建物の建設からデザインなどのクリエイティブ制作まで、さまざまな職種があるものを作る仕事。「ものづくり大国」と呼ばれた日本では、ものを作る仕事が高度経済成長期を支えてきました。現在でも、ものを作る仕事は学生から人気を集めています。
一方で、「ものを作る仕事は範囲が広すぎてどんな種類があるのかわからない」「自分にものを作る仕事が向いているか自信を持てない」と悩む人も多いのではないでしょうか。
この記事では、キャリアアドバイザーの平井さん、永田さん、柴田さんのアドバイスを交えつつ、ものを作る仕事の職種やメリットを解説します。ものを作る仕事に携わりたい人はぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
ものを作る仕事はまずはジャンルで理解しよう
さまざまな種類がある「ものを作る仕事」は、ジャンルごとに分類することで特徴を理解しやすくなります。そしてそれぞれの特徴を把握できれば、求められる能力や役立つ資格もわかるようになるのです。
記事では、まずものを作る仕事のジャンルを5つに分類。ジャンルごとにどのような仕事があるのか詳しく説明します。その後でものを作る仕事のメリットやデメリットを紹介します。魅力や大変な部分を把握し、自分に合う仕事を見つけるのに役立ててください。
また、「仕事選びで失敗したくない!」という人のために、自分に合う職種を見つけるうえで重要な4つの視点を紹介しています。さまざまな観点から職種を分析し、早期退職の原因になるミスマッチを防ぎましょう。
まずはあなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
全部で5種類! ものを作る仕事のジャンル
ものを作る仕事には大きく分けて5つのジャンルがあります。それぞれの違いを理解していないと、仕事の範囲が広く、選択肢を絞るだけでも多くの時間が必要になります。自分の理想の仕事を効率的に探すためにも、それぞれの違いを整理しておきましょう。
また、ものを作る仕事に携われる企業に入社しても、ほかの職種がメインの部署に配属される可能性も。どのような職種に携わる可能性があるか把握するためにも、ぜひチェックしてみてください。
一口にものを作る仕事といっても、その「もの」には、有形のものも無形のものもあります。また完成品を作るだけではなく、そのパーツを作ることもものづくりです。
自分がどんなものづくりに携わりたいのか、しっかりイメージしましょう。
①製造系
自動車業界や家電業界、造船業界などが該当する製造系の企業には、以下の職種があります。
製造系のおもな職種
- 商品企画:新商品のアイデアを生み出す
- 生産管理:生産量をコントロールしたり、生産スケジュールを決めたりする
- 品質管理:商品のクオリティを担保する
- ライン製造:実際に現場で製造をおこなう
- 営業:商品を個人や法人に販売する
- 法務:国内外の法規制を確認する
- 人事:人材の採用や教育を担当する
このように商品の開発から販売までさまざまな職種が携わっているため、ものを作る仕事に直結している職種は商品企画や品質管理、ライン製造が当てはまりますが、ほかにも選択可能な職種は豊富にあります。
また、新卒の場合は現場を知るためにライン製造からスタートするケースが多くありますが、研修が終わると人事担当者が適切と判断したり、社員が希望したりする部署に配属されます。
総合職の場合は希望の職種に配属されるかどうかは会社次第ですが、やりたいことをアピールするのは悪いことではありません。職種に固執していると思われない程度にアピールをしてみてくださいね。
品質管理の仕事に興味のある人は以下の記事を参考にしてみてください。志望動機の作り方を詳しくまとめています。
例文7選|品質管理の志望動機がグッと光る! 作り方と4つのコツ
②建設系
戸建て住宅やマンションのような建物、道路や水道のようなインフラなど、生活に欠かせない仕事に携わっているのが、建設系のものを作る仕事です。建設系の企業には、以下の職種があります。
建設系の職種
- 施工:建築物の工事をおこなう
- 施工管理:工事の予算やスケジュールを管理する
- 設計:建築物の構造や材料などを図面に表す
- 安全管理:工事現場の危険な箇所をチェックする
- 維持管理:すでにある建築物やインフラの点検メンテナンスをおこなう
- 営業:工事を受注する
さまざまな職種がありますが、総合職はまず施工管理や安全管理などの管理部門に携わるケースが多くあります。そのため、入社してすぐにものを作る仕事に携わりたい場合は、総合職ではなく専門職に応募した方が希望の仕事ができる可能性が高まります。
しかしさまざまな現場で経験をしたからこそ携われる仕事もあるため、将来のビジョンから逆算して必要なスキルや経験を考えるようにしましょう。
以下の記事では建設業界に関してより詳しく説明しているので、ぜひチェックしてみてください。
建設業界の全貌がわかる! 課題・動向から仕事内容まで徹底解説
③職人系
職人系は磨き上げた技術を活かして手作業でものを作る仕事です。企業で社員として働いたり、フリーランスになったりと、働き方にはさまざまな選択肢があります。
仕事をすればするほどスキルが身に付くため、市場価値の高い人材を目指せます。また、独立した後に法人化することも可能です。受注先を増やしたかったり、大企業との取引に調整したい場合は法人化すると営業しやすくなるでしょう。
ただ、職人系は、専門学校や大学で必要なスキルを習得していることが必須の職種もあります。ゼロからスキルを磨かないといけない可能性がある点は把握しておきましょう。
- 職人系の人は気難しいイメージがあります。人間関係での問題はないのでしょうか?
むしろ繊細なタイプが多い! あまり身構えなくて大丈夫
職人は一見すると気難しいようなイメージがありますが、仕事ができる人間ほど実は決まりごとや約束をきっちり守るタイプで、何か悩みや問題を抱えたときに助けてくれる性格の人が多いです。
建設業の現場では、大工やとび職に始まり、左官職人や電気工事士などあらゆる業者の人が出入りしています。現場監督の指示のもと、絶対に納期を遅らせられない状況の中で仕事をしているので、小さなミスが命取りになります。
そのため、大雑把な性格の人や適当に仕事をこなすようなタイプの人よりも、実は繊細な性格の人の方が多い印象です。
それを踏まえると、コミュニケーションさえきちんと取っていれば、人間関係で問題となるようなことはあまりなく、温かく受け入れてくれると思います。
まずはあなたが受けない方がいい職業がわかります
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
④IT系
IT系はWebサイトやアプリなどを制作する仕事です。建築物や乗り物のような目に見えるものではなく、おもにサービスを作っています。IT系のものを作る仕事には、以下の職種があります。
IT系の職種
- エンジニア:情報システムやソフトウェアの設計・開発をおこなう仕事
- プログラマー:プログラミングのコードを書く仕事
IT系にはさまざまな職種があり、エンジニアだけでもシステムエンジニアやネットワークエンジニア、インフラエンジニアなど多種多様です。
また、今後AI(人工知能)サービスが普及したり、IoT(Internet of Things)が発展したりすると、IT系の需要はますます高まるでしょう。
IoT(Internet of Things)とは
もののインターネット化を意味する単語。外出先で冷蔵庫の中身を確認できるのは、IoTの一例
IT系は需要に人材が追い付いていないため、未経験者も多く採用しています。人材確保を目的として、給与面で待遇改善を進める企業も増加しているので、将来性や安定性を重視する人は、IT系のものを作る仕事がおすすめですよ。
未経験からIT業界に就職する秘訣は、こちらの記事で紹介しています。
未経験からIT業界に就職する秘訣とは? 必要なスキルまで徹底解説
⑤クリエイティブ系
ものを作る仕事に就きたい学生から人気のクリエイティブ系は、デザイナーやクリエイターなどさまざまな職種があります。
また、世界的に評価されているアニメを制作するアニメーターや人気タイトルを開発するゲームクリエイターを目指す人はたくさんいます。ものを作る仕事のなかでも、花形といっても過言ではないでしょう。
クリエイティブ系では、創造力や思考を形にするスキルが求められます。チームメンバーとして映像やゲームが完成したときの達成感は、なかなか得られるものではないはず。クリエイティブ系の職種は難易度が高いですが、興味がある人は積極的にチャレンジしてみてくださいね。
- クリエイティブ系は難易度が高いと聞きました。未経験で内定を獲得するのは難しいのでしょうか?
たしかに難しいが未経験でも工夫次第で実力を示せる
クリエイティブ系の仕事は努力だけではどうにもならない本人の資質が大きく影響します。そのため過去の実績をどれだけ示せるかが採用の鍵になるので、たしかに未経験者にはハードルが高いといえます。
しかし、たとえ仕事として経験がなくても、たとえばInstagramやYouTubeなどで自分のスキルやアイデア力の高さを示し、フォロワーや登録者数・コメントを数多く得られれば、客観的に実力を示すことも可能です。
ぜひそうした方法でアピールポイントを構築しておきましょう。
クリエイティブ業界の仕事の種類は以下のQ&Aでキャリアコンサルタントが詳しく解説しているので、併せてチェックしてください。
クリエイティブ系の仕事の一つであるデザイナーについては、以下の記事で詳しく解説しているので、興味がある人は併せて確認しましょう。
Webデザイナーになるには? 仕事内容から将来性まで徹底解説
ゲーム業界を志望する人は、以下の記事でゲーム業界の志望動機の書き方を解説しているので、併せてチェックしてください。
ゲーム業界の志望動機は「好き」だけではNG? 差別化のコツを解説
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では自分に適性がある仕事を選ぶ事が大事です。適性が低い仕事に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「適職診断」です。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、適性が高い職業・低い職業を診断できます。
・楽しく働ける仕事がわからない人
・時間をかけずに自己分析をしたい人
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
ジャンルごとに解説! ものを作る仕事20選と役立つ資格
ものを作る仕事はジャンルごとにさまざまあるため、「どんな業務をおこなっているのか」を把握しておく必要があります。
ここからはものを作る仕事20選を解説します。職業ごとに役立つ資格についても記載しているので、ぜひチェックしてみてください。
製造系
製造系のものを作る仕事
- 溶接工
- 板金工
- プラント技術者
- 機械組立技術者
- 自動車製造工・自動車組立工
まずは製造系のものを作る仕事を紹介します。入社前の取得が難しい資格もありますが、取れそうなものがあればぜひチャレンジしてみてください。
①溶接工
溶接工とは、金属を溶かして接合する加工技術である溶接を専門的におこなう仕事です。イスやテーブル、貴金属など、多岐にわたる製品に携わっています。
溶接工に役立つ資格
- アーク溶接等特別教育:アーク溶接などの業務に関する特別教育を受講すると取得できる資格
- ガス溶接技能講習:ガス溶接の知識とスキルを証明する民間資格
入社後に溶接工として働くためには、アーク溶接業者やガス溶接業者の資格が欠かせません。一般的なケースとしては、アシスタントとして先輩社員と働きながら、上記の講習を受けることになります。
②板金工
板金工とは、銅やアルミのような金属をハンマーやペンチなどで加工する仕事です。車のへこみや傷を修理する自動車板金、屋根や外壁を担当する建築板金など、仕事内容が分類されています。
板金工になるには特別な資格や経験は不要です。ただ、大学や専門学校などで板金や塗装に関する知識と技術を身に付けておくことをおすすめします。以下の資格を保有しているとキャリアアップに役立つので、長期的なキャリアを考えている人は参考にしてみてください。
溶接工や板金工を目指す場合は、基本的に就職先はどちらも製造業や建設業になるでしょう。企業としては町工場から大手メーカーと多岐にわたります。
手軽に求人を探すなら、Webを活用してパソコンから探してみましょう。ハローワークも検索すれば気軽にアクセスできるので、求人を調べてみてください。
③プラント技術者
プラントとはタンクやポンプなどを含む工場設備一式のことを指し、プラント技術者とはそれらの設計・資材調達・建設・施工管理・保守管理など、幅広い業務に携わる仕事です。プラントエンジニアとも呼ばれています。
プラント技術者は食品工場や製薬工場のような産業系プラント、発電所や化学工場のような化学系プラント、ゴミ処理場や浄水場のような環境系プラントの3つに分類できます。
この仕事は、理工系に関する専門的な知識が必要なケースも多いため、大学や専門学校で学んでおくとスムーズにキャリアアップできます。
ただ、未経験者の採用に注力するほど、プラント技術者を必要とする企業は多いです。充実した研修プログラムを作成し、育成に力を入れる企業も増加しているので、挑戦したい人は志望企業の募集要項を確認してみましょう。
④機械組立技術者
機械組立技術者とは、機械や装置の組立て、調整、試運転などをおこなう仕事です。工場や製造現場において機械部品を正確に組み立てたり、完成した機械の性能が設計通りに機能するように微調整をおこなったりします。
上記のほかにも、機械のメンテナンスやトラブルシューティングを担当するケースもあります。
機械組立技術者になるには、大学や専門学校で機械工学を学ぶのが一般的なので、他の仕事に比べて未経験から目指すのは難しいといえます。
⑤自動車製造工・自動車組立工
自動車製造工や自動車組立工は、自動車工業において車両の製造や組立てをおこなう仕事です。部品を組み立てたり、品質を検査したり、生産設備をメンテナンスしたりと、さまざまな業務に携わっています。
高度に機械化された生産ラインでおこなわれることが多く、精密作業とチームワークが求められます。
自動車製造工・自動車組立工に役立つ資格
自動車製造工・自動車組立工になるには、大学の工学部や自動車関連の専門学校で基礎・基本を学んだ後、自動車を製造する企業に就職するのが一般的です。
工学部に所属している人は以下の記事も参考にしてみてください。活躍しやすい職種や業界を詳しくまとめています。
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工学部の就職先は工業系から文系職種までと幅広いです。この記事では、工学部のおもな就職先をキャリアコンサルタントとともに解説します。就職先の選び方や工学部ならではの就活の注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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建設系
建設系のものを作る仕事
- 建築士
- 宮大工
- とび職人
- 左官
- 土木作業員
建築や土木に関する業界に携わる建設系の仕事を紹介します。必要な資格と併せて、業務内容も把握しておきましょう。
①建築士
建築士は建築物を設計したり、工事の監理をしたりする仕事です。一軒家やマンション、ビルなど、さまざまな建物の建築に携わっています。
建築士は法律に基づいて仕事をおこなっているため、資格取得が欠かせません。大学や専門学校に通いながら資格取得を目指しましょう。
また、資格を保有していない状態で入社し、働きながら資格取得を目指すルートもあります。新卒採用では資格より熱意やポテンシャルを重視している企業も多いので、適切にアピールして内定を勝ち取りましょう。
- 専門的な知識がなくても今から建築士を目指すことはできますか?
今からでも可能! まずは二級建築士の資格取得を目指そう
建築士になるにはまず二級建築士の合格が目標になるので、二級建築士の受験資格を取得することを考えましょう。
二級建築士の受験資格は、①「指定科目の単位を取得する」、②「7年以上の実務経験がある」のどちらかを満たしていることです。
①を目指すなら、夜間に開講している専門学校もあるので探してみましょう。②を目指すなら未経験可の求人を探すことになりますが、未経験可のポジションでは実務経験として認められる業務に従事できるとは限りません。業務内容をしっかり確認しましょう。
②宮大工
宮大工は神社や仏閣を建築したり修繕したりする仕事です。木の特性を最大限に活かす「木組み」と呼ばれる建築技法を用いて、数百年先まで長持ちする建築物を造ります。
宮大工に役立つ資格
- 建築大工技能士:木造建築に必要な技術を認定する国家資格
宮大工は学歴不問のケースが多いため、高卒からの就職も可能です。ただ、高卒の求人はあまり多くありません。そのため大学の建築学部や建築関連の専門学校に通った後、宮大工専門の工務店に入社するのが一般的です。
③とび職人
とび職人は建設現場での高所作業をメインで担当する仕事です。足場を作る足場とび、ビルの土台を作る鉄骨とび、高速道路やダムに携わる橋梁とびの3種類に分類されます。
常に危険と隣り合わせの高所での作業になるため、運動神経や集中力、精神力が求められます。
とび職人になるために必須の資格はありません。ただ、キャリアアップを目指すのであれば上記の資格が役立ちますよ。
④左官
左官とは、専用のコテを用いて建物の壁や床に土やコンクリートを塗る仕事です。下地を塗ったり、最終仕上げをしたりと建築現場のさまざまな局面で活躍します。
左官に役立つ資格
左官になるには職人に弟子入りしたり、工務店に入社したりする選択肢があります。学歴や経験不問の求人が多く、未経験者でも挑戦できる仕事です。
⑤土木作業員
土木作業員は、工事現場で重機を運転したり、道路や河川を整備したりする仕事です。私たちの生活に欠かせないインフラの整備には、土木作業員が携わっています。
土木作業員に役立つ資格
- 玉掛け技能者:つり上げ荷重1トン以上のクレーンや移動式クレーンなどに重量物を掛ける玉掛け作業をおこなうための国家資格
- 車両系建設機械運転技能者:ブルドーザーやショベルカーなどの建設現場で使用される車両型の機械を操作できるようになる国家資格
現場で覚える仕事が多いため、取得必須の資格はそれほどありません。ただ、玉掛けやブルドーザーの運転などは資格保有者しかできない仕事です。そのため、資格を保有していると仕事で重宝されたり、手当が支給されたりすることもあるので、長期的なキャリアを考えるなら取得を目指してみても良いかもしれません。
職人系
職人系のものを作る仕事
- パティシエ
- ブーランジェ(パン職人)
- 家具職人
スキルが必要な職人系は、未経験での就職が難しい業界なので、専門学校を卒業して社会に出る人が多くなっています。そのため、専門学校への入学や現場でゼロから学ぶことを視野に入れておきましょう。
①パティシエ
パティシエはケーキやマドレーヌのような洋菓子を作る菓子職人のことです。洋菓子店やレストラン、結婚式場など、さまざまな場所が就職先の候補となります。
パティシエになるには、製菓専門学校を卒業するのが一般的なルートです。お菓子作りを専門的に学んだ後、実務を通してスキルを学んでいきます。パティシエに必須の資格はありませんが、以下の資格が役立ちます。
パティシエに役立つ資格
上記の資格は国家資格であり、スキルと知識をアピールするためにも、取得しておきたい資格といえます。
- お菓子作りが好きなのでパティシエが気になっているのですが、専門学校に行かなくても目指せるのでしょうか?
必ずしも行く必要はないがキャリアを築くうえで有利になる
専門学校に行かなくともパティシエになることは可能です。製菓衛生師の資格を取得しない状態でも、アルバイトから始めてパティシエとして働くことができます。
しかしパティシエとしてあらためて就職活動をするとなった際に、それなりの知識と経験が求められます。
たとえばホテルや食品メーカーへの就職を目指すなら、やはり「専門的な内容を学んでいる」という事前段階のある人の方が圧倒的に有利で、それを採用の最低限の条件としているところもあります。専門学校を卒業しておくことで受けられるメリットも大きいのです。
もし行かないという選択をするなら、少しでも早く小さな個人経営の店などで経験を積んで、そこからステップアップしていくことが望ましいでしょう。
パティシエだけではなく飲食の仕事に興味がある人は以下の記事をチェックしてください。仕事内容や志望動機の書き方をまとめています。
飲食店の志望動機はどう書く? 例文や企業が求めるスキルを解説
②ブーランジェ(パン職人)
ブーランジェはフランス語でパン職人を意味する単語です。パンを焼くだけでなく、商品を開発したり、店頭で販売したり、陳列したりと業務内容は多種多様で、レストランやカフェ、ホテル、食品メーカーなど、さまざまな場所で活躍できるでしょう。
ブーランジェもパティシエと同様に、専門学校に通ってスキルを磨いてから就職するのが一般的です。
上記の資格は就職で有利に働くうえに、独立などのキャリアアップの際に必要になります。将来的に自分のお店を持ちたいという人はぜひ取得を目指してみましょう。
職人とは少し異なりますが以下の記事ではパン屋についてまとめています。パン屋に興味のある人はぜひチェックしてください。
例文付き|パン屋の正社員になるための志望動機の書き方
③家具職人
木材やほかの素材を使用して家具を製作、修復、カスタマイズする仕事です。椅子、テーブル、キャビネット、ベッドフレームなどのさまざまな種類の家具を作ります。
家具製作技能士という国家資格を取得すると、家具製作に関する知識と技能が一定水準に達していることを証明可能です。
家具職人になるには、家具メーカーや中規模の工房、木工所に入社するのが一般的です。そこで、家具作りの技術を磨きながら集客方法を学ぶと、独立して自分の工房を持つ道が見えてきます。
IT系
IT系のものを作る仕事
- CADオペレーター
- プログラマー
- DTPオペレーター
ここからは今後も需要が拡大する可能性の高いIT系の仕事を紹介します。学生が取得できる資格も多いため、就活前に取得して熱意をアピールしましょう。
IT系の仕事はこれからもニーズが増えるので、採用数が多いです。そのため、ほかのものづくりの職種よりは就業しやすいといえます。
ただ就業後は担当できる仕事のレベルによって処遇が大きく変わるので、絶え間ないスキルアップが求められると認識しておきましょう。
①CADオペレーター
CADオペレーターとは、CADを用いて設計や図面作成をおこなう専門家のことです。建築や土木関連の仕事に従事するケースが多いですが、家電や家具、電子部品などのメーカーに勤務する人もいます。
CADとは
Computer-Aided Designの略。コンピュータを利用して製品や建築物の設計をおこなう技術や方法のこと
CADオペレーターに役立つ資格
- CAD利用技術者試験:CAD系の資格の中では最も知名度が高い民間資格。CADに関する知識や技術があることを証明できる
- CADデザインマスター:建築や製造、アパレルといった幅広いジャンルで活用できる民間資格
- CAD実務キャリア認定制度:実務スキルと経験を評価・認定するための民間資格
IT化が急速に進んでいる現在では、CADを使用できる人材のニーズは高まっています。さまざまな製品にかかわれるだけでなく、市場価値の高い人材になるためにも、CADに関する知識やスキルを磨いておくのはおすすめですよ。
②プログラマー
プログラマーは、ソフトウェアやアプリケーションを設計・作成するために、プログラミング言語を使用してコードを書く仕事です。おもにPython、Java、C++など、作成するものによってさまざまなプログラミング言語を扱っています。
プログラマーに役立つ資格
- ITパスポート:ビジネスの場面でITを効果的に活用するための基礎的な知識を評価するための民間資格。IT系に就職するなら取得しておいて損はない
- 基本情報技術者試験:情報技術の基本的な分野に関する知識や技術を証明する国家資格
- PHP技術者認定試験:プログラミング言語であるPHPのスキルを証明してくれる民間資格
- Ruby技術者認定試験:プログラミング言語であるRubyに関する十分な知識と技術を有することを証明する民間資格
プログラマーはIT業界に限らず、金融やコンサル業界でも重宝されています。需要が高まっていて将来性が見込めるうえに、ほかの職種よりも給料面での待遇が良い場合もあるので、ものづくりにかかわれるという観点以外でも人気の職種といえます。
以下の記事では仕事内容や適性まで網羅的に解説しているので、プログラマーに興味のある人はチェックしてみてください。
プログラマー志望は最初に読みたい! 仕事内容から適性まで完全網羅
③DTPオペレーター
DTPオペレーターとは、コンピュータを使用して出版物のページレイアウトやデザインをおこなう仕事です。
DTPとは?
「DeskTop Publishing」の略で、パソコン上で印刷物のデータを制作すること。DTPの導入により、従来の手間のかかる作業が効率化され、より短い時間で高品質な出版物を作成できるようになった
おもに雑誌や書籍、チラシ、ポスター、カタログなどの出版物を担当していて、出版社や広告代理店、印刷会社で働けるため、キャリアパスは豊富です。
DTPオペレーターに役立つ資格
- DTP検定:DTPの技術や知識に関する民間資格
- DTPエキスパート:DTPの分野において高度な技術や知識を有する証明になる民間資格
- Photoshopクリエイター能力認定試験:画像編集ソフト「Photoshop」の操作スキルを測る民間資格
- Illustratorクリエイター能力認定試験:グラフィック制作ツール「Illustrator」の操作スキルを測る民間資格
上記の資格試験の中でも、DTP検定やDTPエキスパートではDTPの基礎・基本を学べるため、入社後に取得を求める企業もあります。事前に取得しておくと周りと差を付けられますよ。
出版社への就職を目指している人はこちらの記事も併せて確認してみましょう。
出版社への就職を叶える5つの必須準備|トレンドや選考対策も解説
クリエイティブ系
クリエイティブ系のものを作る仕事
- CGデザイナー
- ゲームデザイナー
- プロダクトデザイナー
- Webデザイナー
ものを作る仕事でも花形といわれるクリエイティブ系の仕事を紹介します。必要な資格についてもまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
デザイナーに興味がある人は以下の記事も参考にしてみてください。デザイナーの職種や選考を突破する志望動機の書き方など詳しくまとめています。
職種別例文5選!|デザイナーの選考を突破する志望動機の書き方
①CGデザイナー
CGデザイナーは、コンピュータと専用ソフトを用いてCGを制作する仕事です。おもにアニメや映画、ゲームなどでCGは使われていて、高画質かつ高精度な映像作成に貢献しています。
CGとは
コンピュータ・グラフィックスのことで、コンピュータによって画像を生成する科学技術。非現実的な画像の作成が可能になる
CGデザイナーになるには、大学や専門学校でスキルを学んだ後、企業に入社するのが一般的ですが、資格や学歴がないとなれないわけではありません。ただ、資格を保有していると知識や技術の証明になるため、就活で有利に働く可能性もありますよ。
CGデザイナーに役立つ資格
- CGクリエイター検定:CG制作や映像制作のスキルを証明する民間資格
- 色彩検定:色彩のメカニズムに関する知識やカラーコーディネートのスキルを証明できる民間資格
②ゲームデザイナー
ゲームデザイナーはゲームの登場人物やアイテム、建物などをデザインする仕事です。とはいえデザインだけでなく、ゲームの企画から完成後のバグチェックまで、幅広い業務を担当します。
ゲームデザイナーになりたいなら、大学や専門学校でCGやプログラミングについて学ぶ必要があります。人気の職種であるため、知識やスキルがない状態での入社は難しいといえます。
ゲームデザイナーに役立つ資格
- CGクリエイター検定:CG制作や映像制作のスキルを証明する民間資格
- Photoshopクリエイター能力認定試験:画像編集ソフト「Photoshop」の操作スキルを測る民間資格
- Illustratorクリエイター能力認定試験:グラフィック制作ツール「Illustrator」の操作スキルを測る民間資格
ゲームデザイナーに必須の資格はありませんが、スキルの証明になります。業務に活かせる内容も多いので、積極的に取得しておきましょう。
- どうしてもゲームにかかわる仕事がしたいのですが、専門知識がなくてもゲーム制作にかかわれる仕事はありますか?
テスターというゲームのバグを見つける仕事は挑戦しやすい
たとえばゲーム制作の業務の中にはテスターという役割があります。完成間近のゲームをプレイしてゲームの品質をチェックし、バグや不具合はないか確認する仕事です。
専門知識はなくとも、これまでゲーム経験が豊富にあり、かつ不具合情報を具体的に報告できるのであれば、比較的挑戦するハードルは低いといえるでしょう。
こうした業務から経験を積み上げて、ほかのゲームの仕事につなげていくのも可能です。
③プロダクトデザイナー
車や家電、家具など、この世に存在するさまざまなものをデザインする仕事をプロダクトデザイナーと呼びます。この仕事では、デザインの良し悪しだけではなく機能性も同時に追い求める必要があります。
プロダクトデザイナーになるには、プロダクトデザイン学科やコースのある大学や専門学校を卒業するのが一般的ですが、資格の勉強を通して知識を磨くことも可能です。
プロダクトデザイナーに役立つ資格
- プロダクトデザイン検定:商品開発に関連する知識を審査する民間資格
- 色彩検定:色彩のメカニズムに関する知識やカラーコーディネートのスキルを証明できる民間資格
プロダクトデザイナーは、開発段階から設計士やエンジニアと会話する機会が多い仕事です。設計したデザインをうまく伝えて共有できないと、イメージと違う仕上がりになってしまう恐れもあるので、特にコミュニケーションが重要な仕事といえます。
④Webデザイナー
Webデザイナーは、企業サイトや飲食店のホームページ(HP)などのWebサイトのデザインをおこなう仕事です。ボタンの配置やフォームのデザインを考えたり、使いやすさを求めて改良したり、プログラミング言語でデザインを実装したりと、さまざまな業務を担当しています。
大学や専門学校でWebデザインについて学んでいる人がいる一方で、別業界で働きながらスクールに通ったり、書籍やYouTubeを活用して独学で学ぶ人も多く、未経験からでも挑戦しやすいデザイナー職といえます。
企業で正社員として働く道もありますが、フリーランスや副業ワーカーが多くいるので、働き方が自由な点もWebデザイナーの特徴です。
Webデザイナーに役立つ資格
- ウェブデザイン技能検定:Web制作に必要な知識やスキルが問われる民間資格
- Webクリエイター能力認定試験:Webページを作成する技術の証明になる民間資格
- PHP技術者認定試験:プログラミング言語であるPHPのスキルを証明してくれる民間資格
Webデザイナーの仕事内容や将来性については、こちらの記事で解説しています。
Webデザイナーになるには? 仕事内容から将来性まで徹底解説
- フリーランスに憧れているのですが、独学でもすぐに独立できますか?
独学ですぐには難しいので会社で働きながらスキルや人脈を得よう
フリーランスで成功できるかどうかは、①「仕事を継続的に受注できること」、②「事務処理力、顧客折衝力などの専門スキル以外のスキルも自己完結できること」の2つが大事だと思います。
①の「仕事を継続的に受注できる」ようになるためには、フリーになってアピールできる実績や、仕事につながる紹介の人脈などが必要です。
②の「専門スキル以外のスキルも自己完結できる」とは、会社なら専門部署があるような作業、たとえば見積書や請求書の発行、支払管理や入金管理などもすべて自分でやらないといけないということです。
そのためフリーランスで働くことを目標にしながら会社で経験を積み、必要なスキルを習得して実績を作ることをまず考えてみてはどうでしょうか。
目標とスケジュールを立てて仕事に取り組めば、会社で働くことは無駄にはなりません。
モチベーションアップ! ものを作る仕事のメリット
モチベーションアップ! ものを作る仕事のメリット
ものを作る仕事にどんなメリットがあるのか把握しておくことは非常に重要です。魅力がわかっていれば、就活のモチベーションを高められるからです。
ここではものを作る仕事のメリットを6つ紹介しているので、ぜひ確認してみてください。
①自分の仕事が形として残る
ものを作る仕事では、商品やサービスなど、自分のかかわった仕事を目に見える形で残せます。試行錯誤を繰り返しながら作ったものを目にすると、大きな達成感を得られるでしょう。
たとえば、無形商材を扱う金融やコンサルは、仕事の成果が目に見えにくいので達成感を感じられない場合もあるかもしれません。一方、ものを作る仕事なら、目に見えてやりがいを感じられます。
特に携わったプロジェクトで完成したビルや道路を見たときの喜びはひとしおです。自分の仕事を友人や家族に伝えやすいというのも形として残るメリットといえますね。
ものを作る仕事というのは、ひとたび100点満点の製品を完成させたとしても、時間の経過とともにそれが陳腐化し、技術的には最高のものではなくなってしまいます。したがって、ニーズを予測し、進化し続ける姿勢がずっと求められるのです。
常に最新の技術を追求し、未来に向かって製品を生み出す環境にはドキドキ・ワクワクが伴うでしょう。
②手に職をつけられる
ものを作る仕事は業務を通じてさまざまなスキルを身に付けられるため、転職活動でも困りにくい傾向があります。技術があれば、環境が変わってもすぐに成果を発揮できるからです。
たとえば事務職であれば、社内独自のルールに従って業務をおこなうケースが多いため、ほかの企業では学んだ内容が役立たないこともあります。しかし、ものを作る仕事であれば、必要になるスキルや知識は同じことが多くなります。
また、勤務先に万が一のことがあっても、スキルがあれば別の企業で働ける可能性も高まります。終身雇用制度が少しずつ変化している現代では、手に職をつけられるのは大きなメリットといえます。
手に職がつく仕事がしたい人は以下の記事を参考にしてみてください。仕事の選び方をプロが詳しく解説しています。
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- 転職が一般的な時代になっていますが、実際何かスキルがないと転職は難しいのでしょうか?
若いうちは将来性が武器になるが年を重ねるとスキルが求められる
個人的な感覚ですが、20代前半の時期であれば「若さ」「将来性」という点が有利に働くので、さほど業界経験や資格などを持っていない状態でも、それなりに仕事を選ぶことが可能です。
しかし20代後半〜30代に差し掛かってくると、その年齢では即戦力的な要素が求められるので、何かしらのスキルを有している方が転職には優位になりますね。
③土日休みが比較的多い
ものを作る仕事は土日休みの職種が比較的多く、プライベートの時間を確保しやすい傾向があります。なぜならものを作る仕事の多くはメーカーと連携しながら働くからです。
ただ、ケーキ屋やパン屋は土日が売りどきなので、パティシエやブーランジェなどの職人は土日休みではないケースも多くあります。そのほかの職種でも、必ず土日休みというわけではないということは把握しておきましょう。
④経験や学歴がなくても働ける
ものを作る仕事では、経験や学歴がない学生を採用するケースも多くあります。研修や育成プログラムが充実し、入社後に働きながら学べば技術を磨けると考えられているからです。
また、現場の人員不足も経験や学歴を問わない体制に拍車をかけています。厚生労働省の2022年版ものづくり白書によると、製造業の就業者数は約20年間で157万人も減少していて、製造業の就業者割合も約20年間で3.4ポイントも減っています。
そのため特に若手人材を確保するために、育成に時間とお金をかける企業が増加しています。研修制度が充実した企業に入社すれば、経験がなくても安心して働けるでしょう。
製造業に興味がる人は以下の記事も参考にしてみてください。製造業で効果的な自己PRをまとめています。
製造業の自己PRは4つの視点が個性のヒントに! 職種別例文付き
- 未経験者歓迎と書かれた求人を見ました。本当に未経験でも選考を突破できるのでしょうか?
その仕事に役立つスキルや能力があることは当然求められる
企業が未経験者を採用するのは、新規事業であまり人件費をかけられない、その会社の方針に沿った人材を一から育てたいなどの理由があります。
しかしだからといって、何のスキルや経験もなくて良いというわけではありません。まず未経験の仕事にチャレンジする理由や熱意を明確に伝えるのは必須です。
また直接その業務に関連するわけではなくても、その仕事を遂行するにあたって役立ちそうなほかのスキルを持ち合わせていることもポイントになります。
たとえばWord、Excelは最低限使いこなせるうえに、Webサイト構築や動画編集などができる、何らかの団体や組織でリーダーとして人を巻き込んだ経験があるといったようにアピールしましょう。
⑤国からの支援を受けられる場合もある
日本を支えるものを作る仕事の一部は、ものづくりマイスター制度という制度によって国から支援を受けています。
ものづくりマイスター制度とは
ものづくり分野およびIT分野に関して優れた技能、経験を有する人を「ものづくりマイスター」に指名。「ものづくりマイスター」が中小企業や学校の若い技能者に対して実践的な指導をおこなう制度のこと
また、中小企業や小規模事業者を対象としたものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金が企業に支給される場合もあります。働き方改革や賃上げなどに対応するために取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善をおこなうための設備投資が支援対象です。
この制度によって入社後からでも専門知識を勉強しやすくなりました。制度を効果的に活用し、未経験からでもスキルアップを目指してみましょう。
⑥雇用が安定している
自動車や家、家具の需要は今後もなくなることはないため、ものを作る仕事の雇用は安定しているといえます。派遣社員や契約社員として入社した場合でも、正社員へと登用されるケースが多いのも特徴です。
また、特殊勤務手当や資格手当、深夜手当も充実していて、基本給にプラスして給料を受け取れることもあります。現場仕事の多い建設系では交通費とは別で出張手当が支給されることも多くなっています。そのため、企業に安定性を求める人や将来性を重視する人にはおすすめです。
- 手当などが気になるのですが、説明会や面接で待遇などの質問をしてもマイナス評価にならないでしょうか?
待遇だけを重視した印象にならないように聞き方を工夫しよう
給与や諸手当などは、そもそも募集要項に書かれていることが多いです。自分が見落としていないか、もう一度確認してみましょう。すでに公開されている情報を質問してしまうのは、マイナス評価につながります。
手当などの気になる部分が公開されていなければ、質問しても問題ありません。
ただし処遇だけで仕事を選んでいる印象を持たれないように、「安定した生活基盤を確保して仕事に打ち込みたい」「成果を上げて高い報酬を目標にしたい」など、一言付け足してみるのがおすすめです。
大変な面も! ものを作る仕事のデメリット
大変な面も! ものを作る仕事のデメリット
- 修業期間が長くなりやすい
- 景気に左右されやすい
- 緊張感のあるコミュニケーションが必要になる可能性がある
メリットも多いものを作る仕事ですが、良い面ばかりではありません。就活時にデメリットから目を背けていると、入社後にギャップを感じてしまう恐れがあります。
入社後に後悔しなくて済むように、早い段階から大変な面も把握しておきましょう。
①修業期間が長くなりやすい
未経験からスタートする場合、技術を習得するまでに長い期間を要する可能性もあります。修業期間の長さによってリタイアする人が多いのも事実です。
また、修業期間は仕事を覚えながら専門知識の勉強もしなければなりません。勉強するのは出勤前や退勤後になるので、資格を受ける場合は休日を勉強に充てる日も出てくるでしょう。
ただ、修業期間で磨いた技術と蓄えた知識は、将来大きく役立ちます。未来の自分のためだと思って、積極的に取り組める人はものを作る仕事に向いているといえます。
②景気に左右されやすい
ものを作る仕事は景気に左右されやすい傾向があります。取り扱っている商品やサービスによっては、不景気だと購入する人が少なくなるからです。
特にタワーマンションや高級車のような贅沢品、芸術品は景気の影響を受けやすいといえます。景気後退により基本給やボーナスが下がると売り上げに大きな影響があり、売り上げ減少が見込まれると生産量も減少、結果的に仕事が減る恐れもあるのです。
また、売り上げが減ったタイミングでは、開発費の予算が少なくなったり新商品の開発も難しくなったりします。比較的雇用が安定しているものを作る仕事ですが、不景気になるとリストラにあったり給料が減ったりすることは把握しておきましょう。
③緊張感のあるコミュニケーションが必要になる可能性がある
創造性が求められる業種が多いので、ものを作る仕事に従事する人は職人かたぎの人が多く、協調性の問われる他業界と比べて人間関係を築きにくい可能性があります。そのためこだわりの強い人の中でも、自分の意見を言える胆力が必要になります。
また、作ったり開発したりしたものの出来栄えや売り上げが目に見えてわかるため、実力重視の企業が多くなっています。成果が出ない時期でも踏ん張る忍耐力も重要なので、プレッシャーに感じてしまう人にとっては厳しい環境かもしれません。
- 職人かたぎの人と良い関係性を築けるか不安です。人間関係を構築するうえで何が大事なのでしょうか?
言動をネガティブに捉えすぎずに発想を変えてみよう
たしかに、職人かたぎの人というのは寡黙で笑顔もあまり見せずに、かかわりが持ちにくいタイプかもしれませんね。
そういう人と接するときに大事なのが、「怒られることを怖がらない」ことです。何か間違ったことをして怒鳴られたり注意されたりするのではないかとビクビクしていると、その人がどんどん苦手になっていってしまいます。
そうではなく「あの人はもとからああいう話し方なのだ」「わざと嫌がらせしているわけではないのかも」と、こちらの捉え方を変化させてうまく付き合うことがポイントです。
事前にチェック! ものを作る仕事に向いている人の特徴
事前にチェック! ものを作る仕事に向いている人の特徴
- 手先が器用な人
- 想像力が豊かな人
- コツコツと頑張れる人
「ものを作る仕事に携わりたいが、自分に合っているかわからない」「自分の強みが仕事に役立つか知りたい」など、ものを作る仕事に就くことを目指して良いのか悩みを抱えている人もいるでしょう。
ものを作る仕事に向いている人の特徴を把握することで、仕事選びのヒントになります。また、向いている人の特徴とマッチしていれば、エントリーシート(ES)や面接でアピールが可能です。
ここでは、ものを作る仕事に向いている人の特徴を紹介します。
手先が器用な人
実際にものを作る仕事に携わる場合、手先の器用さが重要な業務が多くあります。手作業でものを作る職人系では特にその傾向があるでしょう。
ただ、手先が不器用だからといって諦める必要はありません。入社後に猛特訓を積めば、周囲との差は埋められます。「ものを作る仕事に携わりたい」という想いを原動力に変えて、専門的なスキルを身に付けましょう。
想像力が豊かな人
想像力や創造力が豊かな人は、これまでにない革新的なアイデアが求められるクリエイティブ系のものを作る仕事に向いています。
身近なゲームなどの製品をイメージするとわかりやすいですが、ゲームの操作性やストーリーが似たものばかりだとユーザーは飽きてしまいますよね。そのため、新しい要素を加えて、興味を引く必要があるのです。
ユーザーが求めている内容をイメージする力が欠かせない仕事なので、発想力や想像力に自信がある人はおすすめです。
コツコツと頑張れる人
マンションや車の完成形を目にする機会が多いため、ものを作る仕事に華やかなイメージを抱いている人が多いでしょう。ただ、実務では小さい部品を組み立てたり、細かい不備をチェックしたりと地道な作業もおこないます。
そのうえ、商品や製品に不備があるとたくさんの人が危険にさらされてしまうので、コツコツと頑張る力が欠かせません。検品のようなルーティンワークも苦にならない人がものを作る仕事に向いているといえます。
私が自動車メーカー勤務時代にとても大切にしていたのが、製品に誇りを持つことです。
自分たちが作ったものに自信を持ち、その製品に思い入れを持てなければ、どんなに設計が素晴らしくても製造工程で高い品質を保つことはできません。
情熱のないところには必ずミスや不具合が発生します。それは製造業では限りなくゼロに近づけなければならないことです。したがって、ものを作る仕事には「誇れる製品」を完成させるという意識も必須になります。
自分に合うものを作る仕事を見つけるために重要な4つの視点
自分に合う仕事を見つけるために重要な4つの視点
- 業務内容に興味が持てるかどうか
- 得意を活かせるかどうか
- 長く続けても苦ではないかどうか
- 人におすすめできるかどうか
必死に就活に取り組んでも、実際に働いてみたら仕事内容や待遇面、人間関係などが合わず、退職を選ぶ人も多くいます。そのため、就活時に相性の良い仕事を見つける必要があります。
ただ、「相性の良い仕事の見つけ方がわからない」という人が大半でしょう。ここでは「一回きりの新卒就活で失敗したくない!」という人に向けて、自分に合う仕事を見つけるために役立つ4つの視点を解説します。
仕事選びに必須の就活の軸についてはこちらの記事で紹介しています。
就活の軸一覧90選! 納得できる企業選びの基準の見つけ方も解説
①業務内容に興味が持てるかどうか
興味を持てる業務に携われるかは非常に重要です。好きではない仕事に熱意を持って働き続けるのは難しいからです。あまり興味がなかったり、好きではなかったりする仕事を始めたとしても、自分に合っているケースはそれほどないでしょう。
厚生労働省の令和2年転職者実態調査の概況によると、転職理由の2位は23.8%の人が回答した「満足のいく仕事ではなかったから」でした。
自分に合った仕事を見つけて長く継続するためにも、業務内容に興味を持てるジャンルから探しましょう。
業務内容に興味が持てるかどうか確認するためには、企業がインターンなどを実施している場合には積極的に足を運びましょう。もし募集していなかったとしても、問い合わせてみることは可能です。
実際に会社の雰囲気を肌で感じておくことは、入社後の「こんなはずではなかった」という事態の回避につながります。
そもそも業務内容を把握していない場合は、こちらの記事を参考に業界研究を深めてみましょう。
業界研究のやり方|業界全体を捉えたうえで気になる業界を研究しよう
②得意を活かせるかどうか
得意な仕事では成果が出やすく、報酬アップにつながりやすいため、ものを作る仕事の中でも、自分の強みを活かせる仕事はどれかを考えてみましょう。
何もかも得意な人はいません。不得意な領域で勝負しても自分より得意な人が多く、頑張っても成果は出にくいです。目に見えて結果が出たり給料が上がったりすると仕事のモチベーションは保ちやすくなるので、せっかく仕事に取り組むのであれば、得意を活かせるジャンルで戦いましょう。
自分の得意分野がわからない人はこちらの記事をチェックしてみてください。
強み一覧付き|自分の強みが必ず見つかる方法9選とアピール方法
③長く続けても苦ではないかどうか
新卒で入社して定年まで働く場合、40年以上にわたってものを作る仕事に携わることになります。そのため、長く続けられるかどうかも大事な視点です。
ただ、「長く続けられると思っていたが、いざ入社すると苦痛でしかなかった」「そもそも長く続けても苦ではないかどうかわからない」という人もいるでしょう。そんな人にはインターンシップへの参加をおすすめします。
長期インターンに参加すると、実際の業務に携わりながら経験を積めます。自分に合っているかどうか見極めるためにも、インターンに参加してみましょう。
- 志望企業が長期インターンをやっていない場合、長く働けるのかを判断するのが難しいです……。
インターン以外にも企業の様子を詳しく知る方法はある
インターン制度で長く働き続けられるかどうかを判断したいということは、職場の雰囲気などが気になっているのだと推察します。であれば、その会社の従業員と直接話すのが一番です。
身近にその会社で働く人がいれば、直接仕事の様子を聞いてみましょう。また面接や説明会などで、職場の雰囲気や一日のスケジュールなどをじっくり質問してみることもできます。
直接会う機会が持てそうになければ、LinkedIn
やFacebookなどのSNSでその会社の従業員を検索し、働き方やライフスタイルなどを確認するのも良いでしょう。
インターンについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
インターンは就活に不可欠? 8のメリットと選び方を詳細解説
また、インターン選考に向けた自己分析の方法はこちらの記事で紹介しています。
自己分析マニュアル完全版|今すぐできて内定につながる方法を解説
④人におすすめできるかどうか
人におすすめできるということは、自分も大きな魅力を感じていることを意味します。魅力的な部分はどこなのか明確にして、仕事選びに役立てるようにしましょう。
魅力的に映るポイントの例
- やりたいことを実現できる仕事内容である
- 自分の携わった仕事が形になるというやりがいがある
- 景気に給料や雇用が左右されにくい安定性がある
上記のほかにもおすすめポイントが見つかったら、自分が重視している項目がわかります。気になる仕事で周りに勧めたいポイントを洗い出して、自分が何に魅力を感じているのかを明確にしてみましょう。
アドバイザーコメント
平井 厚子
プロフィールを見るものづくりをしたい理由を幼少期から振り返ると仕事選びのヒントになる
まずは、自分がなぜものづくりの仕事をしたいのかを考えてみてください。
「小さい頃から工作が好きだった」「図解での説明やグラフィックレコーディング(絵や図を使って議論の内容をリアルタイムで記録すること)がうまいと言われる」「想像力に自信がある」「プレゼントで人を喜ばせるのが好き」など、子どもの頃からの自分の興味や得意なことを思い出してみましょう。
上記の例なら、工作=手を動かして作る仕事、グラレコや図解=グラフィックや設計、想像力=企画やプランニング、プレゼント=自分で作って直接販売できる仕事、とは考えられませんか。
ものづくりの中で「どの工程を」「どのように」担いたいかも考えよう
また「1人で集中して取り組むのが好き」なら、1人でできる仕事、製造でもライン生産方式よりセル生産方式のところ、「皆で力を合わせて取り組みたい」なら、大勢の人がチームに分かれて働く職場なども考えられます。
同時に、興味のある分野や業界も詳しく調べてみましょう。上流工程(企画・設計)から下流工程(製造・販売)の間にどんな仕事があるか、どんな生産物があるのかを調べて分析します。
自分がどの工程にかかわりたいかイメージできれば、必要なスキルや資格の習得に向けて動き出せますよ。
一人でできる仕事については以下の記事で解説しています。ただし、基本的に仕事は何かしらの形で人とかかわる必要があり、完全に一人で完結する仕事はほとんどないことに注意しましょう。
ものを作る仕事の種類を把握して自分に合った場所で働こう
ものを作る仕事には大きく分けて5つのジャンルがあります。職種によって求められる能力や役立つ資格が違うため、それぞれの特徴を理解しておかないと、選考を突破するのは難しいといえます。
ここまで解説した内容を把握しておくと、志望職種に合わせた方法でアピールできます。また、ものを作る仕事に興味を抱いている人は、メリットやデメリットを比較しながら検討してくださいね。
アドバイザーコメント
永田 修也
プロフィールを見るものを作る仕事は技術を磨けば将来性も高められる
ものづくりの仕事は、自分が生産活動にかかわることによってモノが生み出され、形にして残すことができるという達成感があり、とてもやりがいのある仕事だと思います。
求める人がいる限り、作り手はずっと必要とされるので、将来性もある仕事です。そして一度技能を習得してそれなりに長く経験を積むことができれば、ほかの人には一朝一夕で身に付けることができない技術になります。差別化につながり、それを自分の強みにすることも可能です。
自分が情熱を捧げられる分野を選ぶことが大切
大切なマインドとして、「好きであること」というのはほかの職種よりも少しだけ必要かもしれません。
というのも、仕事だからと単純に割り切ることも不可能ではありませんが、技術が身に付くスピードや知識量は、「それが好きな人」の情熱と比べると年数を経るほど差が開いていくからです。
結果的にそれが収入や将来のキャリアにつながることにもなるので、少しでも自分が興味のあるものや、情熱を注ぐことができそうなものを選択していくことが大事になります。
応援しています。ぜひ頑張っていきましょう。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
> コンテンツポリシー記事の編集責任者 熊野 公俊 Kumano Masatoshi
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キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
Takako Shibata〇製造業を中心とした大手~中小企業において、従業員のキャリア形成や職場の課題改善を支援。若者自立支援センター埼玉や、公共職業訓練校での就職支援もおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/メンタル心理カウンセラー
Syuya Nagata〇自動車部品、アパレル、福祉企業勤務を経て、キャリアコンサルタントとして開業。YouTubeやブログでのカウンセリングや、自殺防止パトロール、元受刑者の就労支援活動をおこなう
プロフィール詳細キャリアコンサルタント/産業カウンセラー
Atsuko Hirai〇ITメーカーで25年間人材育成に携わり、述べ1,000人と面談を実施。退職後は職業訓練校、就労支援施設などの勤務を経て、現在はフリーで就職・キャリア相談、研修講師などを務める
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