Webテスト対策の支援実績がある専門家がこの記事を監修しました
公務員試験の論文は、知識よりも「行政課題に対して自分なりの考えを論理的に書けるか」が問われる試験です。頻出テーマがある程度決まっているため、事前の対策次第で得点を伸ばしやすい科目でもあります。
この記事では、公務員試験で出題される論文の概要を整理したうえで、実際の出題形式に沿った対策問題8問を紹介します。元公務員のキャリアアドバイザーが解き方まで丁寧に解説しているのでぜひ参考にしてください。
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公務員試験「論文」の概要
- 問題パターン:
①行政が取り組むべき社会課題をテーマとする論文型
少子高齢化・人口減少地方創生・防災危機管理・デジタル化(DX)・環境問題(SDGs)・多文化共生・働き方改革・高齢者福祉など
②自身の経験や公務員としての抱負・志望動機を問う「作文型」 - 1問あたりの時間:60〜90分程度で800〜1,200字程度を書き上げる形式が一般的(試験区分・自治体により幅がある)
- テスト形式:ペーパーテスト
- 公務員試験「論文」の解答のコツを教えてください!
課題を絞り解決策を具体的に明示しよう!
公務員試験の論文では、少子高齢化・人口減少、DX・行政のデジタル化、地方創生、防災・危機管理などの行政課題が頻出とされています。
メジャーな構成は「現状→課題→解決策」という型です。序論2割・本論5割・結論3割を目安に配分するとまとまりやすくなります。
序論では現状をデータや事実で簡潔に示し、課題を1〜2点に絞って提示してください。
本論では解決策を2〜3本の柱に整理し、それぞれ「誰が・何を・どのようにおこなうか」を具体的に書きましょう。「予算を確保する」で終わらせず、「〜財源を活用し、〜事業を実施する」まで書けると説得力が増します。
結論では課題を繰り返さず、施策の意義を一言で確認したうえで、入庁後の姿勢を示して締めくくりましょう。
出題傾向や配点は自治体・試験区分により異なるため、志望先の過去問・募集要項も必ず確認してください。
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公務員試験「論文」の対策問題8問|平野さんによる解き方の解説付き!
ここからは、公務員試験で出題されやすいテーマに沿った対策問題8問を元公務員の平野さんとともに紹介します。
頻出の少子高齢化・地方創生をはじめ、高齢者福祉やDX推進、SDGs、減災対策など幅広いジャンルを扱っているため、志望する自治体で出やすいテーマを重点的に確認することができます。
解答例と解説もあわせて掲載しているので、実際に自分の考えを文章にまとめる練習に活用してください。
問題1(難易度:★★★☆☆)
問題
次のテーマについて、制限時間内に小論文を執筆しなさい。
テーマ:「未婚化・晩婚化の進行」
我が国では、平均初婚年齢の上昇や生涯未婚率の増加により未婚化・晩婚化が進行しており、少子化や人口減少に及ぼす影響が懸念されている。こうした状況を踏まえ、未婚化・晩婚化の背景にある課題や、希望する人が結婚・子育てをおこなえる環境づくりが重要な課題となっている。
上記に関して、次の(1)、(2)の問いに答えなさい。
(1)我が国において未婚化・晩婚化が進行している社会的背景について、あなたの考えを述べなさい。
(2)未婚化・晩婚化の進行を抑制し、希望する人が結婚・子育てをおこなえる社会を実現するための取り組みについて、あなたの考えを具体的に述べなさい。
解答例:
(1)我が国において、未婚化や晩婚化の進行は少子化の主要な原因とされており、平均初婚年齢の上昇や生涯未婚率の増加が顕著となっている。このように、我が国において未婚化・晩婚化が進行している社会的背景としては、価値観の変化・多様化と、結婚や子育てを支える基盤の不整備があると考えられる。
今日においては、時代の流れとともに価値観が変化・多様化したことで、女性の高学歴化とともに社会進出も一般化した。「結婚して家庭を持つこと」が唯一の生き方ではなくなり、結婚に関する選択が社会通念よりも個人に任されるようになっているのである。
結婚や子育てを支える基盤としては、経済的基盤と社会的基盤がある。長期にわたる経済の停滞や雇用の不安定化により、特に若者世代において将来的な経済不安が大きく、非正規雇用の割合も高いという点において、結婚に踏み切るための経済的基盤が確立されていないといえる。また、仕事と育児の両立の難しさや、地域コミュニティの希薄化などから、安心して子どもを産み育てる社会的基盤が十分に整備されていないといえる。
(2)未婚化・晩婚化の進行を抑制し、希望する人が結婚・子育てをおこなえる社会を実現するためには、まずは結婚や子育てを支える基盤の不整備を改善していかなければならない。特に、若者の経済状況が厳しい現状を踏まえると、子育て世代への経済的支援と雇用の安定が不可欠である。
そのため、若者の就労支援をおこなっていくことで、将来を見すえた経済的基盤を整備していかなければならない。行政として若者の正社員化を支援するために、企業に対する助成制度の拡充や就職マッチングの強化に取り組む必要がある。
また、仕事と生活の両立を可能とする社会的基盤の整備に取り組む必要がある。保育サービスの拡充や待機児童の解消はもちろんのこと、子育て世帯に対する住宅支援や相談体制の強化を進めていくことが重要である。
さらに、我が国においては労働時間が長く休暇が取りづらい職場環境も課題となっている。長時間労働の是正や男性の育児休業取得の促進など、働き方改革をいっそう推進していくことで、家庭での時間を確保し、生活のゆとりを生み出していくことが求められる。行政として、柔軟な勤務制度を導入する企業へのインセンティブを強化し、誰もが安心して人生の選択をおこなえる環境を整えていかなければならない。
解説:
本問題は、人口減少の要因である未婚化・晩婚化の進行と行政の対応策をテーマとしている。小論文を作成する際は、未婚化・晩婚化が進む社会的背景(価値観の変化、経済的・社会的基盤の不整備)を分析したうえで、行政が取り組むべき具体策を提示することが求められる。具体的には、若者の就労支援による経済的基盤の確立、子育て環境の整備、働き方改革の推進という観点から論理を組み立てると論旨が明確になる。
この問題のポイントは、若者が抱く「雇用とキャリアの不透明感」を行政課題としてどうとらえるかです。
相談を受ける現場の実感としては、非正規雇用の固定化や将来の賃金への不安から、結婚に踏み出せない若者が一定数存在すると感じています。
論文作成では、給付金などの支援策にとどまらず、「若者の正規登用やスキルアップ支援を通じた自立的なキャリア形成」と「男女ともに育児休業を取得しやすい企業風土の醸成」という両輪で論述することが有効です。
行政と地元企業が連携し、若年層の経済的自立と柔軟な働き方を後押しする構造を示すことで、実効性と説得力のある答案に仕上がります。
なお、具体的な統計データや制度名を引用する場合は、最新の白書・自治体資料で裏付けを確認してください。
問題2(難易度:★★★☆☆)
問題
次のテーマについて、制限時間内に小論文を執筆しなさい。
テーマ:「地方創生の推進」
解答例:
我が国では、これまで大都市圏への人口や産業の流入によって、高い利便性や効率性が実現されてきた。しかし現在は、地方の過疎化と衰退が過度な水準に達し、地域社会の維持や持続可能性に関する深刻な問題を生んでいる。地方では少子高齢化が進み、地域産業や公共サービスの担い手不足が深刻化する一方、都市部には人材や資本が集まり続けている。この状態が続けば、国土の均衡な発展は一層難しくなる。また、地域ごとの魅力や文化が失われ、国家全体の多様性と安全性が損なわれるおそれもある。こうした状況を踏まえると、地方創生の推進は、地域活性化のためだけでなく、国家全体の持続可能性を確保するうえでも不可欠である。
第1に、個人が地域で働き暮らし続けやすい環境を整えることである。都市部で働く人の中には、地方に移住したいと考える人や、地元で働き続けたいと考える若者も少なくない。しかし、実際には就業機会や生活インフラに関する不安が定着の妨げになっている。そこで、自治体、国、企業が連携し、地域での就職や起業、就農に関する相談会や情報提供の機会を充実させるべきである。あわせて、住宅確保への助成や子育て支援を強化すれば、生活への不安を軽減できる。さらに、移住後の生活支援や地域コミュニティへの定着支援までおこなうことで、持続的な人口の定着が可能となる。
第2に、地域産業の育成と魅力ある雇用の創出を進めることである。地域に魅力的な雇用の場がなければ、人の流出を防ぐことは難しい。そのため、地場産業の高付加価値化や農林水産業の多角化を進める企業に対し、支援金や税制上の優遇措置を講じるべきである。また、近年はデジタル技術の活用により、地方に身を置きながら多様な業務に従事できる環境が整ってきた。地元の専門学校や大学、自治体と連携し、IT人材の育成やコワーキングスペースの整備を進めれば、地域内での起業や新規事業の立ち上げも促進されるだろう。
第3に、地域の資源を活かした独自のまちづくりを着実に進めることである。現状では、全国で似通った開発がおこなわれる傾向も見られるが、各地域が持つ歴史、文化、自然環境などの強みを再発見し、地域の特性に応じて活用していくことが望ましい。その際には、他地域の真似をするのではなく、地域住民やNPOが主体となって魅力づくりを進めることで、住民の誇りや関与を高められる。地域の特色を活かしたまちづくりは、交流人口や関係人口の創出につながるだけでなく、地方創生に向けた持続的な取り組みとしても大きな意義を持つ。
地方の衰退はもはや放置できる段階ではない。行政と住民、企業が一体となった取り組みを進めることで、魅力ある地域社会の再構築を目指すべきである。
解説:
本問題は、我が国の重要課題である地方創生の推進をテーマとしている。小論文を作成する際は、過疎化や人口流出が地域社会に及ぼす影響を整理したうえで、行政が講じるべき施策を多角的な視点から論理的に提示することが求められる。具体的には、移住・定住の促進、地域産業の育成と雇用創出、地域の独自性を活かしたまちづくりという3つの観点を軸に構成すると論旨が明確になる。各施策の連携に言及することも有効である。
地方創生の小論文で差が付くのは、施策の列挙ではなく「なぜ実現していないのか」という因果の掘り下げです。
支援制度があっても情報が届かなければ実効性を欠き、行政主導のみでは住民ニーズとの乖離が生じます。
これを防ぐには、現状をデータで把握し、住民・企業・教育機関の声を計画段階から反映させ、実行可能な目標を設定するプロセスが欠かせません。
さらに施策を実施した後も、人口動態や雇用状況、住民満足度を検証し改善を重ねる姿勢が問われます。つまり「課題→原因→対策→検証」という一連の流れを論文内に組み込めるかどうかが、説得力を大きく左右するのです。
私の実務経験に照らせば、人を呼び込む施策以上に、そこで働き続けられる環境をいかに整えるかという定着の視点こそが、地方創生の本質的な課題だといえます。
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問題3(難易度:★★★☆☆)
問題
次のテーマについて、制限時間内に小論文を執筆しなさい。
テーマ:「大規模自然災害への備えと減災対策」
解答例:
私は、地域において大規模自然災害が発生した際、被害を最小限に抑え、住民の安全を確保するためには、災害に強い都市インフラの整備、危機管理体制と広域連携の強化、住民の防災意識向上と教育、地域コミュニティの強化の4点が重要であると考える。
1点目に、災害に強い都市インフラの整備について述べる。近年頻発する豪雨や地震に備え、河川の護岸整備や遊水地の確保、土砂災害警戒区域における対策を進めていく必要がある。また、避難路や緊急輸送道路の整備に加え、避難所となる公共施設等の耐震化や防水化をいっそう推進していくことが求められる。
2点目に、危機管理体制と広域連携の強化について述べる。災害が発生したとき、迅速な応急対応をおこなうため、防災拠点や通信手段の二重化を進め、情報伝達体制を確立しておく必要がある。また、広域的な被害に対応するため、近隣自治体や民間事業者とあらかじめ災害協定を締結し、救援物資の供給や避難者の受け入れ体制を整えておくことが重要である。平時からこれらの協定内容を住民に周知しておくことも欠かせない。
3点目に、住民の防災意識向上と教育について述べる。被害を減らすためには、行政による公助だけでなく、住民自身の自助が不可欠である。学校や地域での防災教育を通じて、ハザードマップの活用方法や避難行動の判断基準をあらかじめ伝えておく必要がある。過去の災害事例から学び、平常時から自らの避難計画を作成するよう促す取り組みも大切である。
4点目に、地域コミュニティの強化について述べる。災害が発生したときには、近隣住民同士の助け合いである共助が大きな力となる。日頃から地域行事や防災訓練を通じて住民間のつながりを深め、高齢者や障害者などの要配慮者を支援する体制を構築しておくことが重要である。このような地域ネットワークは、避難所運営や避難生活における精神的な支援にもつながる。
このように行政は、自助、共助、公助の連携を深め、多角的な視点から減災対策に取り組んでいかなければならない。日頃から国や区市町村、民間企業、住民との密接な連携を図り、安全で安心な地域づくりに邁進していかなければならない。
解説:
本問題は、大規模自然災害に対する減災対策と地域の防災力強化をテーマとしている。論文を作成する際は、ハード面とソフト面の両方から課題を整理したうえで、行政が取り組むべき具体策を多角的に提示することが求められる。具体的には、都市インフラの整備、危機管理体制の強化、住民への防災教育、地域コミュニティの強化という4つの観点を軸に構成すると論旨が明確になる。自助、共助、公助の連携に言及することも有効である。
このテーマを攻略する鍵は「思考の解像度」にあります。
まず冒頭で、対象とする災害種別を定義して論旨を固定し、「ハード・ソフト」「自助・共助・公助」の二軸を掛け合わせて論点の網羅性を担保しましょう。
単なる施策の羅列から脱却するには、平常時の予防、発災時の初動、復旧期の支援という「時間軸」で構造化することが不可欠です。
さらに、限られた予算や人員という行政の現実的制約を踏まえた「優先順位付け」に言及することで、机上の空論ではない実務者視点の説得力が宿ります。
定義による焦点化、立体的な論点整理、そして現実的な制約への洞察。この3層構造で全体像を提示することが、採点者に高く評価されるポイントです。
問題4(難易度:★★★☆☆)
問題
次のテーマについて、制限時間内に小論文を執筆しなさい。
テーマ:「自治体におけるDXの推進」
解答例:
自治体は、少子高齢化にともなう労働力不足や複雑化・多様化する住民ニーズに対応するため、限られた人員や財源の中で効率的かつ効果的な行政運営をおこなっていく必要がある。デジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、業務効率化と住民サービスの向上を両立させる重要な施策である。しかし、デジタル格差(デジタルデバイド)への配慮や自治体職員のIT人材不足など、解消すべき課題も少なくない。したがって私は、自治体職員としてデジタル技術を積極的に活用しつつ、誰もが取り残されない行政DXを推進したいと考える。
1つ目として、行政手続きのオンライン化や業務プロセスのデジタル化による業務効率化に取り組みたい。マイナンバーカードを活用した各種手続きの電子化や、AIやRPAの導入による定型事務の自動化を進める。これにより事務負担の軽減を図り、生み出した人員や時間を企画立案や直接的な対面相談支援などのコア業務に重点配分することが可能となる。
2つ目として、デジタルデバイド対策と丁寧な相談支援の充実を進めたい。電子申請やデジタル窓口の導入にあたっては、操作画面をわかりやすいものとするとともに、高齢者や障害を抱える人々が取り残されないよう、スマホ教室の開催や窓口での丁寧な操作サポート体制を整える。デジタル化の利便性を享受しにくい人々にも配慮し、一人ひとりの状況に合わせた柔軟な対応を心掛けることが重要である。
私は自治体職員として、DXの推進による効率的な行政運営と、住民目線に立った質の高いサービスの提供を両立させ、持続可能な地域社会の実現に貢献していく決意である。
解説:
行政DXの推進は、人口減少下における行政運営の効率化と住民サービスの向上を両立させる重要な現代的課題である。本問では、デジタル技術導入による業務効率化という側面だけでなく、デジタルデバイドへの配慮など行政として果たすべき役割を多角的に論理構造化できているかが評価のポイントとなる。窓口のデジタル化やRPA導入によるコア業務への注力、丁寧な個別サポートなど具体的かつ実現可能性の高い取り組みを提示することが求められる。
自治体DXを単なる「IT導入」で終わらせないために、業務そのものを再設計するBPRの視点を盛り込みましょう。
単に手続きを電子化するだけでなく、重複する工程を削ぎ落として、住民と職員双方の負担を軽減する「人間中心の変革」としてとらえ直すことが肝です。
答案の説得力を一段引き上げるために、セキュリティ対策や職員の育成、効果検証という行政運営のリアルな制約まで視野を広げてください。
技術はあくまで手段であり、真の目的は住民サービスの向上と持続可能な行政基盤の確立です。
私の実務経験に照らせば、机上のデジタル論ではなく「使う住民」と「動かす職員」の双方に寄り添う視点こそが、答案に厚みをもたらすと考えます。
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問題5(難易度:★★★☆☆)
問題
次のテーマについて、制限時間内に小論文を執筆しなさい。
テーマ:「多様な働き方の推進」
我が国では、急速な少子高齢化や人口減少にともなう労働力不足が深刻化するなか、従来の硬直的な働き方を見直し、個々の事情に応じた多様な働き方を推進することが重要となっている。
上記に関して、次の(1)、(2)の問いに答えなさい。
(1)我が国において多様な働き方の推進が求められている背景や、その必要性についてあなたの考えを述べなさい。
(2)多様な働き方を実現させるために、行政、企業、働く者のそれぞれの立場からどのような取り組みがおこなわれるべきか、あなたの考えを具体的に述べなさい。
解答例:
(1)我が国では、高度経済成長期以来、終身雇用や年功序列を前提とした単一的な働き方が定着してきた。しかし、人口減少や少子高齢化が進展し、労働力不足が深刻化するなかで、従来の硬直的な働き方を維持していくことは困難となっている。
このような背景から、近年、短時間勤務やテレワーク、副業・兼業などを含めた「多様な働き方」の推進が強く求められている。多様な働き方を推進することによって、育児や介護、病気の治療などと仕事との両立が可能となり、これまで就労が困難であった人材の社会参加を促すことができる。また、一人ひとりのライフスタイルに応じた働き方の選択が可能となることで、個人の生活の質が向上するとともに、社会全体の生産性向上や経済の活性化にもつながる。現代日本にとって、多様な働き方の推進は最重要課題の1つと言える。
(2)多様な働き方を実現させるために、行政や企業、働く者のそれぞれの立場からの取り組みが重要である。
まず行政がおこなうべき取り組みとしては、多様な働き方に対応した制度整備と企業の意識改革への支援である。時短勤務やテレワークなどの柔軟な働き方を導入する中小企業に対して助成金や専門家の派遣をおこなうなど、環境整備を強力に支援していく必要がある。また、労働関係法令の整備を通じて、過度な長時間労働を防ぎつつ、正規雇用と非正規雇用との間の不合理な待遇差を解消するなど、多様な選択肢が公正に評価される環境を整えていくことが求められる。
次に、企業がおこなうべき取り組みとしては、個々の事情に応じた多様な労働時間や就労形態を導入するとともに、従業員の労働生産性を向上させる施策を構築していくことが挙げられる。たとえば、フレックスタイム制や在宅勤務、短時間正社員制度などを整備することで、従業員がそれぞれの事情に合わせて柔軟に働ける環境をつくることができる。また、長時間労働を前提とした人事評価から脱却し、時間当たりの成果や業務の質を適切に評価する仕組みを導入することが重要である。これにより、無駄な残業を減らし、業務の効率化を図ることが可能となる。
最後に、働く者自身が取り組んでいくべきこともある。働く者は、多様な働き方の選択肢を有効に活用しながら、自らのスキルアップや主体的なキャリア形成に努めることが大切である。自らのライフステージに応じた働き方を心掛けつつ、時間管理を自立的におこなうことで、仕事とプライベートの双方向で豊かな生活を築いていく姿勢が求められる。
解説:
本問題は、働き方改革における主要テーマである多様な働き方の推進を扱っている。小論文を作成する際は、従来の単一的な働き方の限界と導入の意義を整理したうえで、多様な主体(行政、企業、働く者)の観点から具体的な取り組みを提示することが求められる。制度整備や意識改革、評価体制の見直しなどを軸に論理を展開すると論旨が明確になる。
この問題で重要なのは、(1)の「背景・必要性」と(2)の「具体策」を、地続きの論理でどう結ぶかだといえます。
多くの答案は総論止まりのまま述べることで、行政・企業・個人の役割が混ざり合って主旨が見えなくなりがちです。
まず(1)では、少子高齢化という不可逆な構造変化を起点に、「単一的な働き方がなぜ限界を迎えたのか」を丁寧に描き、(2)へと接続する論理の筋を通しましょう。
(2)では、行政は「制度整備と環境支援」、企業は「柔軟な働き方の導入と評価制度の刷新」、個人は「主体的なキャリア形成」というように、三者の役割を明確に切り分けて論じることで説得力を生み出せます。
さらに、この三者がどう連動し合うかまで踏み込めれば、単なる項目列挙を超えた、行政実務に通じる答案にレベルアップするでしょう。
問題6(難易度:★★★★☆)
問題
次のテーマについて、制限時間内に小論文を執筆しなさい。
テーマ:「持続可能な循環型社会の形成に向けた取り組み」
我が国は、資源の有効活用と環境負荷の低減を目指し、持続可能な循環型社会の形成に向けた取り組みを推進してきた。
また、近年ではプラスチックごみ問題の深刻化や資源の枯渇リスクの高まりを受け、製品のライフサイクル全体を通じた資源循環を促進し、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みをさらに発展させた循環経済への移行を目指す新たな方針を示している。
なお、世界においても、多くの国や地域が脱炭素と並ぶ重要課題として資源循環の実現を表明している。
上記に関して、次の(1)、(2)の問いに答えなさい。
(1)循環型社会の形成に関する取り組みが我が国にとって必要な理由を簡潔に述べなさい。
(2)持続可能な循環型社会を形成するために我が国がおこなうべき取り組みについて、その課題を踏まえつつ、あなたの考えを具体的に述べなさい。
解答例:
(1)循環型社会の形成に関する取り組みが我が国にとって必要な理由は、第1に資源の枯渇や環境汚染への対策、第2に新産業の創出と経済活性化のためである。
資源の多くを海外に依存する我が国において、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会構造を継続することは、天然資源の枯渇や最終処分場のひっ迫を招く恐れがある。
さらに、海洋プラスチックごみなどの環境問題も深刻化しており、持続可能な地球環境を維持する必要がある。
一方、資源循環に関する技術開発や再資源化ビジネスの育成は新産業の創出をもたらす。
資源の制約に直面する我が国にとって、循環型経済を新たな成長の軸とし、経済の再活性化を目指すことが重要である。
(2)持続可能な循環型社会を形成するために我が国がおこなうべき取り組みは何か。
第1に、製品の設計段階からの資源循環と再資源化の推進を図るべきである。
産業部門や製品製造過程において資源の効率的な利用と代替素材への転換が欠かせない。
製品の長期使用や解体・再利用を前提とした設計への移行が必要である。
しかし、課題は代替素材やリサイクル素材の導入コストが高いことだ。
たとえば、再生プラスチックやバイオマス素材は調達費用が高額なため、導入をためらう企業は多い。
したがって、環境配慮型素材を導入する企業に対し、経済的な負担を軽減することが重要である。
具体的には、技術開発をおこなう企業や大学との産学連携を促進し、安価で高品質な再生素材の開発に取り組むと有用であろう。
第2に、住民や企業の自発的かつ継続的なごみ排出抑制と資源回収を支援するべきである。
民生・消費部門における一人ひとりの行動変容が不可欠である。
各主体が排出責任を自覚し、長期的に資源回収やリサイクル活動に取り組むよう働きかける必要がある。
しかし、課題は環境保護を呼びかけるだけでは、分別の徹底や製品の再利用の実践に結び付かないことだ。
したがって、住民や企業が参画しやすいようインセンティブを提供することが重要である。
住民に対しては、資源回収への協力に応じてポイントを付与する仕組みを導入し、地域で利用できる電子マネーや商品券と交換できるようにすると効果的であろう。
企業に対しては、優れたリサイクル活動をおこなって排出削減を実現した企業名を公表・表彰したり、優良事業者を認定したりして、企業の社会的評価を高めることが有用である。
こうした取り組みにより、循環型社会を形成し、環境保全と経済活性化の両立を目指すべきである。
解説:
本問題は、持続可能な循環型社会の形成に向けた課題と行政の対応策をテーマとしている。小論文を作成する際は、循環型社会が我が国に必要な理由(資源枯渇対策、環境保全、新産業創出)を整理したうえで、想定される課題(コスト面、行動変容の難しさ)に対する具体的施策を述べる構成が求められる。再資源化技術への支援や、住民・企業へのインセンティブ付与といった多角的な観点から論説を展開すると論旨が明確になる。
この問題を攻略する第一歩は、(1)と(2)の問いの性質の違いを見極めることにあります。
(1)は「必要な理由」を簡潔に問うており、資源枯渇・環境負荷という環境面と、新産業創出・経済活性化という経済面の二軸で整理すれば、過不足なく核心を突けます。ここで背景説明を長く語りすぎないことも大切です。
一方(2)は、「取り組み」に加えて「課題を踏まえつつ」という条件が課されている点を見逃してはなりません。
これは施策の提案にとどまらず、その実現を阻む障壁(コストや行動変容の難しさ)まで踏み込むことを求めるシグナルです。
資源循環を担う「供給側(企業・産業)」と、資源を使う「需要側(住民・消費者)」という二つの主体に分け、それぞれ「課題→対応策」の順に書き進めてください。
そうすることで、設問の要求に忠実かつ、論点に抜け漏れのない立体的な答案に仕上がります。
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問題7(難易度:★★★★☆)
問題
次のテーマについて、制限時間内に小論文を執筆しなさい。
テーマ:「国際都市としての都市競争力向上」
解答例:
世界の大都市間で都市競争が激しさを増すなか、都市としての存在感を高め、持続的な発展を遂げるためには、都市の魅力向上と産業基盤の強化を一体的に進めることがきわめて重要である。わが国の都市には、歴史や伝統文化と最先端技術の融合、安全安心な住環境、質の高い公共交通網、高度な技術力を有する企業の集積など、他国の都市にはない多様な強みがある。これらの地域資源を有効に活かし、国内外から人材、企業、投資を呼び込むことが都市競争力の向上に直結する。都市の魅力と経済の活性化は相互に波及し合うため、広範な視点から施策を展開していく必要がある。私は自治体職員として、観光・文化振興と中小企業・スタートアップ支援の2つの軸から取り組みを進めたいと考える。
第一に、地域ならではの資源を生かした観光・文化の振興と環境整備である。歴史的な街並みや伝統芸能、洗練された都市景観や食文化、アニメなどに代表されるポップカルチャーなど、地域には多面的な魅力が集積している。今後はこれらを単に紹介するだけでなく、滞在型・体験型の観光コンテンツとして再構築し、戦略的に情報を発信していくことが求められる。また、訪日外国人旅行者がストレスなく快適に滞在できるよう、多言語対応の拡充や交通アクセスの向上、キャッシュレス決済の普及といった受入環境の整備を推進する。広域的な周遊ルートの形成や文化体験の提供を通じて魅力を高めることは、観光消費の拡大だけでなく、都市のブランド力を世界に浸透させるうえで大きな意義を持つ。
第2に、地域経済を支える中小企業やスタートアップへの支援強化である。都心部や地方都市には、ものづくり、環境・省エネルギー、都市インフラなどの分野で高い技術力や独自のノウハウを持つ中小企業が数多く存在する。また、イノベーションの創出を担うスタートアップの育成も不可欠である。都市課題の解決に資する技術やサービスは国際的にも高い需要が見込まれるため、これらの企業の成長を後押しすることは産業競争力の強化につながる。しかし、中小企業やスタートアップは資金調達、販路開拓、海外展開のノウハウなどに課題を抱えやすい。そこで、行政による融資・補助制度の充実に加え、専門家による経営助言、産学官連携の促進、商談機会の提供などを通じて、企業の成長段階に応じた包括的な支援をおこなう。
このように、観光振興による都市の魅力発信と、企業支援による産業基盤の強化を両輪として進めることが、国際都市としての競争力を高めるうえで不可欠である。私は自治体職員として、地域の強みを最大限に磨き上げ、世界から選ばれる持続可能なまちづくりに貢献していく決意である。
解説:
国際都市間の競争が激化するなか、都市の魅力を高めて人や投資を呼び込み、産業基盤を強化することは自治体の重要な課題である。本問では、都市が抱える強みや課題を的確にとらえたうえで、都市競争力向上に向けた行政の役割を論理的に整理できているかが評価のポイントとなる。観光・文化の振興と受入環境の整備、中小企業やスタートアップへの成長支援という2つの側面から、具体的かつ実効性の高い方策を提示することが求められる。
この問題でやりがちなミスは、壮大なテーマに引っ張られて国家戦略レベルの抽象論だけを述べてしまい、自治体職員としての実務感覚を見失うことです。
攻略の鍵は、人や投資を惹きつける「魅力(求心力)」と、成果を生み出す「産業基盤」という明確な二軸の設定にあります。
文化・観光や受入環境の整備で都市ブランドを高める一方、地元の中小企業やスタートアップへの伴走支援で稼ぐ力を底上げするといった側面に触れましょう。
このように、外向的魅力と内発的活力の両輪を描き、伝統文化や治安といった固有の強みを具体的に掛け合わせることで、地に足の着いた実効性が宿ります。
スケールの大きさに呑まれず、現場の施策へと的確に落とし込めるかが勝負です。マクロな潮流とミクロな自治体実務をつなぐ構成力で高評価を目指しましょう。
問題8(難易度:★★★★☆)
問題
次のテーマについて、制限時間内に小論文を執筆しなさい。
テーマ:「超高齢社会における高齢者の自立支援と地域共生社会の実現」
解答例:
わが国では少子高齢化が急速に進行しており、総人口に占める高齢者の割合が上昇し続けている。今後さらに高齢化が進行すると予想されるなか、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を継続できるよう、社会福祉制度の見直しと環境整備が急務となっている。都市部においては核家族化や地域コミュニティの希薄化が進んでおり、単身高齢者の孤立や介護負担の増大が深刻な課題である。こうした現状を踏まえ、高齢者の自立を支援し、誰もが支え合いながら暮らせる地域共生社会を実現するため、自治体職員として介護・医療基盤の強化、地域における見守り体制の構築、生きがいづくりと社会参加の促進、大きくこの3点に取り組みたいと考える。
1つ目は、介護・医療基盤の強化とデジタル技術の活用による負担軽減である。特別養護老人ホームなどの施設整備を進めるとともに、介護人材の確保や待遇改善に向けた支援を定着させる。あわせて、介護ロボットやICT機器の導入に対する補助をおこない、介護現場の業務効率化を図る。これにより、質の高い介護サービスを持続的に提供できる体制を整えることが重要である。
2つ目は、地域ケア体制の整備とコミュニティによる支え合いの推進である。単身世帯が増加するなかで孤立を防ぐため、民生委員や地域住民、民間事業者などと連携した「高齢者見守りネットワーク」の運用をいっそう推進する。また、地域包括支援センターを中心に医療・介護・福祉の多職種連携を強化し、一人ひとりの状態に応じた包括的な支援を展開する。平時からの声かけや相談活動を通じて、地域全体で高齢者を支える共助の仕組みを確立していく必要がある。
3つ目は、高齢者の多様なニーズに応じた就労支援と社会参加の促進である。多くの高齢者が退職後も働く意欲や社会貢献への高い意識を持っている。こうした就労意欲に応えるため、求人情報の発信やマッチング支援、デジタルスキルなどを身に付けるための職業訓練プログラムを提供する。さらに、子育て支援や地域行事でのボランティア活動の場を広げ、高齢者の豊富な知識や経験を活かす機会を創出することで、生きがいの醸成と孤立防止を同時に図る。
超高齢社会における高齢者支援は、自治体にとって最重要な行政課題である。私は自治体職員として、住民や関係機関と協働しながら上記の方策を強力に推進し、高齢者がいきいきと自分らしく暮らし続けられる地域社会の実現に貢献していく決意である。
解説:
超高齢社会における高齢者の自立支援と地域共生社会の実現は、社会保障の持続可能性と住民の生活の質(QOL)向上を両立させるうえできわめて重要な行政課題である。本問では、高齢化にともなう課題を正確にとらえたうえで、行政が果たすべき役割を論理的に整理できているかが評価のポイントとなる。介護・医療基盤の強化、地域での見守り・多職種連携、就労やボランティアなどの社会参加促進という3つの視点から、具体的かつ実効性の高い施策を提示することが求められる。
この論文を完成させるポイントは、「自立支援」と「地域共生社会」の二大理念をうまく結び付けることにあります。
単なる施策の羅列にならないよう、専門的支援(公助)、地域包括ケア(共助)、そして社会参加(自助・活躍)の三層構造で立体的に組み立てましょう。
ほかの答案と差を生むのは、高齢者を単なる「支えられる要保護者」から「地域を支える担い手」へと再定義する視点です。
私の実務経験に照らせば、就労意欲と活躍機会の乖離を解消することこそが自立と共生の架け橋になります。
守りのセーフティネットと攻めの社会参画という両輪をとらえ、福祉の受け手を地域を支える担い手へと昇華させる現場起点の洞察によって、答案レベルを引き上げましょう。
公務員試験「論文」を対策する際のポイント
公務員試験に関するQ&A
公務員試験を大学4年生から対策するのは遅いですか?
公務員試験の集団討論について教えてください。
公務員試験のコンピテンシー面接の答え方がわかりません……。
公務員のSPIはどのれくらいの勉強時間が必要ですか?
公務員の総合適性検査はどのような内容ですか?
公務員試験のSPIでは何割あれば安心ですか?
公務員試験のSPIで、効率的な勉強法はありますか?
公務員試験SCOAの合格ラインはどれくらいですか?
公務員試験に全落ちしてしまいました。今後の就職活動をどのように進めたら良いかわかりません。
公務員の性格検査で落ちることはありますか?
既卒2年目ですが、公務員試験はまだ間に合いますか?
公務員試験はSPIだけの対策でも大丈夫ですか?
就活で公務員試験はいつから勉強すべきですか?
SPIと公務員試験の能力検査の違いは何ですか?
本番で焦らないために!
まずは気軽にWEBテスト模試を試そう
書類の準備や面接対策に時間を割いて、WEBテストの対策まで手がまわらない人は多いです。
「WEBテスト模試」なら、スマホやパソコンで簡単に、実際のテストを想定した模試を受けることができます。
また言語と非言語問題の頻出問題を中心に繰り返し受けることが可能です。ぜひ活用してWEBテストを突破しましょう。
論文以外の対策も実施しよう!
公務員試験では受ける職種によってさまざまな問題が出題されます。ほかの科目も対策したい人は以下の記事を参考にしてください。
執筆・編集 PORTキャリア編集部
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アドバイザーのリアル・アドバイス!骨子を10分で作成できるレベルまで練習しよう
国家資格キャリアコンサルタント/国家検定2級キャリアコンサルティング技能士
平野 裕一
プロフィールを見る公務員の論文対策で大切なのは、「書く力」と「理解する力」を分けて鍛えることです。
模範解答を読んで理解できても、実際に書こうとすると手が止まる学生の多くは、いきなり清書しようとしています。まず心掛けたいのは「骨子だけを10分で作る」練習です。
結論→理由2点→具体例→結論再掲という型に沿って箇条書きレベルで組み立てるという練習を週3回、3〜5テーマで繰り返すと、書き出しで迷う感覚が薄れていきます。
白書類や基本計画・総合戦略での情報収集がおすすめ!
テーマへの理解を深めるには、書く練習とは別に「読む習慣」が必要です。
内閣府や総務省が公表する白書類、志望自治体の基本計画・総合戦略には、行政が現在何を課題ととらえ、どう動こうとしているかが示されています。
市であれば市の基本計画などが該当します。ただし、名称や内容は改定される場合があるため、志望先の最新版を必ず確認してください。
加えて新聞やニュースで社会問題の輪郭をつかんでおくと、初見のテーマにも対応しやすくなります。
私自身は、少子化・地方創生関連の政府白書や各自治体の総合戦略を参考にしていました。施策の方向性や行政特有の言い回しが学べるのでおすすめです。