リテール営業とは? 仕事内容や5つの必須スキルを専門家と解説

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  • キャリアコンサルタント/大学キャリア・アドバイザー

    Hideko Oki〇大学卒業後、都市銀行のマーケット部門で勤務。その後夫の海外赴任に伴って台湾へ。帰国後は外国人留学生の支援に従事。また複数大学のキャリアカウンセラー及びセミナー講師としても活動

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  • 中小企業診断士/キャリアコンサルタント

    Shigeki Komatsu○営業企画・マーケティング・情報システム・総務・人事・経営企画室など幅広いキャリア経験を持つ。現在はキャリア形成や能力開発に向けた企業研修や個人面談などを提供している

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  • キャリアコンサルタント/産業カウンセラー

    Yoshiko Kato〇人材会社で約15年間、18,000人以上のキャリア相談を受けてきた。独立後は企業や大学、個人と契約し、キャリア構築の支援をおこなう。キャリアコンサルタント歴は20年以上

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この記事のまとめ

リテール営業とは企業における営業業務の一種ですが、具体的な仕事内容を知らないという人も多いのではないでしょうか。リテール営業といっても、複数の業界にまたがっていて、それぞれの業界によって意味が異なります。

新卒で採用された際、最初の配属先がリテール営業になることも多いです。そのため、業務についてあらかじめ理解しておくことが大切です。

この記事では、キャリアコンサルタントの沖さん、小松さん、加藤さんのアドバイスを交えつつ、リテール営業について解説します。リテール営業に対する疑問や不安点を解消しましょう。

目次

リテール営業とは難しくとも成長できる仕事! 必要な力を理解しよう

リテール営業は個人を対象にした営業のため、きつくてつらいと捉えられることも少なくありません。

しかし、成果主義の会社が多く、頑張った分だけ評価されます。人によっては厳しいと感じることもありますが、自己成長につなげられる仕事であり、必要な能力を磨けば、成果を出すことが可能です。

この記事では、まずリテール営業の基本知識、おもな仕事内容について解説していきます。リテール営業の概要を押さえることで、働き方をイメージできますよ。

後半ではリテール営業の魅力と大変なところ、向いている人の特徴や求められる能力も解説するので、自分に合うか考えてみましょう。

併せて、リテール営業を目指すと決めたらやっておくべきことや成功術も紹介するので、ぜひ最後まで読んでリテール営業の理解を深めてくださいね。

まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください

就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。

そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
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・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人

強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。

そもそもリテール営業とは? まずは必須知識を押さえよう

そもそもリテール営業とは? まずは必須知識を押さえよう

  • リテール営業の意味
  • ほかの営業との違い
  • リテール営業が盛んな業界

リテール営業を目指そうとする人のなかには、業界や仕事内容などについて、よくわかっていないという人もいるかもしれません。

就職後に最初に配属されるケースも多いため、リテール営業とはどのようなものなのか、またほかの営業との違いについて、あらかじめ理解しておく必要があります。

まずは、リテール営業の仕事の基本となる必須知識を押さえるところから始めましょう。

リテール営業の意味

リテール(retail)とは、「小売り」のことを表していて、業者から仕入れた商品を一般消費者向けに小分けにして売るという意味があります。スーパーやコンビニなどは、リテールをおこなう代表的な業界です。

つまりリテール営業とは、個人の消費者に対して商品やサービスを売る、BtoC型の営業のことをいいます

大量に商品を売りたいメーカーにとって、消費者一人ひとりと商品のやり取りをすることは、手間やコストがかかります。しかし卸売業者や商社であれば、メーカーの生産品を大量に買い取ってくれます。

一般消費者が店舗で手にする商品の多くは、メーカーから商社や卸売業者を経由し、小売業者の店舗に届けられたものです。リテール営業は、この消費者に届ける部分の役割を担っています。

BtoCについて詳しく知りたい人は、こちらの記事もおすすめです。仕事の特徴や向いている人を解説しています。

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ほかの営業との違い

リテール営業とはほかの営業の違い

営業職は、リテール営業のような個人を相手にする営業と、法人営業という企業や組織を相手にする営業の大きく2つに分かれます。

リテール営業は、一般消費者に対して営業をおこなうBtoCの取引で、個人向けの商品やサービスを売るのが特徴です。比較的低価格な製品を多くの消費者に販売します。一方で法人営業は、企業や団体に向けて営業をおこなうBtoBの取引で、規模や取引する金額が大きいのが特徴です

ほかにもリテール営業と法人営業では、購入の意思決定から契約完了までに要する期間や、成約後の金額規模が異なります。

リテール営業は契約までのスピードが早いものの、販売単価が安くなる傾向があります。法人営業は、成約に至るプロセスが長いですが、商談がうまくいけば一度に動く金額は大きいです。

このように同じ営業でも、販売の規模や戦略、必要となるスキルなどにも違いがあるため、営業職に就きたい場合は、どちらが自分の適性に合っているかを把握する必要があります。

リテール営業とほかの営業の違いをイメージしやすいようにたとえて言うならば、法人営業は顧客企業のビジネスをサポートするもので、リテール営業は個人の仕事や生活、人生を応援するといったところでしょうか。

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リテール営業が盛んな業界

リテール営業が盛んな業界

  • 金融業界
  • アパレル業界
  • 不動産業界

同じリテール営業という職種でも、業界が異なるとリテールに対する捉え方も変わってくるため、リテール営業を目指すなら業界ごとの特徴を押さえておくことが大切です

業界による違いとは、業態や商品の扱い方、業務上で心がけることや必要な知識などです。ここでは、特にリテール営業が盛んな3つの業界について、それぞれ詳しく見ていきます。

金融業界

金融業界のリテール営業が取り扱うおもな商品

  • ローン商品:住宅ローン、教育ローン、マイカーローン
  • 預金商品:外貨預金など
  • 収益商品:投資信託、保険商品など
  • 信託商品:教育資金贈与信託、結婚や子育て支援信託など

金融業界でリテールと呼ばれるのは、個人や個人事業主、中小企業に対する業務です。銀行や証券会社、信託銀行、保険会社など、業種によって売り方は異なります。

金融業界のリテール営業には大きく2種類あり、窓口での個人顧客に対する商品案内や販売と、顧客訪問する外回りの営業に分けられます

代表的なリテール商品は、預金や振込、振替に加え、住宅ローンや資金の貸し付けなどのサービスです。また、個人に対する保険の営業や、取り扱う商品を提案して資産運用をサポートすることなども、リテール営業の一種になります。

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アパレル業界

アパレル業界のリテール営業のおもな仕事内容

  • イベントやフェアの企画や運営
  • ディスプレイの検討や指示
  • 販促や販売スタッフの育成
  • 新商品の発売日の調整
  • 店頭に並ぶ商品の選定
  • 店舗の売り上げ管理

アパレル業界におけるリテール営業は、直接消費者に営業することはありません。自社商品を扱う販売店スタッフに対しておこなわれるもので、小売店の販売支援がおもな仕事です。そのため「リテールサポート」と呼ばれることもあります。

ディスプレイの仕方の改善、販売スタッフの教育など、マネジメントやマーケティング要素が強いのが特徴です。また実店舗だけでなく、近年ではECサイトの販売支援もリテール営業の業務に含まれるようになってきました。

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不動産業界

不動産業界におけるリテール営業は、個人に向けた住宅や土地の販売・仲介がおもな仕事内容です。

一般消費者を対象とするリテール営業は、取引の規模が小さくなる傾向がありますが、不動産業界は数千万~数億円単位の契約を受注するため、高額な取引になります。高額商品を扱う分、契約の難易度が高く、商談が決まった際の達成感が大きいのが特徴です。

そのほかにも、個人向けの不動産コンサルティングを担うこともあります。不動産の購入・売却について相談に乗ったり、管理方法についてアドバイスをしたりする役割です。土地の保有者に働きかけ、自社の利益につながるような土地の活用を促すこともあります。

不動産業界に興味がある人は、こちらの記事もおすすめです。求められる人材の特徴や志望動機の作り方を解説しています。

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業界ごとに扱う商品などが違うことはわかりましたが、営業スタンスなども違うのでしょうか?

加藤 賀子

プロフィール

商材が変わればリテールの営業スタンスも変わる

たとえば不動産業界を取ってみても、提供している商品が「家の購入を考えている人への住宅販売」の場合もあれば、「土地保有者への土地活用の提案」などの場合もあります。

同じリテール営業であっても、顧客の要望・求めているモノがまったく異なることがわかりますね。

顧客の要望・求めているモノの提供を手伝うことが営業の仕事なので、そのスタンスも扱っている商品ごとにそれぞれ違ってくるはずです。

かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断

就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。

そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
・志望業種をまだ決めきれない人
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人

強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。

具体的に何をしている? リテール営業のおもな仕事内容

具体的に何をしている? リテール営業のおもな仕事内容

  • 新規顧客の獲得
  • 顧客からのレスポンスに応じた働きかけ
  • 顧客のマネジメントやフォロー

リテール営業の仕事は、個人に対する商品やサービスの販売です。商品の特徴やメリットを魅力的に伝えてアピールする必要があります。また売って終わりではなく、購入後の問題や質問に対応し、アフターサービスを提供する必要もあります。

仕事の内容は多岐にわたりますが、おもな仕事内容は、ここで紹介する3つです。いずれも企業の収益に直接つながる重要な要素なので、それぞれの内容をしっかり押さえておきましょう。

新規顧客の獲得

一般消費者が対象のリテール営業は、商談1件当たりの売り上げ金額が少ないことから、売り上げ目標を達成するためには多くの契約を獲得しなければなりません。

そのためリテール営業の業務は、既存顧客のフォローよりも、顧客を獲得するための新規開拓が多くなる傾向があります。顧客になりうる個人に対して積極的に営業活動をしていくことが必要です。

昨今では、飛び込み営業やテレアポだけでなく、インターネットを活用したアプローチも増えてきました。また、ECサイトの制作は基本的にIT技術者がおこないますが、販売のターゲットが個人であれば、コンテンツの企画などにかかわることもあります。

顧客の潜在的なニーズを発掘し、自社との接点をつくることも、リテール営業の重要な役割です。

小松 茂樹

プロフィール

新規顧客の獲得の難易度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延以降、個人宅の訪問がしづらくなったことから、上がったかもしれません。しかしそれ以前から、新規顧客の獲得には高いハードルがあったと思います。

現代はSNSなどのWebマーケティングで見込顧客を集めるようになっているため、知的で高度になっていますが、こうした適性がある人にとってはむしろ営業しやすい時代になったと言えるでしょう。

顧客からのレスポンスに応じた働きかけ

従来のテレビや雑誌などを用いた宣伝方法だけでなく、近年はインターネットの普及により、手広く宣伝することが容易になりました。そうした働きかけに対する顧客からの問い合わせに応じ、購入を促すこともリテール営業の仕事です。

宣伝による営業手法は、新規顧客と既存顧客の両方からの反響が期待できるのが利点です。顧客へのレスポンスは、対面やビデオ通話、メールなど、顧客が希望する方法で対応します。

商品に興味を持った個人が連絡してくるため、飛び込み営業ほどハードルは高くありません。しかし、既に相手は商品に対して調べているケースが多いため、それ以上の知識が必要になります。

レスポンスに対する業務は受動的な要素が強いですが、より詳しい説明が求められるため、入念に準備しなければなりません

顧客のマネジメントやフォロー

既存顧客に継続的に購入してもらうためには、良好な関係を維持することが欠かせません。顧客からの信頼を得る活動を実直に重ね、マネジメントやフォローを積極的におこなうことが大切です

たとえば、商品を購入した個人に対して、不明な点がないか尋ねて問題点を解消したり、新商品が発売される際には旧商品の購入者に特別価格の案内をしたりすることもあります。また、クレームに対して適切に対処することも必須事項です。

リテール営業では、こまめなアフターフォローをおこなうことで、友好的な既存顧客を増やしていくことが求められます。特に競合他社が多い業界においては、安定した売り上げを維持するうえで重要度の高い仕事です。

加藤 賀子

プロフィール

リテール営業の特徴は、顧客(個人)と担当営業(個人)の関係性がモノを言うところでしょうか。

対個人への営業となるので、お互いの人間性や価値感などの相性が、ほかの営業よりも重要になります。その比率の高さが売り上げや販売実績にも直結していきます。

就活のプロが解説!リテール営業のキャリアパス

新卒でリテール営業の仕事を選ぶなら、その後のキャリアプランについても考えておくことが大切です。リテール営業には、営業職としてずっと現場で活躍する人もいれば、営業職の指導や育成を担う管理職、営業活動を裏方から支えるマネジメント業務など、さまざまな道があります

将来のキャリアパスは、どのように売り上げに貢献していきたいかによって、方向性が変わります。リテール営業からほかの職種へのキャリアチェンジとなると、難易度が高くなるため、リテール営業を目指すならキャリアパスも把握しておきましょう。

ここでは就活支援のプロであるキャリアコンサルタントの沖さんに、リテール営業のキャリアパスについて聞きました。将来を見据えた仕事をするためにも、参考にしてみてください。

アドバイザーコメント

リテール営業のキャリアは環境選びから始まる

リテール営業のキャリアプランを考える時、会社選び、職種選びは重要です。

企業によっては新入社員の誰もが通る道で、最初にリテール営業を経験してから本人の適性に合わせてその後の配属が決まる企業、あるいは職種もあります。

その一方で、リテール営業で入社した場合はそのままずっと営業の道を進み、そのなかでリーダーになったり、部課長になったりと役職が上がっていくというキャリアもあります。

その場合は自分自身の営業成績を上げることのほかに、マネジメント業務も加わってくるでしょう。

なぜリテール営業をやりたいかというビジョンに合う企業を選ぼう

就職活動中の学生の話を聞いていても、たとえば「後々やりたいのはマーケティングだけれども、自社の製品や顧客のニーズを知るためにリテール営業も厭わない」と話す人もいれば、「私は人と話すことが好きで、傾聴能力が高いから、リテール営業をやりたい」などと話す人もいます。

企業・職種選びの際には、必ずかなうかどうかはわかりませんが、自分のキャリアプランがかなう可能性が高そうな企業を受けていくことが、初めの一歩だと思います。

営業職のキャリアプランについては以下の記事でも詳しく解説してるので、より深く考えたい人は併せてチェックしておきましょう。

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さらに理解を深めよう! リテール営業の今後の課題

さまざまな業界において欠かせないアプローチであるリテール営業は、業界ごとに特徴などは異なりますが、共通した課題があります。これからリテール営業に挑戦し、企業に貢献していくためには、業界が抱える課題を理解することが大切です。

今後、リテール営業で継続して売り上げを上げていくために求められるものとは何なのでしょうか。ここでは、リテール営業において今後障壁となる5つの課題を挙げ、それぞれについて詳しく見ていきます。

海外進出や別商品での売り上げアップ

日本は、少子高齢化による生産年齢人口の減少や、最低賃金の上昇率の低下が問題となっていて、それにより消費購買力も低下している状態です。逆に、世界の市場は拡大しているため、商品やサービスの海外展開が企業にとって大きなメリットになると考えられています

人件費や生産コストが低い国に進出することで、より多くの利益を得ることも可能です。

また海外進出で得た経験や知識は、業界に変化をもたらします。相対的に内向きな日本企業において、海外進出は大きなチャレンジですが、結果的に企業価値を高めることになり、売り上げアップにもつながります。

また、自社や他社を分析し、既存商品だけでなくターゲットに刺さる独自性のある別商品で売り上げアップを図ることも課題の一つです。

他社よりもリーズナブルで質の高い商品や、機能性やデザイン性の優れた商品を打ち出せば、商品やサービスの持つ独自性が付加価値となり、新規顧客はもちろん、リピーターを増やすことにもつながります。

生産性の向上

現在、多くの業界において深刻な問題となっているのが、人手不足です。リテール営業も例外ではなく、人員は減少傾向にあります。そこで今後の大きな課題となるのが、個々の生産性の向上です。

将来は今以上に人員確保が難しくなると予想されるため、限られた人的リソースのなかでより多くの利益や成果を出し続けなくてはなりません。それゆえ、担当者一人ひとりの業務パフォーマンスの向上が求められています。

これからリテール営業に就く人は、営業にかかわる能力やスキルを磨き、営業で成果や売り上げをしっかり出すことで、報酬やキャリアアップを図ることが大切です。一人ひとりの課題として向き合うことで、業界全体の底上げにつなげていく必要があります。

小松 茂樹

プロフィール

リテール営業に限らず営業全般に言えることですが、営業としての生産性を向上させるには、自ら情報発信して見込顧客を育て、顧客との関係構築を戦略的に進めていくことが必要です。

昔のように「数打てば当たる」時代ではなくなってきました。

そして限られた時間を有効に活用するために、「勝ち目のある戦いをする」ことが求められます。

具体的には、保険や不動産のセールスの人が、資産運用について情報発信をしたり、セミナーをおこなったりして、顧客リストを生成するというものが挙げられます。

ITリテラシーの向上

ITリテラシーとは、IT技術を扱うために必要な力です。IT化にともない、リテール営業でもさまざまなITシステムを活用して効率的に成果を出すことが求められています。

近年はオンライン販売が主流になりつつあるため、ITツールを使いこなせる人材は、多くの場面で活躍できるかもしれません

実際、以下のようなテーマで研修をおこなう企業が増えているため、よく知らない用語があれば自身でも積極的に調べてみましょう。

キーワード意味
DXDigital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)の略。進化したデジタル技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものに変革するというもの
AIArtificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)の略。人工知能の意味
IotInternet of Things(インターネット・オブ・シングス)の略。直訳では「モノのインターネット」。さまざまなものがインターネットにつながる仕組みのこと
IT関連の研修テーマの例

顧客に対してより有益な提案ができるよう、それぞれの顧客情報をツールやシステムを用いて深く分析することで、成約率の向上にもつなげられます。

ECの強化

EC(Electronic Commerce)とは日本語では「電子商取引」で、一般的にはネットショッピングのことを意味します。経済産業省の令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書によると、BtoCの小売業ではECへの移行が加速していて、特に物販系のEC化率は増加傾向にあります。

人口減や生産性の低下、実店舗での売り上げの伸び悩みなどが要因でもありますが、リアルでの販売からECへシフトしている状況が伺える結果です。

近年では、ネットショップを手軽に始められるサービスも増えています。簡単にネットショップを構築できる時代で、競合が参入しやすくなっているため、自社の強み・弱みを把握し、他社といかに差別化できるかがポイントになっているのです

またリテール営業のEC戦略を見直すうえで、注目すべきなのが消費行動の変化です。共働き世帯の増加や働き方の変化などにより、売れる商品にも変化が出ています。さまざまな分野における商品の売り上げの変動などを把握することが大切です。

実店舗価値の向上

ECへの移行がある一方で、顧客はリアル店舗での購入を望む人と、インターネットでの購入を望む人の大きく2パターンに分かれるとされています

リアル店舗における大きな価値は、「体験」です。消費者にとって、実際の商品やサービスに触れて確かめられることは価値のある体験であり、ECサイトでは得られません。

店舗を利用することで、非日常的な空間を感じたり、特定の店舗のみで販売される限定商品やサービスを発掘できたりするのも、リアル店舗が持つ価値だと言えます。

また店舗スタッフとの会話や、店内のコンセプトや内装を楽しめることも、リアル店舗ならではです。実店舗の価値を向上させるためにも、質の高いコミュニケーションにより顧客満足度を高め、継続的に購入してもらえるリピーターを獲得することが求められます。

通信販売にはない実店舗の強みは、「体験」と「コミュニケーション」だと思います。

たとえば高額商品であれば、やはり体験、つまり試してから購入しようと思う人も多いですよね。

またその際の営業担当のコミュニケーション、つまり実力次第で、実店舗に来たことに価値を感じてもらえるかどうかが決まります。

リテール営業ならではの特徴をつかもう! 魅力と大変なところ

リテール営業を取り巻く現状を把握したところで、さらに理解を深めるために、リテール営業ならではの仕事の特徴を見ていきましょう。

一口に営業と言っても種類によって形態は異なり、数多くの営業があるなかで、リテール営業にしかない特徴もあります。

ここではリテール営業ならではの魅力と大変なところについて解説していくので、リテール営業の特徴をつかんでくださいね。リテール営業への適性を判断する材料にもなり、志望先の選定がしやすくなります。

リテール営業の魅力

リテール営業の魅力

  • 顧客の満足度を把握しやすい
  • 成果を出せばスピード出世も可能になる
  • 平日に休みを取って柔軟に働ける

リテール営業の仕事内容やキャリアパスについて見てきたとおり、リテール営業は会社の売り上げに貢献できる仕事です。

より働くイメージを具体化し、意欲や目的を明確にするためにも、リテール営業のそのほかの魅力も把握しておきましょう。選考で自分の言葉で練られた志望動機が書けるようになり、説得力も増しますよ

ここからは、リテール営業の3つの魅力を解説します。

顧客の満足度を把握しやすい

法人営業の場合は、直接やり取りする相手は商材の使用者と異なることが多いため、商品を実際に使用した反応や感想を知る機会は少ないです。一方で、リテール営業は営業する相手が商品やサービスの使用者であるため、自身が売った商材を利用した感想をダイレクトにもらえる機会が増えます

商材を使用した本人から感謝の言葉がもらえたり、顧客の課題を解決したりすることで、貢献できたという実感を得やすいことが特徴です。顧客の満足度を肌で感じることができるのが、リテール営業の魅力だと言えます。

ただし、逆に顧客の期待やニーズに応えられなかった場合、満足してもらえず、期待を裏切る結果になってしまうことを心得ておきましょう。

加藤 賀子

プロフィール

顧客が満足していることを直接感謝の言葉などで知ることにより、自分の自信へとつながります。人の役に立っていることを実感することで、仕事に対するやりがいともなるでしょう。

このように顧客の反応を直接知ることができるのは、働くうえで大きなメリットです。

成果を出せばスピード出世も可能になる

法人営業では1つの顧客企業を複数人で対応することもありますが、リテール営業は単独で営業をおこなうことが多いです。加えてリテール営業の場合、成果主義にもとづいた評価制度を設けている会社も多いため、個人の成果が報酬や昇進、昇格に直結しやすいと言えます。

リテール営業は結果を出せば、若くして高収入を得ることや、スピード出世することが実現可能です。しかし、裏を返せば、結果が出せないと年収は低いまま変わらず、昇進や昇格も遅くなる可能性はあることを念頭に置いておきましょう。

リテール営業のなかでも証券営業は、販売単価が高く、インセンティブがメインなので、高収入を得やすい傾向があります。若いうちから高収入を得たい場合は、志望先として検討してみてください。

出世したい人はこちらの記事も参考にしてみてください。出世する人の特徴をプロが詳しく解説しています。

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出世する人の10の特徴をプロが解説! まねしたい習慣とNG行動も

この記事では出世する人の特徴や出世を遠ざける行動を、キャリアコンサルタントとともに解説します。出世するために心掛けたい習慣についても紹介するので、いち早く出世したいと考えている人はぜひ参考にしてください。

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インセンティブとは

販売や契約受領などの営業ノルマを達成した社員に、会社が支給する報奨金のこと。販売報酬ともいわれ、企業により「歩合給」「出来高制」「業績手当」などと呼ばれることもある

リテール営業は、実際20代ではどれくらい稼げますか?

小松 茂樹

プロフィール

年収400万円程度が想定されるが業界や本人の力量次第で大きく変わる

保険や不動産などのリテール営業における20代の平均年収は、400〜450万円前後とされる調査が多いです。

ただし、業績によるインセンティブが大きく影響しやすい職種であるため、好成績者は20代でも600〜700万円、あるいはそれ以上の年収になることもあります。

逆に成績不振の場合は、300万円台となることもあるでしょう。

リテール営業で高収入を目指せることに魅力を感じる人も多いですよね。こちらの記事では給料が高い仕事100選を紹介しているので、併せて参考にしてみてください。

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就職先を選ぶにあたって、給与が高い仕事とは何か気になりますよね。この記事では、キャリアコンサルタントの解説を交えつつ、給料が高い仕事TOP100を紹介します。また給料が高いことのリスクも解説するので、自分に合っているかどうかの参考にしてください。

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平日に休みを取って柔軟に働ける

会社にもよりますが、リテール営業は平日よりも土日の稼働が中心になります。一般的な消費者は平日の昼間は仕事で外出していることが多く、休日でなければ家に訪問しても会えないからです。

家族と一緒に話が聞きたい人や終業後しか時間が取れない人などに対しては、平日の夜間に商談をする場合もあります。

業態や業種によっては、顧客とのやり取りを業務時間内におこなうことが難しい場合もあるため、フレックスタイム制といって、始業時間と就業時間を柔軟に変更できる働き方の会社も多いです

土日・祝日に仕事をする分、平日に休みが取れるため、平日休みを有効活用したい人には最適です。平日休みは、周りと予定を合わせにくい面もありますが、出掛ける際に混雑を回避できるなどのメリットもあり、自分の時間を確保しやすいと言えます。

まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください

就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。

そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。

まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。

こんな人に「適職診断」はおすすめ!
・志望業種をまだ決めきれない人
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人

リテール営業の大変なところ

リテール営業の大変なところ

  • 顧客とのやり取りが重視される
  • ノルマ達成のプレッシャーがある
  • 休日や夜間に対応するケースもある

これまで見てきたとおり、リテール営業にはさまざまなメリットがあり、やりがいの大きい仕事です。その反面、個人顧客を相手にする営業だけに、大変な面ももちろんあります

ここでは、リテール営業における大変なところについて見ていきます。リテール営業の仕事に自分が向いているのか、継続して仕事をしていけるのか心配な人はぜひチェックしてみてください。

顧客とのやり取りが重視される

リテール営業はBtoCの構図が基本で、顧客と直接やり取りをする仕事です。販売している相手が最終的な意思決定者であり、目の前の相手にイエスと言ってもらうことで契約が成立します

そのため成果を出すためには、ビジネスライクな関係に留まるのではなく、相手の懐に潜り込み、信頼関係を構築する必要があります。

また、新たな顧客から契約を獲得する新規開拓営業は、精神的なタフさも必要です。ときに顧客に冷たくあしらわれたり、商談が思うように運ばなかったりすることもあります。

さらに、決められた期間内に成果を上げる必要があるため、人によってはきついと感じる部分だと言えます。

関係構築能力とはどういうものかよくわからない人は、こちらのQ&Aでキャリアコンサルタントの解説を参考にしてみましょう。

ノルマ達成のプレッシャーがある

リテール営業は、個人主義の側面が強く、営業成績が明確にわかります。また顧客とのやり取りから進捗管理、ノルマ達成に向けた目標設定まで、自分でおこなう必要があります。

毎月与えられたノルマを達成しなければならず、プレッシャーを感じる人もいるはずです。入社したばかりの頃は重いノルマを課せられることは少ないですが、給与が上がったり、昇進したりするにつれて、ノルマは重くなる傾向があります

営業成績が好調に維持できているときは余裕があっても、上手くいかなければ追い詰められることもあるかもしれません。営業目標の数字と日々の活動を連動させて、着実に結果を積み上げていく計画性が求められます。

リテール営業のノルマは、実際どれくらいきついのでしょうか……。

加藤 賀子

プロフィール

企業によって異なるがノルマではなく目標という考えをすることもある

一昔前は、「ノルマを達成するまで帰れない……」という時代もあったようですが、昨今は企業によっては達成必須のノルマは設けず、あくまでも目標としていることもあります。

また、目標の設定を個人にある程度任せている場合もあれば、上司と相談のうえ決定している場合もあり、こういった考えは企業によって異なります。

ノルマや目標達成の数字だけを見るのではなく、達成することで自分の今後のキャリアにどのような効果をもたらすか、といった視点からも考えてみましょう。

計画性が強みだという人は、リテール営業でも多いに活かせる可能性があります。こちらの記事で計画性がある人の特徴を解説しているのでチェックしてみてください。

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休日や夜間に対応するケースもある

リテール営業は一般消費者を対象にした営業のため、個人の予定に合わせてアポイントを取る必要があります。そのためには、一般消費者が商談に応じてくれる時間を把握して対応しなくてはなりません。

なぜなら、リテール営業が取引する一般消費者は平日働いていることが多いため、勤務時間外の休日や平日の夜間でなければ、商談することが難しいからです。

「終業後でないと時間が取れない」「休日に家族と一緒に話を聞きたい」などリクエストされることもあります。業態や業種にもよりますが、休日や夜間に訪問したり、連絡を入れたりするなど、一般消費者の都合に合わせた業務時間になる傾向が高いです

このように、場合によっては自分の時間が圧迫される可能性もあることを認識しておきましょう。

リテール営業に向いている人の特徴4選!

リテール営業に向いている人の特徴4選!

  • どんな相手とも円滑にコミュニケーションが取れる
  • 最新情報やトレンドに敏感
  • 問題解決能力が高い
  • 結果を次に活かせる

ここまででリテール営業における魅力や大変なところについて理解できたかと思いますが、自分が向いているのか自信がない人もいるかもしれません。

そこで、リテール営業だからこそ必要な能力を把握することで、どんな人が活躍するのかイメージをつけましょう。ここからはリテール営業に向いている人の特徴について解説していきます。

①どんな相手とも円滑にコミュニケーションが取れる

リテール営業ではさまざまなタイプの人とかかわるため、どんな相手とも仲良くなれるようなコミュニケーション能力を持った人材が重宝されます。

営業相手が企業の人であれば、ある程度ビジネスマナーを守ってくれますが、個人が相手となれば先方がどのような態度を示すのか予測できません。失礼な態度を取る人や冷たく対応する相手とも円滑にコミュニケーションを取れる自信がある人に適しています

ここでいうコミュニケーションで重視すべきポイントは、セールストークよりも、自社の商品の良さを明確に伝えるスキルです。いかに商品への興味関心を持って話を聞いてもらえるかが重要となります。何気ない顧客との会話から、悩みを引き出せるヒアリング力も必要です。

コミュニケーション能力が強みだという人は、ぜひ伝え方を工夫して選考でも武器にしましょう。こちらの記事で効果的なアピール方法を解説しています。

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②最新情報やトレンドに敏感

リテール営業の仕事は、普段から世の中のトレンドに対して関心を持っている人に向いています。最新情報や流行りの情報をチェックしている人は、顧客との話題作りにも困らないため、商談にも強いです。

自分が持っている情報のなかから、顧客が興味を持ちそうな情報をピックアップして伝えることで、有利に商談を進めることができます

そのため、業界の最新情報に精通していることは必須です。ときには、顧客から必要な情報を求められることもあります。そんなときも業界における最新情報やトレンドを熟知していれば、顧客が知りたい情報を適切に提供することができ、厚い信頼を獲得できるはずです。

リテール営業を目指すのであれば、まずは、自分の扱う商品、業界情報に精通すべきだと思います。

最近は何でも簡単に調べられる時代なので、欲しい商品に関してとても詳しい顧客も多いです。顧客の質問に答えられなければ、一気に信用が下がってしまいます。

③問題解決能力が高い

リテール営業では、高い問題解決能力が求められます。新規開拓が多いリテール営業では、初めて会う人の悩みを聞いて、解決策を提示しなければならないからです。

普段から問題に対する自分なりの答えを持てる人であれば、リテール営業でもその能力を発揮することができます。

ただし、単純に問題解決をすれば良いわけではありません。初対面の顧客相手に問題点を突きつけてしまえば、良い関係を築くことは難しいです。

そのため問題解決能力が高いことに加えて、顧客の懐に潜り込むような人柄を併せ持っていることで、問題の解決にも至りやすく、契約にもつながりやすいと言えます

問題解決能力に自信がないという人でも、今から鍛えることが可能です。こちらの記事でポイントを解説しているので併せてチェックしてみてください。

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④結果を次に活かせる

リテール営業は、ただ商品やサービスを売るだけで完結する仕事ではありません。自分が売った商材を利用した感想や反応を得ることで、顧客から問題点を聞いて改善し、次の営業に結果を活かしていくことが重要な仕事です

顧客の満足度を高めていくためにも、解決できなかった顧客の課題をクリアして、今後の営業活動に反映し、類似した間違いを繰り返さないことが求められるのです。

そのため、結果を次に活かして成長していける人ほど適していると言えます。

小松 茂樹

プロフィール

リテール営業を含め、営業に向いている人は、短期的な成果に固執せず、長期的な視点で顧客との信頼関係を作っていける人です。

またコミュニケーション能力について言えば、必ずしも話し上手でなくとも構いません。むしろ、相手の話をじっくり聞ける聞き上手のほうが良い成果につながります。

向いている人の特徴を読んで、自分には営業は向いていないかもしれないと感じる人は以下の記事も確認してみましょう。向いていない人の特徴16選を紹介しているので、適性を見極める際の参考になります。

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選考でアピールできる! リテール営業で求められる5つの能力

リテール営業に適した人材だとアピールするには、現場で求められる能力を持っていることを伝えるのが効果的です。

ここでは、リテール営業において求められる5つの能力について見ていきます。各スキルを磨いて、リテール営業として活躍する可能性を高めましょう。

①顧客のニーズをつかむ傾聴力

リテール営業では、顧客の問題や悩み・ニーズを把握するための傾聴力が欠かせません。個人に営業する場合、さまざまなタイプの顧客を相手にします。相手の話を引き出し、提案につながる有益な情報を集めるヒアリング力は必須であるため、貴重な能力としてアピールできます

また個人営業では、信頼関係が重視されます。有益な提案をしても、信頼できる関係になければ、契約には至らないからです。

巧みな話術で売り込むセールストークのスキルも必要ですが、顧客から潜在ニーズを汲み取ることが求められます。

リテール営業では、商談相手が決裁者になるため、直接やり取りをするなかで情報をうまく聞き出す傾聴力があれば、成約にも活かせるでしょう。

加藤 賀子

プロフィール

傾聴とは、相手の話を相手の立場になって、相手の気持ちに共感しながら理解しようとすることです。ただ話を聞いたり、自分の関心のあることだけを質問するのではない話の聞き方です。

これらのことを意識して、相手の話に耳を傾けましょう。

傾聴力をアピールしたい人は、こちらの記事もおすすめです。14例文付きで選考での伝え方を解説しています。

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②課題を解決する提案力

リテール営業は個人への営業が多いため、顧客のニーズを汲み取り、最適な商品やサービスを提案する能力が求められます

優れたコミュニケーション能力があっても、顧客の悩みを解決できる商品やサービスを提案できなければ、購入にはつながりません。有益な提案をするためには、最新情報や知識をインプットし、必要な専門知識の学びを深める姿勢が必要です。

また、顧客に提案する際は、契約金額が高い商品を売り込む方法は通用しません。リテール営業では、商品やサービスを顧客の利益を最優先にして考えるのはもちろん、魅力的でわかりやすく伝える提案力と説得力のスキルも重要視されます。

③情報収集能力

リテール営業が盛んな業界である金融業界やアパレル業界は、市場の移り変わりが早い傾向があります。契約を成立させるためには、自社の商材に精通していることはもちろん、競合他社の動向も踏まえて、自社商品を選ぶメリットを伝えることが大切です

そのためリテール営業では、常にアンテナを張り、最新情報を仕入れる情報収集能力が必須です。顧客が欲しい情報を適切に提供できれば、信頼を得やすくなります。

自社の商材だけでは顧客の関心を引けないこともあるため、業界や市場のデータを根拠として商談で示すことで、説得力を上げるのも有効な方法です。

リテール営業の商談相手は特別な知識を持たない一般消費者であるため、仕入れた情報を理解できるように説明することも求められます。

情報収集能力とはどんなスキルなのか詳しく知りたい人は、こちらのQ&Aも参考にしてみてください。キャリアコンサルタントがわかりやすく解説しています。

どのようなところから情報を得れば良いのかわかりません……。具体的な方法を終えてください!

小松 茂樹

プロフィール

新聞やニュースサイトなどの複数メディアからの情報収集を習慣にしよう

営業職にとって、業界や市場のトレンド情報を収集することはとても重要です。

顧客の課題を解決するより良い方法を知ることはもちろん、新しい情報を提供することが顧客との接点を作る口実にもなり、営業の機会を作っていけるからです。

具体的には、新聞、ニュースサイト、経済メディアなどから情報を収集します。毎日習慣的に続けていくことが重要なので、常に目を通すメディアを3つほど絞り、それにプラスしてWebなどで目についた情報を仕入れていきましょう。

新聞社は当日の主要記事をピックアップしたメールを定期的に配信しています。ニュースサイトや経済サイトは専用のスマホアプリを用意していることが多く、重要な記事が更新された際にスマホに通知がきます。

自動的に情報を仕入れる環境を自分に合った形で作っていくことが、情報収集を習慣的におこなうコツです。

ニュースや時事は選考でも知識を問われるテーマです。こちらの記事でおすすめの調べ方や面接での回答方法を解説しているので、併せて参考にしてみましょう。

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④マーケティングスキル

リテール営業では、業界全体のトレンドを把握し、必要な情報を取捨選択して商品を売り込む必要があるため、マーケティングスキルも欠かせません。

リテール営業は個人の顧客が対象であり、相手はあまり商品やサービスに詳しくない場合がほとんどです。業界の知識やトレンドなどを一から説明しなければならないことも多々あるため、マーケティングをおこない常に市場を分析することが、消費者との円滑な取引につながります

昨今は変化が速い時代であるため、革新的な商品やサービスが登場すれば、業界の構図が一変する可能性もあります。

市場の変化を見逃さないためにも、マーケティングのスキルを身に付けておくことは大切です。

マーケティングとは何かよくわからない人は、こちらの記事も確認しておきましょう。マーケターの仕事内容を丁寧に解説しています。

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⑤ストレス耐性

リテール営業において、ストレス耐性が強いことは積極的にアピールすべきポイントです。リテール営業の面接では、ストレス耐性を把握したい企業も少なくありません。リテール営業は成果主義になりやすく、精神的な負荷がかかりやすいからです。

リテール営業はチームで営業するというよりも、基本的に単独で活動するため、さまざまな問題や課題を個人で解決しなければなりません。また、顧客に合わせたスケジュールに対応することにストレスを感じる人もいるものです。

リテール営業は、自分一人の力で成果を出せることにやりがいを感じられる人や、楽観的に物事を受け止められる人に向いている仕事だと言えます

リテール営業を目指して選考を受けるうえで大切なのは、結論から言えば、自身の強みを見極めることだと思います。

採用されることが目的ではなく、実際に仕事をする際に、自分自身に無理を強いていないか、苦しくならないかを考え、自分に正直になることが重要です。

リテール営業も含めた営業職では、ストレス耐性を重視する企業が多いです。こちらの記事で忍耐力のアピール方法を解説しているので参考にしてみてください。

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リテール営業を目指すと決めたら? 今からできる準備や対策

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  • どの業界を目指すか意識する
  • 必要なスキルを高めておく
  • 常に情報収集や市場調査をする

リテール営業をおこなう業界は個人向けの商品を扱っているという共通点はあるものの、業務内容はそれぞれ大きく異なります。

入社後にミスマッチを起こさないためにも、求められる能力や適性をあらかじめチェックし、リテール営業について理解を深めておきましょう。

そこでここでは、リテール営業に就くために今からできる準備や対策を紹介します。

どの業界を目指すか意識する

業界により、仕事内容だけでなく、顧客層や取り扱う商品、それぞれ心がけるべきことや必要な知識も異なります。

そのためリテール営業を目指すなら、まずは業界を決めることが先決です。

どの業界を選べば良いのかわからない場合は、「自分が何を提案することで世の中に貢献したいのか」を基準に考えることで、自分に適したリテール営業の仕事がイメージしやすくなります

先述したリテール営業が盛んな業界や仕事の特徴などを参考に、自分が求める業界を選んでみてください。そこから、その業界におけるリテール営業の詳細を確認し、適性や必要なスキルがあるかも判断していくのがおすすめです。

小松 茂樹

プロフィール

仕事を長くやり続けていくためには、自分の興味と能力がその業界や職種に適しているかが重要です。

業界や商材については、何よりも自分がその領域を「好きになれるか」「追求していけるかどうか」を考える必要があります。

好きになれないことを長く続けていくと、自分もやがて苦しくなるため注意しましょう。

コツを押さえると業界研究はスムーズに進みます。こちらの記事でおすすめの方法を解説しているので参考にしてみてください。

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必要なスキルを高めておく

リテール営業の場合、成果主義の会社が多いため、目標の達成に向けて、必要なスキルを高めておくことも大切です。これまで解説したとおり、リテール営業において、傾聴力や提案力、情報収集能力、マーケティングスキル、ストレス耐性は欠かせません。

これらのスキルを高めることはもちろん、営業方法の工夫や改善をし、成果につなげようとする意欲や行動力も求められます

たとえば、多くの見込み客にアプローチする、受注につながるチャンスがあれば積極的にアプローチするといったアクティブさが必要です。リテール営業を目指すなら、即戦力として力を発揮する営業パーソンになるための準備として、こうしたスキルアップを図りましょう。

どのスキルにも自信がないのですが、今からリテール営業を目指すなら何から磨くべきですか?

今後の自分にとって課題になるスキルから磨こう

上記のどのスキルが一番大切ということはありません。自分がどのスキル(強み)を武器としていくかの問題だと思います。

営業に関するビジネス書や自己啓発本は多いですが、トップセールスを挙げた人のなかには、実は人見知りであったり、コミュニケーションが苦手だったという人が少なくないのに驚きます。

苦手であるがゆえに、よく観察したり、研究したり、戦略を練ったりして、その積み重ねで成績を上げていることがわかりますね。

確かに天性の営業センスを持った人は存在しますが、スキル不足は補うことができるということです。まずは自己分析をしっかりして、自分にとって何が必要かを考えてみてください。

常に情報収集や市場調査をする

リテール営業では、顧客の「最新の情報を知りたい」というニーズに応えるのも重要な仕事あり、情報収集や市場調査をおこなうことは欠かせません。

特にリテール営業のなかでも金融業界やアパレル業界は、市場の動向が早いため、古い情報しか提供できなければ、信用を損なう恐れがあります。

市場の移り変わりが激しいからこそ、常に新しい情報を仕入れ、市場を調査しておくことで、時代に取り残されない努力をすることが大切です

顧客の興味関心を引くためには、自社の商品情報に加えて、業界や市場の情報もチェックしておきましょう。根拠となる市場のニーズを示すデータがあれば、顧客も興味を持って話を聞いてくれます。

上級編! リテール営業の成功術を知って入社後も差をつけよう

上級編! リテール営業の成功術を知って入社後も差をつけよう

  • 商談では決裁者を意識する
  • 顧客のニーズから成約のヒントを探す
  • 営業支援ツールを活用する

ここまででリテール営業を目指すうえで必要なことが見えてきたと思います。ここからは、さらにリテール営業で上を目指していきたい人のための上級編です。

入社後に周りと差をつけるためには、リテール営業で売り上げを上げている営業パーソンが実践している成功術を押さえることが効果的です。

リテール営業で成功するために、そのポイントについて見ていきましょう。

商談では決裁者を意識する

リテール営業では、商談相手である個人が決裁者となることが多いです。つまり、商談相手の心をつかめば契約を取ることが可能だということ。ただし、決裁者に刺さる提案ができなければ、アポイントすら取れない可能性もあります。

貴重なチャンスをいかに逃さずつかめるかが勝運を左右するのです。

決裁者となる商談相手を意識する必要はありますが、契約を焦らないことも大切です。過剰な売り込みをすれば一歩引かれてしまう一方、弱気な営業では心をつかめません。優れた営業パーソンは、押し引きのバランスが上手です。

顧客をよく観察し、一方的にセールスして売ろうとするのではなく、常に反応を見ながら適切なアプローチをしていく必要があります

加藤 賀子

プロフィール

目の前に顧客がいることは法人営業と同じですが、法人営業と違うところは、目の前にいる本人が100%決裁者であるということです。

顧客が求めていること(モノ)は何か。それをしっかりと把握したうえで提案していきましょう。自分目線ではなく、相手目線でいることが大切です。

顧客のニーズから成約のヒントを探す

顧客のニーズのなかには成約のヒントが隠されています。安定した売り上げを挙げるためには、顧客の真のニーズを引き出し、課題や悩みを解決することが大切です

そのためには、顧客と密なコミュニケーションを取ることやヒアリング力は必須であり、顧客のニーズに見合った提案をおこなうことが求められます。

逆に顧客のニーズに合わない提案をしてはいけません。たとえば不動産のリテール営業で、「家族が増えたので広い家に住みたい」というニーズに対して、「狭くなるけれど駅に近いです」という提案はNGです。

リテール営業の場合は、商談相手が決裁者であるため、根回しなどは不要です。購入に必要な情報をヒアリングにより正確に聞き出すことで、潜在ニーズを探り、適切な提案をすることで成約につなげましょう。

営業支援ツールを活用する

リテール営業では、顧客情報の保存や参照を効率良くおこなうために、営業ツールを導入するのが望ましいです。リテール営業では顧客は個人であるため、一般的に担当する顧客数は多くなります。さらに、顧客一人ひとりのニーズを掘り下げていかなくてはなりません。

膨大な情報を整理し、把握する必要があるため、メモや記憶に頼って仕事をすることはおすすめしません。顧客数が増えるほど情報量は多くなり、ほかの顧客と混同するなど、信頼を損なうリスクもあります。

リテール営業を成功に導くためにも、営業支援ツールを上手に活用し、顧客情報をきちんと整理して、仕事の効率アップを図りましょう。

営業支援ツールの例

  • HubSpot Sales Hub:顧客管理、見積書作成、進捗管理など、一部機能を無料で利用できる
  • Zoho CRM:3人まで無料で登録でき、外出に便利なモバイルアプリも無料で利用可能

最近は個人情報の漏洩がよくニュースになりますが、逆に言えば企業はそれだけ多くの情報を持っているということです。必要なデータや情報はすぐに引き出せるようになっています。またシミュレーションなども簡単にできます。

こうした営業ツールなしに営業することは、もはや考えられないことです。

ほかにも就活ですべき基本的な準備は、以下の記事で詳しく解説しています。今から準備を進めたい人はぜひチェックしてみてください。

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就活は初めて経験するからこそ、やることが明確になっていない人が多いです。自分が今やることを理解して、実践していくことが重要です。この記事では、時期や状況別で就活でやることについて、キャリアコンサルタントと解説します。

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リテール営業に求められる能力やスキルを伸ばして挑戦してみよう

個人の顧客と直接接するリテール営業は、やりがいや魅力の多い仕事です。顧客とコミュニケーションを深めながら、信頼関係を築いていきたい人に向いています。

また成果主義の会社が多いため、結果さえ出せば、若くして高報酬を手にすることも可能です。その反面、個人で営業するため、負荷がかかることも念頭に置いておきましょう。

リテール営業を目指すと決めたら、記事で解説した選考でアピールポイントとなる必要なスキルを高めて、ぜひ挑戦してみてください。

アドバイザーコメント

リテール営業は人の役に立っている実感を得られる仕事

購買意思決定者と利用者が異なるBtoB営業と異なり、リテール営業は利用者に直接販売する形態であるため、顧客に貢献している実感をとても得やすい職業です。

人の喜ぶ姿を見るのが好きな人、人の役に立ちたいと願う人、その実感をダイレクトに得たい人には、とても適した仕事でしょう。

加えて、リテール営業はとても夢のある職業だと言えます。たとえば、生命保険のトップセールスは年収が1億円を超えることもあるのは知っていますか。

世で成功者と呼ばれる人々がリテール営業出身であることも珍しくありません。住宅の販売なども、インセンティブが大きく設定されている場合が多いです。

個人の人間力が可視化される覚悟も必要

リテール営業は個人としての営業力、関係構築能力、コミュニケーション能力が成果に直結しやすい営業形態であるため、自分のスキルを磨きたい人にとっては修行の場としても有効と言えます。

その反面、実力主義のシビアな環境です。常に好成績を維持するためには、長期視点に立って戦略的に営業計画を立て、目先の成果にこだわらず粘り強く顧客との関係を作り上げていくことが求められます。

総合的に人間力が試される職業なので、人間力を高めたい人はぜひ挑戦してみてください。

執筆・編集 PORTキャリア編集部

明日から使える就活ノウハウ情報をテーマに、履歴書・志望動機といった書類の作成方法や面接やグループワークなどの選考対策の方法など、多様な選択肢や答えを提示することで、一人ひとりの就活生の意思決定に役立つことを目指しています。 国家資格を保有するキャリアコンサルタントや、現役キャリアアドバイザーら専門家監修のもと、最高品質の記事を配信しています。

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記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi

高校卒業後、航空自衛隊に入隊。4年間の在籍後、22歳で都内の大学に入学し、心理学・教育学を学ぶ。卒業後は人材サービスを展開するパソナで、人材派遣営業やグローバル人材の採用支援、女性活躍推進事業に従事。NPO(非営利団体)での勤務を経て、「PORTキャリア」を運営するポートに入社。キャリアアドバイザーとして年間400人と面談し、延べ2500人にも及ぶ学生を支援。2020年、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習であるGCDF-Japan(キャリアカウンセラートレーニングプログラム)を修了

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