この記事のまとめ
- 工学部からの就職におすすめの業界・職種を把握しよう
- 文系就職のコツや大学院進学に迷ったときの判断方法も解説
- 工学部から納得いく就職先を選ぶポイントも押さえよう
- 適職診断
たった3分であなたの受けない方がいい職業がわかる!
この記事を読んでいる人に
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就活前の工学部生のなかには、「工学部生に有利な就職先は?」「理系就職しかできない?」などと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
工学部からの就職先として機械メーカーや自動車業界などを考える人が多いですが、実はものづくり系以外への就職もできます。また専門分野と関連しない業界を選ぶこともできるので、広い視野を持って検討したいところです。
この記事では、キャリアアドバイザーの隈本さん、柴田さん、小峰さんのアドバイスを交えつつ、工学部の就職先について解説します。工学部卒業後の進路を検討している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
工学部の就職先は幅広い! 自分に合った進路を見つけよう
工学部の就職先は専門分野に関連する職種から、文系職種まで幅広くあります。そのため、業界や職種を慎重に選び、自分に合った進路を見つけることが重要です。
この記事では工学部生の就職事情やおすすめの就職先、工学部生が活躍しやすい職種などを解説します。まずは就職の選択肢を理解することで、具体的な進路を決めやすくなりますよ。
記事の後半では、工学部生が就活を有利に進めるためのポイントも解説します。文系就職のコツや大学院進学のメリット・デメリットも取り上げるので、長期的な目線で進路を選択できるようにしましょう。
就活を始める前にこの記事に目を通して、スムーズにスタートすることで工学部から納得のいく就職を実現してくださいね。
就職に有利? まずは工学部の就職事情をつかもう
就職に有利? まずは工学部の就職事情をつかもう
- 工学部の就職率は高い
- ものづくり系職種で工学部生の需要が高い
- 進路は幅広く文系就職や進学もある
一般的に「工学部は就職に有利」と言われていますが、その実態はどうなっているのでしょうか。まずは工学部生の就職率や需要が高い職種をチェックして、自身の進路を検討していきましょう。
ここでは工学部の就職事情について解説していきます。
工学部の就職率は高い
工学部の就職率を見てみると、以下のように国公立/私立や地域の違いにかかわらず、非常に高くなっています。就職率100%の大学もあるほどです。
工学部の就職率の一例
一般的に、大学の学部別就職率で高い傾向にあるのは、国家資格取得を目指す看護などの医療系学部です。これらの学部は卒業してから専門的な資格を取得できるので、就職率が高い傾向にあります。
一方、工学部は資格取得を目指すための学部でないのにもかかわらず、就職率が高いのが特徴です。次の段落でそのわけを見ていきましょう。
ものづくり系職種で工学部生の需要が高い
内閣府の令和3年度国民経済計算年次推計によると、日本のGDP(国内総生産)のうち、全体の20%は製造業によるものです。これはサービス業に次いで2番目に多い業績で、日本における製造業の市場規模が大きいことがわかります。
そして工学部生は製造業全般で直接スキルや知見を活かせる人材なので、需要が高くなっているのです。
さらにIT技術の発展によっても、工学部の就職は有利になっていると言えます。製造業に限らずさまざまな業界でデジタル化が進められていることで、工学の知識・スキルを持つ工学部生が企業から求められています。
日本はものづくりを基幹産業としているため、そのための専門知識を有している工学部の学生は、就活市場ではとても需要が高いと言えます。
特に近年は日本のインフラが入れ替え時期に来ていることや、デジタル化推進などにより、さらに求められる場が増えてきているのです。
進路は幅広く文系就職や進学もある
製造業への就職以外にも工学部生の進路は幅広くあり、専門分野以外の業界に就職する人もいれば、営業職のような文系職種を選択する人もいます。
研究していた分野と関連がない業界への就職は一見難しいように見えますが、新卒の就活ではポテンシャルを重視する企業が多いため、十分実現可能です。
さらに工学部生は、大学院へ進学する人も多いのが特徴です。文部科学省の令和5年度学校基本調査によると、大学の工学部を卒業した87,851人のうち33,949人、つまり約4割の人が大学院へ進学しています。
このように工学部の進路は幅広いので、自身が実現したいキャリアや将来を見越して検討することが大切です。
- 工学部からの文系就職は、実際どれくらいの難易度ですか?
理系からの文系就職のハードルは人によって異なる
工学部からの文系就職の難易度は、それほど高くないと思います。就職で文系から理系の職種へ転身する人はあまり見かけませんが、理系から文系の職種へ転身する人は割といるからです。
理系の職種では専門的で特殊な技術やスキルが必要になりやすいですが、逆に文系の職種では汎用的な能力が求められます。
そのため、理系の人でも概念的な思考が得意な人は文系への転身が向いていて、逆に具体的な思考になりがちな人は向いていないというように、人によって難易度は異なると言えます。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
実は選択肢が多い! 工学部におすすめの就職先10選
就活を控えた工学部生のなかには、キャリアの方向性をまだ決められていない人もいますよね。工学部の就職先は幅広いため、自分に合った業界を見つけることが大切です。
ここでは工学部生におすすめの就職先を解説していきます。どんなキャリアを実現したいか想像しながら目をとおして、選択肢を把握しましょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分のやりたいことはもちろん、そのなかで適性ある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期退職に繋がってしまうリスクが高く、適職の理解が重要です。
そこで活用したいのが「適職診断」です。質問に答えるだけで、あなたの強みや性格を分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
まずは強みを理解し、自分がどの職業で活躍できるか診断してみましょう。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
①自動車・輸送機器業界
自動車・輸送機器業界とは
車やバイク・飛行機・船・電車・建設用車両などの乗り物を作る業界
人やモノを運ぶ乗り物を作る自動車・輸送機器業界は、陸上・海上・空で一定の需要があり、日本における主力製造業の一つです。
たとえばトヨタ自動車の2023年度 販売・生産・輸出実績によると、トヨタ自動車の世界自動車販売台数は1,123万台で、4年連続で世界1位となっています。
工学部生が自動車・輸送機器業界へ就職するなら、おもにエンジニアや整備士が、工学部で学んだ知識・スキルを直接活かせる点でおすすめです。特に国内大手自動車メーカーであれば高収入を実現しやすくなります。
ただし、国内大手自動車メーカーは学部問わず多くの学生から人気なので、その分就職難易度が高いことを覚えておきましょう。
大手自動車メーカーを目指すなら、選考対策に特に力を入れる必要があります。以下の記事では自動車業界の志望動機のポイントを解説しているので活用してみてください。
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自動車業界に特化した志望動機が作れる5ステップ|職種別例文8選
自動車業界の志望動機は、自動車業界でしか成し遂げられないことを明確に伝えることが重要です。この記事ではキャリアコンサルタントと一緒に、自動車業界で評価される志望動機の作り方を解説します。職種別の例文8選も参考にしてくださいね。
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②電気機器業界
電気機器業界とは
スマホや家電・PC・コピー機など、機器を研究・開発し、販売する業界
電気機器業界は、生活に欠かせない家電やスマホなどの機器を開発しています。電気機器業界は、おもに以下のように分けられます。
電気機器業界の分類
- 家電業界
- 重電業界
- OA機器
- 半導体業界
- 時計業界
従来はパナソニックホールディングスやソニーグループを筆頭に、日本メーカーは電気機器業界で世界シェア上位を独占していましたが、韓国や中国などで低価格かつ高性能な製品が多く生産されたことで、今では他国メーカーに逆転されています。
ただし、日本メーカーは他国メーカーに引けを取らない技術力があるのは事実です。たとえばIoTのような新しい技術の普及によって、市場規模の拡大が期待されています。
IoTとは
Internet of Things(モノのインターネット)の略で、従来ネットに接続されていなかったモノが相互に情報交換をする仕組み
工学部生が電気機器業界に就職するなら、おもにエンジニアや製造職が有利な職種として挙げられます。また学科によって電気機器業界のなかでも活かせる知識が異なるので、自身の専門分野から検討するのがおすすめです。
高い技術力を誇る日本製品は近年の継続的な円安の影響により、以前の元気を取り戻してきています。
またIoT化の推進や、日本国内のインフラの老朽化による再整備の需要など好材料も多く、今後も注目すべき業界であると考えます。
③鉄鋼業界
鉄鋼業界とは
鉄鉱石やコークスなどの原料から鉄鋼を製造・加工し、それを販売する業界
鉄鋼は、鉄を必要とする電化製品やビル・マンションや道路など、さまざまな場所で活用されています。
世界鉄鋼協会の世界鉄鋼需要量の推移によると、2023年の世界の鉄鋼需要量は18.1億トン、2024年は18.5億トンと予想されていて、世界の人口増加や経済成長にともない、需要拡大が見込まれているのが鉄鋼業界の特徴です。
鉄鋼業界はおもに、鉄の製造や加工をおこなう鉄鋼メーカーと、販売会社に分けられます。鉄鋼メーカーはさらに、取り扱い原料や製造方法の違いによって、以下の3つに分類できます。
鉄鋼メーカーの種類
- 高炉メーカー:高炉という設備で鉄鉱石などの原料から鉄鋼製品を作る
- 電炉メーカー:鉄スクラップを原料として鉄鋼製品を作る
- 特殊鋼メーカー:溶かした鉄スクラップにレアメタルを加えて特殊な鋼材を作る
上記のうち高炉メーカーは、高炉の建設や維持において多額のコストがかかるため、大手企業が多いです。なお鉄鋼業界に工学部から就職するなら、研究開発職や製造・生産管理職がある企業が、理系学生の採用に積極的なため有利と言えます。
鉄鋼業界について理解を深めたい人は、こちらの記事もおすすめです。業界の魅力や向いている人の特徴を解説しています。
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鉄鋼業界のイメージはつかみにくいかもしれませんが、実は学生にとって魅力的な業界でもあります。この記事ではキャリアコンサルタントと一緒に、鉄鋼業界の仕事内容や魅力、就職するための対策を解説します。
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④エネルギー業界
エネルギー業界とは
石油や天然ガスなどの天然資源を、電力のような人々が使えるエネルギーに変えて供給する業界
資源の大半を海外から輸入する必要がある日本で、エネルギーを安定供給する役割を担うのがエネルギー業界です。生活に欠かせないエネルギーを供給するため、エネルギー業界で働くことは社会貢献度が高いと言えます。
なお工学部生がエネルギー業界で活躍しやすい職種は、研究・開発職です。エネルギー需要の増大にともなう対応や、環境問題の解決に携わります。具体的には、石油や天然ガスの埋蔵量を調査したり、風力・太陽光発電のような新しい発電技術の研究をおこなったりします。
エネルギー業界が気になる人には、こちらの記事もおすすめです。業界の仕組みや将来性を解説しています。
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- 研究・開発職に就きたいのですが、選択肢が広く迷います。工学部ならどの業界がおすすめですか?
自動車や半導体など技術革新の激しい業界がおすすめ
研究開発職を目指すうえで特におすすめの業界として、自動車産業、半導体業界、バイオテクノロジー、情報技術などが挙げられます。
自動車産業では、電動化や自動運転技術の進展により、機械工学、電気工学、コンピュータサイエンスの専門知識が求められます。半導体業界は、物理学や化学のバックグラウンドを持つ人材が重宝されるでしょう。
バイオテクノロジーでは、医薬品や医療機器の開発に生物学や化学のスキルが必要です。情報技術業界では、AI(人工知能)やデータサイエンスのスキルを活かした研究開発が盛んにおこなわれています。
これらの業界は、技術革新が激しく、高い専門性と創造性を発揮できる場が多いため、新たに研究・開発職を目指す人にとって魅力的な選択肢といえます。
⑤IT業界
IT業界とは
情報技術に関連するサービス・ネットワークを展開する業界
IT業界は、もはや人々の生活に欠かせないサービス・製品を提供しています。総務省の令和5年版情報通信白書によると、情報通信産業のGDPは商業・不動産に次ぐ3位の規模で、GDP全体の9.7%を占めます。AIや5Gなど新しい技術が生まれ、さらに発展が期待できる業界の一つです。
IT技術にはさまざまなものがあり、IT業界のなかでさらに以下の業界に分類できます。
Web業界 | WebサイトやWebサービスなど、インターネットを利用したサービスを提供する業界 |
通信業界 | インターネットを使ううえで必要な、通信インフラの設置や運用をおこなう業界 |
ソフトウェア業界 | OSやアプリケーションなどのソフトウェアを開発する業界 |
ハードウェア業界 | パソコンやスマートフォンなどのハードウェアを設計・製造する業界 |
情報処理業界 | 大量のデータを効率的に処理・分析するための、システム開発・運用・保守などをおこなう業界 |
工学部生は専門性を直接活かせるケースが多いため、IT業界での就職に有利です。たとえば情報工学を専攻しているなら、通信業界で知識やスキルを活かせます。
今IT業界で特に押さえておきたいトレンドとして、「生成AI(生成的人工知能)」があります。
生成AIとは、学習したデータのなかから答えを出すだけでなく、自分で考える力も持ったAIのことです。
生成AIの活用による生産性向上やサービス強化に取り組む企業が急速に増えてきているので、その特徴や適性を理解しつつ、ぜひ自身でも活用したり、さまざまなアイデアを考えたりしてみてください。
IT業界については、以下の記事でそれぞれさらに詳しく解説しています。選考の特徴やトレンドを押さえて周囲と差をつけましょう。
IT業界
IT業界を徹底解剖! 押さえておきたい将来性やトレンドまで解説
Web業界
Web業界の全貌を徹底調査|選考突破の秘訣や自己PR例文も解説
ソフトウェア業界
ソフトウェア業界のすべてがわかる! 選考を突破する方法も解説
通信業界
例文6選|通信業界の志望動機を書くコツと業界理解を深める方法
⑥化学業界
化学業界とは
原料を調合したり組み合わせたりして化学品を開発・製造し、さまざまな産業に販売する業界
化学業界は石油や天然ガスなどの資源を原料にして、プラスチックやゴム・合成繊維・化粧品などの幅広い製品を製造しています。さまざまな化学メーカーがありますが、おもに以下の3分野に分けられます。
化学メーカーのおもな種類
- 総合化学メーカー:原料の調達や製品の企画・開発・製造まで自社で一貫しておこなう
- 誘導品メーカー:化学製品の製造に必須となる中間材料を販売する
- 電子材料メーカー:半導体やディスプレイなどの電子材料の製造・販売をおこなう
工学部生が化学業界に就職するなら、メーカーの生産技術職や研究開発職が最適です。特に化学を専攻している場合、知識を直接活かせます。自身の専門分野や興味のある化学製品をチェックして、就職先を検討しましょう。
就活では、実際に商品を市場に届ける川下のメーカーが注目されがちですが、川上・川中のメーカーにも目を向けてみましょう。
化学業界における川上や川中の企業は、新しい材料や化合物の開発に重要な役割を果たしています。
業界全体のイノベーションを推進するキープレイヤーとして、多くの革新的な製品の根幹を支えられるのが魅力です。
化学業界のなかでも、化粧品業界は毎年学生から人気があります。高倍率の選考を勝ち抜くためには、こちらの記事で就活のポイントをチェックしておきましょう。
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多くの人が華やかな印象を持つ化粧品会社。そこでの就職を成功するためにはイメージだけではない深い業界理解が必要不可欠です。ここでは、化粧品業界の就職に必要な3つのステップや、ライバルと差をつけるポイントをキャリアコンサルタントが徹底解説しているためぜひ参考にしてみてください。
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⑦食品業界
食品業界とは
加工食品から清涼飲料水・アルコール類・調味料などの食品原料まで製造をおこなう業界
食品業界では肉や魚・野菜などの原材料からお菓子や冷凍食品まで、幅広いものを製造しています。近年では人口減少や高齢化にともない、国内の市場規模は縮小していますが、海外マーケットは拡大傾向にあるため、海外に進出する企業が増えています。
農林水産省の令和5年8月 食品産業をめぐる情勢によると、世界の飲食料市場規模は2015年で890兆円でしたが、2030年には1,364兆円に増えると予想されているほどです。
なお食品業界は、工学部からの就職がしやすい業界の一つです。おもに商品開発や既存商品の味・食感の改良などをおこなう研究開発職で需要があります。食品の研究開発に興味がある人は、選択肢の一つとして検討してみましょう。
食品業界に興味がある人は、早めの選考対策が重要です。こちらの記事では志望動機例文9選を紹介しているので、併せて確認してイメージを付けておきましょう。
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こちらの記事では飲料メーカーの仕事を詳しくまとめています。飲料メーカーに興味がある人は参考にしてみてください。
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⑧医薬品業界
医薬品業界とは
医薬品の研究開発や効果の確認・販売までおこなう業界
医薬品業界は、おもに医薬品メーカーによって構成されています。医薬品メーカーでは、新薬の開発とジェネリック医薬品の開発がおもな事業です。
医薬品メーカーにおいて新薬開発は特に重要な事業ですが、一般的に新薬開発はハイリスク・ハイリターンの構造と言われています。これは新薬開発には10年単位の長い期間と数百億円規模の費用がかかるのが一つの要因です。ただし新薬が開発できれば、年間1,000億円を超えるほどの利益が見込めるとされています。
なお工学部から医薬品業界に就職するなら、研究・開発職が有利です。研究職は医薬品の有効成分の分析や薬の合成実験、そして開発職は臨床試験をおこない医薬品開発をするのが役割となります。
- 工学部から就職する場合、医薬品業界はやっぱり一番稼げますか?
自身の適性に合っているかどうかでも稼げるかは変わってくる
一般的に医薬品業界は高収入が期待できると言われていますが、どの業界であっても収入額は個人の能力や成果によります。
収入額の高低よりも、収入アップを継続・維持し続けることの方が生涯収入額を高めることにつながるため、重要です。
だからこそ、単純な年収額より、自分の強みや適性に沿った業界や業種を選ぶことを意識しましょう。
こちらのQ&Aでも、製薬会社への就職についてキャリアコンサルタントが解説しています。目を通して業界理解を深めましょう。
⑨建設業界
建設業界とは
ビルや住宅の建築から、道路や水路の整備などの大型工事まで手掛ける業界
建設業界は、おもに大規模ビルや商業施設・住宅を作る建築分野と、道路や鉄道などのインフラを作る土木分野に分けられます。
国土交通省の令和5年 最近の建設業を巡る状況についてを見てみると、全体の建設投資である58.4兆円のうち、22.5兆円が土木分野、35.9兆円が建設分野です。このように、建築分野と土木分野で規模に違いはあるものの、どちらも民間と国の両方から投資される点で業界全体的に安定しているのが特徴と言えます。
工学部から建設業界に就職するなら、建造物の設計をして図面におこす設計職や、建設業のシステム関連の新規開発をおこなう技術開発職が活躍しやすいです。特に建築学科を卒業すると、設計職の建築士として必須となる建築士資格を取得しやすい点でおすすめです。
こちらの記事では建設業界の動向から仕事内容まで解説しています。興味がある人は併せて確認してみてください。
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建設業界は安定した業界ですが、課題が多く働き方を変化させている業界です。そのため、建設業界を目指すなら業界のトレンド理解が重要です。この記事では、建設業界の特徴や業種・職種、内定までのステップを、例文を交えてキャリアコンサルタントと解説します。
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⑩官公庁・公務員
工学部生には、官公庁や公務員を目指す選択肢もあります。工学部から公務員になる場合、専門知識を活かせる理系職の技術系職員と研究員がおすすめです。
技術系職員は、建築や土木などのインフラ整備に携わったり、統計調査をおこなったりします。一方の研究員は、国立研究所や地方公共団体などの公的研究機関で研究に従事します。
公務員として技術系職員になるには、公務員試験の理系区分で合格することが必須です。また省庁の技術職員になりたい場合、国家公務員試験に加えて各省庁の採用試験に合格する必要があります。
なお研究職は新卒採用が少ないことから、かなり難易度が高いです。公務員試験だけでも難易度が高い点で、さらに狭き門となることを覚えておきましょう。
公務員と民間企業を併願する人には、こちらの記事もおすすめです。両立のコツや選考スケジュールを解説しています。
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公務員と民間企業の併願で共倒れ? 状況別で両立のコツを解説
公務員と民間企業の併願は可能です。まずは併願するメリットデメリットを理解しましょう。この記事では公務員と民間企業を併願するためのコツをキャリアコンサルタントが解説します。
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公務員の技術系職員は専門性を活用しながら社会インフラを整備するなどやりがいもあり、かつ安定しているので大変人気があります。
国家や地方、どこを受験するにしてもただ何となく目指すのではなく、各省庁や職場にどのような職種があるのかをよく調べたうえで志望しましょう。
アドバイザーコメント
隈本 稔
プロフィールを見る工学部の学生が持つ技術はさまざまな業界で必要とされる
工学部出身の人にとって、就職先の選択肢は非常に多いです。
自動車・輸送機器業界では技術革新の最前線を経験する機会があり、電気機器業界は家電から重電、OA機器まで扱う製品が広範囲にわたります。
また鉄鋼業界やエネルギー業界では、重工業の基盤を支える材料製造、持続可能なエネルギー源の開発にも携わるチャンスがあるでしょう。
ほかにもIT業界では、情報技術を用いて社会の構造を変える製品やサービスの開発にかかわることができます。また建設業界や公務員技術職としてのキャリアパスもあり、公共のインフラ整備や政策の立案に、技術的な視点活用が期待されているのです。
各業界の特性と自分の専門性を照らし合わせてベストな就職先を探そう
これらの業界では、工学部生が学んだ専門知識を活かし、実践的なスキルを身に付けることができるため、自分の専門性を活かしたい場合や社会貢献を重視する場合に特に適しています。
就職活動をする際には、各業界の特性を理解し、自分のスキルや興味がどの業界で最も活かせるかを考えましょう。またインターンシップや業界研究を通じて、具体的な仕事内容や職場環境を事前に確認することも大切です。
職種選びも重要! 工学部が活躍しやすい職種11選
職種選びも重要! 工学部が活躍しやすい職種11選
工学部生におすすめの就職先を解説しましたが、職種の観点からもキャリアを検討したい人もいるのではないでしょうか。具体的な職種を理解すれば業務内容までイメージしやすくなるので、就職後のミスマッチを減らすことにつながります。
ここでは工学部が活躍しやすい職種11選を解説するので、就活を始める前にチェックしておきましょう。
工学部から選択できる職種は多種多様です。職種を絞るにあたっては、自己理解と仕事理解をしっかりと深めたうえで判断しましょう。
自己理解では自身の興味・適性・価値観など、仕事理解では職種の仕事内容やその特性などについて理解していくと良いと思います。
研究系の職種2選
研究系の職種2選
- 電気・電子系研究者
- ロボット研究者
工学部で研究していた内容を活かして、そのまま就職後も研究を続けたいと考えている人も多いのではないでしょうか。そんな人には、専門知識を活かせる研究系の職種がぴったりです。
ここでは工学部生が活躍しやすい研究系の職種を解説するので、進路の参考にしてみてください。
電気・電子系研究者
電気・電子系研究者は、PCやスマホなどの電子技術を用いた製品の開発・製造をおこないます。具体的には、半導体を含む各種電気部品を組み合わせて、電化製品や新素材を開発するのがおもな業務です。
業界として「電気・電子製品は生鮮食品と同じくらいすぐに鮮度を失う」と言われるように、技術開発競争が激しくなっています。そのため電気・電子系研究者として働く場合、効率良くスピーディに新しいものを開発することが求められ、毎日の業務が忙しくなりやすいのが特徴です。
電気・電子系研究者は、電化製品が好きで開発に没頭できる人や、好奇心があって探究心にあふれる人に向いていると言えます。
ロボット研究者
ロボット研究者は、求められる作業に応じたロボットを製造したり、人や社会の役に立つロボットを新たに開発したりする職種です。たとえば医療や介護用として人の世話をするロボットや、製造業の工場で使われる産業用ロボットなどを開発します。
ロボット開発は設計・プログラミング・本体の製作など、どの部分を担当するかによって必要なスキルは異なります。またロボット工学に基づいて開発される点で、ロボット研究者になるには工業系の知識が必須です。
ロボット開発はおもに、現場のニーズに応えて作る場合と、コンセプトやデザインを引き継いで作る場合があります。どちらにおいても自身の好みの開発ができるわけではないため、ロボットが心から好きという人におすすめです。
なおロボット開発では、海外メーカーや大学の研究室などと技術交流をおこなうケースが多いため、英語をはじめとする語学力が必要となることも覚えておきましょう。
研究職では、英語での読解力だけでなく、会議でのコミュニケーション能力やプレゼンテーションスキルが求められます。
専門用語を理解し、自らの研究を正確に説明できるレベルの英語能力が期待されると認識しましょう。
就活でどの程度の英語力が求められるのかわからない人は、こちらの記事で確認しておきましょう。ケース別に必要なレベルを解説しています。
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英語力は就活への影響大! 求められるケースとレベルを徹底解説
就活において英語は強力な武器になります。英語が採用条件もしくはプラス評価になるケース、求められる英語力などについて現場のプロであるキャリアコンサルタントと解説します。より良いキャリアを選択するためのカギにしてください。
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研究職を志望する人には、こちらの記事もおすすめです。研究職のおもな就職先やそれぞれの仕事内容まで解説しています。
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研究職ってどんな仕事? 狭き門を勝ち抜くための志望動機例も紹介!
研究職を志望する場合は、仕事内容や適性の理解が必須です。また研究職のメリットデメリットも押さえておきましょう。この記事では研究職に向いている人の特徴や研究職に就くコツをキャリアコンサルタントが解説します。志望動機例文も紹介するので参考にしてください。
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ものづくり系の職種5選
ものづくり系の職種5選
- 機械設計・開発職
- 自動車整備士
- システムエンジニア
- サービスエンジニア
- セールスエンジニア
工学部はものづくりや製造開発に特化している点で、ものづくり系の職種は学んだ専門分野を直接活かしやすく、工学部生に最もおすすめの職種の一つと言えます。
ここでは工学部生が活躍しやすいものづくり系の職種を解説するので、自身に合う職種を探してみてください。
機械設計・開発職
機械設計・開発職は、機械が動く仕組みを設計する仕事です。具体的な業務として、CADやCAMを使った設計図作りや、製品開発に必要な部品・素材の選定などが挙げられます。
そのため機械設計・開発職は、設計図を見たり書いたりすることや、プラモデルの組み立てが好きな人におすすめです。
CADとは
Computer Aided Designの略で、コンピュータ上で製図をおこなうためのツール
CAMとは
Computer Aided Manufacturingの略で、CADで作成した図面をもとに機械加工に必要なプログラムを作成するツール
なお実際の業務では設計チームが組まれ、それぞれのフェーズごとに担当が割り振られて製品設計・開発が進められるため、協調性やコミュニケーション能力も求められます。
機械設計・開発職には機械工学の知識が必須なので、工学部からの就職は有利になりやすいです。機械設計技術者やCAD利用技術者などの資格を持っていると、さらに実力をアピールできます。
機械設計・開発職は何と言っても、何もないところから新しい製品を作り上げ、それが世のなかで活用されることが大きなやり甲斐やモチベーションにつながるでしょう。
また地道に経験や技術を積み上げなければならないので、簡単に替えの利かない貴重な人材になれるのも魅力的ですね。
自動車整備士
自動車整備士は、車の点検や整備・修理をおこなう仕事です。おもな業務としては車検にともなう整備や、故障が発生した場合の緊急整備などが挙げられます。加えて顧客に車の状態をヒアリングしたり、整備箇所の説明をしたりするのも重要な業務の一部です。
自動車整備士になるには、国家資格が必要です。自動車整備士資格には等級があり、以下のようにそれぞれ担当できる整備内容が異なります。
自動車整備士資格の等級 | 種類 | 概要 |
---|---|---|
一級自動車整備士 | 一級大型自動車整備士 | 総重量8t以上で最大積載量が2t超える車両(トラック)を整備できる |
一級小型自動車整備士 | 総重量8t未満で最大積載量が2t以下・定員10名以下の普通自動車と四輪・三輪の小型自動車・軽自動車を整備できる | |
一級二輪自動車整備士 | 二輪自動車(バイク)を整備できる | |
二級自動車整備士 | 二級ガソリン自動車整備士 | ガソリンエンジンを搭載した普通自動車や小型自動車の四輪・三輪・軽自動車を整備できる |
二級ジーゼル自動車整備士 | ジーゼルエンジンを搭載した普通自動車や小型自動車を整備できる | |
二級自動車シャシ整備士 | シャシ(エンジンとボディを除いた部分)を整備できる | |
二級二輪自動車整備士 | 二輪自動車や原動機付自転車の一般的な整備をおこなえる | |
三級自動車整備士 | 三級自動車シャシ整備士 | 普通自動車、四輪・三輪の小型自動車、四輪・三輪の軽自動車のシャシを含む基礎的な整備ができる |
三級自動車ガソリン・エンジン整備士 | 普通・小型四輪ガソリン自動車、三輪の小型自動車、四輪・三輪の軽自動車のエンジンを含む基礎的な整備ができる | |
三級自動車ジーゼル・エンジン整備士 | ジーゼル自動車のエンジンを含む基礎的な整備ができる | |
三級二輪自動車整備士 | 二輪の小型自動車・軽自動車の基礎的な整備ができる | |
特殊整備士 | 自動車タイヤ整備士 | 自動車のフレームやボディ部分の整備や修理、板金塗装などに特化した整備ができる |
自動車電気装置整備士 | 自動車の電子制御部やバッテリー、冷暖房装置など電子回路にかかわる整備ができる | |
車わくおよび車体 | タイヤの点検や修理・整備を専門的におこなう |
工学部の自動車工学のような関連学科を卒業すれば実務試験が免除されるため、資格を取って自動車整備士になりやすいのがポイントです。資格取得には学んだ知識をそのまま活かせるだけでなく、ディーラーや自動車整備工場などに就職する際にも有利になります。
システムエンジニア
システムエンジニアは、顧客からの要望をもとにシステムを開発する仕事です。具体的には、開発に必要なシステムの設計やプログラミングを担当します。また案件によっては、システムの納品後も運用・保守をおこなうこともあります。
システムエンジニアは、工学部からの就職がしやすい職種の一つです。特に情報系の学科では、システム開発に必要な知識を学べる点で有利と言えます。
なおシステムエンジニアに必須の資格はなく、関連性のない学科からでも就職が可能です。システムエンジニアには論理的な思考が求められるため、化学や物理科目が得意な人に特に向いているかもしれません。
ただし、システムエンジニアは顧客やチームメンバーとのやりとりが多く発生する職種なので、思考力だけでなく協調性やコミュニケーション能力も求められることを覚えておきましょう。
システムエンジニアの仕事内容は多岐にわたります。こちらの記事で仕事の特徴や選考対策について解説しているので、併せて参考にしてみてください。
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システムエンジニアは、クライアントのニーズに最適なシステムの開発を担う職種です。この記事では、システムエンジニアに興味をもっている新卒就活生向けに、システムエンジニアの仕事内容や向いている人、必要な準備などをキャリアコンサルタントと解説します。
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- 工学部からシステムエンジニアになるなら、どんな企業が活躍しやすいですか? IT企業が多すぎて選べません。
自分の興味や特性にマッチするかどうかで企業を探してみよう
工学部の学生がシステムエンジニアとして活躍しやすい企業を選ぶ際には、まずは自身の興味や専門分野に合った企業を選ぶことが大切です。
ゲームが好きならゲーム開発をおこなっている企業、金融や医療など特定の業界に興味があるならば、分野特化のシステム開発会社など、まずは自分の興味分野から調べてみましょう。
実務経験がないなかで、入社してすぐにシステムエンジニアとして活躍できるとは限りません。
そのためスキルアップが必要になることを認識したうえで、企業説明会やインターンなどを活用し、実際の職場環境や社員の働き方、将来性なども確認しておきましょう。
サービスエンジニア
サービスエンジニアは、システムサービスや製品の運用・保守をおこなう仕事です。提供するサービスで発生した問題を解決したり、顧客がサービスを使ううえでのサポートをしたりします。また顧客からの問い合わせに電話やメール・チャットで対応するのも業務の一部です。
サービスエンジニアは工学部のなかでも、情報工学の知識や技術がある学部生が活躍しやすいと言えます。なお一般的なエンジニア職と比べて、技術営業職と呼ばれる側面もあり、サービスエンジニアは顧客のサポートやフォローがメインの仕事です。
そのため工学部で学んだ専門知識に加えて、協調性やコミュニケーション能力を活かしたい人におすすめです。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、技術的な側面から営業職をサポートする仕事です。おもに製品やサービスを販売する営業職と顧客に向けて、製品の説明をしたり実演をしたりします。
たとえばソフトウェアの販売において、営業職では説明が難しい専門知識があると、その都度エンジニアに質問する手間が掛かります。そこでセールスエンジニアがいれば、営業職がわからない部分を現場で説明できるので、セールスがスムーズになるということです。
エンジニアという名前が付きますが営業職に近い職種なので、工学部で学んだ専門性を活かしながらも、営業職寄りの職種に就きたい人は検討してみてください。
セールスエンジニアになりたい人は、こちらの記事もチェックしておきましょう。一般的な営業職との違いや将来性まで解説しています。
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セールスエンジニアのような顧客とかかわる職種の魅力としては、何より顧客と直接話ができるという点にあると思います。
生の声というのは、良い評価もあれば、厳しい指摘である場合もあるものです。
しかしこうした反応から顧客の本音やコアなニーズに触れることができるため、自身の経験やキャリアにおいて、より成長につなげられる貴重な機会になるでしょう。
管理系の職種2選
管理系の職種2選
- 品質管理
- 生産管理
管理系の職種は工学部生が活躍しやすい職種の一つですが、具体的な業務までイメージできる人は少ないのではないでしょうか。
管理系の仕事のなかでも職種によって役割が異なるため、まずは基礎を理解しておきましょう。ここでは工学部生が活躍しやすい管理系の職種を解説します。
品質管理
品質管理とは、製品やサービスの生産過程で一定の品質を保つように管理する仕事です。簡単に言うと、不良品をなくすことで製品やサービスの信頼を保つ役割を担います。
一般的には生産過程における品質を守ることを指しますが、企業によっては企画段階や納品後の品質保証を含めて指す場合もあります。
品質管理の仕事はどんなメーカーにおいても重要です。そのため機械製品から化粧品・食品など、幅広い業界において品質管理の仕事があります。工学部からのキャリアとしては、専門知識を活かしやすい機械や電気製品メーカーの品質管理がおすすめです。
また品質管理では、相関分析や多変量解析法などの手法が使われる点で、専門性を直接活かせなくても理系の知識が役立つため、工学部から就職しやすいと言えます。
品質管理は外から見えにくい仕事のため、イメージが湧かない人も多いかもしれません。こちらの記事では具体的な仕事内容や求められる能力を解説しているので、併せて参考にしてみてください。
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生産管理
生産管理とは、おもに製造業の生産体制の構築・改善をおこなう仕事です。具体的には、スケジュールどおりに必要な数量の製品を生産するために、以下のような業務をおこないます。
生産管理のおもな業務
- 工場の新設計画
- 生産工程の決定
- 人員の配置
- 在庫管理
生産管理は、特に生産工学の知識がある学生に有利ですが、研究・開発職ほど専門知識は求められないため、幅広い工学部生にチャンスがある職種の一つです。
生産管理の仕事では社内外の関係者との連携や調整が必要なので、コミュニケーション能力と状況判断力が求められます。就職する企業によって扱う製品が変わるため、興味のある製品や専門分野が活かせそうなサービスを提供する企業から選ぶのがおすすめです。
- 工学部から技術系の職種ではなく、管理系の職種に就職するのはもったいないでしょうか?
管理系職種でも工学部からのその後のキャリアは豊富にある
生産管理や品質管理部門には工学部出身のメンバーも多く、技術系の知識は大いに役立ちます。
以前はこれらの部署だと役員になるのは難しいと考えられていましたが、近年では自動車部品メーカーで生産管理領域から社長に就任した人もいるなど、その重要性が業界内で認められつつあるのです。
また海外に生産拠点を持つ製造業では、現場のマネジメントを担う人材を日本の本社から送り込む必要があるため、海外駐在の可能性もほかの部署より比較的高めです。
そのためグローバルに活躍したい人にもおすすめします。
そのほかの職種2選
そのほかの職種2選
- 建築士
- 教員
ここまで工学部が目指せる代表的な職種を紹介してきましたが、最後にほかにも検討しておきたい職種を2つ紹介します。
まだ就活の方向性が決まっていない人は、ここで解説する工学部が活躍しやすいそのほかの職種を知って、キャリアの方向性を検討するための参考にしてみてください。
建築士
建築士は、住宅や商業施設、ビルなどの設計をする仕事です。建築士になるには国家資格が必要ですが、取得できれば建築士の独占業務をおこなえます。
建築士の独占業務の例
- 設計
- 工事監理
- 工事管理業務
- 建築工事契約に関する事務
- 建築工事の指導監督
- 建築物に関する調査または鑑定
- 建築に関する法令または条例に基づく手続きの代理
このように建築士は多くの独占業務がある国家資格なので、建築設計事務所や建設会社への就職に有利となります。また業務経験を積むことで独立を目指すことも可能です。
なお国家試験を受けるには、一定の学歴要件や実務経験が求められますが、4年制大学の建築学科を卒業すれば、実務経験なしで二級建築士を受験できます。
さらに一級建築士を目指すなら、4年制大学の建築学科を卒業して実務経験を2年積むことで受験資格を得られます。ほかの学部よりも建築士としてのキャリアを実現しやすいため、工学部の建築系学科でものづくりや建築が好きな人は検討してみましょう。
建築士を目指す際のリスクとして、専門性が高く、狭い分野に特化する職種のため、キャリアの転換が困難になるかもしれません。
またプロジェクトのプレッシャーも大きいため、ワークライフバランスを保つことが難しくなるケースもあります。
教員
教職課程がある大学の工学部からは、中学・高校の教員になる選択肢もあります。工学部から教員になる場合、複数の科目が選択できるため、将来教えたい教科・科目から進路を考えることが可能です。工学部生はおもに以下の科目の教員免許を取れます。
工学部から取れる教員免許の科目例
- 数学
- 理科
- 技術
- 工業
- 情報
なお教職課程が設置されている工学部のなかでも、学科によって取得できる教員免許の教科・科目は異なります。教員への進路に興味があるなら、早い段階で自身の学科でどのような選択肢があるか確認しておきましょう。
工学部生は文系職種にも就職できる! 選択肢とコツを押さえよう
工学部生は、一見専門分野とまったく関係ないような、文系職種への就職も可能です。工学部から文系職種を狙って就活する場合、工学部生ならではの選択肢や強みがあるため、チェックしておきましょう。
ここでは工学部生が文系職種へ就職する選択肢やコツを解説するので、自身の就活に活かしてみてください。
文系職種を目指す場合のおもな選択肢
工学部生が文系職種を目指す場合、おもに以下の選択肢が挙げられます。文系職種は幅広くあるため、自身のやりたいことや興味がある業界などから志望先を検討することが大切です。
文系職種を目指す場合のおもな選択肢
- 営業職
- 人事・総務職
- 経理職
- 広報職
- 企画職
- 販売・サービス職
数ある就職先のなかで、「なぜ文系職種を選ぶか」を深掘りすることで、自身の進路を決めやすくなります。
なお文系就職では、理系のような推薦応募がほとんどありません。一般的な公募形式で選考が進むので、企業ごとに応募が始まるスケジュールを確認しておきましょう。
文系就職することの魅力としては、幅広い職種があることから、経験を積みながら自分の興味の変化や適性への気付きに応じて、キャリアチェンジにトライしたり、さまざまなキャリア選択が可能になったりすることが挙げられます。
文系の職業をもっと知りたい人は、こちらの記事もおすすめです。見落としがちな職業や文系の職業を探す方法を解説しています。
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文系の職業は多種多様です。この記事では文系が就職しやすい職業や専門性を活かせる職業を紹介。また自分に合った文系の職業を探す方法や希望の職業に就くためのコツをキャリアコンサルタントが解説します。就職先に悩む人は参考にしましょう。
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工学部生が文系就職でアピールできる強み
文系就職には不安もあるかもしれませんが、以下のような工学部生ならではの強みをアピールすることで差別化できます。
工学部生が文系就職でアピールできる強み
- 論理的な思考ができる
- 興味がある分野をコツコツと学び続けられる
- 細部までこだわる力がある
- 研究で培った分析力がある
- 業界によっては専門性を活かせる
またそもそも、文系職種は文系学生からの応募がほとんどのため、そこで理系の工学部生が応募すること自体、採用担当者の目に止まる要素の一つになるかもしれません。
さらに工学部生は専門分野の研究をしている点で、社会人に求められる論理的思考や分析力がすでに備わっているケースが多いです。物理や化学などの幅広い分野を勉強してきたことによる学習能力や、ものづくりで培った探究心もアピールできます。
このように、工学部生は文系出身の学生とは異なる強みが多いので、うまくアピールすることで文系職種の就職を目指せます。
- 文系就職を視野に入れていますが、何か注意すべきことはありますか?
文系職種とのギャップを埋めて専門性が活かせることを示そう
工学部出身で文系職種を目指す場合、まずは専門分野の知識・経験が就職希望先の文系職種にどう活かせるか明確にすることが重要です。
理系の知識や論理的思考能力は文系業界で求められる場面も多いため、自分のスキルをうまくアピールする準備をしましょう。
また文系職種特有の業務知識やスキルに対する理解が不足していると感じられる場合は、関連する資格取得やインターンへの積極的な参加などで、ギャップを早めに埋めることが重要です。
通常の就活準備と並行して、文系職種に特化した履歴書の書き方や面接練習にも取り組むと良いですね。
文系職種で求められるコミュニケーション能力や柔軟性を磨くことも、就職成功へのキーポイントとなります。
工学部なら迷う人が多い? 大学院進学の魅力とリスクを把握しよう
ここまで就職する際の選択肢を紹介してきましたが、工学部生には大学院進学という道もあります。工学部生なら就職するか、大学院に進学するかで迷う人が多いのではないでしょうか。大学院進学にはさまざまな魅力がある一方で、リスクもあります。
ここでは大学院進学のメリットとデメリットを解説するので、どちらも理解したうえで進路を検討しましょう。
大学院に進学するメリット
大学院に進学するメリットは、以下のようなものが挙げられます。
大学院に進学するおもなメリット
- 好きな研究を続けられる
- 研究職の就職に有利になる
- 就職時の基本給が学部卒より高くなる
大学院では、自身が専攻していた分野で研究を続けて、さらに専門性の高い知識を得られます。これにより研究職の就職で有利になりやすいため、研究職として就職を目指している人にはぴったりです。
また大学院で博士課程に進んだ場合、教授や研究者になるキャリアも選択肢に入ってきます。
さらに就職時は、学部卒よりも大学院修了後のほうが基本給が数万円高くなる傾向にあります。たとえば月給が2万円高かった場合、基本給のみで年間24万円の差が出て、ボーナスも考慮するとさらに待遇が良くなります。この点も大きな違いかもしれません。
大学院に進学するデメリット
大学院に進学するデメリットは、以下のとおりです。
大学院に進学するおもなデメリット
- 進学に学費がかかる
- 社会人経験がほかの社会人より遅れる
まず、大学院に進学すると学費がかかります。特に私立の大学院は学費が高いため、経済的な負担が大きくなるでしょう。奨学金がもらえれば進学しやすくなりますが、将来的に返済する金額が増えることも考慮しなければなりません。
さらに大学院に進学すると、学部卒で就職した人よりも社会人経験が数年遅くなります。修了までには修士で2年間、博士で3年間が最低でもかかるため、その分同じ年代の社会人とスタートダッシュで差がつくことを理解しておきましょう。
大学院に進学する一つのメリットは、より具体的な専門性を持てることです。
そのため自分の興味関心が絞り込めているときには良いのですが、まだどのような仕事がしたいのか具体的に決まっていない場合は要注意です。
後から興味のあることが出てきたとしても、簡単にキャリアパスを変えられないこともあり得るので、院進学の検討は慎重におこないましょう。
大学人に進学する場合は、その後の進路をどうするかまでイメージをつけておくことが大切です。こちらのQ&Aでは理系院生の就活の実態に触れているので、併せて参考にしてみてください。
キャリアの専門家に聞いた! 工学部から大学院に進学すべき人の特徴
大学院進学のメリット・デメリットについて解説しましたが、実際に自分は大学院進学すべきかどうかわからない人もいるのではないでしょうか。
大学院進学の目的や修了後のキャリアまで見すえることで、自身が実現したいキャリアを決めやすくなります。
ここではキャリア形成や就職のプロであるキャリアコンサルタントの小峰さんに、工学部から大学院に進学すべき人の特徴について詳しく聞きました。進路に迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
アドバイザーコメント
小峰 一朗
プロフィールを見る進学すべきかどうかは自分自身の内面的な要素から判断することが重要
大学院に進学した方が良いかどうかは、個人の興味や価値観、適性などによるところが大きいと思います。
もちろん大学院に行くと基本給が高くなるとか、社会人経験が少なくなるなど、条件や環境などの外面的なメリット・デメリットもありますが、人生100年時代と言われる現代においては、大卒で就職した人とあまり大差は出ないと考えられます。
自己理解を深めて後悔しない進路選択をしよう
工学部としての進路を決定するにあたっては、内面的な要素でその向き・不向きを考えておくことが重要です。
大学院で研究を続けていくにあたって、本当にその分野に興味を持っているかどうか、その研究にどんな意義や意味を感じているのか。
またその研究が自分にとって没頭できるほど向いているのか、その分野の勉強や研究をやってみてどれだけ自分が成長できたかなどを考える必要があります。
これらのさまざまな観点から、大学院に進学することへの意味付けをしっかり言語化してみることで、自分の個性に寄り添った進路に対する基準が見えてくるかと思います。
こちらのQ&Aでも、「大学院に進学するか迷う……」という質問にキャリアコンサルタントが回答しています。悩んでいる人はぜひ参考にしてくださいね。
これで迷わない! 工学部生が就職先を選ぶための4ステップ
これで迷わない! 工学部生が就職先を選ぶための4ステップ
業界や職種などの観点から工学部のさまざまな就職先について解説しましたが、進路がまだ決められない人もいるかもしれません。適切な手順で就職先を検討しないと、就活の軸がぶれてしまうため注意が必要です。
ここでは工学部生が就職先を選ぶための4ステップを解説するので、順番に取り組んでいきましょう。
①興味のある職種や業界を調べる
まずは現時点で興味のある職種や業界を調べて、どんな仕事があるかチェックしてみましょう。業界の知識を深めることで、キャリアの選択肢を見つけるきっかけになります。
複数の業界や職種を調べてそれぞれの特徴を知ると、比較できるようになります。そして職種ごとにどのような部分に惹かれるかを言語化することが重要です。たとえば以下のように、職種ごとの特徴を比べてみましょう。
比較すべき職種ごとの特徴
- 業界の将来性
- 業務内容
- 待遇
- 働く環境や場所
- ワークライフバランス
上記のうち、自身が働くうえで何を重視したいのかを明確にすることが大切です。そのなかから優先順位を決めて、それが実現できる業界や職種を選びましょう。
- 興味のあることがバラバラで、優先順位を付けるのが難しいです……。
興味以外のポイントを書き出してランク付けしてみよう
なんとなくのイメージだけで優先順位を決めるのは、たしかに難しく感じるでしょう。
そのようなときには業界・職種ごとに将来性や業務内容、待遇を書くことと並行して、それぞれの項目ごとに順位を付けてみましょう。
たとえば興味のある業界が5つあるとして、先述した将来性や業務内容、待遇などについて1~5位を決めていくのです。
そして5つの業界の合計ポイントを計算し、総合順位を出します。そのように絞り込んでいけば、かなり客観性のある選択ができるはずです。
業界研究は、コツをつかむとスムーズに進みます。こちらの記事でおすすめの方法を解説しているので併せて参考にしてみてください。
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業界研究のやり方|業界全体を捉えたうえで気になる業界を研究しよう
「就活を始めたけど、業界研究のやり方がわからない……」という人は多いでしょう。この記事では、業界研究のやり方について、キャリアコンサルタントのアドバイスを交えつつ解説します。志望業界を見つけるためにも、早めに業界研究をおこなってくださいね。
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②学びを活かせる分野や仕事を理解する
自身の学科で学んだことを活かせる仕事を理解することで、どんな環境なら活躍しやすいのか、目星をつけることができます。工学部での専攻分野を直接活かせる職種や業界なら、大学で培ったスキルや能力をアピールしやすいため、選考でも高評価を得られるかもしれません。
ただし、専攻を直接活かせる職種だけでなく、それ以外の仕事もチェックすることが大切です。就活をおこなう業界や職種を絞りすぎると、自身の可能性を狭めてしまう可能性があります。そのため学びを直接活かせる仕事を探しつつ、視野を広げて就職先を探すのがおすすめです。
先述のとおり、ポテンシャルを評価してもらえれば、工学部から文系職種への就職も十分可能です。キャリアの可能性を広げるためにも、エントリーする企業は幅広く検討しましょう。
学科ごとの活躍しやすい職種
工学部の学科ごとに活躍しやすい職種は、以下のとおりです。
学科 | 活躍しやすい職種 |
---|---|
電気工学・電子工学系 | 製造技術職・研究開発職 |
生命化学・応用化学系 | 生産管理・生産技術・品質管理・研究開発職 |
機械工学系 | 整備士・生産管理・生産技術・機械設計・開発・研究開発職・建築士 |
情報工学・通信工学系 | システムエンジニア・インフラエンジニア・Webエンジニア・サービスエンジニア・セールスエンジニア・研究開発職 |
学科ごとに活躍しやすい職種は、研究開発職や技術職が中心です。つまり専攻分野の知識や能力をそのまま業務に使える職種が、活躍しやすい職種と言えます。
新卒の就活では、ポテンシャル採用が多く取り入れられていますが、企業にとって即戦力となる人材は需要が高くなります。専攻と関連しない職種でも、即戦力になれるスキルや経験があれば、それを活かして挑戦してみるのも一つの手です。
③自分の軸に合う企業を絞り込む
これまでのステップで明確にした興味のある業界や職種のなかから、学びを活かせる企業を見つけましょう。
働くうえで重視したいことのうち、必ずかなえたい要素を決めて、それが実現できる企業から絞っていくのが効率的でおすすめです。
たとえば製造業に興味があって機械工学系の学科に属している人なら、やりたいことと専門分野が結びつく仕事として、自動車業界という選択が浮かぶかもしれません。さらに技術職、研究開発職、もしくは整備士などの選択肢があるなかで、自身の希望に合う企業を絞っていきましょう。
就活の軸に当てはまる企業が少ない場合は、徐々に企業の幅を広げて候補を増やしていくことが大切です。完璧な条件にこだわりすぎて自分に合う企業の選考に乗り遅れないように、エントリーする企業の候補は多めに出すようにしてくださいね。
理系学生が就職先を絞り込む際は、まずは自分の専門知識やスキルが活かせる業界や職種から重点的に調査しましょう。
また自身のキャリアビジョンと企業の将来性・研究開発の方向性を照らし合わせて選ぶという視点も大切です。
④OB・OG訪問やインターンシップで実態を把握する
研究室に所属しているとOB・OG訪問がしやすいため、積極的につながりを活用しましょう。
OB・OG訪問をすることで、その企業が本当に自身にマッチしているか、参考となる意見を聞くことができます。また工学部といっても専門分野はさまざまに分かれているため、自身の研究分野に合う業界や就職先を教えてもらえるのもメリットです。
また気になる企業のインターンに参加すると、業界の実態をある程度把握できます。近年では実務型のインターンが増えていて、実際の勤務と近い仕事を体験することが可能です。工学部からは幅広い職種が選択できるため、いくつかの職種のインターンに参加してみて、適性を確認しておきましょう。
なおインターンには最低でも3社程度参加することで、業界や企業を比較しやすくなります。複数社参加してから就職先を選べば、入社後のギャップを減らすことにもつながるはずです。
- 工学部のような理系学生でもインターンは参加すべきですか?
理系職は専門性が高いからこそ働く環境や社風への理解が重要
ずばり、参加すべきですね。理系の職業は専門的な仕事なので、資料や情報からどのような仕事なのかはある程度想像できるかと思います。
ただ、専門的な仕事であっても一人で完結できるものではなく、逆に専門的だからこそ環境や人間関係に左右されることも多くあります。
そのためその環境や人の雰囲気・風土といった目に見えないものを知るためにも、インターンのように直接感じ取れる機会を活用することは、とても大切なのです。
OB・OGの訪問をする予定の人は、こちらの記事もチェックしておきましょう。訪問の流れや必要な準備について解説しています。
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OB・OG訪問は社員のリアルな声を聞ける貴重な機会です。万全の準備をして最大限に活用しましょう。この記事ではOB・OG訪問の準備方法やマナーなどについてキャリアコンサルタントが解説します。OB・OG訪問を実施し、就活を成功させましょう。
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就活対策としてインターンに参加したい人には、こちらの記事もおすすめです。参加するメリットやインターンで使える例文を解説しています。
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インターンは、効率的な企業研究とスキルアップが可能な、一石二鳥の就活対策です。まずはインターンに参加するメリットデメリットを押さえましょう。この記事ではインターンの探し方や選考対策、おすすめのインターンなどをキャリアコンサルタントと解説します。
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就活を有利に進めるには? 工学部生ならではのポイント
就活を有利に進めるには? 工学部生ならではのポイント
就職先の候補が決まったら、内定を獲得するために行動することが大切です。エントリーが始まる前にできることはたくさんありますが、工学部ならではのポイントがあるため、事前に理解しておきたいところです。
そこでここでは就活を有利に進める方法を解説するので、自分にできることから進めていきましょう。
早めに就活をスタートして学業も怠らない
就活は3月にエントリーが始まり、6月に面接が解禁されるのが一般的なスケジュールです。しかし6月時点ではすでに内定を獲得している人が多いため、早めに就活を始めることが鍵と言えます。
早期選考を受けるには、スケジュールを確認することが重要です。業界や企業によって早期選考の有無や実施時期は異なりますが、特に外資系メーカーは早く選考をおこなう傾向にあります。
また企業によっては、夏季インターンの参加者のみを対象として早期選考を実施することもあるので、大学3年生になる頃には情報をチェックしておくようにしましょう。
ただし、就職活動を始めるうえで、大学を卒業することが大前提です。単位を落として留年したり、研究が終わらなかったりすると、卒業・就職ができなくなる可能性もあります。
また工学部生のような理系の学生は、3年生以降で研究室への所属と就活が重なります。特に4年生の11月以降は卒業研究で忙しくなるため、就活を早めに始めて内定を獲得しておくと安心です。
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研究内容やこれまでの成果を整理しておく
工学部の人は、面接やエントリーシート(ES)で研究内容をアピールしようと考えている人も多いのではないでしょうか。そこで重要なのが、自身の研究内容や学生時代の成果を整理することです。
特に採用面接では、自身の専攻に関する質問が頻繁にされるものです。そこでうまく説明できなかったり、自分の言葉でまとめられていなかったりすると、評価に響くかもしれません。
特にESを書く際や面接では、研究内容の説明だけにとどまらないように注意が必要です。研究内容を説明したうえで、そこから何を学んだか、その経験を企業でどのように活かしていきたいかまで掘り下げるようにしましょう。
工学部生の就職選考では、研究内容の専門性や深さ、新たな問題解決への応用能力が評価されます。
また研究プロジェクトの計画立案やスケジュール管理能力、チームでの協力、コミュニケーションスキルも重要なチェックポイントです。
学校の推薦枠を活用することも検討する
工学部のような理系学部では学校の推薦枠があるため、条件が合えば積極的に利用するのがおすすめです。学科や研究室・教授などに充てられた推薦求人に、学校の就職支援担当者や教授からの推薦状を添えてエントリーするため、公募よりも合格率が高くなります。
特に教授からの推薦は、研究室に所属している学生が対象となり、過去の採用実績があることも多く、内定を獲得しやすいです。
なお学校推薦の実施時期は大学や研究室によって異なります。中には具体的な時期や採用枠が決まっていなかったり、学校側に公表されていなかったりすることもあるほどです。
そのため学校推薦を利用したい場合は、説明会のスケジュールをこまめに確認したり、教授に相談したりすることが重要です。
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- 学校推薦で応募したら、100%内定がもらえるのでしょうか?
学校推薦は有利にはなっても確実ではないと考えておこう
学校推薦にもさまざまな種別があります。たとえば教授推薦であればかなり内定確率は高いものですが、学内推薦などは選考の一部が免除されるだけなので、自由応募よりも可能性が高い程度ということもあります。
「だったら教授推薦を得たから大丈夫」と安易に考えないようにしましょう。
選考段階で面接に大幅に遅刻する、あるはずの専門知識をまったく答えられないなどといったことがあれば、どんなに強いコネクションであっても内定を得られない場合もあります。
「多少は有利なはずだから大丈夫」と考えず、自由応募と同じようにしっかり対策を立てて準備しましょう。
資格に挑戦して実力を示せるようにする
志望する職種に関連する資格を取得できれば、就活を有利に進められます。工学部からの就活で役立つおもな資格は、以下のとおりです。
資格名 | 概要 | 適した学部 |
---|---|---|
建築士 | 建物の設計・工事監理をおこなうための国家資格 | 機械工学系 |
建設機械施工技士 | ブルドーザーや油圧ショベル・アスファルト・フィニッシャなどの建設機械を操作するための資格 | 機械工学系 |
自動車整備士 | 自動車の点検や整備、修理などをおこなうための国家資格 | 電気工学・電子工学系、機械工学系 |
危険物取扱者 | 一定数量以上の危険物を取り扱う化学工場・ガソリンスタンドなどで点検・保安監督をするための資格 | 生命化学・応用化学系、電気工学・電子工学系 |
電気主任技術者 | 発電所や工場・ビルの受電設備などにおける電気設備の保安監督として働くための資格 | 電気工学・電子工学系 |
CAD利用技術者試験 | 2次元・3次元などの技能や職種に応じてレベルアップできるよう構成されたCADエンジニア育成のための検定 | 機械工学系 |
取得する資格を選ぶうえで重要な点は、志望職種に求められる能力の証明になるかです。たとえば機械設計・開発職として就職したい人は、CAD利用技術者試験を取得することで、資格を持っていないほかの学生よりも即戦力になることを証明できます。
一方、周りの学生が取得しているからといって、TOEICなどのメジャーな資格を取ったとしても、自身が志望する職種には直接役立たない可能性があるので、焦って流されないように注意しましょう。
理系向けの役立つ資格をもっと知りたい人は、こちらの記事でチェックしてみてください。資格の選び方や取得にかかる勉強時間の目安を解説しています。
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忙しい理系学生は、資格を取得するなら明確な目的を持つことが大切です。この記事では理系学生におすすめの資格28選を目的別に解説します。活かせる職種なども説明しているので、自分に合うものを探してみましょう。
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専攻分野にこだわらず広く検討する
工学部だからといって、専攻分野に関連する仕事にこだわる必要はありません。気になる業界や職種があるなら、専攻を直接活かせられないとしても、候補の一つとして検討してみるのがおすすめです。
これまで解説したとおり、就職先を検討するうえで、業界や職種を絞りすぎるのはリスクがあります。就職先の候補を絞るとその分応募できる企業が少なくなるためです。
もし専攻を直接活かせる企業ばかり応募して、途中でやっぱり合わないと感じた場合、ほかの職種や業界に応募するにはもう遅かったということもあるかもしれません。
自身が納得できるファーストキャリアを選べるよう、あらかじめ複数の業界候補を選んでおき、幅広い企業に応募できるように準備を進めることが大切です。
アドバイザーコメント
小峰 一朗
プロフィールを見る工学部からの就活は焦らず自分のペースで理想的なステップを踏もう
工学部の就活の理想的なスケジュールというのは、人それぞれのペースや状況次第ですが、大事なことは「焦らないこと」ですね。
出遅れたり、うまくいかなかったりして焦って活動を進めることはリスクの大きいことだと思います。なぜなら就活とは大事な選択の連続作業でもあるからです。焦りがその大事な選択を誤ることにつながります。
就職成功を最終目的にするのではなく成長できる人材を目指すことが大切
後悔なく納得して就活の終わりを迎えるためには、自分のペースとタイミングで焦ることなくやりきること、これが一番大事な就活の進め方になると言えるでしょう。
足元の学業・研究・資格取得などにしっかり取り組むこと、社会との接点を多く持ち、仕事の体験を積みながら自分らしい仕事の軸を考え続けること、そして就職というゴールに向けて情報収集を怠らないこと。
こうしたポイントを意識しながら大学生活を過ごすことが、理想的な就職活動につながります。
企業は成長する人財を採用したいものです。成功よりも成長を意識して、たとえ失敗しても出遅れても焦ることなく、自分のペースとタイミングを逃さないよう取り組んでいきましょう。
工学部の就職先は自身の専攻ややりたいことから柔軟に選択しよう
工学部生の就職先は幅広く選べるため、自身の専攻や興味のある業界などから検討できます。
学科で学んだ知識・能力をそのまま活かせる職種に応募するなら、就活を有利に進められる可能性が高いです。一方でほかにやりたいことや気になる業界があるなら、専攻以外の分野にも挑戦できます。
記事では工学部から文系職種に就職するコツや、大学院進学の魅力とリスクまで解説したので、文系就職や進学という選択肢もあることを理解したうえで進路を検討しましょう。
エントリーする企業が決まったら、解説した4ステップや就活を有利に進める方法を参考に、就活に向けて準備を進めていってくださいね。
アドバイザーコメント
柴田 登子
プロフィールを見る工学部から納得いく就職をするには事前の情報収集が大切
自動車業界で複数社の勤務経験を持っている私は、現場で仕事をしているうちに、工学部出身の人のキャリアパスは設計開発だけではないという点に気付いて大変驚きました。
購買技術や物流企画、生産調達、生産管理、品質管理、生産技術など実にさまざまな分野で工学部の人がその専門性を発揮していて、多岐にわたる職種があります。
選択肢がたくさん存在するからこそ自分の希望を明確にしよう
ここで皆さんに伝えたいのは、これらの職務内容の違いや採用ルートが一括なのか、部署ごとなのかをしっかり調べて応募してほしいということです。
会社によっては技術系を一括採用し、入社後に配属を振り分けるところもありますが、設計開発とそれ以外を分けて募集をしていたり、それぞれの部署ごとにエントリーを受け付けたりすることもあります。
これらを把握せずに応募すると、入社後に「こんな業務をすることになるとは」と後悔することにもなりかねません。
会社によっては経験を積めば異動できるところもありますが、そう簡単に部門を超えて職種を変えることができないところもあります。
せっかくの専門性を活かし、より希望に沿ったキャリアを形成するためにも、よく調べて就職活動を進めていってくださいね。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
3名のアドバイザーがこの記事にコメントしました
キャリアコンサルタント / システムエンジニア
Ichiro Komine〇大手電機メーカーでシステムエンジニアとして従事。若者の人生や成長にかかわりたいと思い、キャリアコンサルタントの資格取得。現在はコンサルティングや自己分析支援をおこなっている
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/性格応用心理士1級
Minoru Kumamoto〇就職・転職サイト「職りんく」運営者。これまで300名以上のキャリア相談を受けた実績。応募書類や採用面接の対策支援をする他、自己分析の考え方セミナーを実施
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Takako Shibata〇製造業を中心とした大手~中小企業において、従業員のキャリア形成や職場の課題改善を支援。若者自立支援センター埼玉や、公共職業訓練校での就職支援もおこなう
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