社に対するネガティブな思いを話すことです。

就職活動では、希望の業界の中から複数の企業を同時に受けつつ、その中で志望順位を決めていると思います。

そのため特にやりがちなケースが、目の前の面接官にアピールしようとするあまり、受けてきた他企業についてネガティブな発言をしてしまうことです。

比較をするような発言は入社後の信頼関係構築に懸念を抱かれる可能性がある

特に比較をするような発言が多く、「御社では〇〇という部分において、A社よりも優れているので第一志望としています」という事例が挙げられます。

この場合、面接官は「比較対象のネガティブな発言をすることで優位性を確立しようとする人であり、業界や企業分析はできているものの、自社の社員として迎え入れるには不安が大きい」という印象を抱き、社員間や取引先との連携がうまくできないだろうと判断される可能性があります。

選考状況に関するさまざまな形式の質問にも備えておこう

備えるべき選考状況に関するさまざまな形式の質問

  • 弊社が内定を出したら、内定を承諾しますか?
  • 選考中の企業の中で第一志望はどこですか?
  • 複数の企業から内定をもらった場合、どのような基準で就職先を決めますか?
  • 〇〇社の選考を受けてみて、どのような印象を持ちましたか?

選考状況に関して、各企業異なった形式で質問をしてきます。どんな質問をされても戸惑わないよう、さまざまな形式を想定して回答する準備をしておきましょう。

弊社が内定を出したら、内定を承諾しますか?

内定を承諾するかどうか聞かれたら、「内定を承諾するつもりです」、または「承諾するかどうかは検討しますが、御社が第一志望です」と答えましょう

面接官に「我が社が第一志望であるのになぜまだ検討するのか」と聞かれた場合は、「自分が描く将来像に間違いや後悔がないか確認するため」など、確認するために時間が必要なことを伝えるのがおすすめです。

就職先を決めるのは人生の大きな決断の一つです。そのため、少し考える時間を設けても企業はその時間を引き止めることはほとんどないと考えられます。

回答する際のポイントは嘘をつかないことです。内定を承諾するつもりであればその旨を伝えましょう。一方で、まだ承諾するかはわからない場合は検討中であるが志望度が高い旨を伝えるのがおすすめです。

なお、「わかりません」というような曖昧な回答は避けましょう。企業側は「自社の志望度が低い」「我が社に関する熱意がない」と捉えて、選考に落とされる可能性があります。

受けている会社は第二志望で、第一志望の会社の内定をもらったら内定を承諾しないつもりですが、どのように伝えたら良いでしょうか?

渡部 俊和

プロフィール

第一志望の内定が出るとは限らないので要注意

これは、状況が変わればその都度判断する、という考え方をしてください。あなたはまだ第一志望の内定をもらっていないわけなので、現段階では第二志望の会社が第一志望なのです。

まず最優先にすべきは現時点のオファーですが、「御社が第一志望ですが、最終的に今の活動を納得できるまでやり終えてから決断したいと考えています」「お時間をいただいてしっかり検討して返答いたします」といったニュアンスで答えましょう。

実際に第一志望の内定をもらえるとは限らないので、「他社から内定が出たら断る」というような返答はすべきではありません。

オファーをもらえる企業の意向を大切にしつつ、自分の権利もしっかり守るという姿勢を取ってください。

選考中の企業の中で第一志望はどこですか?

第一志望の企業を聞かれた場合は、面接中の企業を第一志望と回答するのが無難です。企業はコストをかけて採用活動をおこなっています。その中で志望度の低い人よりも志望度の高い人を採用したいと考えるため、第一志望でなければ落とされる可能性が高くなるのです。

入社するかどうかは内定をもらった後に決められます。不用意に選考に落とされないためにも、志望度を聞かれた際は第一志望と回答するのがベターといえます。

複数の企業から内定をもらった場合、どのような基準で就職先を決めますか?

就職先を決める基準を聞かれた場合は、自分の就活の軸を説明し、その軸を満たせるかどうかで決めると伝えましょう

軸を満たせるかどうかを基準にすると、「どこでも良いわけではないのだな」と信頼につながります。軸がある人は目標達成に向けてブレずに行動でき、入社後も活躍できる可能性が高いからです。

そのうえで「御社は就活の軸を満たせそうであるため、第一志望としている」と、志望度が高いことも伝えられるとベストです。

「自分の就活の軸が見つけられない」「どんな軸であれば企業側も納得できるのかわからない」と、就活の軸に関して疑問や不安を持っている人はこちらの記事を参考にしてください。
就活の軸一覧90選! 納得できる企業選びの基準の見つけ方も解説

〇〇社の選考を受けてみて、どのような印象を持ちましたか?

他社の印象を聞かれた際、実際に感じたポジティブな印象を伝えるようにしましょう。「雰囲気が悪い」や「社員が無愛想だった」など、ネガティブな印象を伝えると、企業はあなたをネガティブな側面しか見ない人だと感じたり、他社に自社の悪い印象を伝えているかもしれないと捉える可能性があります。

人柄の良さをアピールする意味も込めて、実際に感じたポジティブな印象を伝えましょう。

また、他社に関して話す際、内部情報は漏らさないように注意しましょう。前述の通り、内部情報を漏らすことにはさまざまなリスクがあります。そのため、他社の印象を聞かれた際は、社員からもらった情報ではなく、実際に自分が感じたことを伝えるようにしましょう。

鈴木 洵市

プロフィール

上記の例に加えて、「他の業界でも選考を受けている企業はありますか?」という質問も聞かれることがあります。

この質問では、あなたが本当にこの業界に就職したいのかを試していることもあるので、一貫性を説明できる自信がない場合は他の業界は受けていないと回答するのが良いでしょう。

回答次第では見舞われるリスクも! 就活終われハラスメントの対処法

就活終われハラスメントとは

自社に入社してもらうことを目的に、志願者に早く就活を終わらせて我が社に来るようにプレッシャーや言葉をかけること。「オワハラ」とも言われる

学生が非常に優秀だったり、企業の人材が不足してたりすると、就活終われハラスメントをしてくるケースがあります。

しかし、実際に就活終われハラスメントを受けるとどのように対応すれば良いかわからず、適切な対応ができない可能性があります。回答内容によってはリスクが生じる可能性もあるため、対処法を把握しておきましょう。

就活終われハラスメントは受け流しても問題ない

就活終われハラスメントには法的効力がありません。そして、憲法でも職業選択の自由が保障されているため、就活終われハラスメントは受け流しても問題ないのです。

口約束の場合は「わかりました」などの言葉で受け流し、他の企業の内定を承諾しても問題ありません。誓約書を書かされた場合でも法的効力はありません。

そもそも就活終われハラスメント自体が脅迫罪に当たるケースがあります。就活終われハラスメントがひどい場合は、各都道府県の労働局またはハローワークに相談しましょう。

涌井 好文

プロフィール

学生がある企業から内定をもらったとしても、就職活動を終える義務はありません。

そのため、オワハラは無視してもかまいませんが、もし続くようであれば都道府県労働局へ相談をしてください。

また、在籍する学校にも連絡した方が良いでしょう。

「就活終われハラスメントをする企業」の認識を持って入社するか判断する

就活終われハラスメントをする企業は、社員や顧客を大切にしていない可能性も考えられます。なぜなら、就活終われハラスメントが学生を配慮せず、自社の拡大や採用人数を満たすことだけを考えた行為だからです。

就活終われハラスメントをされた場合は「就活終われハラスメントをする企業」という認識を持って入社するかどうかを判断しましょう。

「入社したいと思っていたけど、就活終われハラスメントをされた」といった場合は、先輩社員から直接話を聞いたり、インターネットの口コミを見たりするなどして、実態を確認するのがおすすめです。

就活終われハラスメントをする企業の特徴や共通点は残念ながらありません。

どの業界・職種であっても、企業によっては他社の選考を辞退するように働きかけています。

ただし、オワハラは社会問題としても取り上げられるようになったため、以前に比べると少ない印象です。

選考状況を聞かれたらパターン別の回答を意識して面接を突破しよう!

選考状況の質問は、単なる状況確認ではなく、あなたの熱意や自己分析の深さを把握しようとしています。しっかりと回答を準備しておかないと、最悪の場合選考に通過できない可能性があるのです。

答え方はあなたの選考状況によって異なります。状況に応じた答え方を押さえ、どんな会社の面接でも好印象を残せるようにしておきましょう。

アドバイザーコメント

選考状況の答え方は回答の一貫性が重要

これまでに紹介したポイントをすべて意識しようとすると、ポイントが多すぎて評価される回答ができるか不安という学生もいるのではないでしょうか。

選考状況の質問背景やポイント、NG例などさまざまなことを意識した回答を考えるのは大変ですよね。

このように不安な人は、冒頭に解説されている「一貫性がある回答をすること」を特に意識すれば企業から評価される選考状況の答え方ができます。

軸が定まっていれば選考状況もブレずに答えやすい

一貫性がある回答ができるか不安感がある場合は、あらためて就活の軸を考えましょう。あなたが応募している企業は、「就職して実現したいこと」の軸に当てはまるから受けているのですよね。

この軸が定まっていないと、一貫した回答ができずに企業からマイナス評価をされてしまうのです。就活の軸は自己PRや志望動機ともかかわるため、しっかり考えることが大切です。

選考状況の答え方だけで評価を得ようとするのではなく、就活の基本を大切にしましょう。就活の軸と向き合って、志望企業からの内定獲得を目指してくださいね。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了
全国民営職業紹介事業協会 職業紹介責任者(001-220824001-02942)
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